後遺障害等級の認定基準|適切な等級に認定されるための基礎知識

( 0件 )
分かりやすさ
役に立った
この記事を評価する
この記事を評価しませんか?
分かりやすさ
役に立った
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
後遺障害等級の認定基準|適切な等級に認定されるための基礎知識

後遺障害等級(こういしょうがいとうきゅう)とは、交通事故が原因で負った後遺障害の重さに応じて認定されるものであり、第1級から第14級までの14種類に分かれます。後遺障害等級は後遺障害を補償する損害賠償や慰謝料の額を左右する重要な基準になります。

平成27年度における後遺障害等級の認定件数は6万件以上であり、そのうち半分以上が後遺障害第14級を占めている結果になっています。後遺障害第14級では軽いむち打ち症など身近なケガも関わっているため件数が多くなります。

<平成27年度 後遺障害等級別認定割合>
第1級
(要介護)
第2級
 (要介護)
第1級 第2級 第3級 第4級 第5級 第6級
1.41% 0.74% 0.06% 0.15% 0.50% 0.32% 0.68% 0.86%
第7級 第8級 第9級 第10級 第11級 第12級 第13級 第14級
1.63% 3.12% 3.47% 3.33% 6.98% 17.12% 0.83% 58.81%

参照元:自動車保険の概況平成27年度 – 損害保険料率算出機構

しかし、交通事故では軽いケガばかりでなく、労働が難しくなるような重い症状を負うこともあります。場合によっては収入が著しく減少することもあるため、後遺障害等級の認定を受けて適切な額の損害賠償金を受け取るようにするべきです。

そこで今回は後遺障害等級の認定基準と等級認定申請の注意点を解説するので、より上位の等級で認定を受けるためのポイントをおさえておきましょう。

後遺障害等級認定の目的と基準

後遺障害等級の認定を受ける目的は、後遺障害慰謝料などで補償を受けることです。後遺障害等級は全部で14段階に分かれており、第1級が最も重い症状で第14級が最も軽い症状になります。

後遺症の重さに見合った慰謝料をもらうために等級認定を受ける

交通事故によって後遺障害を負った被害者は、後遺障害等級の認定を受けることで慰謝料や賠償金を受け取ることができます。受け取れる慰謝料の種類として、後遺障害を負ったことによる精神的苦痛を補償する『後遺障害慰謝料』と、後遺障害が原因で減少した収入に対する賠償である『後遺障害逸失利益』などがあります。

後遺障害等級の一覧表

後遺障害等級に該当する基準は以下表の通りです。第1級と第2級については要介護の場合とそうでない場合に分類されます。

後遺障害等級 後遺障害 概要
第1級
(要介護)
1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
第2級
(要介護)
1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
2号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
後遺障害等級 後遺障害 概要
第1級 1号 両目が失明したもの
2号 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
3号 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
4号 両上肢の用を全廃したもの
5号 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
6号 両下肢の用を全廃したもの
第2級 1号 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
2号 両眼の視力が0.02以下になったもの
3号 両上肢を手関節以上で失ったもの
4号 両下肢を足関節以上で失ったもの
第3級 1号 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
2号 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
3号 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することが出来ないもの
4号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することが出来ないもの
5号 両手の手指の全部を失ったもの
第4級 1号 両眼の視力が0.06以下になったもの
2号 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
3号 両耳の聴力を全く失ったもの
4号 1上肢を肘関節以上で失ったもの
5号 1下肢を膝関節以上で失ったもの
6号 両手の手指の全部の用を廃したもの
7号 両足をリスフラン関節以上で失ったもの
第5級 1号 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
3号 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
4号 1上肢を手関節以上で失ったもの
5号 1下肢を足関節以上で失ったもの
6号 1上肢の用の全廃したもの
7号 1下肢の用を全廃したもの
8号 両足の足指の全部を失ったもの
第6級 1号 両眼の視力が0.1以下になったもの
2号 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
3号 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
4号 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
5号 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
6号 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
7号 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
8号 1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの
第7級 1号 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
2号 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
3号 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
5号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
6号 1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの
7号 1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの
8号 1足をリスフラン関節以上で失ったもの
9号 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
10号 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
11号 両足の足指の全部の用を廃したもの
12号 外貌に著しい醜状を残すもの
13号 両側の睾丸を失ったもの
第8級 1号 1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの
2号 脊柱に運動障害を残すもの
3号 1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの
4号 1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの
5号 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
6号 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
7号 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
8号 1上肢に偽関節を残すもの
9号 1下肢に偽関節を残すもの
10号 1足の足指の全部を失ったもの
第9級 1号 両眼の視力が0.6以下になったもの
2号 1眼の視力が0.06以下になったもの
3号 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4号 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
5号 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
6号 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
7号 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
8号 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの
9号 1耳の聴力を全く失ったもの
10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
11号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12号 1手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの
13号 1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの
14号 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの
15号 1足の足指の全部の用を廃したもの
16号 外貌に相当程度の醜状を残すもの
17号 生殖器に著しい障害を残すもの
第10級 1号 1眼の視力が0.1以下になったもの
2号 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
3号 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
4号 14歯以上に対し歯科補綴(しかほてつ)を加えたもの
5号 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの
6号 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
7号 1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの
8号 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
9号 1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの
10号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
11号 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
第11級 1号 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2号 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3号 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
4号 10歯以上に対し歯科補綴(しかほてつ)を加えたもの
5号 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
6号 1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの
7号 脊柱に変形を残すもの
8号 1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
9号 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
10号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
第12級 1号 1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2号 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3号 7歯以上に対し歯科補綴(しかほてつ)を加えたもの
4号 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
5号 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
6号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
7号 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
8号 長管骨に変形を残すもの
9号 1手の小指を失ったもの
10号 1手の人さし指、中指又は薬指の用を廃した場合
11号 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
12号 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14号 外貌に醜状を残すもの
第13級 1号 1眼の視力が0.6以下になったもの
2号 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
3号 1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4号 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
5号 5歯以上に対し歯科補綴(しかほてつ)を加えたもの
6号 1手の小指の用を廃したもの
7号 1手の親指の指骨の一部を失ったもの
8号 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
9号 1足の第3の足指以外の1又は2の足指を失ったもの
10号 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
11号 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
第14級 1号 1眼のまぶたの一部に欠損を残しまたは、まつげはげを残すもの
2号 3歯以上に対して歯科補綴(しかほてつ)を加えたもの
3号 1耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することが出来ない程度になったもの
4号 上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
5号 下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
6号 1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
7号 1手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することが出来なくなったもの
8号 1足の第3の足指以下の1、または2の足指の用を廃したもの
9号 局部に神経症状を残すもの

併合認定とは?

後遺障害等級認定の基本的な条件は上記の表になりますが、それ以外にも『併合認定』で後遺障害等級が認められるケースもあります。併合認定のルールは以下の通りです。

併合認定のルール

  • 第5級以上の後遺障害が2つ以上ある場合、より重い方の等級を3級繰り上げる
  • 第8級以上の後遺障害が2つ以上ある場合、より重い方の等級を2級繰り上げる
  • 第13級以上の後遺障害が2つ以上ある場合、より重い方の等級を1級繰り上げる

該当する後遺障害が複数ある場合、併合認定を受けられる可能性があります。ただし、第14級の後遺障害については併合の対象外であるなどの例外もあるので、上記のルールが一概に適用されるとは限りません。

労働能力喪失率は認定される後遺障害等級によって異なる

労働能力喪失率は認定される後遺障害等級によって異なる

認定される後遺障害等級に応じて『労働能力喪失率』が定められており、症状の深刻度が数値化されるだけでなく損害賠償金にも反映される場合があります。

後遺障害第1級~第3級の労働能力喪失率は100%

各等級の労働能力喪失率は以下表の通りです。重篤である第1級から第3級までは100%の労働能力喪失率が設定されており、基本的には仕事が不可能だとされています。

【表:後遺障害等級における労働能力喪失率】

後遺障害等級 1級 2級 3級 4級 5級 6級 7級
労働能力喪失率 100% 100% 100% 92% 79% 67% 56%
後遺障害等級 8級 9級 10級 11級 12級 13級 14級
労働能力喪失率 45% 35% 27% 20% 14% 9% 5%

労働能力喪失率は損害賠償額の算出基準になる

また、次項の『後遺障害等級の認定で得られる慰謝料の相場』でも取り上げますが、労働能力喪失率は後遺障害逸失利益を算出する一つの基準になります。同じ等級でも職業によって労務可能な程度は変わりますが、損害算定を一律化するために基準が設けられています。

後遺障害等級の認定手順

後遺障害の等級認定を受けるためには、症状固定後に申請手続きをする必要があります。また、後遺障害等級の申請手続きでも注意するべき点がありますので、治療を始めてから後遺障害等級に認定されるまでの流れを見ていきましょう。

十分な治療を継続する

後遺障害等級の認定を受けるためには治療を十分に続ける必要があります。治療を継続しても症状が良くも悪くもならない症状固定の状態を確実に判断することが重要であり、加害者側の任意保険会社から症状固定を催促されても応じないようにしましょう。

任意保険会社が決める症状固定には、治療費の打ち切りを早めに行おうとしている可能性もあります。医学的な根拠でなく、損害賠償金を低くするために早めの打ち切りを提案していることが考えられるので任意保険会社の判断は適切でないと思われます。 

担当の医者と相談して症状固定を決める

基本的には担当の医者と被害者(患者)の二人で相談して症状固定を決めるようにしましょう。症状固定の催促をする場合は、症状にもよりますが、一つの基準として事故発生より半年程度経過したら医者に症状固定について一度確認を取っておいた方が良いでしょう。 参照元:「症状固定は誰が決めるのか

後遺障害等級認定の申請手続きをする

後遺障害等級認定の申請手続きでは必要書類である後遺障害診断書のほかに、被害者の後遺障害を客観的に証明する書類などを提出する必要がありますが、申請手続きの方法では『事前認定』と『被害者請求』の2種類があります。

事前認定

事前認定で被害者がすることは後遺障害診断書を提出するだけで、あとは加害者側の任意保険会社へ手続きを任せることになります。被害者側の負担が少ないメリットがある反面、任意保険会社が手続きを進めるため被害者にとって不利な申請結果になってしまうデメリットも考えられます。
参照元:「事前認定のメリット・デメリット

被害者請求

被害者自身で申請手続きに必要な資料を全て集める提出方法が被害者請求になります。自分で書類を作成したり後遺障害の症状を医学的に証明する資料を病院側から請求したりするなど、被害者側の負担が大きくなりますが、被害者側が有利になるような資料を判断して提出できるメリットがあります。

認定申請で提出される書類に不備があると、実際に負っている後遺障害が証明されず不当に低い等級にされることもあります。なので、確実に高い等級の認定を受ける為には十分な書類を集められる被害者請求で申請した方が良いでしょう。
参照元:「被害者請求がオススメできる理由

審査結果の通知

申請してから認定可否の通知が来るまでの期間は、申請方法によって異なります。あくまで目安になりますが、事前認定と被害者請求における等級認定の審査で要する期間は以下の通りです。

 <等級認定の申請から審査結果が来るまでの目安期間>

  • 事前認定:1ヶ月半~2ヵ月程度
  • 被害者請求:3ヵ月~半年以上

後遺障害等級の認定で得られる慰謝料の相場

後遺障害等級の認定を受けた場合、後遺障害に関係する慰謝料や損害賠償金を獲得することが可能になります。

ただし、後遺障害慰謝料については認定された等級のほかに慰謝料を決める3つの認定基準によって慰謝料の相場が分かれますが、基本的には最も高額になる弁護士基準で請求することをオススメします。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料の相場は下記表の通りです。等級によっては1,000万円を超える高額な基準が設けられていますが、低水準な自賠責保険基準や任意保険基準と比べて弁護士基準であれば2倍ほど上がることが分かります。

【表:後遺障害慰謝料の相場表】

等級 自賠責保険基準 任意保険基準(推定) 弁護士基準
1級 1,100万円 1,300万円 2,800万円
2級 958万円 1,120万円 2,370万円
3級 829万円 950万円 1,990万円
4級 712万円 800万円 1,670万円
5級 599万円 700万円 1,400万円
6級 498万円 600万円 1,180万円
7級 409万円 500万円 1,000万円
8級 324万円 400万円 830万円
9級 245万円 300万円 690万円
10級 187万円 200万円 550万円
11級 135万円 150万円 420万円
12級 93万円 100万円 290万円
13級 57万円 60万円 180万円
14級 32万円 40万円 110万円

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益とは慰謝料とは別に、後遺障害が原因で労働能力を喪失してしまったことによる、将来的な収入の減少に対する損害賠償請求でもあります。将来的な収入の損失のことを逸失利益といいますが、後遺障害逸失利益の算定基準は以下の通りです。

<後遺障害逸失利益の算定方法>

後遺障害逸失利益=

1年あたりの基礎収入 × 後遺障害該当等級の労働能力喪失率 × ライプニッツ係数

算定基準の一つになっているライプニッツ係数は中間利息控除とも呼ばれる指数になりますが、被害者の年齢(労働能力喪失年数)に対応した値のことであり、被害者が若く労働能力年数が長いほど大きな値になり、より多くの損害賠償金になるように設定されています。

また、後遺障害等級における労働能力喪失率で考えると、単純計算で第8級(45%)は第3級(100%)の半分以下しか後遺障害逸失利益の損害賠償金がもらえないことになります。後遺障害慰謝料と同様に、認定される等級によって損害賠償金が大きく上がることもあるといえるでしょう。

それと、3つの慰謝料基準の詳細やそのほかにも請求できる入通院慰謝料などの算定方法については「後遺障害等級認定で獲得できる慰謝料」で取り上げていますので、ご参考にしていただければと思います。

上位の後遺障害等級に認定されるためのポイント

後遺障害等級の認定基準や獲得できる慰謝料について一通り説明しましたが、上位の後遺障害等級に認定されるためのポイントについて下記でまとめました。

適切な治療を受ける

医学的な根拠で適切に示される症状固定を判断するために、十分な治療を受けることが大事になります。仮に症状固定日が早かったり通院期間が短かったりすると、後遺障害の重篤性が疑われて等級を下げられてしまう可能性もあります。

被害者請求で後遺障害等級の認定申請をする

『後遺障害等級認定の申請手続きをする』でも取り上げましたが、被害者請求で申請手続きを進めるのが望ましいです。手間はかかりますが、労力に見合う結果を得られることが期待できます。事前認定では加害者側の任意保険会社に申請手続きを任せることになりますので、確実に等級認定を受けられるために十分な資料を集めてくれるかどうかが不透明になってしまいます。

弁護士への依頼を検討する

被害者請求で申請手続きをする時間がなくても、弁護士が代理でやってくれることも可能です。また、任意保険会社との示談交渉などでも被害者本人が直接対応するのではなく、法律知識を持っている弁護士に依頼した方が安心でしょう。

症状固定や治療費の打ち切りをめぐって任意保険会社とトラブルになることもありますので、何か不安に思うことがあれば弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。弁護士基準による請求が可能になるため、慰謝料や損害賠償金の増額が見込めるメリットもあります。
参照元:「症状固定で弁護士に相談する場合

まとめ

後遺障害等級の認定を受けることは、被害者にとって非常に大事なことです。重症であれば今後の仕事が完全に不可能になってしまい、日々の生活に支障が出るでしょう。

何よりもケガの回復が最も望ましいことですが、どうしても治癒しきれない後遺障害が残ってしまった場合には後遺障害等級認定の申請を行い、今後の生活を補償してもらうために慰謝料や損害賠償金を請求するべきです。 

数十万~数百万の弁護士費用、用意できますか?

決して安くない弁護士費用。いざという時に備えてベンナビ弁護士保険への加入がおすすめです。

Cta_merci

離婚、相続、労働問題、刑事事件被害、ネット誹謗中傷など、幅広い事件で弁護士費用の補償が受けられます。

【ベンナビ弁護士保険が選ばれる3のポイント】

  • 保険料は1日あたり約96円
  • 通算支払限度額1,000万円
  • 追加保険料0円で家族も補償

保険内容について詳しく知りたい方は、WEBから資料請求してみましょう。

ベンナビ弁護士保険に無料で資料請求する

KL2020・OD・037

この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

この記事を見た人におすすめの記事

この記事を見た人におすすめの法律相談

  • 後遺障害の認定可能性と慰謝料の金額
    交通事故に遭って6カ月通院したところで保険会社から連絡がありました。 私...
  • 後遺障害等級の獲得は可能か?
    唇の麻痺、手の痺れ、顔面多発骨折、歯が6本抜けて、後遺障害等級で保障されま...
  • むちうちで後遺障害認定される基準
    約3ヶ月前に追突事故でむちうち症になりました。ネットを見てみるとコリ、違和...
  • 後遺障害及び今後の治療について
    3/3に停車中に後ろから追突され、 首の痛み、手のしびれ、背中の張りがあ...

new後遺障害の新着コラム

もっと見る

後遺障害の人気コラム

もっと見る

後遺障害の関連コラム

編集部

本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。

※あなたの弁護士に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
 詳しくはあなたの弁護士の理念と信頼できる情報提供に向けた執筆体制をご覧ください。

※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。