交通事故の示談の流れとその際の損害賠償増額のための注意点まとめ

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
交通事故の示談の流れとその際の損害賠償増額のための注意点まとめ

交通事故の被害者になってしまった場合、補償処理は被害者・加害者ともに避けられない途です。このような補償処理は当事者同士の話し合いで決まる「示談」か、示談の内容に納得できなければ裁判所を通じて「訴訟」を行うことになります。しかし90%以上のケースが示談になっています。そこで今回は交通事故発生から示談まで、どのような流れで進むのか、そして示談の際に弁護士に依頼をするべきか否かの判断基準をお伝えします。

交通事故における示談について

交通事故が発生したあとに、被害者は加害者に対して交通事故により発生した精神的そして肉体的な不利益を損害賠償として請求することができます。損害賠償の内訳は通院に費用や、事故で働けずその間収入が減ってしまったことに対する損害、さらに慰謝料などを含みます。

慰謝料を請求する方法は「示談」と、裁判所を通じて行う「訴訟」や「調停」がありますが、ここでは「示談」に関して説明を行います。

示談の概要

示談とは交通事故に限らず、不法行為によるトラブルの当事者同士が話し合いにより和解をすることを言います。このときの話し合いで加害者が被害者に対して行う損害賠償の支払額や支払い時期が決まります。損害賠償の支払額や支払い時期に被害者、加害者共に納得すれば、その内容を「示談書」に記載し双方がサインをして示談が成立します。

示談をするメリット

示談は訴訟や調停に比べ、手間や費用を安く抑えることが出来る点がメリットです。

事故発生から示談までの流れと注意点

では、実際に事故発生から示談までの流れを具体的に見ていきましょう。ただし各ステップで、示談の際の損害賠償額に大きく影響を与えるポイントがありますので、それも併せて記載します。

①交通事故発生

交通事故の被害にあった際、まずは加害者の住所や電話番号、名前等を確認しておきましょう。住所は引っ越しを行っている場合もあるので本籍まで確認できていればさらに良いです。また車での事故の場合は加害車両の車両ナンバーも控えておいてください。この時車両の運転者に損害賠償の支払い能力が無い場合、車の所有者に請求をすることができますので、車の所有者を調べておくことも重要になってきます。なお、きちんと警察を呼んで対応すれば、これら情報は事故証明書を通じて確認可能です。そのため、警察を呼ぶことは必須です。

物損事故か人身事故かに注意する

交通事故発生後、連絡を受けた警察官が現場に来て、事故の状況などを詳しく調べ、実況見分調書などに事実を記載します。このときに事故が物損事故か、人身事故かに注意してください。この違いによって請求できる損害賠償額が大きく変わってきます(物損事故で処理しても、後日、人的損害について補償を求めることは可能ですが、適正に処理するのであればケガをしていれば人身事故として処理しましょう。)。

人身事故と物損事故の違いは以下の通りです。

人身事故

交通事故の被害者がケガを負う、もしくは死亡する

物損事故

交通事故によって物品(車や衣服など)が破損する

また人身事故か、物損事故かによって損害賠償額が違ってきます。損害賠償額は大きく分けると以下の4つに区別することが出来ます。

①積極損害

積極損害は事故の影響でケガを負った際の治療費や入通院費の損害賠償。

②消極損害

消極損害は事故の影響によりケガを負う、もしくは後遺障害によって労働能力が低下してしまった場合に、その収入が減少した利益に対する損害賠償。

③慰謝料

慰謝料は、事故によって発生した被害者の精神的な負担に対する損害賠償。具体的には入通院慰謝料や後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3つを指す。

④物的損害

車両の修理、買換や代車使用等の損害。

人身・物損事故の場合はこのうち①積極損害②消極損害③慰謝料④物的損害を損害賠償として請求することが出来ますが、物損事故であれば④物的損害に対してのみしか損害賠償を請求することができません。

事故が発生した時に体に異変がなくても、後日ケガ痛みが現れる場合もありますので注意が必要です。もし物損事故として扱われても、後日医者に行ってケガの治療を行った場合、診断書をもらって警察に届ければ人身事故として扱ってくれます。

②通院、入院による治療

事故の被害者にとって入通院の費用は大きな負担となりますが、多くの病院では治療費を加害者側の保険会社に請求してくれます。なお、保険会社が負担を拒む場合、健康保険を適用して支払うのが適切でしょう。

病院側が保険の適用を拒否することがありますが、基本的に病院側にそのような権利はありません。被害者が第3者行為の届け出(全国健康保険協会が加害者側の保険会社の代わりに治療費を払うための届け出)を提出し、その旨を伝えれば健康保険を適用することができます。

後遺障害の等級認定は治療中から始まっている

入通院や治療費等は損害賠償により基本的には全額負担してもらえます。しかし後遺症害が残ってしまった場合は、後遺障害の等級の有無及び程度によって補償される額が違ってきます。後遺障害等級の認定は、症状固定時(病院で治療を受けてそれ以上回復が見込めない状態)の状態を基本に判断されますが、当該判断の考慮要素には事故後の診断状況、愁訴内容、治療経過も含まれます。したがって、後遺障害等級まで申請したいという場合は、整骨院で治療を受けるより、外科や整形外科に行く方が適切でしょう。

③症状固定

以前にも記載した通り、症状固定とは事故によって負ったケガの回復がそれ以上見込まれないことを言います。ケガが完治していれば問題がないですが、症状固定後にも何らかのケガの症状が残っており、同症状についても補償を求めたいという場合は、加害者の自賠責保険に申請を出して後遺障害の認定を受ける必要があります。

症状固定のタイミングに注意

加害者側の保険会社によっては、早期に症状固定を打診してくるケースがあります。事故の被害者の治療費は、基本的に症状固定までは加害者側の保険会社が支払います。症状固定が早ければ早いほど加害者側の保険会社の治療費負担が少なくなります。つまり加害者側保険会社には早期に症状固定を打診するインセンティブがあるのです。しかし、症状固定の時期は、保険会社が決めるものではなく、医師が患者の状況を見て決めるものです。そのため、当該打診をされた場合でも、治療を続けるべきか辞めるべきかを主治医と相談しましょう。詳しくは「症状固定は誰が決めるのか|被害者が知るべき症状固定のタイミング」を確認してください。

④後遺障害の等級認定

症状固定時に残存した症状が後遺障害と認められれば損害賠償額に大きな影響を与えます。例えば、当該認定を受ければ、将来の収入の低下分を「後遺障害による逸失利益」として加害者に請求できます。また後遺障害は普段の生活にも影響を与えます。その精神的な損害を「後遺障害慰謝料」として加害者に請求することができます。

後遺障害の損害賠償は認定が必要

症状固定後に残った症状を「後遺症」と呼びますが、後遺症によって「後遺障害慰謝料」「後遺障害による逸失利益」が認められるには申請をして「後遺症」の状態が「後遺障害」であると認定を受けなければなりません。また認められた後遺障害の等級によって損害賠償額が変わってきます。

ここで後遺症と後遺障害の違いを以下に挙げておきます。

後遺症

治療を続けても回復の見込みがない症状一般のこと

後遺障害

労働能力の喪失が見込まれる後遺症として各等級に区分されたもの。

「後遺症」が「後遺障害」として認定されるには、加害者自賠責保険に申請を出さなければなりません。申請には「事前認定」と「被害者請求」の2つ方法があります。事前認定は加害者の任意保険会社が手続を代行してくれます。被害者請求では被害者自身で必要書類を揃えて申請します。被害者が何もしなければ、事前認定で処理されます。なお、後遺障害に認定されなかった、もしくは認定されても等級に不満がある場合は、異議申し立てを行うことができます。後遺障害の申請方法と認定については「後遺障害の申請方法と被害者請求で有利な審査結果を得る方法」を確認してください。

⑤示談交渉

症状固定や後遺障害の認定が終わってから示談の交渉を始めることをお勧めします。事故から症状固定までの期間や後遺障害の認定等級によって損害賠償額が変わってくるからです。またこの示談交渉では損害賠償額の内訳や、賠償額支払いの期限や方法を加害者と被害者で話し合って決定します。

加害者の保険会社の提示する損害賠償額は相場よりも安い

加害者の保険会社は損害賠償額をできるだけ低く抑えようとしてきます。保険会社も利益を上げなければなりませんが、支払う損害賠償額が少なければその分保険会社の売り上げにつながるからです。また保険会社の提示する損害賠償額が相場よりも安く設定する根拠は、保険会社の損害賠償額の基準が「自賠責保険基準」「任意保険基準」を用いるためです。

損害賠償額には「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つの基準があります。以下にそれぞれの

特徴を記載しておきます。

自賠責基準 車やバイクを持てば強制的に加入する自賠責保険の基準。被害者のための最低限の補償しかせず3つの基準の中で賠償額が最も安い。
任意保険基準 民間の保険会社が独自に定めた基準。相場として3つの基準の内2番目に賠償額が安い。
弁護士基準 過去の判例を基にした基準。別名裁判所基準と呼ばれる。3つの基準の内で賠償額が最も高くなる。

過失が0:10の時は、保険会社は対応しない

交通事故の過失割合が、被害者:加害者=0:10の場合、被害者側の保険会社は加害者に対する損害賠償が一切発生しないため、示談代行する根拠を欠いており、交渉において何もしてくれません。そうなれば被害者側の保険会社と被害者本人のみで示談交渉を行わなければなりません。

⑥示談成立

加害者側の保険会社が提出した示談内容に納得すれば、示談書にサインをして示談成立となります。

示談の内容は1度決定すると変更不可

もし示談後に事故を原因とした体の不調が起こり入通院に費用が掛かる場合や、示談金の内訳を改めて確認した際に認識違いがある場合でも、示談成立後に賠償額などの変更を行うことは不可能です。示談成立の際には賠償金額や支払い方法などをしっかり確認することをお勧めします。

示談の際に弁護士に依頼するか否かの判断基準

今まで事故発生から示談成立までの流れを説明してきました。示談の交渉は面倒な上、時間もかかります。また弁護士に依頼をすれば損害賠償額が大幅に上がる可能性があります。しかし弁護士に示談の依頼をすれば弁護士費用が掛かることも事実。弁護士に依頼をし、増加した分の損害賠償額より弁護士費用の方が高ければ意味がないかもしれません。そこでここでは弁護士に依頼をするべきか否かの判断基準をお伝えしたいと思います。

弁護士特約に加入している

被害者の加入している保険に弁護士特約がついていれば保険会社にもよりますが、弁護士費用を300万円まで保証してくれます。また人身事故における弁護士費用の相場は回収額×10%+20万円となっています。事故で被害が軽いケガであるならば、弁護士費用は弁護士費用特約の範囲内で収まります。また損害賠償額が大きくなっても損をすることはありません。また多くの方が、保険会社が推薦する弁護士のなかから選ばなければならないと考えているようですが、弁護士は自ら選ぶことができます。ぜひご自身の信頼する弁護士や、交通事故の示談を得意とする弁護士に相談することをお勧めします。

事故の過失が0:10である

先述したとおり、交通事故の過失割合が被害者:加害者=0:10である場合、被害者側の保険会社は示談交渉のために何もしてくれることはありません。そうなれば示談交渉に必要な書類をすべて被害者自身で集める必要があります。また加害者側の保険会社が提示した損害賠償額が妥当なものか不当なものか全て自身で判断しなければなりません。そうなれば加害者側の保険会社の担当は示談のプロですから、被害者にとって不利な内容で示談を迫ってくる可能性もあります。そうなれば得られるべき損害賠償額も少なくなりますから、弁護士に依頼することがおすすめです。

示談のための時間が取れない

示談の交渉には大変な手間と時間がかかります。普段の生活や仕事等で忙しく保険会社とキチンと示談交渉をするための時間が取れない方もいらっしゃると思います。また症状固定後も後遺症が残ったため、そのリハビリ等のために時間や手間を示談交渉にかけられない方もいるでしょう。そのような方も弁護士に示談を依頼することをお勧めします。

弁護士に示談を依頼するメリット

ではここで弁護士に依頼することのメリットを紹介します。

示談金の増額が見込める

先述した通り、保険会社の提示する損害賠償金は「自賠責保険基準」「任意保険基準」を用いて計算されるため相場より安い可能性が高いです。弁護士に示談を依頼すれば「弁護士基準」を用いて損害賠償額を算出するため保険会社の提示した額よりアップすることが見込まれます。少しでも損害賠償額に不明な点がある場合は弁護士に依頼をするのがよいでしょう。

煩雑な作業を回避できる

示談交渉では被害者と加害者両方が納得できる損害賠償額を落としどころとして見つけなければなりません。またそのための必要書類を揃えなければなりません。弁護士に依頼をすれば示談の交渉に必要な書類は的確に指示を出してくれます。そうすれば示談交渉にかかる面倒な手間を省くことが出来ます。

まとめ

ある日突然被害者にも加害者にもなってしまう可能性のある交通事故。もし被害者になった時の示談交渉は自身で行うより弁護士に依頼をした方が手間も省けて、損害賠償額も大幅に上がります。最近では相談だけならば無料で受けてくれる弁護士も増えてきています。積極的に弁護士に示談交渉を依頼しましょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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