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KL2020・OD・037
労働基準監督署は全国321署にあり、企業の法律違反から労働者を守る、『最も身近な相談窓口』としての役目を果たしています。あなたの働いている企業が契約に反して過酷な労働を課していたり、残業代を支払わなかったりする場合は労働基準監督署に相談しましょう。
この記事では、労働基準監督署に相談すべき内容とそうでない内容、具体的な相談方法や解決までの流れを紹介します。
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目次
まずは、労働基準監督署に相談すべき内容とそうでない内容をはっきりさせましょう。実際に相談できるのは労働に関する法律違反のみです。とはいえ、法律については知識がない方も多いでしょう。
相談すべき内容とそうでない内容を具体的にあげて紹介していきますので、自身にあてはまるものがあるか確認してみましょう。
労働基準監督署に寄せられる相談の多くが、労働基準法違反に関するものです。一言に労働基準法といっても、色々な決まりがありますので、以下に自分にあてはまるものがあるか確認してみましょう。
上記であげた内容はあくまで代表的な例です。上記に該当しない場合でも、法律違反に該当しそうな場合は相談することをおすすめします。
従業員や会社とのトラブルで、慰謝料請求や内容の撤回を求めるのであれば、弁護士に依頼してしまった方が、早く解決する可能性があります。例えば以下のようなケースです。
労働問題解決の得意な弁護士へ相談してみましょう。
労働基準監督署に相談するとどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
具体的なメリット・デメリットを確認した上で、自身の悩みの場合、本当に労基署に相談するのが最良な選択なのかを改めて考えてみましょう。
ここでは労働基準監督署に相談するメリットについてご紹介します。
労働基準監督署は厚生労働省の第1線機関であり、国が運営しているため、営利目的の組織ではありません。
そのため、労働者は無料で労働基準監督署に相談できます。
無料で相談できることは労働者にとって大きなメリットといえるでしょう。
労働者からの相談内容を労基署が法令上問題のある事案であると判断した場合、企業に対して注意や指導、是正勧告を行います。
労基署の行動により、企業が労働者の相談した問題に対して、適切な対応を行うようになるケースも少なくありません。
残業代の未払いや労災隠し、有給の取得拒否、不当解雇等の問題を解決できる可能性があります。
企業が労働基準法等の法律違反を犯している場合、労働者側から無料で解決できる方法があることは大きなメリットです。
労基署への労働者からの相談に応じてくれるのは、労務関係の法律に詳しい職員です。
相談に応じてくれる労基署の職員は、日々企業の監督活動を行っているため、労務関係の法律に詳しいケースがほとんどです。
相談した内容に対する自身の会社の対応は法律違反なのかどうかを確認する意味合いでも、労基署に相談するメリットは大きいでしょう。
ここからは労働基準監督署に相談するデメリットについてご紹介します。
労基署は刑事的な捜査権限を持ちますが、法律違反を犯している証拠の有無や違法性の程度等を総合的に考慮した上で、捜査を決定します。
そのため、具体的な証拠もなく捜査をお願いしたところで、証拠不十分で相手にされないこともあるでしょう。
そもそも、企業が法令違反を犯していないと考えられる場合も捜査を求めることは難しいでしょう。
労基署には日々、多くの相談が寄せられます。
労基署の職員数も限られているため、より悪質な法律違反を犯している事案の相談が寄せられている場合、自身の相談内容より優先的に対応されるケースもあります。
もし法律違反の程度が軽いものだと判断された場合、後回しになり、即座に対応を行ってもらうことが難しいこともあるでしょう。
労働基準監督署は刑事的な労働関係の法令違反に対して、司法警察事務業務の一環として捜査や差し押さえ、逮捕等の権限を持ちます。
しかし、民事的な損害賠償請求や残業代請求等について相談しても、労基署が支払い義務等について命令を行うことはありません。
民事的な事案に関して労基署が出来ることは、あくまで注意や指導、是正勧告までに留まるでしょう。
相談方法はいくつかありますので1つずつ紹介します。匿名での相談も可能ですが、匿名の人より実名で相談した人の相談の方が対応を優先する傾向にあるようです。
ひとまず相談してみたい方は、電話相談をするのがおすすめです。厚生労働省のホームページから監督署の所在地を確認し、自身の職場、もしくは自宅に一番近い署に連絡するのがよいでしょう。
他にも、厚生労働省の「労働条件相談ほっとライン」という電話相談窓口もあります。
労働条件に関する悩み等はこちらを利用すると良いでしょう。
『緊急性はないものの、とりあえず相談をしたい』という人はメールでも相談も可能。優先度が低くなってしまう可能性はあるものの、手軽に相談できる上に、伝えるべき内容をきちんとまとめてから相談できるところが魅力的です。
メールをする際は以下のリンクから送信してください。
【参考リンク:「労働基準関係情報メール窓口」送信フォーム – 厚生労働省】
相談内容が深刻で、1日でも早く解決に導きたいと考えている場合には、直接監督署を訪れて相談するのがおすすめです。訪問する際に、自身の相談内容を裏付けるものや、証拠を持参すると、より早く対応してもらえる可能性があります。証拠には例えば次のようなものがあります。
労働基準監督署に実際に相談する前に事前に準備しておくべきものをご紹介します。
相談前にできる限り以下で説明している資料について用意しておきましょう。
会社とのやり取りを示すメモや、メール文面、録音音声、指示書類等を持参しましょう。
会社とのやり取りの中に労働基準法違反の証拠がある可能性もあります。
労働基準監督署に実際に注意・指導、是正勧告等を行ってもらうためには、会社が法律違反を犯していることを客観的に証明できる証拠の提出が重要です。
例えば、残業代未払いの場合、
等の具体的な残業時間が分かる証拠を収集する必要があります。
職員に整理した状態で自身の身に起こった出来事を伝えるために、時系列で出来事をまとめた資料を用意しておくことをお勧めします。
何も考えずに自身の身に起こった出来事を伝えていると、最終的に何を相談したかったのかを忘れてしまいがちです。
労基署の職員に何を相談し、どういう対応を行ってほしいのかをあらかじめ明確にしたうえで相談しましょう。
相談の際には、まずはどのような内容を相談したいのかを伝えてから、出来事を時系列に整理して伝えることでスムーズに職員に自身の相談内容を伝えることが出来るでしょう。
自身の勤務先が分かると、どの会社の問題なのかを労基署の職員がスムーズに対応できるため、雇用契約書や従業員しか持ち得ない就業規則等の書類を持参することをお勧めします。
最後に、実際に相談してから問題が解決するまで、監督署がどのような流れで対応してくれるのかを説明します。
まずは労働者からの相談や通報を受けるところからすべてがはじまります。相談する際は、自身が企業に対し違反だと思う点、相談したい点をきちんとまとめた上で、できればそれを証明できる証拠を用意しておきましょう。
また、悪質性が低い場合には、ここで労働者に対しアドバイスを行い、そのアドバイスに従っても解決できなかった場合に次のステップに進むこともあるようです。
労働者の相談・通報内容について労基署側で調査が必要と判断した場合、企業に対する聞き取りや調査を行います(予告なしで企業側にの立入り調査をすることも)。この調査では、企業の役職員から事実関係を聴き取ったり、必要な資料を提出させたりということが行われます。
調査の結果法律違反が認められる場合、通常は違反行為についての指導や是正勧告が行われます。是正勧告をする際には『是正勧告書』が交付され、違反した内容と是正期日(改善までの期限)が記載されています。
これを受け取った企業は、指摘事項について是正を要する場合は是正した上で報告書を提出し、是正を要しない場合はその旨意見を付して報告書を提出します。
報告書の提出を受けた労基署から、企業に対して是正状況確認のための再調査が入ることもあります。
違反の内容の悪質性が高かったり、繰り返し指導してもそれに応じなかったりした場合には、労基署から検察に対して労基法違反について刑事告発がされることもあります。
労働基準監督署に相談すべき内容とそうでない内容、相談方法や、相談から解決までの流れなどを紹介しました。監督署に対して相談すべきか悩んでいる人は、この記事の内容を確認して、相談すべきかどうか検討しましょう。
また、労働基準監督署に相談すべきでない民事的な争いの場合には、弁護士への相談を視野に入れることをおすすめします。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※あなたの弁護士に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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