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KL2020・OD・037
残業代ゼロ法案とは、正式には「高度プロフェッショナル制度」(ホワイトカラー・エグゼプション)のことです。2017年8月に閣議決定がされ、秋にも審議が行われる残業代ゼロ法案は、労働時間ではなく成果で評価を行う制度です。
今回は、残業代ゼロ法案について現時点でわかっている概要やメリット・デメリットについてご紹介します。
残業代ゼロ法案とは、「高度プロフェッショナル制度」(ホワイトカラー・エグセプション)という新しい労働制度で、働いた時間ではなく成果によって労働賃金を決めるというものです。これにより、残業などの長時間労働の削減でき、一人ひとりが効率的な働き方ができると政府は主張しています。
この項目では、様々な議論が飛び交う残業代ゼロ法案の概要についてご紹介します。
残業代ゼロ法案「高度プロフェッショナル制度」が適用されるのは、年収1,075万円以上の専門職とされています。高度プロフェッショナル制度の対象となる職種は以下の5つです。
これらの職種の中で年収1,075万円以上の労働者というと、対象者はごくわずかのように思われます。しかし、一部では「ゆくゆく年収400万円台の労働者まで対象を引き下げる」という報道もあるため、油断はできないのです。
政府は2000年代にも同様の制度導入を目指していた。「ホワイトカラー・エグゼンプション」と呼ばれ、最終的に法案提出を断念した経緯がある。05年6月には経団連が提言を公表。「労働時間の長さと成果が比例しない頭脳労働に従事するホワイトカラーに対し、工場労働をモデルとした労働時間規制を行うことは適切とはいえない」と指摘し、制度対象として「年収400万円以上」などとしている。
残業代ゼロ法案では、残業代を無くし労働時間ではなく完全な成果型労働を行うことで、労働効率を上げることが目的とされています。
日本は先進国の中でも労働生産性が最も低く、労働時間が長いことが問題となっていました。残業代ゼロ法案には、このようなことが背景にあるのかもしれません。
現在の内閣の核となる取り組みの一つとして働き方改革があります。これは女性の社会進出や働き方の多様性を認めようという取り組みなのですが、残業代ゼロ法案をこの取り組みの一つに織りまぜるという動きもあります。
この項目では、働き方改革の概要と残業代ゼロ法案との関係性についてご紹介します。
働き改革とは、「一億総活躍社会の実現」の一貫として、少子化と労働人口の減少に対応すべく女性の社会進出や働き方の多様性を推し進める取り組みです。
引用元:首相官邸|働き方改革の実現
働き方改革では、育児介護休業法の改正も行われ、育児休業を最長で1年2ヶ月まで取得することが可能になりました。
引用元:Yahoo!ニュース|残業代ゼロ法案と時間外労働の上限規制、“混乱が生じないよう”一本化するとの言い訳は私達を愚弄するもの
働き方改革と残業代ゼロ法案を一本化させるという動きもあります。
政府は「国民を混乱させないため」としていますが、働き方改革を隠れミノにして残業代ゼロ法案を無理やり押し通そうとしているのではないかという意見もあります。
残業代ゼロ法案は現在も議論が続けられています。労働時間ではなく成果で評価をするというのは画期的なものではありますが、一方で却って長時間労働を招くのではないかという懸念点もあります。
この項目では、法案のメリット・デメリットをまとめてご紹介します。
残業代ゼロ法案は、労働時間が賃金に反映されないため、やることが終われば帰ることも可能ということが最大のメリットであるとされています。
通常の労働制度では、会社で規定された所定労働時間を基準に、最低限働く時間が決められています。フレックス制度などを使用した場合も清算期間などで合計の労働時間が決まっており、満たない場合は減給されるというものでした。
残業代ゼロ法案が通った場合は成果型で判断されるため、効率の良い人は自分の仕事を終えたら帰ることができ、ライフワークバランスを向上させることができると期待されています。
残業代ゼロ法案は、完全成果型労働のため成果の分だけの賃金が支払われます。このため、裏を返すと「成果が出るまで働き続けてしまう」という問題が発生してしまいます。
特に、対象者となる専門職の中にはコンサルティング職や研究職など、長時間考えを練る必要がある仕事も含まれています。これらの仕事は簡単に成果が出せるものではないため、長時間労働の温床となり過労死につながるのではないかと危険視されています。
労働時間ではなく成果で評価を行う残業代ゼロ法案ですが、本当に必要な法案なのでしょうか。高度プロフェッショナル制度は、既存の労働制度でもカバーできる部分が多いため、導入を疑問視する声も上がっています。
この項目では、残業代ゼロ法案の必要性についてお伝えします。
一方で、対象となる専門職はほとんど厚生労働省が定めた裁量労働制の対象職種と重なっています。そのため、裁量労働制と対して変わらないのではないかという意見もあります。
裁量労働制とは、一部の定められた専門職のみに適用することのできる労働制度で、勤務時間を決めずに一定の時間働いているとみなして労働賃金を支払う制度です。裁量労働制では、出退勤の時間が労働者の裁量に委ねられているため、自由な時間で働くことができます。
残業代ゼロ法案の対象者は、現状では年収1,075万円の専門職に限るとされています。年収1,075万円というと、少なくとも課長以上の役職であることが考えらえます。このような役職の方はその多くが「管理職」であり、形式上は管理監督者と整理され、時間外労働や休日労働の割増賃金の支給対象者とされていないのが通常かと思われます。
そのため、残業代ゼロ法案は対象者となる方がごくわずかであると言われています。
第四十一条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者
二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
引用元:労働基準法
一方で、管理監督者には「名ばかり管理職」という問題も抱えています。管理監督者となるのは、仕事に裁量権を持っており経営者と一体的な立場にある労働者です。
しかし、店長などの管理監督者とは言えない立場の労働者を管理監督者として、残業代を未払いにする会社もあります。裁判で管理監督者に該当しないとの判断となれば、従前支払われていなかった残業代を取り返せる可能性があります。
高度プロフェッショナル制度やホワイトカラー・エグゼプションとして国会で審議が行われているこの法案ですが、世間では残業代ゼロ法案という名称の方が広く浸透しています。この背景には、やはり労働者側からの強い反発があるからでしょう。
全国労働組合連合会では、残業代ゼロ法案は過労死を引き起こす働き方だとして反対の姿勢を示している。
残業代ゼロ同案(高度プロフェッショナル法案)の導入はまだ決まった訳ではありませんが、2017年秋に審議が行われるなど、これからますます注目が高まっています。
「高所得者しか関係ない…」と思っていても、法案は決済までどのような変更があるかわからないため内容だけでも頭の片隅に置いておくことをオススメします。
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