遺贈を受けた者の債務責任について

相続
遺産分割

お世話になります。
母と離婚後音信不通だった父が先月亡くなりました。
父はその後独身でしたが死亡時交際相手Aさんがおり、自筆の遺言書で
「実子2人に遺留分(=全体の4分の1)相当を、残り(=全体の2分の1)をAに与える」と残しました。
父の資産、債務状況ははっきりせず、現在Aの親族の弁護士が調査中です。
そこで、先方弁護士の調査漏れ(もしくは故意に隠す)があり、遺産の分配完了後に多額の債務が発覚した場合のことを心配しています。
法定相続人はプラスの遺産を相続したら債務も相続したことになり、返済の義務が生じると思いますが、Aのように遺贈を受ける者は債務に対する責任はどうなりますでしょうか。
また「弁護士による相続財産調査」の結果にはどこまでの効能や責任がありますでしょうか。
(Aの弁護士の報告に虚偽や漏れは無いと、原則信じてよいのでしょうか。)

相談者(ID:)さん

2016年04月22日

弁護士の回答一覧

渋谷 徹
弁護士(渋谷徹法律事務所)

遺言書の記載が「遺留分相当」というのであればそれを具体的に決める必要もあるかと思います。質問者...

遺言書の記載が「遺留分相当」というのであればそれを具体的に決める必要もあるかと思います。質問者から積極的に調停を申し立ててその中で資産状況を確定していく方が早いし透明性も確保されるかと思います。弁護士回答の続きを読む
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渋谷 徹
弁護士(渋谷徹法律事務所)
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北 周士
弁護士(北・長谷見法律事務所)

Aさんのように、割合にて遺贈を受けた人物は、割合的包括受遺者として権利のみならず義務も承継しま...

Aさんのように、割合にて遺贈を受けた人物は、割合的包括受遺者として権利のみならず義務も承継します(民法990条)。
従って、全体の2分の1の範囲で、Aさんも債務を承継することとなります。

弁護士による相続財産調査については、例えばずさんな調査であった場合に、弁護士に対し職務上の責任を追及し懲戒請求や損害賠償請求をすることは考えられます。
もっとも、弁護士も万能ではなく、調査能力にも限界がありますので、故意や重過失に基づく虚偽報告でもない限り、責任追及は難しいように思います。
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北 周士
弁護士(北・長谷見法律事務所)
住所東京都千代田区平河町2-16-6JeVビル3階
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過去掲載の弁護士

母と離婚後音信不通だった父が先月亡くなりました。 父はその後独身でしたが死亡時交際相手Aさんが...

母と離婚後音信不通だった父が先月亡くなりました。 父はその後独身でしたが死亡時交際相手Aさんがおり、自筆の遺言書で 「実子2人に遺留分(=全体の4分の1)相当を、残り(=全体の2分の1)をAに与える」と残しました。 父の資産、債務状況ははっきりせず、現在Aの親族の弁護士が調査中です。 そこで、先方弁護士の調査漏れ(もしくは故意に隠す)があり、遺産の分配完了後に多額の債務が発覚した場合のことを心配しています。 法定相続人はプラスの遺産を相続したら債務も相続したことになり、返済の義務が生じると思いますが、Aのように遺贈を受ける者は債務に対する責任はどうなりますでしょうか。

 最高裁判所平成21年3月24日判決は、「相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言により相続分の全部が当該相続人に指定された場合,遺言の趣旨等から相続債務 については当該相続人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情のない限り,当該相続人に相続債務もすべて相続させる旨の意思が表示され たものと解すべきであり,これにより,相続人間においては,当該相続人が指定相続分の割合に応じて相続債務をすべて承継することになると解するのが相当である。も っとも,上記遺言による相続債務についての相続分の指定は,相続債務の債権者(以下「相続債権者」という。)の関与なくされたものであるから,相続債権者に対して はその効力が及ばないものと解するのが相当であり,各相続人は,相続債権者から法定相続分に従った相続債務の履行を求められたときには,これに応じなければならず, 指定相続分に応じて相続債務を承継したことを主張することはできないが,相続債権者の方から相続債務についての相続分の指定の効力を承認し,各相続人に対し,指定 相続分に応じた相続債務の履行を請求することは妨げられないというべきである。」と判断しています。

 ですから、原則として各相続人がその法定相続分に応じて債権者に対して債務を負います(可分債務の場合)。しかし、被相続人の意思に従い支払を行った相続人が遺贈を受けた人に対して求償ができるでしょう。また、弁護士との間で事前に債務があった場合の支払について合意書を作成しておくとよいでしょう。

また「弁護士による相続財産調査」の結果にはどこまでの効能や責任がありますでしょうか。 (Aの弁護士の報告に虚偽や漏れは無いと、原則信じてよいのでしょうか。)

 信頼して良いと思いますが、心配なら、前述の合意書を作成しておくできです。
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