出張中にレンタカーで事故! 会社に支払い義務はないの?

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琥珀法律事務所
川浪 芳聖
監修記事
出張中にレンタカーで事故! 会社に支払い義務はないの?

国内出張では会社了解のもと、レンタカーを借りることがあります。公共交通機関が整っていない地域では移動手段が限られるため、たとえ運転に自信がなくても、車に乗らざるを得ません。

事故を起こしてしまった行方さん

会社員の行方さん(仮名)は、青森県に出張した際、レンタカーで物損事故を起こしてしまいます。ペーパードライバーで運転する機会が少ない行方さんでしたが、仕事が遅くなることや、移動手段が限られるなどの理由から、借りざるを得ませんでした。

嫌な予感を抱えていた行方さんは安全運転を心がけたものの、少し慣れたところで気が緩み、ガードレールに衝突する事故を起こしてしまいます。そしてレンタカー会社から10万円の修繕費を請求され、とりあえず自腹で支払ったそうです。

自分の不注意とはいえ勤務中の事故、しかも「嫌々」車を借りたわけですから、費用を会社に請求します。しかし会社は「事故を起こしたのはあなた。自己責任で」と断られてしまいました。

納得のいかない行方さん。会社の対応に問題はないのでしょうか?詳細を琥珀法律事務所の川浪芳聖弁護士に伺いました。

弁護士の見解は?

川浪弁護士:

「結論として、会社は、出張中にレンタカーの利用を予め禁止していたという事情や従業員が意図的に物損事故を起こしたという特段の事情がない限り、従業員による請求に一部応じざるを得ないと考えます。

まず、物損事故を起こした男性(以下「従業員」といいます)は、同事故について故意・過失がある限り、レンタカー会社(レンタカーの所有者)に対して、不法行為に基づく損害(修繕費)賠償債務を負います(民法709条)。この場合、従業員が業務執行にあたってレンタカーを利用していた以上、会社もレンタカー会社に対して使用者責任に基づく損害賠償債務を負います(民法715条)。この二つの損害賠償債務は「不真正連帯債務」と呼ばれ、従業員又は会社のいずれか一方が被害者であるレンタカー会社に損害を賠償した場合には、もう一方はレンタカー会社に対する賠償義務を免れるという関係にあります。」

問題になるのは…

「民法は、①会社(使用者)がレンタカー会社(被害者)に対して損害を賠償した場合には、会社は事故を起こした従業員(被用者)に対して、賠償金の償還を求めることができる旨を規定していますが(民法715条3項)、②従業員(被用者)がレンタカー会社(被害者)に対して損害を賠償した場合について、従業員が会社(使用者)に対して賠償金の償還を求めることができる旨を規定していません。本件は規定がない②の場合に該当しますので、請求が認められるのかが問題となるわけです。

この点について、「規定がない以上、請求は認められない」という考えも成り立ち得るところですが、令和2年2月28日に最高裁は「被用者が使用者の事業の執行について第三者に損害を加え、その損害を賠償した場合には、被用者は、諸般の事情に照らし、損害の公平な分担という見地から相当と認められる額について、使用者に対して求償することができる」と判示し、規定がなくても、会社に対する請求は一定の範囲で認められると明確に判断しました。

したがって、本件についても、従業員の会社に対する修繕費の負担請求は原則として一定の範囲で認められるということになります。ただし、会社がレンタカーの利用を明確に禁止していたにもかかわらず、従業員がその禁止命令に反して、必要性もないのにレンタカーを利用した場合や従業員が飲酒運転・危険運転をした場合、故意に事故を起こした場合等のように従業員の責任が大きい場合には、会社に対する修繕費の負担請求は認められないか、認められるとしてもその範囲は僅少になると考えられます。

なお、従業員の会社に対する請求は、従業員が被害者であるレンタカー会社に対して既に賠償金を支払っていることが前提となります。従業員がレンタカー会社に対して賠償金を支払っていない段階で会社に請求しても、同請求は認められないことに注意が必要です」

会社と話し合いを

レアケースではありますが、出張でレンタカーを借りる際には、仮に運転に自信があったとしても事故のリスクはつきまといます。

「事故を起こしたらどうするのか」について、会社と話し合ったうえで借りることが、ベターかもしれませんね。

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この記事を監修した弁護士
琥珀法律事務所
川浪 芳聖
解決には至ったものの「質問したくても質問しにくい雰囲気でできなかった」などの不満を度々耳にします。このような不満を抱かせないように、依頼者さんの話をじっくり聞いて、丁寧に説明することを心がけています。

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