働きたくない人が知っておくべき知識と法律で考える3つの対処法

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
働きたくない人が知っておくべき知識と法律で考える3つの対処法

働きたくないというのは、働いている全ての人の切実な願いです。

可能ならずっと家で寝ていたい、働かずに生活したいと思う方もいるでしょう。「働きたくない」を冷静に考え直してみると未払い残業代やハラスメントなど深刻な問題を抱えている可能性があります。

また、なかには働きたくない人に「短時間高収入」、「働かなくてもお金が入る」などの売り文句で犯罪に繋がる行為をさせる人もいるのです。

今回は、働きたくない人が知っておくべきことと対処法についてご紹介します。

働きたくない人が知っておくべきこと

働きたくないと考える理由はさまざまだと思います。この項目でご紹介するのは、働きたくない人が知っておくべきことです。働きたくないと考えている人は、まず以下の2点に注目してください。

  • マルチ商法などの勧誘に注意する
    マルチ商法は、それ自体が違法ではないのですが、勧誘方法などによっては結果的に違法行為になってしまったり犯罪に巻き込まれたりします。マルチ商法などに巻き込まれると損をするだけでなく、悪質な場合は罪に問われることもあるため注意が必要です。
     
  • 労働条件を見直す
    収入が低い、残業代が出ないなどの場合は会社が労働基準法に違反している可能性があります。未払いの残業代は請求することもできるので、労働条件や給与明細を見直してみましょう。

「働きたくない」は全ての人の本音である

働きたくないというのは働く全ての人の本音かもしれません。働きたくないという願いを本気で叶えるためには、会社で働かずに自給自足の生活を送る、働かなくて済む仕組みを作ってしまうという方法もあります。

一方で、働きたくない人の願いを叶えると偽り、犯罪に誘ったり巻き込もうとしたりする人も少なくないのです。

今の労働条件を見直してみる

あなたが働きたくないと思う理由が、今働いている会社での労働条件にあった場合は改善できる可能性があります。いわゆる「ブラック企業」では、労働基準法に違反する労働条件も少なくありません。

「なんで働きたくないのか考えてみる」でも詳しくご紹介しますが、労働条件の中には残業代など未払いであった場合に請求できるお金もあるので、働きたくないと思ったら労働条件や給与などを見直すことも重要です。

特に「権利収入が得られますよ」という話には乗らない

知人から「一緒に○○をやったら、今よりもっと稼げるし働かなくてよくなるよ」などと言われた際は、マルチ商法などの疑いがあります。マルチ商法は、それ自体が違法ではありませんが特定商取引法などの法律に反する可能性があるため、知らず知らずに犯罪に巻き込まれることもあるのです。

詐欺被害に遭うことも

また、働きたくないと考える人は「楽して稼ぎたい」とも考えている人です。マルチ商法はグレーゾーンな部分もありますが、本格的に悪い人である詐欺師の被害に遭うこともあるのです。

「楽に儲かる」というフレーズは確かに魅力的なフレーズですが、オイシイ話に裏がある可能性も高いです。いったん冷静になりましょう。

なんで働きたくないのか考えてみる

なんで働きたくないのか考えてみる

働きたくない人は、まず「なんで働きたくないのか」を考えてみましょう。漠然と「働きたくない」とイヤイヤするよりも、一度冷静になって今の状況を考え直した方が解決を見つけることができます。

収入が低いから働きたくない

働いても収入が少ないという状況では、働き続ける気力も湧いてきませんよね。働いているのにも関わらず収入が低いというのはいくつかの原因が考えられます。

  • 労働契約が「正社員」ではない
    雇用契約書などを見直してみたら正社員だと思っていたのに「業務委託」や「請負」だったという例もあります。「業務委託」や「請負」だった場合は、ボーナスなどの賞与が出ないなど収入が大きく変わってしまいます。
  • 給与が低い
    残業の多い企業には、もらっている給与の額面と実働時間から時給換算すると最低賃金を割ってしまう場合があります。最低賃金を割ってしまう労働は労働基準法違反なので未払い残業代の請求を行うか労働基準監督署に申告しましょう。
  • 未払いの残業代がある
    残業代などの賃金は支払ってもらう権利があり、企業側にも支払う義務があります。残業代が支払われていない場合、月々の未払い賃金は数千円から数万円ですが年間にすると数十万円ほど収入が変わってきてしまいます。

月々の収入の中には、未払い残業代などの請求ができるお金もあります。労働時間や賃金を正確に計算して請求することで、収入をあげることができることもあるのです。

同僚・上司が嫌で働きたくない

今働いている会社の同僚や上司との人間関係から、「働きたくない」と考えている方は、その人間関係がハラスメントにつながっていないかを考え直してください。ハラスメントは労働問題のなかでも相談件数の多いトラブルです。

パワハラやセクハラ、マタハラなどのハラスメントは違法性が高い行為なので、差止要求を行うことも可能です。また、ハラスメントが起きている会社ではサービス残業が常態化し、未払い残業代などの問題を抱えていることもあるので注意しましょう。

仕事が苦痛で仕方がないから働きたくない

仕事が苦痛で堪らないという人は、仕事を休んでしまうというのもひとつです。特に下記のような状態になった場合は、一度会社を休むことを考えてください。

  • 朝になると気分が落ち込んだり、悲しい気持ちになったりする
  • 憂鬱な気分で集中力が低下し、仕事が手につかない
  • 注意力が散漫になって、人のいうことをうまく理解できない
  • 仕事のことで頭がいっぱいになり、趣味などにやる気が出なくなった
  • 人と話すのがつまらない、面倒だ
  • テレビや買い物など娯楽に関心が湧かない

仕事が苦痛で仕方がないから働きたくない場合の対処法は「世の中に仕事はたくさんある|働きたくない人の対処法③」で詳しくお伝えします。

未払い残業代がないか確認する|働きたくない人の対処法①

残業代などの割増賃金は、原則的に「1日8時間、週40時間」の法定労働時間を超えた労働などで支払われることになっています。変形時間労働制やみなし残業制などの場合であっても、決められた期間での法定労働時間を超えた場合は割増賃金が発生するのです。

また、会社によっては1日の労働時間が7時間という場合もありますが、その場合は1時間の法定内残業(通常の時間給)と、法定労働時間を超えた時間の割増賃金が発生します。

見落としがちな労働時間で残業代を請求する

残業代で見落としがちなのは、開店準備や着替え、点検など始業前に行う労働の賃金です。会社で定めている労働時間以外の時間で、業務を行うためにやらなくてはならない労働や会社内でやるべきこととして常態化している業務については、時間外労働として残業代が支払われる可能性があります。

また、「仕事が終わらないなら朝早くきてやれ」と上司に言われて行った朝出勤は、業務命令にあたるため残業代を請求することができます。

残業代請求の手順

残業代請求には以下のような手順があります。残業代請求は個人で行うこともできますが、変形労働時間制や裁量労働制などの特殊な労働契約を結んでいる場合は計算方法が通常と異なることもあるので弁護士などに相談することをお勧めします。

残業代請求の大まかな流れ

未払い残業代の訴訟を起こす

会社が未払い残業代の支払いに応じない場合は、訴訟を起こすこともできます。訴訟を起こし、残業代の支払いが認められた場合は、強制執行されます。強制執行とは、裁判所の判決によって会社の銀行口座などを押さえ、強制的に支払いを命じることです。

なお、訴訟を起こす場合は、弁護士の力が必要になります。残業代請求を弁護士に依頼すると、会社との代理交渉や残業代の支払い請求書などの書面作成なども相談に乗ってくれます。

ハラスメントは訴えられる|働きたくない人の対処法②

パワハラやセクハラ、マタハラなどのハラスメントは違法性の高い行為です。近年、ハラスメントに対する認識が高まっていることから、ハラスメントの相談件数は増加しています。

ハラスメントは証拠を残すことが重要

パワハラやセクハラ、マタハラなどのハラスメントを解決するには、証拠を残すことが重要です。ハラスメントの証拠を残す方法は以下の3つです。

  • ハラスメントの音声データを残す
    ハラスメント発言をICレコーダーやスマートフォンの録音機能を使って音声データに残しましょう。音声データは発言だけでなく、書類を投げつける、大きな物音を立てて威嚇するなどのハラスメントにも有効です。
  • メールやLINEのパワハラ発言を画面で残す
    業務連絡をメールやLINEで行なっている人も多いと思います。ハラスメント発言がメールやLINEで行われている場合は、その画面をスクリーンショットで保存したり印刷したりして手元に残しましょう。
  • ハラスメント被害をノートに記録
    証拠が音声や画面で残すことが難しい場合は、ハラスメント被害をノートに記入することで証拠にできる場合があります。

ハラスメント被害記録ノート記入例

ハラスメント差止要求書を送る

ハラスメントの証拠がある程度揃ったら、会社にハラスメントの差止要求書を送りましょう。ハラスメント差止要求書は内容証明郵便で送るのが効果的です。内容証明郵便とは、送った書面の内容を郵便局が証明するサービスです。

ハラスメント差止要求書

ハラスメントの訴訟を起こす

ハラスメントが書面や相談で解決ができない場合は、訴訟を起こすことになります。

ハラスメント訴訟の場合、精神的な損害の賠償を求める慰謝料請求が中心になります。ハラスメントによってうつ病や働けない状態になった等の損害が発生した場合は、訴訟を起こすことも考えましょう。

世の中に仕事はたくさんある|働きたくない人の対処法③

働きたくないという悩みが「この会社では働きたくない」であった場合は、思い切って仕事を辞めてしまうことも必要です。嫌な仕事をして働き続けるのは、心身ともにダメージを与えます。「働きたくない」から「働けない」状態になる前に、仕事を休む、辞めるなどして無理に働かないようにしましょう。

思い切って今の仕事を辞めてみる

働きたくなくて精神的に滅入ってしまった際は、思い切って今の仕事を辞めてみるということもひとつです。仕事を辞めた際は、以下の条件で失業保険を受け取ることができます。

  • 離職前の2年間で被保険者期間が12ヶ月以上ある(会社の倒産・解雇を除く)
  • 再就職の意思・能力がある
  • 求職活動を行っている

一旦、仕事を辞めてしまって失業保険をもらいながら次のスタートの準備をするというのも悪いことではないのです。仕事を辞めてからから失業保険の受給の流れは以下のようになっています。

なお、自己都合退職の場合、退職に正当な理由がないと判断された場合には、3ヶ月の間失業保険が受給できない場合があるので、注意が必要です。

失業保険受給手続きの流れ

引用元:厚生労働省|Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)

今の自分の状態を見直してみる

働きたくないと思いつめてしまっている場合は、うつ病などの精神疾患の疑いもあります。心身ともに滅入った状態で無理に働こうとしてしまうと自殺や過労死などの危険性もあるので、無理は禁物です。

働きたくないという状態を無理に否定したり抑え込んだりせずに一度病院に行くなど、第三者の手を借りて自分の状態を見直すということも必要です。もしも、働けない状態になった場合は労災申請をすることで、病気の治療費などが補償される場合があります。

全ての「働きたくない」が甘えではない

全ての「働きたくない」が甘えではない

働きたくないというのは働く全ての人の切実な願いですよね。働きたくないという人の悩みは、単なる甘えや惰性ではありません。原因を考えてみると、未払い残業やパワハラなどのハラスメント、精神疾患の兆候などの問題を抱えている場合もあるのです。

なぜ働きたくないと思ってしまったのか、冷静に考え直すことで少しでも「働きたくない」というものがポジティブな方向に行くことを願っています。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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