後遺障害第11級の慰謝料相場まとめ

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
後遺障害第11級の慰謝料相場まとめ

後遺障害等級第11級に認定された場合、加害者から被害者に支払われる慰謝料はいくらくらいになるのでしょうか。慰謝料基準には3種類あり、自賠責基準任意保険基準弁護士基準と呼ばれます。その3つの基準に加え、自身がどのような示談交渉をするのかによって慰謝料の金額は大きく変わりますので、この記事を通じて紹介していきます。

また、弁護士に依頼せず被害者自身で示談交渉をする場合に心がけておきたい事を紹介しますので、あわせてご覧ください。

後遺障害等級第11級に該当する症状一覧(表)

まずは後遺障害等級第11級に該当する症状を確認しましょう。

後遺障害等級

後遺障害 概要

第11級

1号

両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

2号

両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

3号

1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

4号

10歯以上に対し歯科補綴(しかほてつ)を加えたもの

5号

両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

6号

1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの

7号

脊柱に変形を残すもの

8号

1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの

9号

1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの

10号

胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

後遺障害等級第11級が認定された場合の慰謝料相場

慰謝料基準には3種類あり、それぞれ金額が異なります。

自賠責基準:135万円

任意保険基準:150万円

弁護士基準:420万円

最も金額の低い自賠責基準と、最も金額の高い弁護士基準では実に285万円の金額差があります。

自賠責基準

被害者に対して最低限の補償を行うための、国が定めた基準になります。

任意保険基準

任意保険会社が示談交渉時に用いる金額基準になります。会社によって金額差はありますが、自賠責基準に少し金額を上乗せした程度であることが一般的です。

弁護士基準

弁護士が示談交渉をする際には弁護士基準が用いられることになります。過去の裁判例を基に算出されており、3つの基準の中では最も高額になります。

後遺障害等級第11級が認められた判例

判例1:後遺障害慰謝料 420万円

被害者が運転する自転車と加害者が運転する普通自動車が衝突した。

加害者が南北に延びる道路を南から北に向けて走行していたところ、東から西に向けて道路を斜め横断していた被害者と衝突した。加害者はその際左方を確認しており、被害者が接近する右方への注視が不十分であった。

被害者には

  • 『嗅覚の消失』として第12級
  • 『複視』として第13級

の症状が残存し、併合11級に認定された。

裁判年月日 平成26年 3月14日

裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決

事件番号 平24(ワ)20242号

事件名 損害賠償請求事件

裁判結果 一部認容 上訴等 確定

参照元:文献番号 2014WLJPCA03148005

判例2:後遺障害慰謝料 400万円

加害者(原告)が車を運転してT字路交差点を突き当たり、直線路へ右折進行しようとしたところ右方から同直線路を直進してきた被害者(被告)車両に衝突した。

被害者は、以下に相当する障害を負ったと主張した。

  • 『味覚障害、嗅覚障害』として第12級
  • 『就労可能な職種が相当程度に制限されるもの』として第9級
  • 『嚥下の機能に障害を残すもの』として第10級
  • 『局部に頑固な神経症状を残すもの』として第12級

それに対し加害者は

「いずれの後遺障害も認定に値しない」

と後遺障害の残存を否定した。

裁判所は

  • 『味覚障害』として第12級
  • 『嗅覚障害』として第12級

の残存を認め、併合11級と判断した。

(※こちらの判例は後遺障害の等級をめぐって争い、加害者が被害者を告訴したものになります。)

裁判年月日 平成29年 4月17日

裁判所名 大阪地裁 裁判区分 判決

事件番号 平24(ワ)12563号 ・ 平26(ワ)992号

事件名 債務不存在確認等請求事件、損害賠償請求反訴事件

参照元:文献番号 2017WLJPCA04178004

後遺障害慰謝料以外に請求できる金額

後遺障害慰謝料以外に請求できる金額

後遺障害慰謝料以外にも、実際の示談の際には請求できるものがあります。

入通院慰謝料

入通院をしなければならないという精神的苦痛に対して支払われるのが入通院慰謝料です。具体的な入通院の実績から金額が算出されます。

参照元:入通院慰謝料の相場・計算式|治療時の注意点と請求を高額にする方法

積極損害

事故がきっかけで被害者が出費を余儀なくされた際に請求できます。例えば、入院代・通院代・病院までの交通費・車の修理代などが代表的です。

休業損害

事故がきっかけで仕事を休んでしまった場合の、収入減を補償します。

逸失利益

後遺障害がきっかけで労働に支障が出た場合、本来の収入を得ることが難しくなります。事故がなければ将来得られたであろう収入を補償します。

参考リンク

積極損害の基礎知識|加害者に請求できる項目と示談交渉時の注意点

交通事故で休業損害が請求できる条件|損害賠償を計算する基礎知識

逸失利益の計算方法|正当な損害賠償を請求するための基礎知識

示談交渉をする上で心がけておきたい2つのコト

相場どおりの慰謝料をもらえるかどうかは交渉次第。示談交渉での失敗を防ぐために心掛けておきたいポイントをご紹介します。

  • 示談は一度してしまうと二度とやり直せない
  • 十分な慰謝料を得るためには弁護士への相談がオススメ

弁護士に相談するメリットに関しては「交通事故で弁護士に相談すべき理由と相談にベストなタイミング」をご覧ください。

まとめ

後遺障害等級第11級に認定された場合の慰謝料相場は、自賠責基準が135万円、任意保険基準が150万円、弁護士基準が420万円とされています。最も金額の高い弁護士基準で請求するには、弁護士に示談交渉を依頼する必要があります。

相場以外にも被害者の年齢や家族内での立場、加害者の行動などによっても慰謝料は増減します。また、示談交渉の場では金額に納得がいくまでは絶対にサインをしないようにしましょう。

交通事故で大ケガをした上に示談交渉をするのは大変です。だからといって決断を急いだりせず、気になることがあったら周囲の人や主治医、弁護士の人に相談するようにしましょう。大きな失敗をするリスクを未然に防ぐことができます。

交通事故被害者の方が前向きに生きていけることをお祈りします。

出典元

限度額と補償内容 – 国土交通省

後遺障害等級表 – 国土交通省

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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