遺産相続の特別授益について
祖父が他界し、祖母と3人の子供が遺産分割調停中です。祖父の家には末娘が暮らしており、1300万円で自分が買い取るとの提案でしたが、祖母と長女がその数字に納得できず、裁判所を通して不動産鑑定を行ったところ、鑑定額は2000万円とのことでした。調停では末娘にその価格で買い取るように言いましたが、末娘はそれを不服とし、長女の短大の学費が特別授益に当たると今日の調停で主張してきました。
40年前のことで、まだ女性が短大に進学するのは珍しかった時代です。長女は成績優秀で教員を目指していたので短大に進学したのですが、他の娘たちは勉強嫌いで公立高校にも入ることができず、学費も通学交通費も高い私立の高校に通いましたが、学力不足のため大学進学はできませんでした。
長女は公立高校へ通い、短大こそ私立でしたが、祖父も大企業の良いポストで働いていたため、長女の進学は、経済的に当時の暮らしぶりにマイナスの影響を与えるものではありませんでした。結局二女と三女は、祖父のコネで高校卒業後、祖父と同じ会社に就職しました。祖母は、長女の公立高校と短大の学費よりも、二女と三女の私立高校の学費&交通通学費の方が高かったと言っています。
そのような状況の中、長女の特別受益は認められるのでしょうか?
相談者(ID:9981)さん
弁護士の回答一覧
特段、認められないのではないでしょうか。 学費が特別受益といえる場合は、兄弟皆、同程度の学力...
学費が特別受益といえる場合は、兄弟皆、同程度の学力があり、皆、大学などの高等教育を受けるだけの意欲もあったのに、なぜか一部の兄弟にしかお金を出さなかったというような場合に限られると思います。
ご相談のケースでは、長女以外の兄弟には勉強嫌いで公立高校にさえ入学できなかったわけですから、父親が長女にだけ教育を受けさせたということはいえないと思います。もし長女と同程度の学力と勉学の意欲があれば、同じように学費を出したのではないかと思われます。
それにおばあさまによると「長女の公立高校と短大の学費よりも、二女と三女の私立高校の学費&交通通学費の方が高かったと」のことですから、長女だけが特に教育資金をつぎ込んでくれたということはいえないでしょう。
もっとも特別受益に該当するか否かの判断は、担当している調停委員会の判断によることになります。油断することなくしっかり反論していく必要があることはいうまでもありません。弁護士回答の続きを読む
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