有給休暇の買取は違法なのか?よくある事例や違法ではないケースを紹介

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
有給休暇の買取は違法なのか?よくある事例や違法ではないケースを紹介

有給休暇の買取とは、会社側が労働者に対し、その労働者が保有している有給休暇を買い取ることをいいます。

たとえば、ある労働者が20日の有給休暇を残していた場合、その労働者は退職前20日間は、会社に来なくても給料を受け取ることができますね。会社側はこの間、出社していない労働者に対して同じ額の給料を支払う必要があります。

このような場合に、会社が労働者から残りの有給休暇を買い取るということができるのでしょうか。

今回はそんな有給休暇の買取について、よくある事例を用いながら解説していきたいと思います。

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有給休暇の買取はできるのか?

有給休暇の買取はできるのか?

まず、そもそも有給休暇を買取ることは法律上できるのでしょうか?

よくある事例と併せ、ご紹介していきます。

有給休暇の買取は違法?

有給休暇の買取は、基本的には違法です。「会社の雰囲気を考えると有給休暇は取りづらい」という理由から、消化しきれずに大量に残ってしまっているという労働者の方も多いのではないでしょうか。その際に会社側に買取をしてもらい、お金に変えたいと思うこともあるかもしれませんが、それは原則として違法となっているのです。

しかし、ケースによってはその買取が認められることもあります。それについても併せて下記で解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

付与される有給休暇

よくある事例としましては、会社を退職した後に残りの有給休暇全てを消化するというケースです。

有給休暇を取得できる日数は、

表:通常の労働者

勤続勤務年数

半年

1年半

2年半

3年半

4年半

5年半

6年半以上

付与日数

10日

11日

12日

14日

16日

118日

20日

参考:厚生労働省

表:週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者

 

所定労働日数

1年間の所定労働日数

勤続勤務年数

半年

1年半

2年半

3年半

4年半

5年半

6年半以上




4

169日〜216

7

8

9

10

12

13

15

3

121日~168

5

6

6

8

9

10

11

2

73日~120

3

4

4

5

6

6

7

1

48日~72

1

2

2

2

3

3

3

参考:厚生労働省

この表のようになっています。

2年が過ぎると年次有給休暇は消滅

2年が経過すると消滅してしまい、最大で40日の繰越が認められています。

つまり、最大で40日の有給休暇を消化しながら退職をするということも起こり得るのです。

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有給休暇の買取が認められるケース

先ほどは、有給休暇を買取ることは基本的に違法であると解説しましたが、ここではその例外について解説していきます。次の3つのパターンでは買取が認められることもありますので、ぜひ抑えておきましょう。

法律で定められた上限日数を超えている

上の表で記したように、勤務期間や勤務日数の条件を満たしている場合、それに応じた有給休暇が労働者には与えられます。もしも会社側がこれ以上の有給休暇を付与していた場合には、その日数分を買取ることが認められています。

労働基準法で定められた有給休暇日数を満たしているので、この場合は買取ができるということですね。

時効により消滅してしまっている(権利の消滅後)

有給休暇は取得した日から2年が経過すると、その権利が消滅してしまいます。この際、せっかく溜まっていたのに消化されることのなかった分の有給休暇に関しては、それを買取ることができます。

また、余っていた有給休暇を消化してから退職するという場合も、会社側の業務に支障をきたすという観点から、買取をすることが可能です。

労働者の退職時に未消化の有給休暇がある

労働者が有給休暇を取得できるのは退職日までです。退職日に残った有給休暇は当然に権利消滅します。

このように消滅する有給休暇について会社側が任意にこれを買い取ることは適法です。

有給休暇の買取はした方が良い?

有給休暇の買取はした方が良い?

有給休暇の買取は、それが違法である場合がほとんどですが、場合によってはそれが可能なケースもあるということを上で紹介しました。

では、従業員側と会社側それぞれにとって、それを実行することのメリットはどういったものがあるのでしょうか?

従業員側のメリット

従業員側のメリットとしては、買取ってもらった分の賃金が支給されるということですね。どれくらいの額が支給されるかは、そもそも有給休暇の買取が原則として違法となっていますので、法律で決まっているわけではありません。しかし通常は1日分の平均賃金に基づいて金額が計算されます。

この際、会社側には買取りをする義務はありませんので、たとえ消滅してしまった有給休暇があったとしても、それが無駄になってしまうケースも起こりえます。従業員側としてはここはデメリットになってしまうので、しっかりと頭に入れておいてください。

会社側のメリット

会社側に有給休暇を買い取るメリットは基本的にはありません。有給休暇は退職日までの行使されなければ当然に消滅する権利であり、会社が敢えてこれを買い取るインセンティブは低いです。しかし、会社が労働者に対して退職勧奨をする中で、退職の代償案として有給休暇の買取を提示するということはよくあります。会社側の交渉カードとして使うことができるという意味ではメリットといえます。

有給休暇を買取る際の注意点

基本的に、有給休暇を買取ることは違法となっていますので、好き勝手に買取ることができるわけではありません。上にも挙げました通り、法律で定められた日数を超えた有給休暇を与えていた場合や、従業員が退職時に未消化の有給休暇があるような場合、その買取が可能となります。

また、有給休暇を買取ることは会社側の義務ではありませんので、たとえ従業員が買取ってほしいと訴えても、それを判断するのはあくまでも使用者である会社側ということになります。

まとめ

まとめ

今回は、有給休暇の買取について解説してきました。基本的には有給休暇を買取ることは違法であるため、その買取額なども法律で決まっているわけではありません。

しかしこの記事でも挙げたように、それが可能になるケースもあり、それによって会社側にも労働者側にもそれぞれにメリットが出てきます。

ぜひこの記事をご覧いただき、買取を考えている際の参考にしていただければなと思います。

この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。
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