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KL2020・OD・037
「この子、本当に自分の子供なのか……?」妻子を持つ男性の方々は、このように感じたことはないでしょうか。
思い返してみると……
筆者も親族の8割以上から「子供、全然似てないね!」「本当にあなたの子供なの?笑」と言われ勘ぐってしまったことがありました。
もし、本当に自分の子供でなかった場合、相当なショックでしょう。それまで、自分の子供だと信じて育ててきたのに。
浮気相手の子供を産み、血のつながりの無い夫に育てさせることをカッコウなど鳥の習性になぞらえて「托卵女子」と呼ぶこともあるようです。
そこで、実際にこのような問題に直面し、法律に基づいてこの問題に対処しようとした場合、どのような結果になるのでしょうか。
筆者が抱いたこのような疑問を、渋谷徹法律事務所の弁護士、渋谷先生に聞いてみました。
渋谷徹法律事務所 代表弁護士 渋谷 徹(東京弁護士会 所属) 1952年生まれ。新潟県出身。1990年に弁護士登録。 東京の文京区千駄木に事務所を構え、離婚、相続、交通事故など、民事事件を幅広く扱う。 |
ー自分の子供ではないことが分かった場合、子供の養育義務はあるのでしょうか?
渋谷弁護士)親子関係がないことが証明されれば、養育義務もないということになります。ただし、裁判所からのお墨付きをもらう必要があります。
つまり、「調停委員という第三者を介した家事調停」や「父親、母親両方から集めた意見や証拠をもとに裁判所が命令を下す家事審判」などで親子関係が存在しないということを証明し、裁判所に認めてもらう必要があるということです。
もちろん、父親と母親がお互いに「養育費を支払う必要はない。」と合意をしていれば、家事調停や家事審判をする必要もなくなります。
ー法的な手続きが必要になるんですね。具体的にはどのようなことをするのでしょうか?
渋谷弁護士)嫡出否認の調停、もしくは親子関係不存在確認の調整というものを申し立てることになります。
どちらも親子関係があるのか、ないのかをハッキリさせるための話し合いです。
それぞれの違いを簡単に説明すると、嫡出否認は子供が1歳になるまで、1歳以上の子供だった場合は親子関係不存在確認となります。
ー裁判所に親子関係がないと判断してもらうためには、何が必要になるのでしょうか?
渋谷弁護士)科学的な証拠が必要になります。みなさんご存知のDNA鑑定ですね。
血液型や生まれた日から逆算して行為があったのかどうかも考慮されますが、最終的にDNA鑑定は必ず行います。
DNA鑑定の結果によって、本当に自分の子供なのかどうかを判断することになります。
ー父親の養育義務がないことが認められ離婚も成立。そこで母親は子供の“本当の父親”に養育費を請求できるのでしょうか?
渋谷弁護士)養育費を請求することはできますが、まず本当の父親であることを確定するために、認知をしてもらう必要があります。
そして、認知をしてもらうためにはDNA鑑定が必要になります。
ここで問題となるのは、本当の父親が話し合いや調停への出頭に応じない場合です。調停では出席する義務がないので、本人がいなければDNA鑑定ができず親子関係があるかどうかの確認ができません。
ーその場合、母親はどうすることもできないのでしょうか?
渋谷弁護士)裁判を起こすというのが考えられますね。裁判には出席する義務があります。
しかし、裁判にも出てこないということも考えられます。その場合、母親の請求が認められるかどうかはケースバイケースですね。
ー父親が全く裁判に出てこなくても、全てのケースで勝訴とはならないんですね……。
渋谷弁護士)そうですね。出てきてもらってDNA鑑定をしなければ本当の父親であることの証明ができません。
恐らく裁判官は「母親の主張は本当であろう」という心証を持つと思いますし、裁判に出てこないということは「DNA鑑定をすると自分の子供であることが発覚してしまう。だから出てこないのでは?」という心証も持つと思います。
これは裁判官が持っている経験則の一つですが「裁判に出てない」ということだけで母親側の主張が全面的に認められるということはありません。
母親側の主張内容におかしなところはないか、話の内容に矛盾がないかどうかなども加味して最終的な判決を出すことになります。
ー様々な事情を総合的に考慮して判決を出すんですね。一度、母親の主張を認める判決が出た場合、相手は判決を受け入れるしかないのですか?
渋谷弁護士)相手側は不服を申し立てることができます。
その場合、裁判所も妥当性や整合性が認められると判断し、判決を下しているので根拠のある反論が必要になります。
そうなってくると、「親子関係が無いと主張するのですね。じゃあ確かめるためにDNA鑑定しましょうか。」となります。
ー過去にあった相談で親子関係の有無を争った事例はありましたか?
渋谷弁護士)ありましたね。依頼者は男性で、離婚後の親子関係がないことを証明するための家事調停でした。
依頼者の奥さんは依頼者と付き合いはじめる直前に前の彼氏との間にできた子を妊娠していて、依頼者もそのことを知っていました。
自分の子供ではないということを受け入れた上で結婚し、出産後も自分の子供として籍に入れ育てていたようです。
しかし、夫婦関係がうまくいかなくなり、子供が生まれてから約半年後に離婚することになりました。
その後、依頼者は別の女性と再婚することになり、新しい奥さんから「そういう子供であるなら関係をきれいにして欲しい。」と言われたようで、私のところにご相談・ご依頼いただきました。
ー結果はどのようになりましたか?
渋谷弁護士)依頼者の請求が認められ、親子関係がなくなりました。ただ、すぐには解決しませんでしたね。
ー簡単には解決しなかったんですね。どんなことがあったんですか?
渋谷弁護士)相手が調停に出てきてくれなかったんです。調停では答弁書というものを郵送で送ってもらうんですが、不思議なことに答弁書で相手は依頼者の主張を認めていました。
ただ、調停では相手が出席してもらえないと手続きが進められないんです。
「元夫と子供の間に親子関係が無いことは認めます。でも調停には出ません。」と。
これには困りました。
ーせめてもの抵抗をしたかったんですかね……。その後、どのように解決へと向かっていったのでしょうか?
渋谷弁護士)裁判所に対して相手の女性を説得してもらうよう働きかけました。
「このまま出てこないと調停不調になって裁判に移行することになります。裁判は出頭義務があるので、そうなると出てこないといけなくなりますよ。」と裁判所から伝えてもらいました。
最終的に調停案というものを相手に郵送し、それを承認してもらいました。
結果、裁判所が命令を下す審判によって親子関係は存在しないという結果を得ました。
ー調停一つとっても色々なことがあるんですね。例えば、子供と血は繋がっていない。妻とは離婚する。けれども子供の養育義務は受け入れ養育費を払っていく、というケースはあるのでしょうか?
渋谷弁護士)あり得るでしょうね。基本的に家庭の問題や親子の問題については本人同士の話し合いで決めるのが一番です。
どちらかに不服があって訴え出るのであれば裁判所が介入することになりますが、例えレアケースであったとしても本人同士で合意が取れているのであれば、裁判所が介入することはありません。
親子関係がないということが裁判所に認められれば、養育義務は発生しないということでしたが、相手が調停や裁判に出席してこないケースがあるというのが衝撃的でした。
当たり前のことですが、例え自分の子供でなかったとしても、決して子供に罪はありません。
人それぞれ事情は様々で、「そうしたくてもできない。」ということもあるかもしれません。
ただ、できる限り子供の幸せを第一に考えた上での選択をしたいものですね。
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KL2020・OD・037
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