後遺障害等級第8級の症状と認定基準|慰謝料の相場まとめ

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
後遺障害等級第8級の症状と認定基準|慰謝料の相場まとめ

後遺障害等級は全部で14段階ありますが、後遺障害等級第8級は後遺障害等級の中では8番目に重い症状とされています。中間の等級ではありますが日常的な生活に戻ることが難しく、それまでの仕事も続けられないような重い後遺障害だとされています。

後遺障害慰謝料や損賠賠償を受け取るためには後遺障害等級の認定を受ける必要があります。そこで今回は、後遺障害等級第8級の認定方法と後遺障害慰謝料の相場について解説していきます。慰謝料額を増やすためのポイントも取り上げますので、是非参考にしていただければと思います。

後遺障害等級第8級の労働能力喪失率は45%

交通事故が原因で後遺障害が残ると、日常的な生活が送れなくなる可能性があります。特に仕事において可能な労務が限られる場合があり、後遺障害等級第8級の労働能力喪失率は45%とされています。半分近くの労働能力が失われていることになりますので、それまでに携わっていた業務への復帰は難しいとされています。

下記の表が後遺障害等級第8級で認定される症状の一覧です。10種類に分類されます。

 後遺障害等級  後遺障害 概要

 第8級

1号 1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの
2号 脊柱に運動障害を残すもの
3号 1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの
4号 1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの
5号 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
6号 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
7号 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
8号 1上肢に偽関節を残すもの
9号 1下肢に偽関節を残すもの
10号 1足の足指の全部を失ったもの

後遺障害等級第8級となる各症状

続きまして、全部で10種類ある症状の詳細を個別に取り上げていきます。全て単独での認定条件になりますので、1種類でも該当すれば後遺障害等級第8級であると認定されます。

第8級 1号|片目の失明または視力低下

交通事故によって片目が失明するか、片目の矯正視力が0.02以下になってしまった状態です。なお、矯正視力ということが条件になりますので、眼鏡やコンタクトレンズを着用して視力が0.02より上になれば認定されません。

もう片方の目には障害が無いため、目の失明に関連する後遺障害の中では最も下の等級にされています。片目が見えている状態なため、生活に著しい支障は出ないとみなされているからです。

第8級 2号|脊柱の運動障害

首や背骨といった脊椎が損傷してしまった場合に認定される後遺障害です。脊椎に損傷を負った場合、もっとも重いものですと第6級5号になりますが、それよりは少し症状が第8級2号になります。

  • 首の骨や背骨の可動域が2分の1以下(第6級5号は10%以下)
  • 頭蓋骨から首の骨、背骨にかけて著しい異常可動性がある場合

第8級 3号|片手の指の欠損

片手の親指を含む2本の指がなくなった状態か、親指以外の3本の指がなくなった状態です。親指なら第1関節より先、それ以外の指であれば第2関節より先の欠損であれば失ったとみなされます。なお、欠損した指の本数が増えれば上位の後遺障害に該当して、親指含む3本か親指以外の4本を失うと第7級 6号で認定されます。

第8級 4号|片手の指の機能的な喪失

片手の親指を含む3本の指か、親指以外の4本の指の機能を失った状態です。麻痺による運動障害で指を動かせなくなった場合です。具体的な認定基準は下記の通りになります。

  • 末節骨(第一関節の骨)が2分の1以上を失う。
  • 指の根元か第二関節の可動域が通常の2分の1以下に制限される。
  • 親指を立てるなどの動作や、親指を手のひらにつけるなどの動作において、いずれかの動かせる範囲が2分の1以下に制限される。
  • 神経麻痺で触角や温度感覚、または痛感などを完全に失う。

第8級 5号|片脚の短縮

交通事故が原因で片足が5センチメートル以上短くなった状態です。歩くのに支障が出ますので、後遺障害等級第8級5号で認定されます。

第8級 6号|片腕1関節の機能的な喪失

片腕の3関節(肩、肘、手首)のうち、1関節の機能を失った場合です。全く動かなくなる、あるいは神経障害が原因で自分の意思で動かすことが不可能になった場合に機能を失ったとみなされます。また、片腕2関節の機能を失った場合は等級が上がり、第6級 6号に該当します。

第8級 7号|片脚1関節の機能的な喪失

片脚の3関節(股関節、膝、足首)のうち、1関節の機能を失った場合です。第8級6号と同様に全く動かなくなる、あるいは神経障害が原因で自分の意思で動かすことが不可能になった場合に機能を失ったとみなされます。また、片脚2関節の機能を失った場合は等級が上がり、第6級7号に該当します。

第8級 8号|片腕の偽関節

片腕に偽関節が残った状態です。偽関節とは、骨折を治療しても骨が正常にくっつかず、関節みたく不安定に動いてしまう部位のことです。保護具を装着して日常的な動作に支障が出なければ第8級8号で認められますが、保護具を装着しても著しい運動障害が生じてしまうと第7級9号(偽関節が残った片腕の運動障害)で認定されます。

第8級 9号|片脚の偽関節

片脚に偽関節が残った状態です。第8級8号の場合と同じく、損傷した骨が完全に治癒されず不安定に動いてしまう部位を偽関節といいます。保護具を装着して日常的な動作に支障が出なければ第8級9号で認められますが、保護具を装着しても著しい運動障害が生じてしまうと第7級10号(偽関節が残った片腕の運動障害)で認定されます。第8級8号と9号は、腕か脚かだけの違いです。

第8級 10号|片足の指全ての欠損

片足の指全てを失った状態です。この全てとは、中足指節関節(足の付け根)以上を欠損したという意味合いですが、片足でなく両脚の全ての指を失った場合は第5級8号に等級が上がります。

後遺障害等級第8級の自賠責保険基準における限度額

後遺障害等級第8級の自賠責保険金限度額は819万円です。等級が上がるほど限度額も上昇します。参考までに第1級の限度額は3,000万円で、要介護の場合は4,000万円です。

後遺障害等級は複数等級の『併合』でも認定される

後遺障害等級の認定では単独条件に限らず、複数等級の症状を併合して上級の認定をもらうケースもあります。後遺障害等級第8級は単独の症状に限らず、併合で認定される場合が多い等級なので、併合での認定条件を確認しておく必要があります。

併合の基本的なルール

  • 第5級以上の後遺障害が2つ以上ある場合、より重い方の等級を3級繰り上げる
  • 第8級以上の後遺障害が2つ以上ある場合、より重い方の等級を2級繰り上げる
  • 第13級以上の後遺障害が2つ以上ある場合、より重い方の等級を1級繰り上げる

併合8級の例として、神経機能の障害による第9級と局部の神経症状による第12級の2つが認められるケースがあります。しかし、この基本的なルールが必ずしも適用される訳ではなく、各等級の単独条件の序列を乱す場合や、派生関係にある複数の症状については併合として認められない例外になります。

言葉上の規定だけでは併合認定が可能なのかどうか分かりづらいケースもありますので、被害者本人の判断が難しい場合は専門家に相談した方がより確実だと思われます。

後遺障害等級第8級で獲得できる慰謝料の相場は?

後遺障害第8級の認定条件に加え、後遺障害慰謝料の相場も確認すべき点です。基準となる相場は設けられていますが、被害者側の希望額に達しないこともありますので、自分がどれだけの額をもらうのが妥当なのかを知る必要があります。また、後遺障害慰謝料以外にも請求するべき損害賠償があり、後遺障害により労務に携われなくなった分の補償も受け取るべきでしょう。

後遺障害慰謝料基準は3種類に分かれる

慰謝料をもらう方法として、『自賠責基準』と『任意保険基準』、『弁護士基準』の3種類があります。参考までに、後遺障害慰謝料の相場を等級別に下記表でまとめましたが、支払われる慰謝料の相場は基準ごとに異なり、弁護士基準が最も高くなっています。

等級 自賠責保険基準 任意保険基準(推定) 弁護士基準
1級 1,100万円 1,300万円 2,800万円
2級 958万円 1,120万円 2,370万円
3級 829万円 950万円 1,990万円
4級 712万円 800万円 1,670万円
5級 599万円 700万円 1,400万円
6級 498万円 600万円 1,180万円
7級 409万円 500万円 1,000万円
8級 324万円 400万円 830万円
9級 255万円 300万円 690万円
10級 187万円 200万円 550万円
11級 135万円 150万円 420万円
12級 93万円 100万円 290万円
13級 57万円 60万円 180万円
14級 32万円 40万円 110万円

後遺障害等級第8級の自賠責基準

通常、自動車損害賠償保障法によって後遺障害等級第8級の慰謝料額は324万円だと決められています。

後遺障害等級第8級の任意保険基準

強制加入の自賠責保険と違って任意の保険なので、保険会社によって基準が異なります。
あくまで推定の参考額ですが、後遺障害等級第8級の場合は400万円程度とされています。

後遺障害等級第8級の弁護士基準

弁護士による交渉が入る場合、慰謝料の基準額が大きく上がります。後遺障害第8級の場合だと830万円です。

弁護士による示談交渉がないと低基準の額で提示されるケースが多い

保険会社と交渉する上では弁護士が代理人になってもらわないと、保険会社側の最低基準額で提示される可能性が高くなります。保険会社は保険金の支払いを極力抑え、利益を確保することも当然考えています。

そこで、高額の慰謝料を保険会社より提示してもらうためには弁護士による示談交渉が必要となります。訴訟されるおそれがあることを保険会社は理解していますので、示談の段階で弁護士基準に近い額の慰謝料が出される傾向にあります。それに、裁判になれば基本的に半年以上の長期間を要しますので、早期解決を望まれる場合にも弁護士の示談交渉を頼ることになるでしょう。

休業損害

後遺障害に対する慰謝料の他にも、被害者側がもらうべき大事な損害賠償金があります。被害者が労働者である場合に該当する話ですが交通事故後、入院や通院をした期間だけ休業する必要があります。その休業によって本来得られるはずだった収入を休業損害といいます。

休業損害の計算方法

自賠責基準の場合、原則として5,700円 × 休業日数で計算します。ですが、書面等で1日あたりの基礎収入額が5,700円より上回ることを立証できれば、1日あたりの上限額である19,000円までを条件に請求することが可能になります。

また、弁護士基準の場合は1日あたりの基準額は設定されてなく、1日あたりの基礎収入 × 休業日数で算定されるため、弁護士基準の方が自賠責基準よりも多額の賠償金を得られやすくなっています。後遺障害慰謝料と同様に、こちらも弁護士基準での請求をおすすめします。

後遺障害逸失利益

後遺障害等級に認定された場合に関係する損害賠償のことで、後遺障害によってそれまで可能だった仕事が不可能になってしまい、収入が減少したことに対する補償です。後遺障害が生じなければ普通に得られているはずだった収入のことを逸失(いっしつ)利益と呼ばれています。これは交通事故前に収入があった場合に請求可能です。

休業損害は入通院により一時的に働けなくなったことに対する補償ですが、後遺障害逸失利益の場合は後遺障害により労務が難しくなった被害者の将来に対する補償となります。

後遺障害逸失利益の算出方法

後遺障害逸失利益は、1年あたりの基礎収入 × 後遺障害該当等級の労働能力喪失率(後遺障害等級第8級の場合は0.45) × 後遺障害確定時の年齢を加味したライプニッツ係数で計算されます。ライプニッツ係数とは就労可能年数を考慮した係数であり、被害者の年齢が若いほど高い数値になっています。将来的な労働能力喪失の年数の長さに応じた数値とも言えます。

後遺障害逸失利益の算定基準では、労働能力喪失率が高ければ高いほど額が上がるようになっています。加えて被害者の年齢も重要になり、労働喪失年数が長いほどライプニッツ係数の値が大きくなりますので、その分賠償額が高くなります。

基準的な相場より後遺障害慰謝料の額が増減する場合

休業損害や後遺障害逸失利益の場合は具体的な算定基準を参考にできますが、後遺障害慰謝料の場合は基準相場があっても被害者の立場や交通事故の状況に応じて慰謝料額が増減しますので注意が必要です。

被害者の年齢、家庭内での立場・役割によって増額する

被害者が20歳以下である場合、後遺障害を背負う期間がそれだけ長くなるため増額の対象になるとされています。また、後遺障害逸失利益の際でも解説したように、労働喪失年数の多さという観点でも被害者側の年齢が若いと、それだけ損失が大きいと考えられています。

家族を養う父親(主人)が被害者である場合

家族を経済的に支えていた一家の大黒柱が後遺障害により働けなくなると収入面で苦しくなりますので、増額の対象になります。

家庭内で比較的重要な立場にある母親や配偶者が被害者である場合

被害者が母親や配偶者の場合も、日常的な生活を送ることが困難になれば家庭の存続が難しくと思われます。各家庭の事情にもよりますが、交渉次第では慰謝料が増額されます。

加害者側の重過失や不誠実な行動も増額対象

被害者側の立場だけでなく、加害者側の対応によって慰謝料が増えるケースもあるます。例えば、無免許運転や飲酒運転といった加害者側の重大な過失が判明した場合や、事故現場より逃走したり被害者側の謝罪が無かったりなど不誠実な行動があった場合、慰謝料を増額してもらいやすくなります。

保険会社への訴えが不十分だと減額の傾向となる

ところが、相場よりも高額な慰謝料を請求できる条件を満たしていても、保険会社側への要望が通らないこともあります。その理由として、後遺障害等級に該当する症状を立証するための資料が不足していたり、専門医による診断内容が不十分であったりすることが考えられます。

それと、保険会社との交渉では被害者側が不利なるケースが多いとされています。保険会社側は基本的に最低基準の慰謝料額で考えている上、交通事故や後遺障害では専門的な知識を使うため、被害者側の主張立証が難しくなります。

正当な慰謝料を獲得するためには

被害者側の事実を正確に伝えて後遺障害の程度に見合った慰謝料を得るためには、確実な認定申請の手続きと専門家への相談が求められます。

納得がいく慰謝料を獲得するためのポイントをご紹介します。

  • 後遺障害の認定申請方法は被害者請求がおすすめ
  • 医学的な根拠となる診断結果書類を揃える
  • 弁護士基準で慰謝料を請求

弁護士が出てくると保険会社側は訴訟される可能性があることを理解しているので、示談の段階で弁護士基準に近い高額の慰謝料を提示してくれるようになります。

弁護士に相談するメリットやタイミングについては「交通事故で弁護士に相談すべき理由と相談にベストなタイミング」をご覧ください。

まとめ

後遺障害等級第8級の認定条件と後遺障害慰謝料の相場について、お分かりいただけましたでしょうか。弁護士による交渉で慰謝料の増額が見込めますので、肉体的・精神的な苦痛が一生続く後遺障害に見合った額の慰謝料を請求するためには、弁護士へ相談されることをおすすめします。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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