交通事故で弁護士費用が払えない場合の5つの対処法を解説

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
交通事故で弁護士費用が払えない場合の5つの対処法を解説

「弁護士に依頼したいけどお金がない…」という方でも簡単に諦めてはいけません。

たとえ弁護士費用の支払いが困難でも、そのような方を救済する特約や制度なども設けられており、それらを活用することで費用負担を軽くすることができるかもしれません。また、事務所によっては分割払いなどに対応しているところもあり、弁護士探しに注力することで依頼先が見つかることもあります。

この記事では、弁護士費用が払えない場合の対処法や、特約・制度を利用する際のポイント、弁護士を選ぶ際のコツなどを解説します。

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交通事故で弁護士費用が払えない場合の5つの対処法

弁護士費用を払えない場合の対処法としては、主に以下の5つが挙げられます。ここでは、各対処法について詳しく解説します。

  • 弁護士費用特約を使う
  • 民事法律扶助制度を使う
  • 相談料・着手金が0円の事務所を探す
  • 分割払い・後払いが可能な事務所を探す
  • 交通事故裁判にて弁護士費用の一部を相手に負担させる

弁護士費用特約を使う

弁護士費用特約とは保険会社が一定の限度で弁護士費用を肩代わりしてくれるというもので、任意保険に付加されているオプションの一つです。弁護士特約を利用すれば自己負担0円で解決に至ることもあり、費用負担を軽減できるメリットは大きいといえます。

民事法律扶助制度を使う

民事法律扶助制度とは日本司法支援センター(通称:法テラス)が弁護士費用を一時的に立て替えてくれるというもので、法テラスが行っている制度の一つです。これはあくまで一時的な立て替え制度であるため、利用者は分割払いなどで返済することになりますが、今すぐ弁護士費用を準備できないという方には有効です。

また法テラスでは、民事法律扶助制度のほかにも「法律相談援助」として弁護士との無料法律相談(30分程度×3回まで)なども行っています。「とりあえず弁護士に話を聞きたい」という方は利用してみても良いでしょう。

相談料・着手金が0円の事務所を探す

弁護士に依頼する際は、以下の通り相談料・着手金・報酬金などの費用が発生します。

  • 相談料…弁護士に法律相談する際に支払う費用
  • 着手金…弁護士へ案件対応を依頼する際に支払う費用
  • 報酬金…弁護士に依頼した案件が成功に終わった際に支払う費用

しかし事務所によって料金体系は異なり、なかには初回相談を無料で行っていたり、完全成功報酬制として着手金0円に設定していたりするところもあります。なるべく初期費用を抑えたい方は、相談料・着手金が無料の事務所を探すのが良いでしょう。

分割払い・後払いが可能な事務所を探す

上記のほかに、支払い方法についても事務所ごとで対応はさまざまです。弁護士費用は一括で支払うのが通常ですが、なかには分割払いや後払いなどに対応しているところもありますので、これらの事務所を探すのも一つの手段です。

ただし、分割払いを選択したにもかかわらず支払いが滞ってしまった場合などは、弁護士による案件対応がストップしてしまったり、場合によっては辞任されたりする恐れもあります。もしスケジュール通りに支払うことが厳しいようであれば、速やかに連絡して事情を説明しましょう。

交通事故裁判にて弁護士費用の一部を相手に負担させる

交通事故の加害者から提示された金額に納得がいかない、受諾できないという場合は、民事訴訟手続等で請求することを検討せざるを得ません。なお、民事裁判で勝訴した場合、弁護士費用の一部を相手に負担させることができます(弁護士費用の全額を負担させられるわけではないことに注意しましょう)。

交通事故で弁護士費用特約を利用する際の3つのポイント

弁護士費用特約には利用条件や補償範囲などが定められています。滞りなく手続きを進めるためにも、ここでは利用時のポイントを解説します。

利用条件

まずは、どのようなケースで弁護士費用特約を利用できるのか紹介します。

対象者

弁護士費用特約の対象範囲は幅広く、たとえ事故の当事者が加入していなくても、配偶者や同居親族などが加入していれば利用することができます。以下は一例ですが、セゾン自動車火災保険では下記の通り補償対象を定めています。

補償の対象となる方
記名被保険者とそのご家族、またはご契約のお車に搭乗中の方が補償の対象となります。
なお、記名被保険者とご家族については、歩行中などに自動車事故の被害にあわれた場合も対象となります。

弁護士費用特約|おとなの自動車保険

引用元:弁護士費用特約|おとなの自動車保険

対象となる事故

弁護士費用特約では、下記のケースに該当すれば補償対象となり得ます。

  • 車を運転している際に起きた事故
  • 自転車を運転している際に起きた事故(契約内容によって異なります)
  • 歩いている際に起きた事故(契約内容によって異なります)
  • タクシー・バス・知り合いの車に乗っている際に起きた事故
  • 契約自動車に乗っている際に起きた事故

補償範囲

保険会社は、以下の費用を補償範囲としています。ただし実際のところは、各保険会社で細かく限度額を設定しているケースがほとんどですので、詳細については契約保険会社に確認するのが確実です。

補償対象となる費用

限度額

  • 弁護士・司法書士への相談料
  • 司法書士・行政書士への書類作成費用

10万円まで

  • 弁護士報酬
  • 司法書士報酬
  • 訴訟費用
  • 仲裁・和解・調停の際に要した費用

最大300万円まで

限度額を超える部分については自費で賄うことになりますが、「重大な後遺障害が残った」「被害者が死亡した」などのケースを除き、実際に超えることはほぼないようです。また、特約を利用することで保険料や等級が変わることもありませんので、心配せずに利用しましょう。

利用時の流れ

弁護士費用特約を利用する際は、以下のような流れで行うのが通常です。

  1. 保険会社に「弁護士費用特約を使いたい」という旨を連絡する
  2. 弁護士を探したのち保険会社に伝える
  3. 保険会社と弁護士で支払い対応が行われる

保険会社に連絡を入れれば、あとの支払い対応は保険会社が行ってくれるため、特に面倒な手続きは必要ありません。利用にあたって、保険会社によっては「○○弁護士に依頼すると良いですよ」などと勧められることもあるようですが、通常は自分の好きなように選ぶことができます。

また、もし弁護士の対応に不満があるような場合には、ほかの弁護士へ変更することもできます。しかし弁護士を変更するには、保険会社とのやり取りや業務の引き継ぎなどに時間が取られる上、新たに着手金なども発生しますので、安易に変更するのは避けた方が良いかもしれません。

交通事故で民事法律扶助制度を利用する際の3つのポイント

民事法律扶助制度についても利用条件などが定められています。ここでは、民事法律扶助制度を利用する際のポイントを解説します。

利用条件

主な利用条件としては、以下の3点が挙げられます(なお、当然ですが依頼先の代理人が制度利用について同意することも条件です)。

収入・資産が一定額を下回っていること

収入と資産について、ともに以下の基準に当てはまる場合は利用できます。

<収入の基準額>

人数

月収の基準(※1)

家賃または住宅ローンを負担している場合に加算できる限度額(※2)

1人

18万2,000円以下
(20万200円以下)

4万1,000円以下
(5万3,000円以下)

2人

25万1,000円以下
(27万6,100円以下)

5万3,000円以下
(6万8,000円以下)

3人

27万2,000円以下
(29万9,200円以下)

6万6,000円以下
(8万5,000円以下)

4人

29万9,000円以下
(32万8,900円以下)

7万1,000円以下
(9万2,000円以下)

※1:( )内は東京・大阪などの大都市の場合
※2:申請者が家賃または住宅ローンを負担していれば月収の基準に加算可能

<資産の基準額>

人数

資産合計額の基準(※)

1人

180万以下

2人

250万以下

3人

270万以下

4人

300万以下

※医療費や教育費などの出費がある場合は一定額が控除

勝訴の見込みがないとはいえないこと

和解・調停・示談などの手段によって、トラブルが解決する可能性があるのであれば、利用することができます。例として「かすり傷しか負っていないが、慰謝料として5,000万円請求したい」のように、明らかに被害状況と請求内容が見合っていないケースなどは利用できません。

民事法律扶助の趣旨に適すること

法テラスは、あくまで被害者救済のために各種サポートを行っています。そのため、それに反するような、復讐・嫌がらせ・宣伝などを目的として弁護士に依頼するようなケースでは利用できません。

補償範囲

民事法律扶助制度では、相談料・着手金・実費(裁判費用や交通費など)について一時的に立て替えてもらうことができます。また法テラスでは、以下のように立替額の例も提示されています。

代理援助

実費

着手金

立替額合計

500万円の訴訟

35,000

220,000

255,000

金銭的請求のない離婚訴訟

35,000

231,000

266,000

債権者10社の自己破産申立

23,000

132,000

155,000

訴状作成

15,000

27,500

42,500

自己破産申立書類作成

17,000

88,000

105,000

この制度を利用した場合、利用者は分割払いで弁護士費用を返済していくことになりますが、支払い額は毎月1万円というのが通常です。ただし、どうしても支払いが難しいような場合には、毎月5,000円での返済が認められることもあります。

利用時の流れ

民事法律扶助制度を利用する際は、以下のような流れで行うのが通常です。

  1. 審査書類を準備する(給与明細など資力を証明できる書類・世帯全員の住民票・印鑑など)
  2. 法テラスによる審査を受ける
  3. 審査通過すると援助開始決定が下されて費用立て替えが行われる

なお利用にあたっては、以下の2パターンがありますので知っておきましょう。

まず一つ目は法テラスの法律相談援助を利用したのち、法テラスから紹介された弁護士に対して民事法律扶助制度を利用して依頼するというものです。ただしこの場合、必ずしも交通事故トラブルの対応に慣れている弁護士が紹介されるわけではありませんので、期待通りの結果を獲得できない可能性もあります。

二つ目が法テラスに加入している弁護士を自分で探したのち、民事法律扶助制度を利用して依頼するというものです。この場合、弁護士を探す手間はかかるものの、自分で交通事故トラブルを得意とする弁護士を選んで依頼することができますので、スムーズな問題解決を望むのであればおすすめです(ただし、依頼先の代理人が扶助制度の利用に同意するとは限りませんので、留意してください)。

交通事故で弁護士に依頼する際の選び方

弁護士に依頼して納得のいく結果を得るためには「依頼内容に合った弁護士」を選ぶのが適切です。「着手金無料」「分割払い可能」といった費用面だけをみて依頼するのは避けましょう。ここでは、交通事故トラブルにおける弁護士の選び方を解説します。

交通事故トラブルの解決を得意としている

確かに弁護士は法律の専門家ではありますが、法律問題は多岐に渡ります。一例を挙げると、交通事故・離婚・相続・刑事事件・企業法務などがあり、弁護士だからといって全分野の法律問題に長けているわけではありません。

特に交通事故については医療知識なども必要となります。対応経験がなく知識も浅い弁護士に依頼してしまうと、本来であれば獲得できたはずの金額が受け取れない可能性もあります。依頼にあたっては、解決実績や執筆書籍などをもとに、交通事故分野に注力している弁護士を選びましょう。

説明の仕方がわかりやすい

弁護士に依頼して円滑に案件対応を進めてもらうためには、依頼者と弁護士でしっかりコミュニケーションを取ることが重要です。また交通事故トラブルにおいては、後遺障害・逸失利益といった専門用語が使われますが、依頼者としてもこれら専門用語についてある程度理解しておく必要があるでしょう。

もし依頼した弁護士の説明が難しく、何を言っているのかわからないような状態であれば、互いにとって必要な情報を共有できずに解決が長引く恐れもあります。スムーズに問題解決に至るためにも、依頼時は依頼者目線に立ってわかりやすく説明してくれる弁護士を選びましょう。

事務所によっては無料相談なども対応していますので、一度利用して実際の対応内容を確認するのも有効でしょう。

過去に懲戒処分の経験がない

弁護士のなかには、過去に問題を起こしてしまって懲戒処分が下された方もいます。懲戒処分を受けたからといって、なにかトラブルに巻き込まれるというわけではありませんが、少しでもリスクを避けたいのであれば、過去に懲戒処分の経験がない弁護士を選びましょう。

懲戒処分歴については「弁護士懲戒処分検索センター」より確認できますので、気になる方はご覧ください。

弁護士の選び方については以下の記事でも解説していますので、参考としてご覧ください。

交通事故トラブルについて弁護士を探すなら『あなたの弁護士』がおすすめ

今ではインターネットで弁護士を探すのも主流となってきましたが、いまや多くの弁護士が事務所HPを構えています。また事務所ごとに対応体制もそれぞれ異なりますので、これまで弁護士に依頼したことがない方にとっては、依頼先を絞り込むだけでも一苦労でしょう。

なるべくスピーディに弁護士を探したいという方には、当サイト『あなたの弁護士』をおすすめします。

『あなたの弁護士』では、交通事故トラブルに注力している弁護士を掲載しており、初回面談無料・着手金0円・分割払い可能・後払い可能など、希望条件ごとに絞り込んで検索することができます。

また対応地域ごとに弁護士検索をかけることもできますので、お住まいの地域で相談可能な弁護士を調べることも容易です。さらに検索結果からは、営業時間・解決事例・弁護士費用などの詳細情報も確認でき、複数の事務所を比較検討したい方にもおすすめです。

まとめ

弁護士費用が支払えない場合でも、記事内で紹介した利用条件に該当するのであれば、弁護士費用特約民事法律扶助制度などを利用して費用負担を軽くすることができます。また「依頼時点でかかる費用を抑えたい」という方については、着手金0円・分割払い・後払いなどに対応している事務所を探すのも有効です。

『あなたの弁護士』であれば、交通事故トラブルに注力している弁護士を探せるだけでなく、支払い方法ごとに絞り込んで検索することもできますので、まずは一度利用してみることをおすすめします。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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編集部

本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。

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