長時間労働の基準|労働者が抑えておくべき法律・原因と対策まとめ

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長時間労働の基準|労働者が抑えておくべき法律・原因と対策まとめ
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長時間労働とは、会社が規定している時間や予想される残業時間に対して、実労働時間が長いことです。

長時間労働は、ブラック企業の要因にもなり、うつ病などの健康被害も引き起こす可能性があります。

この記事では、長時間労働に関する法律や対処方法などについてご紹介します。

サービス残業は違法です!

労働基準法では、働いた労働賃金は全て労働者に支払うことが定められています。もしも、サービス残業などを強いられている場合は、残業代請求も考えましょう。

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厚生労働省の調査では4割以上の会社が違法な長時間労働をしていた

厚生労働省の調査では4割以上の会社が違法な長時間労働をしていた厚生労働省が2017年7月に公開した調査結果によると、労働基準監督署の監督指導があった会社のうち、43.0%の企業が違法な時間外労働をしていることがわかりました。

このうち、長時間労働を行なっていた会社の割合は以下の通りです。

違法な時間外労働があったもの:10,272 事業場( 43.0 % )

うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が
月80時間を超えるもの:7,890事業場(76.8%)
うち、月100時間を超えるもの: 5,559事業場(54.1%)
うち、月150時間を超えるもの:1,168事業場(11.4%)
うち、月200時間を超えるもの:236事業場( 2.3%)
引用元:
厚生労働省|長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します

長時間労働の基準と労働時間ごとの決まり

労働基準法では、労働者の就業時間を制限するための決まりがいくつかあります。

この項目では、長時間労働の時間ごとの決まりについてご紹介します。

労働基準法で認められている労働時間|原則週40時間

労働時間の原則は「1日8時間、週40時間以下」です。

第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
○2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
引用元:
労働基準法

上記を法定労働時間といい、会社は法定労働時間を超えて残業させる場合、労働基準法36条に基づく、サブロク協定の届出をしなければなりません。

サブロク協定での残業時間|原則月45時間以下

労働時間を延長させるためのサブロク協定では、残業などの時間外労働に上限を定めています。

一般的な労働制での残業時間の上限は以下の通りです。

1週間

15時間

2週間

27時間

4週間

43時間

1ヶ月

45時間

2ヶ月

81時間

3ヶ月

120時間

1年間

360時間

また、1年単位での変形労働制の方は以下の通りです。

1週間

14時間

2週間

25時間

4週間

40時間

1ヶ月

42時間

2ヶ月

75時間

3ヶ月

110時間

1年間

320時間

サブロク協定では、残業時間を多くても月45時間以下にしなければならないとされています。

長時間労働の温床「特別条項」とは

サブロク協定では、残業時間に上限があるのですが、特別条項をつけることによって労働時間をさらに延長できることがあります。

特別条項とは、「業務上の緊急事態が発生した際に、労働時間の上限を超えて労働させることができる」というものです。

ただし、特別条項はあくまでも臨時的なものであって、労働時間の延長を常態化するものではありません。

長時間労働のおおまかな基準|月60時間前後

厚生労働省をはじめとして、国会などで取り組まれている「働き方改革」では、長時間労働に対し上限を明確に定める動きがありました。

初期の提案では残業時間を最長80時間までとしていましたが、過労死ラインと呼ばれるものが80時間ということもあり、却下されました。

今のところでは、概ね60時間前後が長時間労働の基準になると予想されます。

「基準」はあくまでも「基準」

就業時間に関しては、人によって体力も異なるため、時間数はあくまでも「基準」として考え、身体に負担が大きい労働時間は避けるようにしましょう。

命に関わる過労死ライン|月80時間前後

心筋梗塞や脳梗塞など、ストレスにとって心臓や脳に大きな負担がかかって死亡した場合、業務上の過労死と認定される場合があります。

過労死認定には、死因となる疾患の発症前、概ね80時間前後の時間外労働があったことが目安とされています。

このことから、月80時間を超える残業は「過労死ライン」と呼ばれるのです。

関連記事:過労死ラインは80時間|長時間労働をしている方の相談先と対処法

違法な労働は会社に罰金・責任が課されることもある

違法な労働は会社に罰金・責任が課されることもある

長時間労働で賃金を支払わなかったり、健康被害を引き起こすような違法な労働を行ったりする場合、会社には労働基準法違反として罰則が科されます。

長時間労働の場合、三六協定の上限違反にあたる可能性があるため、懲役6ヶ月または30万円以下の罰金が科されることがあります。

第百十九条 次の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

引用元:労働基準法

長時間労働が起きる原因

長時間労働が起きる原因長時間労働は法律で規定されているにも関わらず、多くの会社で問題になっています。

この項目では、長時間労働の原因についていくつかご紹介します。

会社が労働制度を勘違い・悪用しているから

長時間労働が発生しやすい原因として、会社が労働制度を勘違いしていることが挙げられます。

みなし労働制の悪用

規定時間分をみなし労働時間として残業手当をあらかじめ支給するみなし残業制では、会社や上司が「残業手当を支払っているからいくらでも労働させていい」と勘違いしていることがあります。

みなし残業制の場合、みなし分を超えた残業には別途割増賃金の支払が必要です。

関連記事:みなし残業は違法?知っておくべき「みなし残業制度」の正しい知識

裁量労働制の悪用

裁量労働制は、労働者に労働時間の裁量を与えるものです。

ただし、裁量労働制であっても、上司から業務指示をされたり業務の時間が指定されていたりする場合、裁量性はないと言えます。

会社が労働時間を管理していない・隠しているから

  1. 「労働者が自主的に行った残業だから管理していない」
  2. 「社内の出退勤記録では管理していないので長時間労働の事実はない」

労働者に長時間労働を強いる会社の中には、このような反論をする場合もあります。

会社は労働者が行う労働に対して、管理する責任があります。自主的に行った残業あっても業務上の必要がある場合や上司がこれを知りつつ黙認していた場合は労働時間として取り扱われます。

名ばかり管理職にして時間外労働の対象外にしているから

管理職だからという理由で長時間労働を行う場合がありますが、時間外労働が免除される管理監督者は経営陣と一体となって事業を進める立場の方のみです。

部長や店長といった立場の場合、管理監督者にはあたらない「名ばかり管理職」として長時間労働をしている可能性があります。

関連記事:管理職でも残業代は発生する|知らないと損する管理職の残業代の知識

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長時間労働の5つの対処法|相談先と解決方法

長時間労働などの労働トラブルは、証拠を残して相談することで、解決策が見出せる可能性があります。

この項目では、長時間労働にあった際の対処方法や相談先などについてご紹介します。

長時間労働を改善させるため証拠を残す

【長時間労働の証拠となるもの】

  1. 会社の出退勤記録
  2. 業務パソコンのログイン記録
  3. 上司からの業務指示メール
  4. 出退勤時刻を正確に記録したノート

長時間労働を相談・改善させるために重要なのは証拠です。

長時間労働は違法性があるため、会社としては認めたくないものです。有効な証拠を残すことで、相談や改善の際に現状を正確に伝えることができます。

部署・職場単位の長時間労働は社内相談窓口に報告する

会社「自体はブラック体質ではないが、特定の部署・職場内だけで長時間労働が根付いている」という場合は、最初に社内での解決を図りましょう。

労働問題は、労働者から訴え位に対して会社側がどのように対処したかも重要な争点になります。

パワハラの場合はハラスメントとして相談

特定の上司によって業務が増えたことにより、長時間労働を余儀なくされたという場合はパワハラとして相談できます。

パワハラには事業主(会社)に防止措置義務があるため、社内のコンプライアンス窓口などに相談しましょう。

関連記事:パワハラの訴え方とパワハラを訴える前に知っておくべきこと

長時間労働が常態化している場合は労働基準監督署に申告する

長時間労働が会社の風土として定着してしまっている場合は、外部からの解決を図りましょう。

労働基準監督署では、労働者からの申告があった場合、必要に応じて立ち入り調査や指導などを行なってくれます。

関連記事:サービス残業を告発して改善するために必要な5つの知識と相談先

関連リンク:厚生労働省|全国労働基準監督署の所在案内

残業代が出ない場合は残業代請求する

長時間労働をしているのにも関わらず、残業手当などの労働賃金がきちんと支払われていない場合は会社に未払い賃金を請求することができます。

残業代請求は、弁護士に依頼することも可能です。

関連記事:残業代請求の方法とは|手順や流れを解説

長時間労働で体調を崩した場合は労災申請する

長時間労働により、うつなど働けない状態になってしまった場合は、労災の申請をしましょう。

労災が認定されると、治療費などを補償することができます。

関連記事:パワハラで労災認定が受けられる条件と申請方法まとめ

労災は弁護士に申請のサポートを受けることも可能

労災認定は、会社側は労災があった事実を認めたくないため、手続きが進まないこともあります。

労災申請のサポートを弁護士に依頼することで、申請に必要な証拠の集め方や、会社との代理交渉など問題解決のアドバイスを受けることができます。

【関連記事】労働問題を無料相談できる弁護士の探し方|電話&メールにも対応

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まとめ

長時間労働は、労働者にとって頭を悩ませる問題ですよね。与えられた仕事をこなすことに一生懸命なのは素晴らしいことです。しかし、それであなた自身の健康を失っては元も子もありません。

長時間労働で悩まされた場合は、無理をして乗り切らず労働環境の改善や仕事を休むなどを考えていきましょう。

この記事が、長時間労働に悩んでいる方にとって解決のヒントとなれば幸いです。

この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。

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