後遺障害等級第12級の症状と認定基準|第12級の慰謝料相場まとめ

弁護士法人ネクスパート法律事務所
監修記事
後遺障害等級第12級の症状と認定基準|第12級の慰謝料相場まとめ

後遺障害第12級は全14段階ある後遺障害等級の中では軽い症状だとされています。交通事故によって起こるむち打ち症など身近なケガが多いため、後遺障害等級認定の総合件数に対する後遺障害第12級の割合は全体の2番目になります。平成26年度の損害保険料算出機構の統計では、後遺障害第12級の認定件数割合は17.12%もあります。

平成27年度 自動車保険の概況 – 損害保険料率算出機構

引用元:平成27年度 自動車保険の概況 – 損害保険料率算出機構

治療を続けても強い痛みが残る後遺障害を負うと、肉体的だけでなく精神的にも大きな負担がかかるため、被害者は適切な額の慰謝料を獲得するべきです。今回は後遺障害第12級の認定基準と慰謝料の相場をまとめましたので、認定申請と慰謝料請求を行う時に参考にしていただければと思います。

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目次

後遺障害等級第12級の労働能力喪失率は14%

後遺障害第12級の労働能力喪失率は14%であり、通常の仕事はほとんど可能な状態ですが、交通事故前は出来ていた身体の動作が難しくなることもあるため、労務の制限がかかる場合も考えられます。後遺障害第12級の認定条件は14種類ありますので、まずは以下の表で確認しましょう。

後遺障害等級 後遺障害 概要
 
 
 
 
第12級
1号 1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2号 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3号 7歯以上に対し歯科補綴(しかほてつ)を加えたもの
4号 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
5号 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
6号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
7号 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
8号 長管骨に変形を残すもの
9号 1手の小指を失ったもの
10号 1手の人さし指、中指又は薬指の用を廃した場合
11号 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
12号 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14号 外貌に醜状を残すもの

後遺障害等級第12級となる各症状

後遺障害第12級に該当する症状の詳細を説明しますが、症状の度合いによっては上位の等級に認定されることもあります。

第12級 1号|眼球の調整機能や運動の障害

交通事故の影響で片目の調節機能が著しく低下したり、運動機能で障害があったりした場合に第12級1号に該当します。具体的な認定基準は以下の通りです。

調整機能の障害

遠くや近くを見た時にピントを合わせる片目の調節機能が、健常時と比較して2分の1に低下している状態です。

運動障害

片目の注視野の範囲が健常時と比較して2分の1に低下している状態です。なお、頭部を固定して眼球でものの動きを追うことが可能な範囲のことを注視野といいます。第12級1号は片目だけの認定条件ですが、両目とも調節機能障害や運動障害があった場合は第11級1号に等級が上がります。

第12級 2号|片目のまぶたの運動障害

片目のまぶたに著しい運動障害を残す状態のことですが、まばたきが自然に出来なかったりまぶたを閉じようとしても眼球が完全に隠れなかったりした場合、第12級2号に該当します。また、片目ではなく両目とも著しい運動障害を残しているようであれば第11級2号で認定されます。

第12級 3号|7本以上の歯を喪失

7本以上の歯を失った状態です。後遺障害等級の表には歯科補綴(しかほてつ)という表現で書かれていますが、これは歯科での治療という意味であり、差し歯やブリッジなどで治療してもらうことを前提に第12級3号で認められます。また、失った歯は永久歯であることが条件なので乳歯が欠損しても認定の対象にはなりません。

これも後遺障害の程度によって等級が分かれていますので、例えば更に永久歯を失い、10本以上の喪失であれば第11級4号で認定されることになります。

第12級 4号|片耳軟骨の欠損

片耳の軟骨が半分以上欠損した状態です。軟骨部分は耳介(じかい)と呼ばれるもので、音を集めるためにある部位であるので、この部分を失うと一時的に音が聞こえづらくなることがあります。

ですが、耳を失うということで被害者が背負う障害は機能的な問題よりも外見上の問題の方が大きいです。一般的に第12級4号の後遺障害と合わせて外見の醜状として見なされる場合が多く、第7級12号(外貌の醜状)で適用されることになります。両方とも認定される場合は上位等級が優先されますので第7級で認められます。

第12級 5号|鎖骨や胸骨等の著しい変形

骨の変形に関する後遺障害ですが、対象の部位は後遺障害等級の表に書いてあるように鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤骨になります。後遺障害の程度としては『著しい』変形を残すものとされていますが、具体的な検査数値の基準はなく、裸体になった際に外見より骨の変形が見て取れる場合に第12級5号で認定されます。

第12級 6号|片腕関節の機能障害

片腕にある3つの関節(肩、肘、手首)のうち1つの関節の機能に障害がある状態です。可動域が低下したり脱臼を起こしたりする場合が考えられますが、具体的な基準は以下の通りです。

  • 肩、肘、手首のいずれかの関節の可動域が4分の3以下に制限された
  • 手のひらを上に向けたり下に向けたりする回外・回内運動での可動域が2分の1以下に制限された
  • プラスチックや金属製の舗装器具が必要になった
  • たびたび脱臼してしまう習慣性脱臼になった

第12級 7号|片脚関節の機能障害

片脚にある関節(股関節、膝、足首)のうち1つの関節の機能に障害がある状態です。こちらも第12級6号と同様の認定基準があります。

  • 股関節、膝、足首のいずれかの関節の可動域が4分の3以下に制限された
  • 重激な労働等の時にプラスチックや金属製の舗装器具が必要になった
  • たびたび脱臼してしまう習慣性脱臼になった
  • 屈伸する時にバネのような抵抗を感じる弾発膝を負った

第12級 8号|長管骨の変形

長管骨の変形に関する後遺障害ですが、長管骨とは腕や脚にある長い骨のことで具体的な対象の部位は下記の通りになります。

上肢(腕):上腕骨、橈骨(とうこつ)、尺骨(しゃっこつ)

※橈骨と尺骨は手首から肘の間にある2本の骨です

下肢(脚):大腿骨、脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)

※脛骨と腓骨は足首から膝の間にある2本の骨です

これらの骨が変形したり、癒着不全(骨折した部位が完全にくっつかない状態)や欠損があったりした場合、第12級8号で認められることがありますが、病院で検査をしてレントゲンやMRI画像で確認する必要があります。

第12級 9号|片手の小指の欠損

片手の小指を失った状態ですが、欠損の程度として第2関節より先の部分を切断したことが認定条件になります。また、失う指の本数が増えると上位の等級に認定されるようになります。

第12級 10号|片手の指の機能的喪失

片手の人差し指か中指、薬指のどれか1本の指の機能を喪失した状態です。機能的な喪失のことを『用を廃した』と通常呼ばれますが、認定の基準は以下の通りになります。

  • 指先の痛みや触覚などの感覚を失った
  • 指の長さが半分以下になってしまった
  • 第2関節より先の部分(親指の場合は第1関節より先の部分)の可動域が通常の2分の1に制限された

第12級 11号|片足の指の欠損

第12級11号は片足の指が欠損している状態です。付け根以上の切断で足指が欠損していると認められますが、対象の指の条件は複数あります。

  • 片足の人差し指を欠損した
  • 片足の人差し指に加え、親指を除くもう1本の足指を欠損した
  • 片脚の中指、薬指、小指の3本を欠損した

第12級 12号|片足の指の機能的喪失

片足の親指、または親指以外の4本の足指の機能を喪失した状態ですが、可動域の低下だけでなく欠損でも第12級12号に該当します。

  • 親指の第1関節(末節骨)の長さが2分の1以下になった
  • 親指以外の4本の足指が、根元から第1関節の間で切断された
  • 第2関節より先の部分(親指の場合は第1関節より先の部分)の可動域が健常時と比較して2分の1に制限された

また、片足の5本の指全てが上記の条件に該当する場合、第9級15号に等級が上がります。

第12級 13号|局部に残る頑固な神経症状

神経の圧迫が原因で生じる痛みや麻痺などの頑固な症状がある場合、第12級13号で認められます。神経症状が発生する局部は骨折やじん帯の損傷もありますが、一番多いケースはむち打ち症です。交通事故の衝撃で頭が前後に強く揺れたことで首の組織を損傷させてしまったむち打ち症は医学的には『頸椎捻挫』と呼ばれます。

【関連するQ&A】後遺障害第12級の「局部にがん固な神経症状を残すもの」に認定されるには

むち打ち症で認定される後遺障害の等級は2つある

身近な症状であるむち打ち症の後遺障害認定件数は全体的にもかなり多いですが、実際には12級13号での認定でなく下位の14級9号での認定が大半になります。

同じく神経症状を認定条件にする第14級9号は第12級13号と比べて、症状が軽くても認定される可能性があります。医学的に証明されないものでも、妥当性のある訴えを被害者がすれば第14級の場合は認定を受けられることもありますが、対して第12級は、診察や医学的な結果である『他覚的所見』が認定上必要になりますので、CTやMRIの画像による診断結果を出さなければ認められません。

第12級 14号|外部の醜状

外見上の後遺障害になりますが、頭部や顔面、首など露出している部分において醜状を残す場合も第12級14号の認定を受けます。基準としては顔面に10円玉程度の大きさの傷跡があったり、首にニワトリの卵より大きいくらいの傷跡があったりすると第12級14号に該当しますが、外部の醜状に関する後遺障害は第9級(『相当程度の』醜状)と第7級(『著しい』醜状)を含め3種類あり、傷跡や欠損の程度によって等級判断されます。

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自賠責保険の補償における支払限度額

交通事故により被害者が後遺障害や怪我を負った場合、自賠責保険から損害賠償金が支払われることになりますが支払限度額が決まっています。

後遺障害の補償に対する支払限度額

後遺障害第12級の自賠責保険支払限度額は224万円です。後遺障害に関する補償範囲は後遺障害慰謝料、入通院慰謝料、後遺障害逸失利益などです。

傷害の損害賠償に対する支払限度額

後遺障害の確定する症状固定までの傷害部分に関する支払限度額は一律で120万円です。こちらの補償範囲は入通院慰謝料、休業損害、治療費などです。

後遺障害認定外の傷害である場合、入通院慰謝料や治療費くらいの補償に留まるので損害賠償額はそれほど高くなりませんが、後遺障害の補償では多額の慰謝料が見込まれます。仮に自賠責保険の支払限度額を超える場合は、加害者が加入している任意保険より支払われることになります。

後遺障害等級第12級で獲得できる慰謝料と3つの基準

後遺障害第12級の認定を受ける理由として、高額の後遺障害慰謝料を獲得することにあります。後遺障害として認められないと請求できるのは入通院慰謝料や休業損害に限られますが、後遺障害第12級に認められることで得られる慰謝料や損害賠償金が増額します。

後遺障害慰謝料の3つの基準

後遺障害慰謝料の相場を確認する上で重要なのは、慰謝料額を定める3つの基準があることです。『自賠責基準』、『任意保険基準』、『弁護士基準』によって慰謝料の相場が大きく異なります。

自賠責基準

運転者の加入が義務付けられている自賠責保険による、必要最低限の補償基準です。3つの慰謝料基準の中では最も低額になります。

任意保険基準

各保険会社が定めている補償基準であり、一般的には自賠責基準より慰謝料額を多少上げたくらいの相場だとされています。

弁護士基準

裁判事例を基に決められた相場であり、弁護士による示談交渉を前提に決められた高額の慰謝料基準です。後遺障害慰謝料の場合、自賠責基準と比較して2倍以上も高くなります。

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料の相場を表でまとめました。等級別に記載されていますが後遺障害第12級の場合、自賠責基準は93万円、任意保険基準は100万円、弁護士基準は280万円であると分かります。

等級 自賠責保険基準 任意保険基準(推定) 弁護士基準
1級 1,100万円 1,300万円 2,800万円
2級 958万円 1,120万円 2,400万円
3級 829万円 950万円 2,000万円
4級 712万円 800万円 1,700万円
5級 599万円 700万円 1,440万円
6級 498万円 600万円 1,220万円
7級 409万円 500万円 1,030万円
8級 324万円 400万円 830万円
9級 255万円 300万円 670万円
10級 187万円 200万円 530万円
11級 135万円 150万円 400万円
12級 93万円 100万円 280万円
13級 57万円 60万円 180万円
14級 32万円 40万円 110万円

入通院慰謝料の相場

入通院時に被った精神的な損害を賠償する入通院慰謝料も後遺障害慰謝料と同様、相場基準によって慰謝料額が大きく変わります。自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つで入通院慰謝料の相場を比較しますが、例として180日の入通院期間のうち90日の入院期間と90日の通院期間(実際に病院へ通った日数は60日)であったケースを取り上げて入通院慰謝料額を見ていきます。

自賠責基準

自賠責基準での入通院慰謝料は1日あたり4,200円に固定されています。1日あたりの基準額に入通院の日数をかけて計算しますが、入通院の日数には下記のような決め方があります。

A:全体の入通院期間 = 180日

B:実際の治療日数 =(90日+60日)×2 = 300日

※実質的な治療日数は、入院日数と通院日数の合計を2倍して、全体の入通院期間と比較します。

全体の入通院期間と実際の治療日数を比較し、日数が少ない方を採用します。今回の場合は全体の入通院期間の方になるので、180日 × 4,200円 = 756,000円が自賠責基準の入通院慰謝料であると算出されます。

任意保険基準

保険会社によって相場基準が異なりますので任意保険基準の場合は推定相場になりますが、入通院慰謝料の表は以下の通りになります。上記の例(90日の入院と90日の通院)では推定で1,020,000円の慰謝料額になり、自賠責基準より多少増額します。

表:任意保険基準による入通院慰謝料の推定相場(単位:万円)

  入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
通院   25.2 50.4 75.6 95.8 113.4 128.6 141.2 152.4 162.6 170.2
1月 12.6 37.8 63.0 85.6 104.7 120.9 134.9 147.4 157.6 167.6 173.9
2月 25.2 50.4 73.0 94.6 112.2 127.2 141.2 152.5 162.6 171.4 176.4
3月 37.8 60.4 82.0 102.0 118.5 133.5 146.3 157.6 166.4 173.9 178.9
4月 47.8 69.4 89.4 108.4 124.8 138.6 151.3 161.3 163.8 176.4 181.4
5月 56.8 76.8 95.8 114.6 129.9 143.6 155.1 163.8 171.4 178.9 183.9
6月 64.2 83.2 102.0 119.8 134.9 147.4 157.6 166.3 173.9 181.4 185.4
7月 70.6 89.4 107.2 124.3 136.7 149.9 160.1 168.8 176.4 183.9 188.9
8月 76.8 94.6 112.2 128.6 141.2 152.4 162.6 171.3 178.9 186.4 191.4
9月 82.0 99.6 116.0 131.1 143.7 154.9 165.1 173.8 181.4 188.9 193.9
10月 87.0 103.4 118.5 133.6 146.2 157.4 167.6 176.3 183.9 191.4 196.4

弁護士基準

裁判事例に基づいた慰謝料額になる弁護士基準は、『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準』(通称:赤い本)に記載された相場表を基にしています。通常の慰謝料と他覚症状のないむち打ち症または打撲などの軽症に対する慰謝料で相場額が分かれていますが、他覚症状のないむち打ち症は第12級では認められず、第14級での適用になります。

上記の例(90日の入院と90日の通院)では弁護士基準の場合、入通院慰謝料額は1,880,000円(他覚症状のないむち打ち症の場合は1,280,000円)であり、自賠責基準と任意保険基準と比べて慰謝料額は大幅に上がります。

表:弁護士基準による入通院慰謝料の相場(単位:万円)

  入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
通院   53 101 145 184 217 244 266 284 297 306
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329
8月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335

表:他覚症状のないむち打ち症、その他軽症で適用される入通院慰謝料 (単位:万円)

  入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
通院   35 66 92 116 135 152 165 176 186 195
1月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199
2月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201
3月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202
4月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 203
5月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204
6月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205
7月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206
8月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207
9月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208
10月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209

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後遺障害等級第12級の獲得と相場以上の慰謝料を得るためには

後遺障害第12級に認定されることで得られる慰謝料の相場が決まっていますが、後遺障害等級の認定申請手続きや保険会社との交渉の内容によっては不十分な額の慰謝料を提示されてしまうこともあります。最悪、後遺障害第12級の認定すら受けられないこともありますので、確実に認定を受けるためのポイントをあらかじめ知っておきましょう。

後遺障害を客観的に立証するために十分な検査を受ける

後遺障害等級の認定申請をするために、必要書類である後遺障害診断書のほかにも後遺障害を客観的に証明してもらうための診断(他覚的所見)や写真等のデータが必要になってきます。特に第12級 13号の神経症状(むち打ち症)では他覚的所見で被害者の後遺障害を証明できれば、下位の14級9号よりランクアップする可能性がありますので、医師と相談して十分な検査を受けましょう。

後遺障害の認定申請方法は被害者請求がオススメ

また、後遺障害等級の認定申請方法は『被害者請求』と『事前認定』の2種類ありますが、確実に認定を受けるためには被害者請求のやり方をおすすめします。

事前認定の場合、認定申請の手続きを保険会社が主体になって進めてくれるので被害者の負担は少ないですが、被害者側が不利な申請結果になってしまう可能性もあります。保険会社は自らの支払額を減少して利益を確保することを考えていますので、保険会社に手続きを任せるのではなく、提出する書類を被害者自身で集める被害者請求の方が信頼できます。

弁護士への相談で慰謝料額を上げる

3つの慰謝料基準を比較して分かったように、弁護士基準による請求で慰謝料が増額します。被害者自身で保険会社と直接対応するより専門家の弁護士が間に入ってくれれば、後遺障害慰謝料だけでなく入通院慰謝料や後遺障害逸失利益の金額についても高額で示談交渉してくれます。

弁護士費用がかかっても弁護士に依頼するメリットはありますので、慰謝料請求について迷うことがあれば一度は弁護士に相談した方が良いでしょう。

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後遺障害等級と労働能力喪失に関する損害賠償額の計算方法

後遺障害を負うことで発生する損失は、労働能力も大きく関わってきます。交通事故に遭う前に働いていた被害者に対する賠償だけでなく、今後の人生で長期間働くことになる未成年の被害者に対しても補償されるべきです。

休業損害

入通院期間中に働けなくなったことで失った収入のことを休業損害といいます。休業損害は通常、自賠責基準と裁判基準の2通りで算定されます。

休業損害の計算方法

自賠責基準の場合、原則として5,700円 × 休業した日数で計算されます。ただし、事故前の基礎収入額が1日あたり5,700円より上回ることを書面などで証明できれば、1日あたり19,000円を上限に請求できます。

弁護士基準の場合1日あたりの基準額は設定されてなく、1日あたりの基礎収入 × 休業した日数で算出されますので、弁護士基準で請求した方が高額の損害賠償金を獲得できる可能性が高くなります。

また、休業した日数は入通院期間で考えられることが多いですが、ケガの程度や治療の過程などによって妥当な休業日数が決められます。退院後の通院日数を全て休業日数として含められるかどうかは保険会社との交渉次第になります。

後遺障害逸失利益

被害者が今後の人生において、後遺障害が無ければ得られるはずだった収入(損失)のことを後遺障害逸失利益といいます。

後遺障害逸失利益の算出方法

・1年あたりの基礎収入 × 後遺障害該当等級の労働能力喪失率(後遺障害第12級の場合は0.14) ×ライプニッツ係数

後遺障害逸失利益は後遺障害の重さを計る労働能力喪失率と被害者の労働能力喪失年数(就労可能年数)を基準に賠償額が決められます。算出上での参考値にある後遺障害各等級の労働能力喪失率とライプニッツ係数は下記表の通りです。ライプニッツ係数は被害者の労働能力喪失年数が長いほど高い数値になっています。

表:後遺障害等級における労働能力喪失率

後遺障害等級 1級 2級 3級 4級 5級 6級 7級
労働能力喪失率 100% 100% 100% 92% 79% 67% 56%
後遺障害等級 8級 9級 10級 11級 12級 13級 14級
労働能力喪失率 45% 35% 27% 20% 14% 9% 5%

表:ライプニッツ係数(中間利息控除)

労働能力喪失年数 ライプニッツ係数 労働能力喪失年数 ライプニッツ係数
1 0.9524 18 11.6896
2 1.8594 19 12.0853
3 2.7232 20 12.4622
4 3.546 21 12.8212
5 4.3295 22 13.163
6 5.0757 23 13.4886
7 5.7864 24 13.7986
8 6.4632 25 14.0939
9 7.1078 26 14.3752
10 7.7217 27 14.643
11 8.3064 28 14.8981
12 8.8633 29 15.1411
13 9.3936 30 15.3725
14 9.8986 31 15.5928
15 10.3797 32 15.8027
16 10.8378 33 16.0025
17 11.2741 34 16.1929

 

労働能力喪失年数 ライプニッツ係数 労働能力喪失年数 ライプニッツ係数
35 16.3742 52 18.4181
36 16.5469 53 18.4934
37 16.7113 54 18.5651
38 16.8679 55 18.6335
39 17.017 56 18.6985
40 17.1591 57 18.7605
41 17.2944 58 18.8195
42 17.4232 59 18.8758
43 17.5459 60 18.9293
44 17.6628 61 18.9803
45 17.7741 62 19.0288
46 17.8801 63 19.0751
47 17.981 64 19.1191
48 18.0772 65 19.1611
49 18.1687 66 19.201
50 18.2559 67 19.2391
51 18.339    

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後遺障害等級は複数等級の『併合』でも認定される

後遺障害第12級の認定において、14種類ある症状に該当しなくても可能な方法があります。第12級より低い等級の後遺障害に複数認めてもらうことで併合12級として認定されるやり方がありますが、併合には基本的なルールがあります。

併合の基本的なルール

  • 第5級以上の後遺障害が2つ以上ある場合、より重い方の等級を3級繰り上げる
  • 第8級以上の後遺障害が2つ以上ある場合、より重い方の等級を2級繰り上げる
  • 第13級以上の後遺障害が2つ以上ある場合、より重い方の等級を1級繰り上げる
  • 第14級の後遺障害はいくつあっても併合の対象にはならない

第14級の後遺障害は併合の条件にはなりませんので、併合で第12級へ等級を上げる場合は第13級の後遺障害に複数該当する必要があります。また、第12級と第13級(または第14級)の後遺障害に該当する場合も併合12級という扱いになり、通常の第12級と比べて慰謝料が増額する要因になります。

併合の例外

しかし、併合は上記の基本的なルールが認められない例外もあります。併合の対象にならない例は以下の通りです。

等級の序列を乱す場合

片腕を手関節以上で欠損する第5級と同じ腕の上腕骨に治癒不全を残す第7級の後遺障害があり、基本的な併合のルールでは3級になっても肘関節を欠損する第4級より軽い後遺障害であるため併合3級にはならず、5級とされます。

後遺障害が派生関係にある場合

片脚に偽関節(骨折の治癒が不完全で、安定しない部位のこと)を残し、同じ脚が1センチ以上短縮した場合、偽関節の8級と下肢短縮の13級で後遺障害の条件でありますが、2つは派生関係にあるので併合7級としては認められず、8級とされます。

被害者の症状によっては医学的な知識が無いと併合かどうかの判断が難しくなるため、併合認定の可否については医師と相談しましょう。

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まとめ

後遺障害第12級の認定条件と慰謝料の相場について、お分かりいただけましたでしょうか。後遺障害第12級を獲得するためには、症状を医学的に証明する検査結果が要求されますので、医師や弁護士などの専門家と相談して認定申請の手続きを確実に進めましょう。認定申請の結果や提示された慰謝料額に不満があれば、諦めずに異議申し立てをすることも大事です。

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この記事を監修した法律事務所
弁護士法人ネクスパート法律事務所
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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