マタハラで弁護士に相談すべき3つのケースと相談のメリット4つ

弁護士法人ネクスパート法律事務所
監修記事
マタハラで弁護士に相談すべき3つのケースと相談のメリット4つ

マタハラの相談件数は年々増加しており、マタハラはいつ誰に起こってもおかしくない問題です。マタハラ解決は弁護士に相談することができます。今回は、数多くあるマタハラ問題の中でも弁護士に相談した方がいいケースや対処法をご紹介します。

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マタハラで弁護士に相談した方がいいケース

さまざまなマタハラ問題でも、マタハラによって大きな損害が発生した場合は、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

今回は、マタハラ問題として起こり得るトラブルの中でも、特に弁護士に相談した方がいいものを選別してご紹介します。

マタハラで降格された

  •  育児休暇や時短勤務を申請したら、降格をさせられた
  • 妊娠中、負担の少ない業務に移ったら、次期の人事評価で降格された

上記のような例は違法です。妊娠などによる出産休業や育児休業、時短勤務などの制度の利用をきっかけとして、企業が労働者を一方的に降格させることは禁止されています。また、育児休暇などを理由に人事評価を下げることも違法です。ただし、業務上の合理性がある場合や労働者が不利益扱いに同意している場合は例外とします。

マタハラで解雇された

  • 妊娠を報告したら、「周りに迷惑だから辞めろ」と言われて突然解雇された
  • 妊娠期間中、「家庭に入ったらどうか」などの退職勧告を執拗にされた

上記のような例も違法です。妊娠・出産・子育てをきっかけに労働者を一方的に解雇させることは禁止されています。妊娠・出産をする女性の解雇は労働基準法第19条で以下のように定められています。

第十九条 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
引用元:労働基準法

また男女雇用機会均等法第9条では、妊娠・出産をした女性の解雇は無効としています。

第九条  事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
 4  妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。
 引用元:
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律

マタハラで雇い止めされた

  • 雇用契約の更新が決まっていたのに、妊娠を報告したら突然「更新はしない」と言われた
  • 妊娠・出産・子育てのために夜勤を断ったらパート勤務にしろと言われた

労働者に対し、不都合な人員配置や労働契約の変更を行うことは不利益扱いにあたります。妊娠・出産・子育てをきっかけとした不利益扱いを行うことは違法になるのです。

上記でご紹介したマタハラをきっかけとした降格、解雇、雇い止めをはじめとする、労働者にとって不都合な人員配置等は違法性が高いものです。マタハラや男性に起こるパタハラ問題では裁判になった事例もいくつかあります
関連記事:マタハラの裁判事例と事例からみる対策まとめ

そもそもマタハラとは|相談件数の増加と違法性

マタハラとは、一般的に妊娠・出産・子育てなどをきっかけに肉体的・精神的な嫌がらせに合う、また、育休・産休などの制度の利用を妨害されるハラスメントのことです。マタハラ・パタハラについては『マタハラとは|マタハラに遭った時に知っておくべき7つのこと』に詳しく記載していますのでご覧ください。

マタハラの相談件数は増えている

マタハラの相談件数は年々増加しています。各都道府県の労働局に寄せられたマタハラの相談件数は過去3年間で約1.2倍にもなっており、今後もさらに増えると予想されています。以下のグラフは、平成25年度から平成27年度にかけて、各都道府県の労働局に寄せられたマタハラの相談件数です。なお、このグラフでは見た目に関するマタハラなどの、セクハラとも捉えられるマタハラは含まれていません。

マタハラの相談件数は増えている

参考:平成27年度 都道府県労働局雇用均等室での法施行状況

マタハラの違法性

「マタハラで弁護士に相談した方がいいケース」でもお伝えしましたが、降格・解雇・雇い止めなどはマタハラであり違法です。マタハラがなぜ違法なのかというと、男女雇用機会均等法9条に違反しているからです。

第九条  事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
 2  事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
 3  事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法 (昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項 の規定による休業を請求し、又は同項 若しくは同条第二項 の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
 4  妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。
 引用元:
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律

また、企業が育児休業を拒否することは違法です。育児介護休業法では、育児休業の申請の扱いを次のように定められています。

第 6 条  事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない。ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち育児休業をすることができないものとして定められた労働者に該当する労働者からの育児休業申出があった場合は、この限りでない。
 一  当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
 二  前号に掲げるもののほか、育児休業をすることができないこととすることについて
 合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
 引用元:
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

よって、企業は労働者から育児休業の請求があった場合は拒否できません。拒否した場合は違法となります。

マタハラを弁護士に相談するメリット

マタハラ問題は、個人の力で解決策を考えることもできますが、早い段階から弁護士に相談することでマタハラに関する法的観点からマタハラの対処を考えることもできます。

マタハラを企業や社外の相談窓口に相談したのに取り合ってくれなかった、マタハラによって損害が生じた、マタハラ被害が一向に止まないなどの場合は弁護士に相談することをおすすめします

【関連記事】労働問題を無料相談できる弁護士の探し方|電話&メールにも対応

マタハラの証拠集めを相談できる

マタハラやハラスメントを相談したり、訴える際にはマタハラをされた証拠が必要になります。しかし、マタハラは妊娠中や子育てに追われている時期に行われることもあり、「マタハラをされたから証拠を残そう!」と実行するのは難しいと思います。自分で計画的にマタハラの証拠集めを行うことは、妊娠・子育て時では精神的・肉体的負担もかかります。弁護士に相談した際は、証拠となる資料の作成や、有効な証拠を集める際のアドバイスをもらうことができるため精神的・肉体的負担を軽減させることができます

マタハラ中止の書面を作成してもらえる

マタハラの証拠が集まったら、企業にマタハラ行為をやめてもらうように書面を送ることができます。弁護士に依頼した際には、ハラスメント中止要求書や、ハラスメント差止依頼書などの書面の作成を代理で行うことができます。

企業と代理交渉ができる

書面での交渉が上手くいかない場合や事実確認の際、企業と直接交渉をしなければならない場合があります。マタハラをきっかけとして、降格・退職・雇い止めを行うことは違法なため無効です。しかし、企業はあらゆる手段を使って「マタハラがきっかけではない」ことを証明してきます。弁護士に依頼した場合、法的知識を活かして企業とあなたの間に入って交渉を行うことができます。あなたが人事や上司と直接交渉をしたくないという場合は代理交渉も可能なので精神的負担の軽減にもつながります。

マタハラで損害賠償請求ができる

マタハラが悪質な場合や、マタハラによって退職に追い込まれたなど損害が発生した場合はマタハラを訴えることができます。

その際の慰謝料相場は約50万円〜100万円といわれていますが、退職となってしまった場合には、慰謝料だけでなく、退職しなかったなら得られたであろう給与も請求することができ、これは非常に大きな金額になる可能性があります。

マタハラの損害賠償で慰謝料の請求などを行う場合は弁護士の力が必要不可欠になります。

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マタハラを弁護士に相談した場合の費用

悪質なマタハラやマタハラによって損害が発生した場合は、マタハラを訴えることができます。マタハラを訴える場合は弁護士の力が不可欠です。

弁護士費用の内訳は「相談料」「着手金」「報酬金」の3つで構成されており、マタハラを訴える際は損害賠償になるので、弁護士の相談費用は約50万〜100万円になります。

相談料

弁護士への相談量の相場としては、1時間あたり1万円が相場になります。事務所によっては30分刻みで受け付けているところもあり、その場合は半分の5,000円程度になるでしょう。

ただ、最近の傾向として相談料を無料にしている弁護士事務所も多いので、費用をそこまでかけたくないという場合は相談料無料の事務所を選んでいただくのがおすすめです。

着手金

着手金は、実際に弁護士に依頼した場合に発生する費用で、訴訟に勝っても負けても支払うことになります。相場としては10万円〜30万円の間になることが多いです。

もしも、慰謝料や損害倍賞を求めている場合は請求している額と実際に獲得できそうな額を聞いた上で、着手金を経済的利益の8%前後をとしているケースもあります。

経済的利益の額の例 着手金
300万円以下 8%前後
3000万円以下 5%前後

報酬金

報酬金とは、依頼していた事件が解決できた場合に支払う金額です。訴訟に勝った際は、弁護士に支払うことになります。報酬金の相場は、獲得した慰謝料などの金額の16%前後と言われています。

ただし、こちらも経済的利益の額によって変動します。着手金が安い代わりに成功報酬が高い、など、法律事務所によっても特徴がありますので、まずは無料相談を受け付けている事務所に相談してみてはいかがでしょうか。

その他費用

この他に、面談の際の相談料、書類作成費用、裁判所までの交通費などがかかります。弁護士に相談する際は、費用なども初めの段階に相談するよいいでしょう

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個人でもできるマタハラの対処法

マタハラにあった際、マタハラ解決のために個人でもできることがあります。この項目では、マタハラにあった際にすべきことをまとめました。

マタハラの証拠を集める

マタハラを相談する、訴える際には証拠が最も重要です。マタハラの証拠集めには以下のようなものがあります。

音声データ

マタハラ発言をICレコーダーやスマートフォンの録音機能を使って、記録に残しましょう。

メールやLINEの画面

マタハラがメールやLINEで行われていた場合は、マタハラ発言をスクリーンショットで保存したり印刷したりすることで証拠として残すことができます。

マタハラ被害をノートに記録する

マタハラ行為が音声や画面で残すことが難しい場合や、マタハラが長期に及ぶ場合はマタハラの被害記録をノートに残すことで証拠にすることができます。マタハラ被害記録ノートを作成する場合は

  • 「いつ」
  • 「どこで」
  • 「誰が」
  • 「何をして」
  • 「どう感じた」

などの5W1Hを意識して書くようにしてください。また、記録はボールペンなどの消えない筆記用具を使用してください。これは、改ざんなどがされていないことを証明するためです。

企業と交渉する

マタハラの証拠が集まったら企業とマタハラ中止の交渉をします。企業との交渉には、マタハラがあった事実を企業に報告・相談することがからはじめてください。

マタハラ被害がおさまらない場合は、マタハラの事実や中止のお願いを書面に起こし「ハラスメント中止要求書」として内容証明郵便で企業に送りましょう

内容証明郵便とは、送った書面の内容を郵便局が証明してくれるサービスです。内容証明郵便で送ることによって、企業は送られた書面を安易に無視することができなくなります。

労働基準監督署に申告

書面で交渉を行ってもマタハラが治らない場合は、労働基準監督署に労働基準法違反として申告をすることができます。マタハラの防止措置は企業の義務なので、怠った場合は労働基準監督署に申告ができるのです。

また、労働基準監督署の他にも各都道府県の労働局でもマタハラの相談や解決のためのあっせんを行うことができます
参考:雇用環境・均等部(室)所在地一覧

労働審判の申立

労働基準監督署でマタハラの解決が難しい場合は、労働審判の申立てを行うことができます。

労働審判とは、労働問題に対して専門知識を持った審判員2名と審判官1名が審議を行い原則3回の期日で終局(労働審判)をする制度です。 労働審判での判決に納得がいかない場合は、マタハラ訴訟に移行します。

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マタハラ(パタハラ)にあったら必ず相談

マタハラ(パタハラ)にあったら必ず相談

マタハラやパタハラにあったと思ったら、必ず相談することからはじめてください。マタハラを相談することは、あなたがマタハラ問題に対して解決しようと努力した証明にもなります。

また、マタハラ問題は決して我慢してはいけません。お母さんのストレスは、子供にとっても良いものではありません。周囲の人に相談し、マタハラの解決方法を考えていきましょう。

社内の相談窓口

現在多くの会社で、コンプライアンスやハラスメント相談窓口が設置されています。特にマタハラに関しては、平成29年1月1日より男女雇用機会均等法と育児介護休業法が改正されたことによって、企業はマタハラ防止措置とマタハラの相談窓口の設置が義務付けられました。

企業は、労働者からマタハラの相談を受けた場合、相談に応じないこと自体が違反となります。

社外の相談窓口

マタハラ問題を企業に相談しても取り合ってもらえなかった、社内に相談できる場所(人)がいないという場合は社外や公的機関の相談窓口を利用することもできます

また、厚生労働省の「女性にやさしい職場づくりナビ」ではマタハラの相談窓口の他、出産・育児休暇の計算方法なども紹介しています。

弁護士に相談

社内外の相談窓口に相談しても取り合ってもらえなかった、マタハラによって解雇や精神疾患の発症など損害が発生した場合は弁護士に相談することも可能です。

また、マタハラを訴えると決意した場合は損害賠償請求になりますので弁護士の力が必要不可欠になります。

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まとめ

マタハラ問題は、女性にとっては切っても切れない問題です。マタハラ問題は絶対に一人で抱え込んではいけません。弁護士も含め周りの人もどんどん巻き込みながら解決法を考えていきましょう

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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