熟年離婚と年金制度|熟年離婚の前に必ず知っておくべき年金のこと

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
熟年離婚と年金制度|熟年離婚の前に必ず知っておくべき年金のこと

日本には、離婚時に夫婦で年金を分け合う制度が存在します。熟年夫婦にとって年金は老後の大切な生活資金です。安心して老後の生活を送るためにも、年金制度についてしっかり理解しておきましょう。

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熟年離婚における年金制度の仕組み

はじめに、年金制度について説明したいと思います。

日本の年金制度は3階建て構成

現在、年金制度は3階建てで構成されています。以下の図をご覧ください。

企業年金 職域加算
国民基金 厚生年金 共済年金
 国民年金
 

1階=国民年金

1階部分は国民年金です。全国民に払う義務があるものです。平成28年の国民年金の金額は16,260円でした。通知書には国民年金保険料と記載されています。主に自営業者やフリーランス、社会保険に加入していないアルバイトの人、無職の人は1階部分のみ支払うことになります。

2階=厚生年金・共済年金

2階部分は厚生年金になっています。厚生年金は企業勤めの会社員や公務員等が支払う年金です。年金の半分は会社等が負担していますので、1階の国民年金より、支払う額が多い分、将来受け取れる年金額も多いのです。

3階=企業年金・共済年金職域相当部分

3階部分は企業年金や共済年金職域相当部分をいい、自分が勤めている会社に企業年金制度があれば強制加入することになりますが、企業年金が無い会社の方が多いです。

企業年金を払うことで、将来もらえる年金がさらに上乗せされますから、自主的に企業年金を払うことも可能です。個人型確定拠出年金に加入したり、民間の生命保険などで個人年金保険を掛けることもできます。

年金分割の対象者

日本の年金制度が3階建てになっていることがわかりましたね。ここで、年金分割制度を利用できる対象者について説明していきましょう。年金に加入している人は第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者の3つに分けられます。以下をご覧ください。

第1号被保険者
先ほどの年金制度の1階部分である国民年金のみを支払っている人のことをいいます
(自営業者やフリーランス、アルバイトなど)。
第2号被保険者
年金制度の2階部分である厚生年金共済年金を支払っている人のことをいいます
(企業の会社員や公務員で給料から厚生年金が天引きされている人)。
第3号被保険者
第2号被保険者の扶養に入っている人のことをいいます。例えば、夫の扶養に入り専業主婦をしている方は、夫が2号被保険者であることが条件です。

年金分割制度を利用できるのは、第2号被保険者と第3号被保険者になります。一度も厚生年金を支払ったことがない第1号被保険者は対象外です。簡単にいうと、厚生年金や共済年金を支払っている人が年金分割制度の対象者となるのです。

年金分割制度の2つの種類

対象者がわかったところで、年金分割制度の種類についてみていきましょう。年金分割制度には合意分割3号分割の2つが存在します。

合意分割

夫婦のどちらかが第2号被保険者であった場合、第1号被保険者もしくは第3号被保険者である相手に、自分の年金の最大50%を渡します。

ただし、この制度は2号被保険者が合意した場合のみ成立します。また、分割できる年金の上限が50%ですので、必ずしも50%で確定というわけではありません。

その中でどう年金を分割するのか夫婦の話し合いにより決定します。

3号分割

2008年4月1日から離婚成立日までの間に第2号被保険者が納めた厚生年金を第3号被保険者に渡すことを3号分割といいます。

例えば夫が第2号被保険者で、妻が夫の扶養に入っている場合は、妻は第3号被保険者になります。この場合、妻は夫の合意無しに夫の納めた厚生年金の50%を受け取ることができます。

※3号分割は、2008年4月以降に納めた年金分にしか適応しない制度です。ご自分が第3号被保険者であっても、2008年4月以前のものは必ず合意分割を行うことになります。

離婚時に分割した年金はいくらもらえるのか?

離婚時に分割した年金はいくらもらえるのか?

離婚をする際にどのくらい年金がもらえるのか実に気になるところだと思います。そこで、年金見込額の確認方法をお伝えします。

正確な額は年金事務所で確認

50歳以上の方であれば、年金分割のための情報請求書を提出した後に「年金分割を行った場合の年金見込額のお知らせ」が届けられますので、そちらで確認してみましょう。

情報請求書についてはのちほど詳しく説明します。

情報請求書を提供する際には、年金手帳(または基礎年金番号通知書)、戸籍謄本を準備して年金事務所に行きましょう。また、以下の年金ネットに登録するとインターネット上で分割前の年金見込額の確認ができます。

参照元:年金ネット|日本年金機構

自分で計算する場合の手順

計算式:夫の額面月給×6.6%×年金分割の割合×婚姻期間=年金見込額

妻が無収入である場合、こちらの計算式に当てはめて計算してみましょう。夫のボーナスは月割して加算します。

基本的には2分の1で分ける

合意分割を利用する場合、上限50%の中で決めることをお話しましたが、基本的には上限の50%で分けることが多いようです。

年金分割制度の手続き方法

それでは、実際に年金分割制度を利用する際の手続き方法を説明します。年金分割制度を利用できる期間は、離婚をした翌日から2年以内と決まっていますのでご注意ください。

合意分割の場合

情報提供通知書を用意

合意分割を利用する時は、はじめに情報提供通知書を用意しなければなりません。流れは以下の通りです。

情報提供請求書を作成する

作成した情報提供請求書を年金事務所に提出

提出する際は、年金手帳(または基礎年金番号通知書)、夫婦の戸籍全部事項証明書をご用意ください。情報提供請求書の提出後、約1ヶ月で情報提供通知書が送られてきます。希望であれば窓口での受け取りも可能です。

情報提供請求書を提出した際に先ほど説明した「年金分割を行った場合の年金見込額のお知らせ」が届きます。詳しいことは提出の際に窓口でお確かめください。

年金分割の割合を話し合う

情報提供通知書の準備が済んだら、夫婦間で年金分割の割合を話し合いましょう。年金をもらう側は、一般的に50%の割合で年金を分けている旨を主張しましょう。

決定したら年金事務所へ

話し合いにより年金分割の割合が決定したら、標準報酬改定請求書を用意しましょう(年金分割の割合を決定内容の通知書を請求するためのもの)。

用意ができましたら、年金事務所に提出しに行きましょう。年金事務所には夫婦2人で行くことが義務付けられていますが、一緒に行くことができない場合は委任状を用意して代理人を立てましょう。

代理人を立てた場合、夫婦のどちらかと一緒に年金事務所に行かなければなりません。

必要書類

年金分割の同意書・夫婦の戸籍謄本・年金手帳・標準報酬改訂通知書の4点を持って年金事務所へ行きましょう。提出後に標準報酬改定通知書が夫婦それぞれの元へ届きますので、こちらが届きましたら年金分割の手続きが終了したとお考えください。

3号分割の場合

2008年4月1日以降の分については、年金分割を請求する側が第3号被保険者の場合は3号分割を利用しましょう。夫婦の年金手帳・戸籍謄本を持って年金事務所に行ってください。情報提供通知書は必要ありません。

また、合意分割と3号分割の手続きを同時に行う場合は合意分割の手続きだけで大丈夫です。3号分割の分は自働的に適用されます。

決定しない場合は調停へ

話し合いで年金分割の割合が決定せず、揉めてしまった場合は調停の申し立てをする必要があります。詳しい手順はこちらに載っています。【年金分割を調停で争う場合に取るべき年金獲得の3つの行動

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専業主婦じゃなくても分割制度は適用されます

合意分割や3号分割を利用する場合、専業主婦だけが適用されるわけではありません。パターン別に説明しますので以下をご覧ください。

共働きの夫Aと妻B夫婦の場合

夫婦の両方が第2号被保険者だった場合は、結婚から離婚の間に得た夫Aの給与総額と妻Bの給与総額を比較します。この給与総額のことを対象期間標準報酬総額といいます。

夫Aの総額4,000万円、妻Bの総額が2,000万円だった場合、夫Aは妻Bに1,000万円を渡します。よって夫婦の対象期間標準報酬総額は3,000万円ずつになりました。

金額を比較した際に、多いほうから少ないほうへ保険料納付記録が分割されます。

また、結婚当初は夫婦の両方が第2号被保険者だったが、途中から2人共第1号被保険者になった場合は第2号被保険者の時の対象期間標準報酬額を計算し、分割することができます。

もし年金がもらえないなら

もし年金がもらえないなら

慰謝料や財産分与で賄うのも賢いやり方

もらえる年金がほとんど無いことがわかった時は、慰謝料や財産分与の方法を工夫してお金を手に入れましょう。慰謝料は必ずもらえるとは限りませんが、一方的に精神的苦痛を与えられた場合はもらえる可能性が高いです。

また財産分与の方法もやり方次第で変わってきますので、以下の記事を参考にしていただけけたらと思います。

【参考元】
離婚慰謝料の計算方法と慰謝料の相場|適正額を算出する手順
熟年離婚の財産分与|老後に損をしない為の財産分与の手順

まとめ

熟年離婚を決意したのなら、年金がどう分割されるのか、自分の手元にいくらの年金が残るのか気になることでしょう。

繰り返しお伝えしていますが、年金は老後も大切な生活資金です。もちろん年金に限らず、老後に安心して生活できるためにはどう資金を確保すべきかしっかりと調べることを行ってくださいね。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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