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KL2020・OD・037
後遺障害は事故の受傷(ケガ)による治療後に残った症状のうち、申請をして認定されたものを後遺障害と言います。後遺障害14級に認定される症状は以下の通りです。
後遺障害の認定は損害保険料算出機構の自賠責保険調査センター調査事務所が行っています。
認定のための申請の方法は「事前承認」と「被害者請求」の2種類があります。事前承認は後遺障害の認定を加害者の保険会社に一括して委任する方法で、被害請求は被害者自身で必要書類を集め申請する方法です。後遺障害の申請の方法は「後遺障害等級の認定基準|適切な等級に認定されるための基礎知識」を参考にしてください。
後遺障害であると認定されると慰謝料や逸失利益の増額を見込めるため、ご自身が負った後遺症が後遺障害であると認定されるか、されないかは損害賠償請求の際にとても重要です。
そこで今回は後遺障害認定の申請を行ったけれど、認定されなかったときの原因とその時の対処法をお伝えします。
目次
後遺障害の等級や具体的な内容は自賠責保険によって規定されています。また後遺障害はここでは後遺障害として認められるための基準と、後遺障害認定の審査方法を見て見ましょう。
4つの認定基準は以下の通りです。
後遺障害が認められるためには、後遺障害の原因が事故であることが必要になります。つまり事故後に発生した後遺症であったとしても、事故との因果関係が認められない場合は後遺障害として認定されません。
後遺障害は、一生体に残る後遺症のことをいいます。たとえば長期的に見て後遺症の回復が見込まれる場合後遺障害として認定されません。
後遺症が自覚症状だけでなく、医学的な根拠に基づいてその存在が認められなければなりません。根拠となるのはMRI、レントゲン写真、神経学的検査、愁訴の一貫性、通院頻度などです。
後遺症が労働能力の喪失を伴うものでなければなりません。ただし労働能力の喪失とは一般的な喪失を意味していて、年齢や職種、利き腕などの条件により認定される等級に変化があることはありません。
後遺障害認定は損害保険料算出機構の自賠責保険調査センター調査事務所にて行われますが、認定の方法は書類審査です。被害者から提出された書類をもとに、被害者の後遺症がどの後遺障害の等級に当てはまるか等を審査します。
自賠責保険調査センター調査事務所に提出する資料は症状固定時(交通事故による受傷がそれ以上回復しない状態)に医者に記載してもらう「後遺障害診断書」の他、上記4つの認定基準の証明のための各種資料が必要になります。
認定の申請の方法や必要資料等は「事前認定のメリット・デメリットと事前認定を勧めないワケ」「被害者請求のメリットと申請方法|被害者請求がオススメできる理由」を参考にしてください。
後遺障害認定の申請を行ったけれど、14級であると申請されない原因には以下のようなことが考えられます。
後遺障害と認定されるためには後遺症の原因が事故であることが認められなければなりません。そのため交通事故の規模が小さい場合、例えばきわめて低速度での追突であったなどは認定されない可能性があります。
対策としては、事故の程度を画像等で証明する方法が一般的です。事故現場の写真は加害者保険会社が記録していますが、見落とし等がないよう被害者自身でも車の損傷具合を写真で保存しておくことが重要になります。
後遺障害認定を受けるためには、事故発生から症状固定まで定期的に病院で医師の治療を行っている必要があります。たとえば事故後1カ月後に初めて通院し、その後2週間に1度の頻度で通院を行っているなど通院頻度が少ない場合は、後遺障害として認められない可能性があります。
事故直後からの定期的な通院は特に14級9号、いわゆる「むち打ち症」の認定を受ける際に重要です。神経症状である「むち打ち症」が後遺障害として認定される等級は12級もしくは14級となっています。
12級と14級の違いは「局部に頑固な神経症を残す」か「局部に神経症を残す」かの違いです。レントゲンやMRI、などで他覚的所見がある場合は12級、本人の自覚症状は認められるが神経の損傷が他覚的に認められない場合は14級というのが一般的理解です。
神経の損傷ないし機能障害があると認められるには、画像等では証明できないけれども、受傷の状態や治療の経過、自覚症状の経過や、症状に一貫性、連続性があること。また症状が事故によるケガが原因であることが医学的に推定できる必要があります。
事故直後から症状固定までに、症状が一貫しており、連続性がある必要があります。
たとえば初診時は右肩の痛みを自覚症状として医師に伝えたが、2週間後には左肩の痛みを訴えた場合や、初診時に首の痛みが自覚症状としてあったものの、1カ月後に痛みがなくなりまたその1か月後に痛みが出たといった場合は後遺症として認定されません。
後遺障害として認められるには、症状が重篤である必要があります。たとえば「コリ」「ハリ」「突っ張る」「違和感がある」程度のものでは後遺障害として認められないことが多いです。
後遺障害として認められるには、常時性がなければなりません。例えば雨の日のみ痛みが出る、長時間座った後のみ痛みが出るといった症状では後遺障害として認められません。
後遺障害として認められるには、症状の存在を証明しなければなりません。ただし医者は被害者の受傷の治癒のために治療を行っています。また後遺障害認定のための条件に関して詳しくないのが一般的です。また後遺障害の認定は書類のみでおこなわれます。
そのため本来であれば後遺障害として認定される症状であるにもかかわらず、必要な画像や検査報告書を提出していない場合後遺障害に認定されないケースがあります。
後遺障害を申請したものの、後遺障害14級に認定されない場合異議申し立てを行うことができます。異議申し立てを行うことで後遺障害の認定について再考してもらうことができます。
事前認定の場合、保険会社は必要最低限の書類のみで申請を行うこともあり、被害者の症状が後遺障害に該当するにもかかわらず認定されないケースもあります。
ここでは異議申立てについて詳しく見ていきましょう。
異議申立ては2つの方法で行うことができます。1つは再度、損害保険料率算出機構に再審を行ってもらう方法。もう1つが自賠責紛争処理機構へ申請を行う方法です。
損害保険料率算出機構に異議申立てを行う場合には、「事前認定」と「被害者請求」の2通りがあります。事前認定の場合は加害者の任意保険会社に異議申立書を提出します。被害者請求の場合は加入者の自賠責保険会社に異議申立書を提出します。
自賠責紛争処理機構は中立な立場を取り、専門的な知識をもつ弁護士や医師により構成されており、提出した異議申立書は、紛争処理委員会が異議内容を審査します。
ただし自賠責紛争処理機構での異議申立ては1度しか行うことが出来ません。
異議申立てを行う際には損害保険料率算出機構に対し、「被害者請求」で行うことをお勧めします。「事前認定」であれば加害者の保険会社が異議申し立てを行うことになり、どのような異議申し立てを行っているのか把握することが困難になります。
以下では被害者請求における異議申し立ての流れについて記載します。
後遺障害14級に認定されなかった場合、その理由が書面にて送られてきます。この書面に記載されている非該当であった理由を確認しましょう。
認定されない理由としては、
などがあります。
また後遺障害事案整理票には、認定されないと結論付けるまでの調査内容が記載されています。後遺障害事案整理票は事前認定であれ被害者請求であれ、後遺障害の結果を通知してきた損害保険会社へ連絡することで手に入れることができます。
異議申し立てを行い後遺障害14級に認定されるには、認定されなかった理由に関して反証する必要があります。非該当となった理由に対して、後遺障害の認定のための新たな証拠が必要となります。具体的には以下の物があげられます。
後遺障害の異議申立てを成功させるポイントとしては、新たに診断書を医師に作成してもらうことと、新たに検査を行うことがあげられます。
とくに後遺障害14級9号のむちうちは他覚的所見がないので、事故直後からの受傷の状態や治療の経過、自覚症状の経過や、症状に一貫性、連続性があることが重要になります。新たに診断書を作成してもらう際には自覚症状を正確に伝えるようにして下さい。
さらに神経学的検査を行うことでも後遺障害14級9号に認定される可能性が高まります。神経学検査とは
などがあげられます。
非該当となった理由の反証となる書類が用意できたら、異議申立書を作成します。異議申立書には正式な書式はありませんが以下のことを記載します。
異議申立ては何度でも行えます。ただし交通事故の損害賠償請求には時効がありますので注意が必要です。
傷害部分の損害賠償請求は事故日より3年
後遺障害部分の損害賠償請求は症状固定日より3年
後遺障害14級が認められると逸失利益や後遺障害慰謝料が損害賠償金として請求することが出来るようになります。損害賠償金は交通事故被害者のその後の生活の安心、安全のために非常に有益なものになりますので、自覚症状等がある場合は、何としても後遺障害の認定を受けたいところです。
弁護士から、後遺障害認定に必要な書類や検査を的確に指示を受けることが出来るため、後遺障害の認定に関して納得がいかない場合、特に異議申し立てに関して心配なことがある方は弁護士に一度相談することをお勧めします。
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