雇用保険の利用で妊娠時に失業給付金と育児休業給付金を受け取る全知識

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
雇用保険の利用で妊娠時に失業給付金と育児休業給付金を受け取る全知識

妊娠や出産によって仕事を辞めた女性にとって、雇用保険の失業時給付(基本手当)や育児休業給付などの制度利用は育児中の生活を支えるために重要なものです。

雇用保険では、妊娠を機に退職をして出産後落ち着いてから転職をしようと考えている場合は基本手当の受給や延長申請を行うことができます。また、今の会社のまま子育てが落ち着くまで休職したいと考えている方には育児休業給付の申請ができます。

この記事では、基本手当や受給延長申請、育児休業給付などの雇用保険で受け取れるお金についてご紹介します。

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妊娠した時に女性なら知っておいて損はない雇用保険制度

妊娠がわかると、新しい命を授かったことに喜びを感じると同時に、仕事や収入の不安が出てくると思います。妊娠しても出産しても働き続けたいと願う女性は、以下のようなことを考えるのではないでしょうか?

  • 今まで続けてきた仕事を辞めて育児が落ち着いてから転職をする
  • 育児休業を取得してまた今の仕事に復帰することを希望する

雇用保険ではどちらの選択肢でも、一定の収入が保障できる制度があります。この項目では、退職と休業の制度についてご紹介します。

妊娠して退職した場合|失業保険(基本手当)を受けられる

妊娠を機に一度退職をして、落ち着いてからまた就職活動をしたいという方は、失業による基本手当を受給できる可能性があります。基本手当とは、雇用保険の求職者給付に含まれる手当のひとつです。基本手当は一般的には失業保険とよばれ、失業前に会社から支払われていた賃金の50%~80%が支給されます。

詳しくは、後述の「妊娠して退職した方の失業保険(基本手当)の受給方法」をご覧ください。

育児休業を取得する場合|育児休業給付を受ける

今の仕事での雇用を継続して育児休業を取得し、職場復帰をしようと考えている方は、育児休業給付が受給できる可能性があります。

育児休業給付では、雇用を継続したまま休業を申し出たり、休業中に給付金を受け取ることができる制度です。育児休業給付金は、失業前に会社から支払われていたに対して最大67%が支給されます。

詳しくは、後述の「育児休業を取得して復職を希望する方の育児休業給付の受給要件」をご覧ください。

妊娠して退職した方の失業保険(基本手当)の受給方法

妊娠して退職した方の失業保険(基本手当)の受給方法

妊娠を機に今の仕事を退職し、育児が落ち着いたら再就職しようと考えている方は失業時の基本手当の受給が可能な場合があります。この項目では、失業保険(基本手当)の受給要件や申請の手続きに関してご紹介します。

失業保険(基本手当)の受給要件

ハローワークが規定している基本手当の受給条件は以下の通りです。

1. ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
したがって、次のような状態にあるときは、基本手当を受けることができません。

  • 病気やけがのため、すぐには就職できないとき
  • 妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
  • 定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
  •  結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき

2. 離職の日以前2年間に、被保険者期間(補足2)が通算して12か月以上あること。ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。
※ 補被保険者期間とは、雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1か月ごとに区切っていた期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1か月と計算します。

引用元:ハローワークインターネットサービス|基本手当について

上記では、「妊娠・出産・育児」の場合は受給できないとありますが、求職活動ができる状態であれば基本手当を受給できる可能性があります。しかし、妊娠中の方はすぐに求職活動ができないことがほとんどでしょうから、受給期間の延長申請を行うことで、再び求職活動ができるようになった際に基本手当の給付金を受け取ることができます

受給期間の延長申請は退職してから “30日以降1ヶ月以内” に行う

受給期間の延長申請は、働くことができない状態が30日以上続いた翌日から1ヶ月以内までの期間に申請しなくてはなりません。申請が遅くなってしまうと受給できなかったり支給日数減ったりすることもありますので、申請は必ず期間内に早めに行うようにしてください。

受給期間の延長申請は、代理人もしくは郵送でも可能です。その際はあらかじめ、管轄のハローワークに相談するようにしてください。

 

厚生労働省|雇用保険の基本手当について受給期間延長の申請期限を変更します

引用元:厚生労働省|雇用保険の基本手当について受給期間延長の申請期限を変更します

ただし、受給期間の延長はあくまでも受給資格がある期間が延長することであって、基本手当の給付日数が増えるわけではありません

◆失業保険(基本手当)の支給金額と申請手続き

支給金額の計算方法

失業保険の支給金額は以下の式で計算することができます。

休業前の日次賃金 × 給付率 = 日次支給額

「休業前の日次賃金」は「休業前の日次賃金」は過去6ヶ月分の給与総額(ボーナスなどは含まない)を180日で割った金額を使用します。また、「給付率」は離職した年齢によって異なります。

 

厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ

引用元:厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ

なお、支給金額には上限があります。年齢区分ごとの上限金額は以下の通りです。

 

厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ

引用元:厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ

基本手当が支給される日数

失業保険の基本手当が支給される日数は雇用保険の被保険者期間(保険料の納付期間)と年齢によって異なります。被保険者期間と受給日数は以下の表の通りです。

 

ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数

引用元:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数

申請期間

失業保険の基本手当を申請する際は、通常退職から原則1年以内の期間に申請することができます。ただし、支給日数も通常の申請であれば、申請期間を含めた期間になるため、申請は早めにすることをおすすめします。

必要書類と提出先

基本手当の受給には以下の書類が必要になります。

  • 雇用保険被保険者離職票(-1、2)
  • 個人番号確認書類(いずれか1種類) 
  • マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票(住民票記載事項証明書)
  • 身元(実在)確認書類((1)のうちいずれか1種類((1)の書類をお持ちでない方は、(2)のうち異なる2種類(コピー不可)) 
    (1) 運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)など 
    (2) 公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など
  •  写真(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×2.5cm2
  •  印鑑
  •  本人名義の預金通帳又はキャッシュカード(一部指定できない金融機関があります。ゆうちょ銀行は可能です。)

引用元:ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き

提出先は、居住している地域を管轄しているハローワークになります。

関連リンク:厚生労働省|全国ハローワークの所在案内

失業認定を受ける際の注意点

失業保険の基本手当を受給するには、講習や説明会、また4週間ごとの失業認定を受けなければなりません。これらの際には、赤ちゃんを連れて行くことはできませんので、ハローワークに行く日には赤ちゃんの預け先を考えておくことをお勧めします

育児休業を取得して復職を希望する方の育児休業給付の受給要件

 

育児休業を取得して復職を希望する方の育児休業給付の受給要件今の雇用を継続させたまま育児休業を取得して、休業明けに職場復帰を考えている方は、育児休業給付を受けることができます。この項目では、育児休業給付の制度の概要と受給要件などについてご紹介します。

育児休業給付は「育児休業の取得」と「給付金の受給」ができる

1歳を満たない子を養育する労働者は、育児休業を請求することができます。また、会社は労働者から育児休業を請求された場合、業務上の正当な理由がない限り拒否することはできません。

第五条  労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次の各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる。
引用元:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

また、育児休業期間中、収入が休業開始前の8割を下回った場合は、育児休業給付金を受け取ることが可能です。

育児休業中は社会保険料が免除になる

育児休業中は事業所と折半で支払っていた、厚生年金保険や健康保険といった社会保険の保険料が免除になります。

必要書類と提出先

育児休業給付を受ける際の必要書ついは以下の通りです。

育児休業は雇用保険制度に含まれるため、提出先は勤めている会社の担当窓口になります。会社側は労働者から育児休業給付に関する申請を受けた場合、速やかに管轄のハローワークまで提出しなければなりません。

【関連記事】育児休業給付とは |もらえる給付金額の正しい計算方法と申請方法まとめ

 

妊娠している方の就業制限について|産前6週間・産後8週間は就業禁止

妊娠中に状態が安定して労働者側に働く意思があったとしても、産前6週間・産後8週間の女性労働者には就業制限があります。

第六十五条  使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
○2  使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
○3  使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。
引用元:労働基準法

この期間中は、どんなに働く意思があっても就業することはできないため、求職活動なども行うことができないのです。

妊娠によって会社でハラスメントを受けていた方へ

妊娠を会社に報告したら、以下のようなことを言われ、本当は仕事を続けたかったのに辞めなければならなかったという方もいるのではないでしょうか。

  • 「本当は働いていたかったけど、上司から退職を勧められた」
  • 「出産をするならパートになるか、辞めるかだと言われた」

妊娠・出産・育児をきっかけとして嫌がらせをしたり、労働者によって不利益な取り扱いを行うことはマタハラ(マタニティハラスメント)にあたります。この項目では、マタハラと労働者から育児休業を請求された時の会社側の義務についてご紹介します。

妊産婦は育児休業と取得する権利が認められている

会社は原則として、労働者から育児休業の請求があった際に拒否することはできません。

第六条  事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない。ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち育児休業をすることができないものとして定められた労働者に該当する労働者からの育児休業申出があった場合は、この限りでない。
引用元:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

また、妊娠期間中は時間外労働(残業)の免除を請求したり、時短勤務などの所定労働時間の短縮を請求したりすることも可能です。

妊娠・出産・育児に関するマタハラは処分を無効にできる

マタハラ解雇は違法です。特に、妊娠・出産・育児を理由とした解雇は無効であり、処分の撤回を求めることが可能です。

関連記事:妊娠による解雇は無効にできる|妊娠中にできる解雇対策4つ

第九条  事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法 (昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項 の規定による休業を請求し、又は同項 若しくは同条第二項 の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない
 妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。
引用元:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律

マタハラ解雇で悩んでいる場合は弁護士に相談する

マタハラによって解雇や降格、雇い止めなどの不利益な取り扱いを受けた場合は弁護士に相談することもひとつです。弁護士は、処分の撤回を求めたり、損害賠償請求を行ったりすることができます。

関連記事:マタハラで弁護士に相談した方がいい3つのケースと対処法

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まとめ

育児休業給付や失業保険の基本手当は、妊娠・出産後も働くことを考える女性にとって、休業期間中のお金の不安を少しでも取り除くことができる制度です。

申請自体は少し面倒な部分が多いと思いますが、子供のためにお金を気にせずに身体をいたわるためにも、早めの申請をお勧めします。

この記事で、働きながら子供を産み育てる女性の手助けができれば幸いです。

 

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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