高度プロフェッショナル制度とは|内容をわかりやすく解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
高度プロフェッショナル制度とは|内容をわかりやすく解説

高度プロフェッショナル制度(こうどぷろふぇっしょなるせいど、以下高プロ制度)は、『特定の対象者に対し、労働時間ではなく労働の成果に対して給料を支払う』、新しい労働スタイルです。実際に適用されると、自由な時間に出勤し仕事が終わったらいつでも帰れるようになるので、労働者にとっては魅力的な制度です。

ですが、それは正しく運用された場合の話で、企業に悪用されてしまった場合、今までより仕事の量が増えたあげく残業代がでない…といった最悪の事態になりかねません。

対象者や職種については細かい決まりがありますが、制度自体が変われば他人事ではなくなる可能性もありますので、高プロ制度についてこの記事で確認しておきましょう。

労働問題について相談できる弁護士を探す

高度プロフェッショナル制度とは

高度プロフェッショナル制度とは

まずは、高プロ制度という言葉を聞いたことがない人にもわかるよう、制度の概要についてわかりやすく説明していきます。

高度プロフェッショナル制度の内容

特定の条件を満たした労働者に対し、『労働時間ではなく、労働の成果に対して賃金を払う』制度です。

わかりやすい例を出すと、まったく同じ仕事をしているAさんとBさんがいたとします。

  • 優秀で仕事が早いAさんは6時間で仕事を終え、早々に帰宅した
  • BさんはAさんと同じ仕事を終えるのに10時間かかった

AさんとBさんは労働時間に4時間の差があります。ですが、労働の成果は同じなので、受け取れる賃金が同額になるのが高プロ制度です。

高度プロフェッショナル制度の目的

現行の日本では『労働時間』に対し給料が支払われています。どれだけの成果をあげたかは基本的には給料には含まれていません(歩合制などをのぞく)。仕事の成果が評価されないのであれば、残業代をもらうためにゆっくり仕事をした方が得をすることになります(所謂ダラダラ残業)。

上記のAさんBさんの例でいうと、同じ内容の仕事を6時間でできるAさんの方が優秀なのに、だらだらと残業をしていたBさんの方が多く給料をもらうことになります。

成果が評価されるのであれば従業員個々が努力をするようになります。結果、企業や日本国全体の労働生産性をあげることができます。

いつから適用されるのか

高プロ制度の適用時期は2019年4月から施行される予定です。

高度プロフェッショナル制度の対象者

こちらでは高プロ制度の対象者について説明していきます。前提として、『労働時間と成果が結び付きにくい仕事』に適用されますが、細かくルールが決まっているので確認していきましょう。

高度な専門的知識を必要とする仕事をしている人

『高度の専門的知識が必要で、かつ、労働時間と得られる成果の関連性が低い』仕事が対象になります。

  • 金融商品の開発・ディーリング
  • 企業・市場などのアナリスト
  • 研究開発

今のところ、厚生労働省は以上のような仕事に適用することを決定しています。

年収が1,075万円以上の人

年収が国民の平均額の3倍以上の人が対象となっていますので、1,075万円程度を上回っている場合に適用されます。

その他適用に必要な条件を満たした人

適用に必要なその他の条件として、

  • 仕事の内容が明確に決まっていること
  • 本人の同意
  • 行政官庁への届出
  • 使用者が雇用者の総労働時間をきちんと把握するための措置をとっていること(社外での労働時間も含む)
  • 雇用者の健康維持のための対策をとること(4週間に最低4日、年間で104日間の休日を設けるなど)
  • 労使委員会(経営側と労働者側で構成される委員会)の5分の4以上の多数決議

などが決められているようです。

高度プロフェッショナル制度と裁量労働制の違い

高度プロフェッショナル制度と裁量労働制の違い

高プロ制度は、『仕事の成果に対して賃金を払う』という点で裁量労働制』と似ています。両者の異なる部分について、下記の表で確認しましょう。

 

高プロ制度

裁量労働制

対象となる仕事

高度な専門的知識を必要とする、労働時間と成果の関連が薄い仕事

労働時間と成果の関連が薄い仕事(高プロ制度より適用範囲が広い)

対象者の年収

平均年収の3倍以上(1,075万円程度)

条件なし

残業代・休日出勤の賃金の有無

(労働基準法が適用されないため)

(給料に見なし残業代が含まれており、超過した分は追加で支給される)

労働基準法の適用

適用されない

適用される

高度プロフェッショナル制度のメリット

高プロ制度は、適用された労働者にとってどんなメリットがあるのでしょうか。あくまで現時点で予想し得る範囲での推測であるため参考程度としてください。

自由な時間に出勤・退勤ができるかもしれない

定時や残業という概念すらないため、自由な時間に出社し、退社できるようになかもしれません。子育て中・介護中の人にもとてもありがたい制度です。

成果さえ上げれば短時間労働も可能かもしれない

今までは最低でも定時までは仕事をしなければなりませんでしたが、この制度が適用された場合には、成果をあげるなり、仕事を終わらせるなりすればいつでも帰れるようになる可能性

残業代がでないので個々が仕事を頑張るようになるかもしれない

今までは、残業代をもらう目的でダラダラと仕事をする人がいましたが、適用された場合には残業代がでません。残業代が出ない上に仕事が終わった人から早く帰れるというのであれば、個々が労働に対して全力になるのではないでしょうか。

高度プロフェッショナル制度のデメリット

逆に、適用されることで生まれる危険性やデメリットを紹介します。こちらもあくまで推測・参考です。

適用前より労働時間が長くなる可能性がある

今までは、仕事の良し悪しに関係なく、仕事が終わり家に帰ることができました。高プロ制度が適用された場合、仕事がうまくいっているときはよいですが、そうでないときは長時間労働や休日出勤を強いられる可能性があります

『仕事に対する成果』自体があいまいなものである

まず、仕事に対する成果とはなんでしょうか?そこを明確にしないと結局、労働者にとって不利な制度になります。労働時間は正確に評価することができます。が、仕事の成果に対して給料を払うというのはなんだか不透明ですよね。

合法的に『残業代カット』される可能性がある

『自分の仕事が終われば帰っていい』というルールがあったとしても、もともと仕事量が多く残業時間が長かった人は『ただただ残業代がカットされるだけ』になる可能性があります。企業にとっては合法的に残業代をカットできる都合の良い制度かもしれません。

まとめ

高プロ制度について説明しました。高プロ制度は『高い専門的知識を必要とし、労働時間と成果の関連が薄い』仕事に対して適用されるものです。『賃金を労働時間ではなく、労働の成果に対して支払うもの』で、きちんと運用された場合には、優秀な人ほど労働時間を短縮し、自分の好きな時間に出社・退社することができます。そして、残業代が出ない分、個々が仕事を頑張るようになり、企業の労働生産性をあげることができます。

一方、この制度が悪用されてしまうと『定額働かせ放題』のような状態になり、結果として適用前より労働環境が悪化してしまう可能性もあります。

導入はまだ現実味を帯びていませんが、対象者の年収条件が次第に下がっていった場合は、一般的な収入を得ている労働者にとってもいつか他人事ではなくなるかもしれませんね。

出典元:「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」の答申 - 厚生労働省

Q弁護士に無料で簡単に質問できるって本当?

CTA QAテスト A 「ズバリ、本当です!」
あなたの弁護士では質問を投稿することで弁護士にどんなことでも簡単に質問できます。

この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

関連記事

あなたの弁護士

本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。

※あなたの弁護士に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

労働問題が得意な弁護士を探す