養育費を滞納する相手に対し強制執行する場合の流れと必要書類まとめ

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
養育費を滞納する相手に対し強制執行する場合の流れと必要書類まとめ

養育費の支払いがされなくなってしまった!というのは、離婚後によく起きるトラブルの1つです。よくあると言っても、養育費を受け取れないことで、経済的に苦しくなってしまうのではないのでしょうか?

実際に、養育費を途中から受け取っていない母子家庭は少なくありません。

養育費を滞納する相手に対し強制執行する場合の流れと必要書類まとめ

(参照元:平成23年度全国母子世帯等調査)

このように養育費を途中から受け取ることができなくなったらあなたはどうしますか?よく知られている対処法として、「強制執行」という方法があります。強制執行では以下のようなものが差し押えの対象です。

養育費を滞納する相手に対し強制執行する場合の流れと必要書類まとめ養育費の強制執行の場合、給料・預貯金等を差し押さえ、強制的に支払ってもらうことになります。では、強制執行の申立ての方法等をもっと詳しく見ていきましょう。

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養育費の支払いを強制執行する流れ

下の図のような流れで強制執行が行われます。

養育費を滞納する相手に対し強制執行する場合の流れと必要書類まとめ

もう少し詳しく見ていきましょう。

1:裁判所に申し立て

まず裁判所に申立てますが、どこの裁判所でいいわけではありません。相手方の所在地を管轄する裁判所又は相手方の勤務先の会社や預貯金を預けている銀行の所在地の裁判所になります。なお、申立てにあたっては執行力のある債務名義(法的権利の存在を公的に証明する文書)が必要となります。

銀行の口座が分からない場合、「弁護士会照会制度」を利用することで、相手の預金口座の有無・支店名・口座科目・預金残高の情報を知ることができる可能性があります。この制度を利用したい場合、離婚に問題につよい弁護士に相談してみましょう。

弁護士会照会とは、弁護士が依頼を受けた事件について、証拠や資料を収集し、事実を調査するなど、その職務活動を円滑に行うために設けられた法律上の制度(弁護士法第23条の2)です。個々の弁護士が行うものではなく、弁護士会がその必要性と相当性について審査を行った上で照会を行う仕組みになっています。

引用元:弁護士会照会制度

2:差し押さえ命令

裁判所は、差し押さえ命令の申立てを認めると、差し押さえ命令を相手方と相手方の勤務先の会社や預貯金を預けている銀行に送達されます。

3:取り立てを行う

給料を差押えした場合

給料を差押えした場合は、自分でその会社から支払いを受け取ります。給料を1度差し押さえると養育費の支払が終了するまで差押の効力が継続しますので、安定して養育費を受け取ることができるのです。

また会社によっては、自社から直接支払うのではなく、支払金を供託所に預け配当を任せる場合もあります。

養育費の場合は特別に最大手取額の1/2まで差し押さえることができます。また、将来の養育費の支払い分についても強制執行が開始できるのです。

銀行預金を差押さえた場合

銀行預金を差し押さえた場合、銀行は差押対象となる預金分を凍結します。1度にある程度まとまった金額が手に入るのがメリットですが、預貯金が口座にない場合は空振りになってしまう可能性もあるので、事前調査が必要です。

強制執行の申立てに必要な書類

強制執行の申立てに必要な書類

強制執行をする際に必要な書類を紹介します。有効期限がありますので、しっかり確認をしましょう。

申立書

申立書はA4の用紙を使用し、左に3㎝の余白を開け作成します。作成する書面は以下の4つです。

  • 債権差押命令申立書表紙
  • 当事者目録
  • 請求債権目録
  • 差押債権目録

これらを左綴じにホッチキスでとめ、各書面の間に契印を押し、各書面の上部欄外に捨印を押して完成です。

執行力のある債務名義の正本

債務名義の正本とは、以下のようなものになります。

  • 公正証書
  • 調停調書
  • 審判書
  • 確定判決

また、このような書に「支払わなかった場合は強制執行をします。」という文と、それを承諾する文章(執行文)を付与する必要があるのです。裁判所で決定したものに関しては、決定した裁判所に、公正証書の場合は公正役場での付与を申請します。

債務名義正本の送達証明証

送達証明証とは、相手にもしっかり債務名義正本が届きましたという、証明です。債務名義を作成した家庭裁判所,公証人役場に交付申請をすることができます。

関係者についての証明書

法人の資格証明書

給与を差し押さえる場合にこれらが必要です。入手については最寄りの法務局に相談してください。また、発行日から3ヶ月以内の物でないと無効になってしまいますので注意してください。

戸籍謄本

債務名義に記載されている氏名と現在の氏名が変わっている場合の身分証明のようなものになります。また住所が変わっている場合にも、その住所とのつながりを証明できるのです。

戸籍謄本は発行から1ヶ月以内のものでないと無効になります。

強制執行の申立ての費用

  • 手数料:4,000円

(※債権者,債務者が各1名,債務名義が1通の場合)

  • 切手

1,130円×2組

92円×1組

合計 2,352円

各裁判所や状況によっても切手の枚数が変わってきますので、申立てる裁判所に確認をしましょう。

強制執行する際の注意点

強制執行する際の注意点

強制執行する際に気を付けて欲しいことがいくつかあります。強制執行ができなかったり、無駄になってしまったりなどということにならないように気を付けましょう。

強制執行が可能かどうか確認する

養育費が支払われなくなって、いきなり強制執行をすることができるのは以下のような場合です。

・公正証書の離婚協議書に養育費の支払いについて・支払いがない場合は強制執行していいという旨が記載されている場合

・養育費の支払いが調停で成立している場合

・養育費の支払いについて審判で決定されている場合

協議離婚の末の口約束や、公正証書ではない離婚協議書で養育費の取り決めを行った場合は、審判や裁判を行い、支払いを命じる決定や判決が必要になります。

相手の状況を確認する

相手がいつの間にか、仕事を辞めていた、貯金も全くない、行方不明になってしまった、などの場合は強制執行しても意味がありません。そのため、相手の経済状況や所在地などの現状をはっきりと確認しておく必要があるのです。

強制執行の他にできる支払い請求方法

強制執行の他にできる支払い請求方法

強制執行のような強制力はありませんが、支払いを催促する方法はいくつか存在します。強制執行ほど費用も掛かりませんので以下のような方法も検討してみるといいかもしれません。

内容証明を送る

内容証明とは「いつ、誰から誰に、文章の内容」を証明する郵便形態です。このような郵便で養育費の支払いを催促すれば、後々「催告なんかされていない」という主張ができなくなります。

履行勧告を裁判所にしてもらう

履行勧告とは、裁判所で決めた調停や審判に従わない人に対して、裁判所から取り決めを守るように無料で説得したり勧告してもらったりすることができます。ただし、あくまで任意の履行を求める手続であるため、支払を強制することはできません。

まとめ

強制執行をするには多くの手続きが必要になりますが、今後のことを考えたら早めに強制執行を行い毎月の養育費を確保してしまった方が、生活が楽になるのではないのでしょうか。

また、このような裁判所に提出する書類の作成が面倒くさい場合は弁護士に書類作成の依頼をしてしまうのも1つの手段です。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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