派遣業務継続時の再雇用での待遇について(2)

労働問題

先日、本サイトで「派遣業務継続時の再雇用での待遇について」、
以下の相談させていただきました。(【相談文】参照)

昨日、ありがたいことに弁護士の方から以下の回答をいただきました。
お忙しい中、本当にありがとうございます。(【回答文】参照)

これ以上は、回答いただいた弁護士の方に直接確認すべきかもしれません。

しかし、このままでは、この回答を見た同じ境遇の方が、
弁護士への相談を諦めてしまう可能性があるので、
あえて、公開されているこのサイトで他の弁護士の方を含め確認したいと思います。

私は、長澤運輸事件最高裁判決の判決文から以下のように理解しています。

  長澤運輸は、再雇用者と正社員との賃金に差が出ないように、
  一部再雇用者を優遇するような賃金形態(基本賃金を増額等)にした結果、
  再雇用後の賃金を月収で2%〜12%、年収で20%の減額に抑えた。

  この長澤運輸の企業努力を認めて、
  最高裁判事は不合理ではないと判断したという認識です。

以上より、再度相談させていただきます。
1.私の長澤運輸判決の理解は間違ってますでしょうか?
2.長澤運輸とは異なり、単に年収の60%とした弊社の再雇用制度の賃金は、
  労働契約法20条にいう不合理とは本当に言えないのでしょうか?

【長澤運輸事件最高裁判決文一部】
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/785/087785_hanrei.pdf
------------------------------------------------------------------------------
     :
これらの事情を総合考慮すると、
嘱託乗務員と正社員との職務内容及び変更範囲 が同一であるといった事情を
踏まえても、正社員に対して能率給及び職務給を支給する一方で、
嘱託乗務員に対して能率給及び職務給を支給せずに歩合給を支給するという
労働条件の相違は、不合理であると評価することができるものとはいえないから、
労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないと解するのが 相当である。
     :
------------------------------------------------------------------------------

【回答文】
------------------------------------------------------------------------------
詳しい事情がわからないので、一般論として回答はできるところだけ対応いたします。
1.長澤運輸事件最高裁判決の理解を正確にすべきです。
2.違法とならない可能性があります。

本件は、法的に正確に分析すべき事案です。専門性の高い弁護士に相談し、
具体的な話をなさった上で、今後の対応を検討するべきです。
------------------------------------------------------------------------------

【相談文】
------------------------------------------------------------------------------
現在、派遣業務を行なっている正社員の者です。
数ヶ月後に定年となり、再雇用となる予定です。

再雇用時の待遇は以下のとおりです。
1.派遣先の会社からは、定年後も単価を含め同一条件で派遣契約可能。
2.派遣元の自社からは、以下の通りに言われています。
   ・同一労働、同一賃金とは仕事の内容だけではなく労働条件を含む。
   ・再雇用時の給与は年収の6割となる。
   ・不足分は高年齢雇用継続給付金を申請してください。
3.派遣元の会社は黒字運営です。

つまり、同一労働だけでなく、同一売上なのにも関わらず、
同一賃金でないということになります。

同じような問題の訴訟である「長沢運輸」の最高裁判決では、
以下の状況が影響していると認識しています。
  ・再雇用時の給与源はボーナス無しだけで、8割が確保されている。
  ・「長沢運輸」自体が赤字運営であった。

私としては、会社が赤字にならない範囲で現在の給与を最大限維持したいと
思っています。

そこで、以下について教えてください。

1.同一労働だけでなく、同一売上なのにも関わらず、
  同一賃金でない再雇用契約条件は、労働契約法20条違反ではないでしょうか?

2.派遣先の労働条件が変わらないのに派遣元で年収6割減の待遇格差を合理的に
  実施できるのでしょうか?

3.訴訟となった場合、「長沢運輸」の件と違い勝つ見込みはあるでしょうか?
  その時に必要な裁判費用はいくらくらいでしょうか?

4.また、会社と交渉するにあたり、何かアドバイスがあればお願いします。

以上よろしくお願いいたします。
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相談者(ID:2792)さん

2018年11月17日

弁護士の回答一覧

藤川 久昭
弁護士(クラウンズ法律事務所)

詳しい事情がわからないので、一般論としてご回答いたしますと、すでに回答申し上げた通りです。専門...

詳しい事情がわからないので、一般論としてご回答いたしますと、すでに回答申し上げた通りです。専門性の高い弁護士に相談し、具体的な話をなさった上で、今後の対応を検討するべきです。専門的に正確に理解されてください!

ハマキョウレックス事件の最高裁判決も合わせて、最高裁判決を読むときのポイントを指摘しておきます。
1.不合理性は手当毎に検討されます。年収全体の比較だけではないです。
2.労働契約法20条の「その他」の要素が重要です。
3.一部分だけをきりとらずに全体を精読しましょう!

弊所は、ここ=ネットでは、回答を終えさせて頂き、さらなるご質問は、希望される場合にのみ、有料相談でお受けいたします。良い解決になりますよう祈念しております。良い解決になりますよう祈念しております。クラウンズ法律事務所https://www.crownslawoffice.com
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回答した弁護士のご紹介
藤川 久昭
弁護士(クラウンズ法律事務所)
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