むちうちで獲得できる自賠責基準の慰謝料事例と慰謝料を増額させるコツ

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
むちうちで獲得できる自賠責基準の慰謝料事例と慰謝料を増額させるコツ

追突事故などで、首に強い衝撃を受けたことが原因で患う神経症の一種であるむちうちですが、その症状や示談の仕方によって受け取れる慰謝料が大きく変わることがあります。

この記事では、自賠責基準でのむちうち慰謝料請求についてご紹介するとともに、慰謝料の相場や請求額を増やす方法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

自賠責基準でもらえるむちうちの慰謝料

交通事故でむちうちになった際に相手に請求できる慰謝料は2種類あります。

  • 入通院慰謝料(病院に通う際や入院した際にもらえる慰謝料)
  • 後遺障害慰謝料(後遺症を負ったことに対する慰謝料)

入通院慰謝料

自賠責基準だと、入通院慰謝料は【病院に通った日数×4,200円】で算出し、「病院に通った日数」は下記の2つの計算式を比べて、日数が少ない方を採用するとしています。

  1. 入院期間+通院期間
  2. 実入通院日数(入院期間+通院期間の中で実際に病院に通った日数)×2

例えば受傷から治療終了までが30日間であるのに対し、実際に治療を受けた日数が計10日間の場合は・・・

1: 30日
2:10日×2 = 20日
→ 20日×4,200円= 84,000円が入通院慰謝料になります。

『病院に通った日数』にカウントされるのは症状が完治するまで、もしくは症状固定されるまでの期間の通院です。当然ですが、治療の必要がない場合の通院はカウント対象外なのでご注意ください。

症状固定(しょうじょうこてい)とは、治療を続けても症状の改善が見込めない状態のことであり、後遺障害等級に認定してもらうための必要な条件です。この症状固定については、医師と患者である被害者で判断することが適切だとされています。

参照元:症状固定は誰が決めるのか|被害者が知るべき症状固定のタイミング

後遺障害慰謝料

 後遺障害慰謝料(こういしょうがいいしゃりょう)は、後遺障害を負ったことに対する慰謝料で、その後遺症の症状の重さによって慰謝料額が決定されます。むちうちの大半は第12級か第14級の障害として扱われ、自賠責基準だと下記が慰謝料として請求できる額の目安です。

後遺障害等級 第1級 第2級 第3級 第4級 第5級 第6級 第7級
自賠責保険基準 1,100万円 958万円 829万円 712万円 599万円 498万円 409万円
後遺障害等級 第8級 第9級 第10級 第11級 第12級 第13級 第14級
自賠責保険基準 324万円 255万円 187万円 135万円 93万円 57万円 32万円

参照元:自賠責保険における後遺障害慰謝料の支払基準と算定方法

むちうちで後遺症(後遺障害)と判断される基準

むちうちで後遺症(後遺障害)と判断される基準

後遺障害の等級はどう決定するのか

  • 第12級:症状を裏付ける他覚症状(外傷やレントゲン結果)がある
  • 第14級:他覚症状はないが、自覚症状が客観的に認識可能

上記が障害の等級を決定する判断基準です。負傷部位のレントゲン画像で他者から見ても症状があることが明らかな場合は、12級の障害等級が認められる場合があります。

レントゲン画像など、他者から症状の有無が確認できない場合でも、治療経過や愁訴内容から後遺症の存在が客観的に認められれば、第14級の後遺障害等級が認められる場合があります。

むちうちの後遺症を認めてもらうには

レントゲンなどの検査で他覚症状が見つからなくとも、疼痛やしびれの症状を他の事情から証明できればむちうちを14級の障害等級として認めてもらえる可能性があります。

  • 腱反射テスト
  • スパーリングテスト
  • 病的反射テスト

後遺障害の申請を断れた場合でも医療機関で上記検査を行い再審査の依頼をすれば、その結果次第では、後からでも申請が通る可能性が高いです。

また、最初は他覚症状が発見できなかったレントゲンでもMRIやCTなど検査方法によって結果が変わるケースもあるので、明らかに自覚症状が酷い場合は一回目で他覚症状が見られなくても諦めず色々な再審査を試してみるのも有効かもしれません。

【関連記事】
むち打ち症の適切な通院期間|入通院慰謝料を増額させる方法まとめ
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自賠責基準だと慰謝料が安いのはなぜ?

自賠責保険は加害者の救済を一番の目的として定められた保険で最低限の補償金しか設定されてないため、その基準で慰謝料を計算してしまうと慰謝料額は安くなってしまいます。

事故被害者は自分の損害によりもろもろの請求を要求しますが、加害者にそれを支払う経済能力がなければ慰謝料を受け取れません。

そんな事態を避けるため加害者の最低限の保証をしようと加入義務が定められたのが自賠責保険です。

被害者の被害 自賠責保険の補償額
死亡 3,000万円
障害 120万円
後遺障害 75~3,000万円

むちうちの慰謝料を少しでも高くするには

むちうちの慰謝料を少しでも高くするには

保険会社の示談に安易に応じない

むちうちを治療しているときに保険会社から『症状固定でよいでしょうか?』と言われた場合は治療費の打ち切りを目的にしている可能性があります。

この提案を認めてしまうとその後の治療費が受け取れなくなり、症状が残っていても後遺障害と認定されない限りは治療費と慰謝料を受け取れなくなるのでご注意ください。

症状固定かどうかは保険会社ではなく担当医と治療者が相談して決めることなので、保険会社から言い寄られても安易に応じないようにしましょう。

【関連記事】
症状固定で損しない方法|示談を有利に進めるために知るべき全知識
症状固定の時期を決める基準と保険会社からの症状固定催促の対処法
症状固定後の示談で被害者が有利に交渉を進めるための方法

適切な後遺障害等級を獲得する

むちうちは後遺障害が認められれば、入通院慰謝料の他に後遺障害慰謝料も請求できるため、慰謝料の合計額が大きく増加します。

上記でもご紹介しましたが、長期間むちうちによる痛みが続くようなら後遺障害を認めてもらうための検査を受け、自分が受けた障害を明らかにし後遺障害慰謝料の請求を行いましょう。

【関連記事】
後遺障害等級の認定基準|適切な等級に認定されるための基礎知識
症状固定で弁護士に相談する場合|症状固定を適切に決める方法

被害者請求で後遺障害を申請する

被害者請求とは後遺障害申請の手続きに加害者の保険会社を仲介せず、被害者自らが自賠責保険会社に直接申請をする方法です。

保険会社は後遺障害認定のため必要最低限の対応しかしてくれません。そのため、後遺障害認定を受けるために有用な書類を全て揃えることはしません。

認定は全て書面審査で行われますので保険会社に全てを任せた場合、後遺障害が認められづらくなる恐れがあります。そのため、被害者自らが直接後遺障害認定を求める方が、認定を受けやすいと言われています。

また被害者請求ならば、加害者の保険会社の手続きを待たずに済むので等級設定後にすぐ保険金を受け取れるのもメリットであると言えるでしょう。

関連記事:被害者請求のメリットと申請方法|被害者請求がオススメできる理由

弁護士基準で請求する

弁護士基準は弁護士が過去の判例を基に裁判の賠償金に近い正当な請求額を見積もってくれるので、慰謝料の合計額が自賠責保険と100万以上も違ってくるケースもあるほど高額な慰謝料の請求が可能です。

<弁護士基準の入通院慰謝料>

通院月数 他覚症状がある場合 他覚症状がない場合
1ヵ月 28万円 19万円
2ヵ月 52万円 36万円
3ヵ月 73万円 53万円
4ヵ月 90万円 67万円
5ヵ月 105万円 79万円
6ヵ月 116万円 89万円

<弁護士基準の後遺障害慰謝料>

第12級の障害 第14級の障害
280万円 110万円

加害者の救済を重要視している自賠責基準と違い弁護士基準は弁護士が法を基に正当な慰謝料を請求するので、上表を見てお分かりの通り慰謝料がかなり高いです。

なので、交通事故被害でむちうちになった場合にはまず弁護士に相談し弁護士費用との差し引きを確認し、それで収支が増えるようであれば迷わず依頼することをおすすめします。

後遺障害等級の獲得が得意な弁護士の選び方

後遺障害等級の獲得が得意な弁護士の選び方

弁護士にはそれぞれ得意分野があります。なので、むちうちの慰謝料請求は必ず交通事故を得意分野としている弁護士に依頼するようにしましょう。

交通事故は法律以外に後遺障害などの医学的知識も求められるため、交通事故の経験が浅い弁護士に依頼をしてしまうと慰謝料請求などの手続きが有利に進められなくなる恐れがあるのでお気を付けください。

交通事故を得意としている弁護士を探すときは、下記の2つを吟味すると依頼の成功率が高くなりますよ。

  • 得意分野が明確か(多岐分野でなく交通事故専門の方が好ましい)
  • 実際に話してみて人間的に合うかどうか

また、『日弁連交通事故相談センター』や『交通事故被害者ホットライン』などネット無料相談サービスを利用すれば弁護士の紹介もしてもらえるので、自分で探すのが難しい場合はこれらを利用してみても良いかもしれません。

関連記事:交通事故の問題解決を有利に進めるための弁護士の選び方まとめ

まとめ

むちうちの慰謝料は後遺障害が認められるかどうかと請求の判断基準によって金額が大きく変わってきます。

特に自賠責基準と弁護士基準では慰謝料の合計額に大きく差が出るので、自分が保険会社と示談し解決するのではなく、事故後はまず弁護士に相談することをおすすめします。

【関連するQ&A】主婦が交通事故でむち打ちになったときの妥当な慰謝料金額

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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