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KL2020・OD・037
むちうちは交通事故被害の代表的な負傷の1つです。半年以上の治療を続けても痛みが取れずに後遺症として残るケースも珍しくありません。
しかし、むちうちには外傷がなく他者が症状の有無を判断するのが難しい負傷なので、痛みがあっても後遺症として認められなくて悔しい思いをする人も多いとも言われています…。
そこで、この記事ではむちうちの後遺症が認められずに悩んでいる人を少しでも減らすため、後遺症認定のポイントをお伝えしていきます。後遺症認定の有無で示談金の金額は大きく変わってくるので、むちうちの可能性がある場合はぜひ参考にしてみて下さい。
目次
むちうちは治療が長引くと後遺障害として判断される可能性が生じてきます。まずはむちうちの症状の特長と後遺症と判断されやすい状況を確認していきましょう。
むちうちは正式な医学名称ではなく、正式には『頸椎捻挫』や『外傷性頚部症候群』など首の神経・筋肉の損傷による症状を意味します。むちうちの主な症状は以下の通りです。
事故後にこれらの症状が出ている場合にはむちうちの可能性が高いでしょう。また、むちうちは事故当日には平気でも数日後に発症するケースもあるので、少しでも身体に異変を感じる場合は念のため病院で検査を受けておくことをおすすめします。
治療をずっと続けていてもこれ以上むちうちの症状は改善されないと担当医が判断した時に症状固定の診断がされるので、その診断後に後遺障害認定の申請を出して認められればむちうちは後遺症として扱われます。
症状固定のタイミングは担当医の判断や症状の度合いによって異なりますが、むちうちの場合は6ヵ月以上の治療期間が症状固定の診断をされる大体の目安です。
そのため、半年近くむちうちの治療を続けても症状が完治しない場合は後遺症認定の可能性があるかもしれません。治療期間が長引いている場合は担当医に症状固定の相談をしてみると良いでしょう。
詳細記事:症状固定は誰が決めるのか|被害者が知るべき症状固定のタイミング
むち打ち症では後遺障害第12級と第14級のどちらかに該当するか、いずれにも当てはまらない非該当という結果になることが考えられます。第12級と第14級の違いについては症状の重さだけでなく、医学的な証明が可能かどうかも重要なポイントになるでしょう。
後遺障害等級は『自動車損害賠償保障法施行令』にて定められた条件を基に、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所にて審査されることになります。今回はむち打ち症に関連する第12級13号と第14級9号だけを取り上げますが、後遺障害等級全体の認定条件は『後遺障害等級の認定基準』で解説しているのでご参考ください。
後遺障害第12級13号は『局部に頑固な神経症状を残すもの』という条件ですが、認定基準はレントゲンなどの画像や身体の形状的な異常や、神経学的検査などで症状が客観的に認められることになります。
そのため、検査によって症状を証明できる状態のむちうちである場合は、後遺障害12級が認定される可能性が高いでしょう。
参照元:「後遺障害等級12級の症状と認定基準」
後遺障害第14級9号は『局部に神経症状を残すもの』という条件であり、第12級13号より軽い症状になります。認定条件については医学的な証明が難しい場合であっても、患者(被害者)が申告する自覚症状が妥当であり医学的な推定が可能であれば等級認定が認められます。
レントゲンの異常や外傷などの他覚症状がないむちうちの場合は、客観的事情から将来的に回復し難い神経症状があると認められれば後遺障害14級が認定されます。
しかし、医学的に症状を証明できる証拠がないため、ただ治療を受けるだけでは後遺症だと認めてもらうのは難しい状態です。後遺症認定を受ける認定を受けるためのポイントを抑えておいた方が良いでしょう。
参照元:「後遺障害等級14級の症状と慰謝料」
むち打ちの後遺症が後遺障害等級に認定される条件や申請までの流れについて説明しましたが、実際に等級認定の申請をする上でおさえておくべきポイントを下記でまとめました。
証明の難しいむち打ち症は医学的な資料のほかに、神経学的検査や自覚症状、通院期間なども重要な認定基準であるとされています。
後遺障害等級認定の申請では、画像所見や診断書などの医学的な資料が重要な証拠になりますが、神経根や脊髄の圧迫が画像所見で確認できない場合は別の手段を取る必要があるでしょう。
レントゲンやMRIなどの画像検査では証明が難しい場合は、神経学的検査のテスト結果でむち打ちの後遺症を負っていることを示す方法があります。むち打ち症に関する具体的なテスト例については以下の通りです。
ジャクソンテスト |
患者の頭部を後ろに曲げながら圧迫させて、痛みや痺れの有無を確認します。 |
スパーリングテスト |
ジャクソンテストと類似した検査方法ですが、スパーリングテストは患者の頭部を痛みのある方向へ傾けます。 |
ショルダーデプレッションテスト |
患者の肩を押し下げて頭を逆側に倒すことで、痛みや痺れの有無を確認します。 |
むちうちに他覚症状がない場合は、後遺障害を申請する前に担当医に検査を依頼してその結果を証拠として扱うと良いでしょう。
『むち打ち症で認定される2種類の後遺障害等級』でも取り上げたように、上記のような医学的所見が得られなくても自覚症状の内容によって後遺障害第14級の認定を受けられるようになります。
重要なのは、事故発生時から症状固定日までの自覚症状が一貫していることです。仮に『回復した』とか『症状が安定しない』といった申告をしてしまうと、後遺障害として認定されるレベルではないと見なされてしまうので、医師への申告は慎重に行いましょう。
むち打ち症の重さを決める上では通院期間も大事なポイントになります。一つの認定基準として、症状固定まで半年以上通院していることが挙げられます。通院期間が短いと症状が重くないと思われてしまうので、症状があるうちは辛抱強く通院を継続した方がよいかもしれません。
「忙しくて病院へ行くヒマがなかった」という理由でも通院を怠ってしまうと後遺障害が認定されにくくなるのでご注意ください。
また、後遺障害等級の認定申請だけでなく加害者側の任意保険会社との示談交渉でも、弁護士の介入により適切な対応が期待できます。
交通事故案件に携わっている弁護士であれば、むち打ち症における後遺障害等級認定で必要な資料を把握しているので、安心して任せられるでしょう。
参照元:交通事故の示談交渉で弁護士に依頼するメリットとタイミング
後遺障害等級認定の申請をするまでの流れについて確認していきましょう。後遺障害等級の認定申請では症状固定の診断を受ける必要があります。
むち打ち症の原因は自分が被害者である追突事故が多いとされていますが、『むち打ち症の主な症状』でも説明したように事故当時は痛みがなくても、後日に発症する恐れがあります。
軽い事故であっても、車両同士がぶつかった場合は互いの連絡先を交換するようにしましょう。後日になってむち打ち症が発覚した時に備えて、加害者と連絡を取れるようにしておきましょう
上記の『むちうちが後遺症と判断される状況』でもご紹介しましたが、後遺障害等級の認定を受けるためは半年以上の通院をした方が良いと思われます。
また、加害者側の任意保険会社との示談交渉については、基本的に後遺障害等級の認定を受けてから(または完治してから)になるので、治療費の打ち切りを目的とする早期的な示談の催促には応じないようにしましょう。
後遺障害等級の認定申請をするためには、担当の医師より『症状固定』の診断をしてもらう必要があります。これも任意保険会社より症状固定の催促が入るケースがありますが、最終的な判断は担当の医師と被害者自身で相談すべきことです。
症状固定とは後遺症の有無を確かめる一つの基準であり、治療を継続しても症状が良くも悪くもならない状態のことですが、詳しくは『症状固定で損しない方法』で解説していますので合わせてご確認いただければと思います。
症状固定になった時点で後遺障害等級の認定申請ができるようになりますが、注意点として確実に等級認定してもらうためには『被害者請求』を利用することを覚えておくべきでしょう。
被害者請求は手間がかかる申請方法ですが、むち打ち症を証明する資料を被害者自身で集めて提出することができるので、より信頼できるやり方であるといえます。
参照元:「被害者請求のメリットと申請方法」
最後に、むち打ち症が後遺障害等級に認定された場合にもらえる慰謝料の相場について解説します。後遺障害の中では軽い症状ですが、むち打ち症で数百万円の慰謝料を獲得できる可能性もあるでしょう。
一般的な傷害における慰謝料(示談金)では入通院慰謝料や治療費などに限られますが、後遺障害等級に認定されれば『後遺障害慰謝料』と『後遺障害逸失利益』による慰謝料の増額が見込めます。
【関連するQ&A】主婦が交通事故でむち打ちになったときの妥当な慰謝料金額
むち打ち症で該当する後遺障害第12級と第14級の慰謝料相場は以下表の通りです。それぞれの相場基準によって額は異なりますが、弁護士による示談交渉で得られる『弁護士基準』では100万円以上の慰謝料額が推定されています。
※各相場基準の詳細については「交通事故慰謝料の種類」でご確認いただければと思います。
《後遺障害慰謝料の相場》
認定等級 | 自賠責保険基準 | 任意保険基準(推定) | 弁護士基準 |
第12級 | 93万円 | 100万円 | 280万円 |
第14級 | 32万円 | 40万円 | 110万円 |
後遺障害慰謝料に加えて、被害者の労働能力喪失に関する損害賠償である『後遺障害逸失利益』も場合によっては高額の賠償金になります。
後遺障害逸失利益の算出方法は以下の通りです。計算科目の詳細については以下の記事で詳しく紹介しているので確認しておきたい場合はそちらをご参考ください。
1年あたりの基礎収入 × 後遺障害該当等級の労働能力喪失率 × ライプニッツ係数
詳細記事:後遺障害逸失利益の計算方法|賠償金増額のための3つのポイント
<後遺障害逸失利益の計算例>
年収600万円の会社員が後遺症を負った場合 |
|
14等級のむちうち |
約130万円 |
12等級のむちうち |
約648万円 |
担当の医師より症状固定の診断を受けて後遺障害等級の認定申請をしても、むち打ち症を証明する医学的な資料が不足していたことで等級非該当の結果が返ってくる可能性もあるでしょう。
しかし、等級非該当になってもそれで終わりではなく、被害者が取れる手段がありますので参考までに『異議申し立て』について説明します。
後遺障害等級の認定申請は一度限りでなく、異議申立書を提出することで何度でも再申請を行うことができますが、等級非該当の判断をされた以上は医師が作成した診断書や医学的な資料をしっかりと用意する必要があるでしょう。
また、弁護士に認定申請の手続きを依頼すれば不備なく手続きを進められるので、後遺障害が認定される確率が高くなります。
異議申し立てによる救済措置はありますが、そう簡単には認定申請の結果は変わりません。異議申し立てで等級変更(等級非該当から該当への変更)がされる割合は10%以下とかなり低く、安易に異議申立書を提出すれば済む話ではないでしょう。
異議申し立てに必要な書類や方法については『後遺障害の異議申し立て』でも解説していますが、等級非該当に納得がいかない場合は弁護士に相談してみるのが良いと思われます。
むち打ちの後遺症で後遺障害等級の認定を受ける方法ついて、お分かりいただけましたでしょうか。
日常生活に大きな支障が出ない後遺症であっても、後々になって困ることもあるでしょう。その時には後遺障害認定により請求できる損害賠償が必ず役に立つので、むちうちの治療が長引いている状態なら後遺症認定を検討してみることをおすすめします。
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KL2020・OD・037
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