交通事故慰謝料を正しく計算し適正な慰謝料を獲得する全手順

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
交通事故慰謝料を正しく計算し適正な慰謝料を獲得する全手順

不意の交通事故で被害に遭った際、自分に支払われる慰謝料がどれほどになるのか気になる方が多いはずです。

しかし慰謝料といっても、入院費や後遺障害に関する賠償など、様々な種類がありますので、それらをどう計算すればいいのか悩んでいませんか?

自分が何を請求すればいいのか理解するためには、慰謝料に関する一通りの知識を持っておくことが大事です。

今回は交通事故慰謝料の計算方法を取り上げ、適正な額の慰謝料を獲得するためのポイントを解説しますので、是非参考にしていただければと思います。

◆交通事故で慰謝料請求をしたい方へ

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交通事故の慰謝料とは|精神的な苦痛に対して請求する金銭

交通事故に運悪く遭い自分が被害者となった場合、加害者に対して金銭の要求を行う権利があります。その要求する金銭を一般的には慰謝料または損害賠償といった言い方をしますが、二つは厳密には同じ意味ではありません。

そもそも損害賠償は、慰謝料も含めた交通事故によって被った損害に対する賠償金のことで、慰謝料は被害者から受けた精神的な苦痛に対する金銭です。

ですので、これから話す慰謝料は被害者本人の精神的な苦痛に見合ったお金の話になります。

【関連記事】交通事故の慰謝料相場|妥当な慰謝料を獲得するための全知識

交通事故慰謝料の計算に必要な3つの種類と基準

交通事故によって得られる可能性がある慰謝料は、「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類です。ケガによる入通院の場合と後遺障害を負った場合、それと被害者が死亡した場合に分かれます。交通事故における慰謝料とはそれら全ての総額を指し示します。

また、その慰謝料を決める際には3つの基準がありますので、個別に解説します。

交通事故慰謝料の種類

入通院慰謝料(傷害慰謝料)

交通事故によるケガで入院、及び通院したことに対して支払われる慰謝料です。入院期間と実通院期間の長さで応じて慰謝料額が決められます。

後遺障害慰謝料

1級から14級までの等級が定められている後遺障害等級の認定を受けた被害者に対して支払われる慰謝料です。1級が最も重い後遺障害で、14級が最も軽い後遺障害です。慰謝料額は障害の重さに応じて調整されています。

死亡慰謝料

交通事故により被害者が死亡した場合に支払われる慰謝料です。死亡事故の被害者本人だけでなく、残された家族に対する慰謝料も含まれます。

交通事故慰謝料の3つの基準

慰謝料額を左右する基準は「自賠責基準」と「任意保険基準」と「弁護士基準」の3つがあります。自賠責保険及び任意保険の場合は基本、補償最低額として設定されていますので、弁護士基準と比較して慰謝料額は大きく下がります。

自賠責基準

こちらは強制加入となります自賠責保険に対して、被害者の人身傷害に関する慰謝料を請求する際の算定基準です。国土交通省より明確な算定基準が設けられていますので、慰謝料の種類別で解説します。

入通院慰謝料(障害慰謝料)の計算方法

自賠責基準における入通院慰謝料は1日あたり4,200円と決まっています。ただし、入通院の日数を決める上では治療期間と実際に治療した期間の二つを比較する必要があります。

  • A:全体の治療期間(病院に通っていない自宅静養の期間も含む)
  • B:実質的な通院日数(入院日数+通院日数)×2

(※AとBの日数のうち、『少ない方』に4,200円をかけて算出するのが決まりです)

全体の治療期間と実際に病院で診てもらった日数を比較する理由としては、実際に治療をしていない日や静養した日を加味して妥当的な日数を判断するためです。

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料は認定された後遺障害等級に応じた額が基準となります。自賠責基準における等級別の後遺障害慰謝料は下記の表に従います。

表1:自賠責基準による後遺障害慰謝料の相場

第1級 第2級 第3級 第4級 第5級 第6級 第7級
1,100万円 958万円 829万円 712万円 599万円 498万円 409万円
第8級 第9級 第10級 第11級 第12級 第13級 第14級
324万円 245万円 187万円 135万円 93万円 57万円 32万円
死亡慰謝料の計算方法

自賠責基準による死亡慰謝料の場合、被害者(死亡者)本人の慰謝料と遺族に対する慰謝料で分割されます。基準額は下記の表でまとめました。被害者の家族人数や扶養に応じて慰謝料が加算されます。

表2:自賠責基準による死亡慰謝料の請求額

死亡者本人に対する慰謝料 350万
死亡者に扶養されていた場合 200万
慰謝料を請求する遺族が1人の場合 550万
慰謝料を請求する遺族が2人の場合 650万
慰謝料を請求する遺族が3人以上の場合 750万

任意保険基準

自賠責保険では支払いが賄えない多額の損害に備え、個人の判断で加入するのが任意保険です。こちらは自賠責保険と異なり、各保険会社によって基準額に違いが生じますので明確な算定方法はありません。ただ、一般的には自賠責基準と弁護士基準の中間の慰謝料額であるとされています。

自賠責基準と同様に慰謝料の種類別で取り上げますが、あくまで一例を基にした数値なので参考までにご確認いただければと思います。

入通院慰謝料(障害慰謝料)の相場

下記の表が任意保険基準による入通院慰謝料の推定相場です。表を基にすると、3ヵ月の通院をした場合は378,000円程度の慰謝料額が見込まれることが分かります。また、入退院を組み合わせた場合、1ヵ月の入院と2ヵ月の通院をした際は504,000円程度の慰謝料額が推定されます。

表3:任意保険基準による入通院慰謝料の推定相場(単位:万円)

  入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
通院   25.2 50.4 75.6 95.8 113.4 128.6 141.2 152.4 162.6 170.2
1月 12.6 37.8 63.0 85.6 104.7 120.9 134.9 147.4 157.6 167.6 173.9
2月 25.2 50.4 73.0 94.6 112.2 127.2 141.2 152.5 162.6 171.4 176.4
3月 37.8 60.4 82.0 102 118.5 133.5 146.3 157.6 166.4 173.9 178.9
4月 47.8 69.4 89.4 108.4 124.8 138.6 151.3 161.3 163.8 176.4 181.4
5月 56.8 76.8 95.8 114.6 129.9 143.6 155.1 163.8 171.4 178.9 183.9
6月 64.2 83.2 102.0 119.8 134.9 147.4 157.6 166.3 173.9 181.4 185.4
7月 70.6 89.4 107.2 124.3 136.7 149.9 160.1 168.8 176.4 183.9 188.9
8月 76.8 94.6 112.2 128.6 141.2 152,4 162.6 171.3 178.9 186.4 191.4
9月 82.0 99.6 116.0 131.1 143.7 154.9 165.1 173.8 181.4 188.9 193.9
10月 87.0 103.4 118.5 133.6 146.2 157.4 167.6 176.3 183.9 191.4 196.4
後遺障害慰謝料の相場

基本は後遺障害等級に応じて慰謝料額が増減します。任意保険基準における等級別の後遺障害慰謝料の参考額を下記の表に記載しました。

表4:任意保険基準による後遺障害慰謝料の推定相場

第1級 第2級 第3級 第4級 第5級 第6級 第7級
1,600万円 1,300万円 1,100万円 900万円 750万円 600万円 500万円
第8級 第9級 第10級 第11級 第12級 第13級 第14級
400万円 300万円 200万円 150万円 100万円 60万円 40万円
死亡慰謝料の相場

推定値となりますので遺族の人数を加味した慰謝料額の基準は明確にはありませんが、被害者(死亡者)本人の立場によってある程度の相場が設けられています。

表5:任意保険基準による死亡慰謝料の推定額

死亡者本人の立場 任意保険基準(推定)
一家の支柱(夫など) 1,500〜2,000万円
18歳未満の子ども 1,200〜1,500万円
高齢者 1,100〜1,400万円
その他(配偶者など) 1,300〜1,600万円

弁護士基準

自賠責基準は国が制定しており、任意保険基準は各保険会社の裁量で決められていますが、この弁護士基準は簡単に言いますと、弁護士を介する示談交渉や裁判で得られる見込みのある慰謝料基準になっています。過去の判例に基づいて設定されているため、3つの慰謝料基準の中では最も高額です。

入通院慰謝料(障害慰謝料)の相場

下表が弁護士基準による入通院慰謝料の相場です。なお、この相場は交通事故に関する損害賠償額が記載された本を基準にしています。日弁連交通事故相談センター東京支部で販売されている『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準』(通称:赤い本)という本です。

表を基にすると、3ヵ月の通院をした場合は730,000円程度の慰謝料額が見込まれることが分かります。また、入退院を組み合わせた場合、1ヵ月の入院と2ヵ月の通院をした際は980,000円程度の慰謝料額が推定されます。ただし、通院が長期に伸びるか不規則になった場合には、目安として実通院日数の3.5倍で通院期間を計算されることがあります。

表6:裁判所基準による入通院慰謝料 (赤い本 別表Ⅰ)

  入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院   53 101 145 184 217 244 266 284 297 306 314 321 328 334 340
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 191 303 311 318 325 332 336 342
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346  
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344    
8月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336 341      
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338        
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335          
11月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332            
12月 154 183 211 236 260 280 298 314 326              
13月 158 187 213 232 262 282 300 316                
14月 162 189 215 240 264 284 302                  
15月 164 191 217 242 266 286                    

また、むち打ち症で他覚症状が無かったり、打撲等の軽症であったりした際には下の表で適用さます。なお、こちらも同様に通院が長期に伸びるか不規則になった場合には、目安として実通院日数の3倍で通院期間を計算されることがあります。

表7:他覚症状のないむち打ち症等で適用される入通院慰謝料 (赤い本 別表Ⅱ)

  入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院   35 66 92 116 135 152 165 176 186 195 204 211 218 223 228
1月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199 206 212 219 224 229
2月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201 207 213 220 225 230
3月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202 208 214 221 226 231
4月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 203 209 215 222 227 232
5月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204 210 216 223 228 233
6月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205 211 217 224 229  
7月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206 212 218 225    
8月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207 213 219      
9月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208 214        
10月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209          
11月 117 135 150 160 171 179 187 193 199 204            
12月 119 136 151 161 172 180 188 194 200              
13月 120 137 152 162 173 181 189 195                
14月 121 138 153 163 174 182 190                  
15月 122 139 154 164 175 183                    
後遺障害慰謝料の相場

弁護士基準における等級別の後遺障害慰謝料の参考額を下記の表に記載しました。等級にもよりますが、自賠責準と比較すると2倍以上も高くなっています。

表8:弁護士基準による後遺障害慰謝料の相場

第1級 第2級 第3級 第4級 第5級 第6級 第7級
2,800万円 2,370万円 1,990万円 1,670万円 1,400万円 1,180万円 1,000万円
第8級 第9級 第10級 第11級 第12級 第13級 第14級
830万円 690万円 550万円 420万円 290万円 180万円 110万円
死亡慰謝料の相場

任意保険基準と同じく、被害者とその遺族全体の慰謝料額で設定されていますが、任意保険基準と比較して弁護士基準だと5割以上増額されます。

表9:弁護士基準による死亡慰謝料の相場

死亡者本人の立場 弁護士基準
一家の支柱(夫など) 2,800〜3,600万円
18歳未満の子ども 1,800〜2,600万円
高齢者 1,800〜2,400万円
その他(配偶者など) 2,000〜3,200万円

交通事故における慰謝料を計算する手順

上記では3つの基準における慰謝料の相場を説明いたしましたが、具体的に算定しながらそれぞれの慰謝料の計算方法と基準による慰謝料額の違いを確認していきます。

入通院慰謝料の計算方法

例えば、120日の入通院期間において入院で30日、退院後の通院期間で90日(実際に病院へ通った日数は45日)あったとします。この事例における入通院慰謝料の算定を基準別で考えてみましょう。

自賠責基準による算定

  • A:全体の治療期間 = 135日
  • B:実質的な通院日数 =(30日+45日)×2 = 150日

よって、日数の少ない方であるAの治療期間が使われ、4,200円 × 135日 = 567,000円の慰謝料が自賠責保険の相場だと判断されますが、一つ注意点として、保険会社が被害者側に払う額が120万円を超えない場合に限り、この自賠責基準が採用されます。

なお、保険会社が払う慰謝料はこの入通院慰謝料の他にも、休業損害や治療費なども含まれますが限度額の120万を超えた場合は加害者側の任意保険から支払われることになります。

任意保険基準による算定

表3:任意保険基準による入通院慰謝料の推定相場を参照しますと、入院で1ヵ月、退院後の通院で3ヵ月の基準に該当します604,000円であることが分かります。

弁護士基準による算定

表6:裁判所基準による入通院慰謝料を参照しますと、入院で1ヵ月、退院後の通院で3ヵ月の基準に該当します1,150,000円であることが分かります。また、他覚症状のないむち打ち症や軽症の場合は表7:他覚症状のないむち打ち症等で適用される入通院慰謝料を参照して、830,000円であると判断します。

後遺障害慰謝料の計算方法

等級に応じた後遺障害慰謝料について、3つの基準を比較した表が以下の通りです。後遺障害等級の第1級を認定された場合の慰謝料は自賠責保険で1,100万円、任意保険は推定で1,300万円、弁護士基準で2,800万円であると分かります。

表10:後遺障害慰謝料の推定相場(自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準)

等級 自賠責保険基準 任意保険基準(推定) 弁護士基準
1級 1100万円 1300万円 2800万円
2級 958万円 1120万円 2370万円
3級 829万円 950万円 1990万円
4級 712万円 800万円 1670万円
5級 599万円 700万円 1400万円
6級 498万円 600万円 1180万円
7級 409万円 500万円 1000万円
8級 324万円 400万円 830万円
9級 255万円 300万円 690万円
10 187万円 200万円 550万円
11 135万円 150万円 420万円
12 93万円 100万円 290万円
13 57万円 60万円 180万円
14 32万円 40万円 110万円

死亡慰謝料の計算方法

例えば、一家の大黒柱である夫が交通事故で死亡し、自分(妻)と子ども1人が残された場合に適用される死亡慰謝料を考えてみましょう。

自賠責基準による算定

表2:自賠責基準による死亡慰謝料の請求額を参照すると、死亡者本人に対する慰謝料:350万円+死亡者に扶養されていた場合:200万円+遺族が2人の場合:650万円の累計で1,200万円の死亡慰謝料が見込まれます。

任意保険基準による算定

表5:任意保険基準による死亡慰謝料の推定額を確認すると、1,500〜2,000万円の死亡慰謝料が推定されます。

弁護士基準による算定

表9:弁護士基準による死亡慰謝料の相場を確認すると、2,800~3,600万円程度の死亡慰謝料が見込まれます。

3種類の慰謝料を一通り解説しましたが、基本は弁護士基準による慰謝料額が最も高くなります。ですので、弁護士基準を前提にした慰謝料請求のポイントをおさえる必要がありますが、その前に他にも請求可能な種類の慰謝料もありますので、そちらを先に説明します。

交通事故の慰謝料以外に請求できるもの

入通院慰謝料と後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種類以外にも忘れてはならない損害賠償や費用があります。

休業損害

交通事故後、入院や通院をした期間だけ休業する必要があります。その休業によって減少した収入のことを休業損害といいます。特に一家を経済的に支えている大黒柱が被害者の場合、請求しなければならない損害賠償となります。

休業損害の計算方法

自賠責基準の場合、原則として5,700円 × 休業日数で計算します。ですが、書面等で1日あたりの基礎収入額が5,700円より上であることが証明できれば、1日あたりの上限額である19,000円を条件に支払われるとされています。

また、弁護士基準の場合は1日あたりの基準額は設定されてなく、1日あたりの基礎収入 × 休業日数を基本として算定されます。なので、弁護士基準の方が自賠責基準よりも多額の賠償金を得られやすくなっています。入通院慰謝料等と同様に、こちらも弁護士基準での請求をおすすめします。

後遺障害逸失利益

交通事故によって後遺障害が生じ、後遺障害等級に認定された場合に関係する損害賠償請求です。考え方は上記の休業損害と似ていて、後遺障害によってそれまで可能だった仕事が不可能になってしまい、収入が減少したことに対する補償です。後遺障害が生じなければ普通に得られているはずだった収入のことを逸失利益と呼ばれています。

後遺障害逸失利益の計算方法

後遺障害逸失利益は、1年あたりの基礎収入 × 後遺障害該当等級の労働能力喪失率 × 後遺障害確定時の年齢を加味したライプニッツ係数で計算されます。算定上の基準となる数字について、もう少し補足します。

労働能力喪失率

後遺障害等級全14等級に設定されている、労働能力の喪失度合いです。詳細は下記表にて記載していますが、重症である第1級~3級は100%の労働能力喪失率になっています。

表11:後遺障害等級の労働能力喪失率

後遺障害逸失利益

ライプニッツ係数

中間利息を考慮した係数であり、被害者の年齢が若いほど高い数値になっています。この先続く労働能力喪失の年数の長さに応じた数値とも言えます。

治療費

入通院慰謝料だけでなく、治療費自体も原則として全額の請求は可能です。しかし、いくつか例外もありまして、医療費が自己負担額を超過してしまう高額診療や医療的に必要性が感じられない過剰診療のケースだと、全額の請求が認められないこともあります。

それと、もう一つ注意すべき点があります。基本的には被害者のケガが症状固定(治療をこれ以上続けても回復や悪化が見られない場合)になるまで加害者側の保険会社から治療費を支払ってもらう権利はあるのですが、保険会社から治療費の打ち切りを言われる可能性があります。

ここで気を付けてもらいたいのは、治療費が打ち切られてしまうと休業補償の方も止まってしまいます。なので、被害者側の経済的な負担が増えますが、未払いの治療費を再度請求することは可能ですので、治療がまだ必要な時は通院を続けるべきです。医療費が打ち切られた場合は医師から診断書等の証明をもらった上で、保険会社側と再交渉しましょう。

入通院雑費

入院中で使用する日用雑貨品や通信費、見舞いに来る家族の通院交通など、治療費以外の支出となる入院雑費に加えて、入院や通院の際にかかった交通費も請求することは可能ですが、下記のような基準があります。

入院雑費

自賠責基準では1日あたり1,100円で認定されます。また、裁判基準になると1日あたり1,400~1,600円で請求できるとされています。

入院や通院の時にかかった交通費

電車やバス、タクシーなどの公共機関を利用した場合、原則として実費の請求が可能です。また、自家用車を使用した場合も同様に、ガソリン代や駐車料金などの実費相当分を請求できるとされています。

交通事故慰謝料をできるだけ増額させるためにできること

弁護士基準による慰謝料請求が最も高額になることを上記で取り上げましたが、それ以外にも慰謝料を増額させるための方法があります。加えて、加害者側の保険会社より慰謝料の減額をさせられるような交渉も考えられますので、慰謝料額を下げられないための注意点としても、是非ご確認いただきたく思います。

過失割合を下げるように交渉する

交通事故の原因はどちらにあるのかを示すのが過失割合ですが、大抵は被害者側にも過失があるとされ、10:0のケースはあまりなく、8:2や7:3などが考えられます。この過失割合が直接慰謝料額に反映されますで、当然7:3(元々の慰謝料の7割)より8:2(元々の慰謝料の8割)の方が被害者にとってより多くの慰謝料を受け取れます。

逆に保険会社側からは、加害者側の過失割合を下げるように要請してくることが考えられるため、過失が自分に無いことを正当に主張することが大切です。

交渉時に判例タイムズで過失割合の基準を確認する

過失割合の是非を問う上で重要な情報になるのが『判例タイムズ』という本です。この本は裁判の判例を基に、過失割合の認定基準を典型例で定めています。保険会社側も基本は判例タイムズの事例を参考に過失割合を決めることになっています。

ただし場合によっては過去事例に沿わず、被害者にとって不利な過失割合を提示されることがありますので、そのためには確実な情報であります判例タイムズを引き合いに交渉することが求められます。過失割合の基準となる見地を用意しておくことが大切です。

上級の後遺障害等級の認定を受ける

後遺障害等級に認定されることで後遺障害慰謝料だけでなく後遺障害逸失利益の請求も可能になりますので、後遺障害に該当する症状を自覚したら早急に病院へ行って診断を受けましょう。

また、後遺障害は各等級に応じて認定条件が定められていますが、申請内容によっては、本来該当すべき等級より下げられて認定されてしまうこともあります。等級が下がると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益の補償額にも影響が出てしまいますので、後遺障害の内容を的確に証明する資料を提出するべきでしょう。

こうした後遺障害等級の認定申請を含め、弁護士のサポートが大事になることを次項にて説明します。

慰謝料増額を行いたいなら弁護士による示談交渉がおすすめ

保険会社との交渉は被害者本人でも出来なくはありませんが、過失割合の判断や希望する慰謝料額の主張立証など、専門的な知識がないと難しいこともあります。それと、繰り返しになりますが慰謝料額については弁護士基準が最も高水準であるため、慰謝料の増額を希望するならなおさら弁護士の支援が必要になってきます。

弁護士基準で加害者側との交渉をしてくれる

保険会社と交渉する上では弁護士が代理人になってもらわないと、保険会社側の最低基準額で提示される可能性が高くなります。現実問題、被害者側の立場は弱く、保険会社の言いなりになってしまうことも珍しくありません。そこで、保険会社側が譲歩してもらうためには弁護士による示談交渉が効果的です。

交渉が決裂すれば裁判になることを保険会社側は危惧していますので、示談の時点で弁護士基準に近い額の慰謝料を提示してもらうことが可能となります。加えて、治療費の打ち切りなど思わぬトラブルが発生した場合も、専門家の見解を聞けば正しい対応が取れます。専門家が責任をもって対応してくれる安心感もあり、被害者の精神的な不安も取り除いてくれるでしょう。

後遺障害等級の認定申請では弁護士のサポートが重要

後遺障害等級の認定申請をするためには、医者から後遺障害診断書を書いてもらい、医学的な資料を揃えるといった労力を要します。そうした場面でも弁護士のサポートがあることで、認定申請がより通りやすくなりますので、弁護士を依頼した際にかかる費用を考慮しても、支援を求める価値はあります。

まとめ

交通事故の慰謝料について相場と算定方法を解説しましたが、お分かりいただけましたでしょうか。被害者側には慰謝料を請求する権利はありますが、保険会社との不利な交渉によって不十分な慰謝料額にされてしまう恐れもあります。そうならないために慰謝料の請求手順をしっかり把握していただき、適切な額の慰謝料を手に入れてもらえれば幸いです。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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