ブラック業界とは|共通の特徴3つとブラック企業の見極め方

弁護士法人ネクスパート法律事務所
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ブラック業界とは|共通の特徴3つとブラック企業の見極め方

ブラック業界とは、長時間労働や賃金不払残業が行われているブラック企業が集中している業界の事です。業種の性質上、長時間労働や賃金不払残業がどうしても発生しやすい業界というのがあります。

今回はブラック業界と、ブラック業界の共通点についてご紹介していきます。なお、「ブラック業界」というと悪いイメージがありますが、今回ご紹介する業界は業務の性質として長時間労働などが起こりやすいものを選出しています。

この記事で紹介される業界の全体が「ブラックである」というわけではありません。

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ブラック業界と呼ばれる業種

飲食業界(食物販含む)

店舗での接客もある飲食業界では、長時間労働になりやすい上に休みが取れず、企業によっては未払い残業代が発生していることもあります。特に、飲食業界で問題になっているのは長時間労働です。

人手不足などによりワンオペレーションと呼ばれる、一人で店舗運営を行うなどの状態が発生して、過重労働として問題となりました。また、飲食業界では名ばかり管理職の問題もあります。

名ばかり管理職とは、店長などの管理職に就かせたことを理由に残業代などを支払わないことです。しかし、店長などの管理職に就かせたことを理由に残業代などを支払わないことです。

しかし、店長などの役職のほとんどは、残業代がつかない管理監督者にはあてはまらないとされおり、本来であれば残業代が支払われるべきです。

アパレル業界

アパレル業界でも、店舗での接客があるため長時間労働が問題となっています。また、日本全体の人口減少や原料の価格高騰の影響などから、アパレル業界は産業としても厳しくなってきています。働き手の人手不足と売り上げ不振によって、労働時間の長期化と未払い残業代の発生を招いています。

不動産業界

不動産業界では、売上ノルマなどを設けている企業も多いためノルマ達成のために長時間労働、パワハラが発生することもあります。また、営業職などではシフト制などの労働形態をとっている企業も多いところから、休みが取れないという事態が発生することもあります。また、不動産を購入する人が減ってきていることから不動産業業界自体の売上も厳しくなっています。

旅行業界

旅行業界も不動産業界と同じようにノルマの設定やシフト制などの条件から、ブラック業界といわれやすい業界です。近年では、格安旅行会社が増えたことによって旅行業界内での競争が激しくなってきています。他社と差をつけなければいけないという焦りから、長時間労働などを招いてしまうことが考えられます。

運送業界

amazonや楽天などのインターネット通販の発達により、ここ数年で運送業界の労働環境は大きく変わっています。

最近では、大手運送会社が大規模な未払い残業代の支給を行なった事が話題になっています。運送業界がブラック業界になってしまった要因としては、労働時間が急増したことと、未払い残業代が発生していることが挙げられます。

その背景には、インターネット通販の使用者が増加して荷物量が増えたことに加えて、利用者の多くが配達時に不在であることから再配達が急増したことが挙げられています。

建築業界

建築業界では、特に施工管理などを行う企業に粗悪な労働環境が目立っています。

価格競争によって売上の単価が下がっている一方、納期を短くされるなどの顧客からの圧力によって現場に泊まり込んで仕事をしなければ終わらないなどの事態が発生しています。そのため長時間労働や未払い残業代が発生しているようです。

ブラック業界の特徴3つと見極め方

ブラック業界の特徴3つと見極め方

企業や業界など、仕事をする上で「ブラック」と呼ばれるものには共通点があります。

  • 長時間労働
  • 残業代が未払い(出ない)
  • 雇用条件が粗悪

この項目では、上記の点にあてはまる可能性のある仕事をご紹介していきます。

納期がある業界

IT業界のエンジニアや建築業界で施工管理などを行なっている方には、仕事に納期が決められています。納期がある業界で働いている方は、納期に間に合わせるためにどうしても長時間労働になることがあります。長時間労働は「違法な労働時間」である可能性が高く、注意が必要です。

接客など人を相手にする業界

飲食やアパレル、物販などの業界は、接客をすることが多いと思います。これらのような、いわゆる接客業では、長時間労働や残業代未払いなどが発生することが多いです。本来帰れる時間になっても、お客さんがいるため帰れなくなった、急なトラブル対応で手が離せなくて帰れなくなったなどの事態が発生します。また、店長などの役職がつくと役職手当だけで残業代が支払われないということもあります。

関連記事:残業代が出ない理由と仕組み

不定休(シフト制など)で休みが取れない方へ

シフト制などの不定休で、休みが取れないという方もいます。会社は労働者に対して、1週間のうち1日は休日を与える義務があります。

第三十五条  使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
 ○2  前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
 引用元:
労働基準法

また、不定休(シフト制)などでは、人手不足や業務内容の関係で有給休暇を申請しても休暇を取らせてもらえないということがあります。労働者が有給休暇を請求したら、特別な事情がない限り会社は拒否ができないとされています。

第三十九条  使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
 ○5  使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

引用元:労働基準法

なお、複数の社員が一気に休む、その人でないとできない業務があるなど会社の業務に支障が出る場合は有給休暇の取得日を変更させることができます。これを時季変更権といいますが、あくまで変更することなので、労働者が希望した別の日に有給を取得させなければなりません。

雇用契約が変わっている業界

採用募集などの雇用条件を見たときに「変わっているな」と感じたら、雇用契約の内容をよく確認しておく必要があります。変形労働時間制の場合、休日が不規則になったり、残業代が不明瞭になる場合があります。

変形労働時間制

変形労働時間制とは、労働時間を一定の期間内で設定することができる制度です。いわゆるシフト制などは変形労働制にあたります。変形労働時間制であっても、1週間のうちに1日の休日を与えることや、「1日8時間、週40時間」を超えた労働を行った場合に残業代を支払うことは変わりません。変形労働時間制だからと言って、休日がなかったり、残業代を支払わなかったりした場合は違法になります。

みなし残業や歩合制

みなし残業や歩合制の場合は、未払い残業代が発生している可能性が高いです。みなし残業では、あらかじめ一定時間の残業をすることを見越して固定給に残業手当を含ませます。

この場合は、みなし残業として定められている時間数を超えた残業代が支払われていなければなりません。また、歩合制では、労働時間に対する賃金が最低賃金を下回ってはいけないということと、時間外労働(残業代)の賃金が労働契約に明記されていなければなりません。

【関連記事】みなし残業は違法?知っておくべき「みなし残業制度」の正しい知識

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ブラック業界かどうかよりもブラック企業かどうかで判断

就職先などをブラック業界かどうかで判断すると、職業の選択肢が狭まってしまいます。ブラック業界として挙げられている業界の企業でも、労働環境を整えている会社は存在しています。

また、一方でブラック業界ではなくてもブラックな会社もあります。ブラック業界かということよりも、その会社がブラック企業かどうかを判断する方がいいでしょう。

ブラック企業の違法性

ブラック企業は、労働者の労働環境が悪化しているということだけでなく、違法である可能性が高いため問題となっています。

違法な労働時間

労働基準法で定められている「1日8時間、週40時間」の法定労働時間を超える労働は、時間外労働(残業)とされています。時間外労働は労働基準法36条で制限されており、サブロク協定と呼ばれています。

第三十六条  使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、一日について二時間を超えてはならない。
 引用元:
労働基準法

サブロク協定で定められている時間外労働の上限は以下の通りです。本来、残業は最大で月45時間以内に収まっていなければなりません。

期間   ※1年単位の変形労働時間制の場合
1週間 15時間 14時間
1ヶ月 45時間 42時間
1年 360時間 320時間

残業代などの賃金

残業代の支払いは労働基準法37条で定められている義務です。残業代を支払わないことは違法になります。

第三十七条  使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
引用元:労働基準法

もしも残業代が未払いであった場合は、残業代を請求する方法があります。ただし、残業代の請求は過去2年分までという制限もあるので、未払いの残業代がある方は早めに行動を起こしましょう。

雇用条件

給与の支払いや社会保険、厚生年金などの制度は雇用契約を結ぶ際に、労働契約書や雇用条件通知書に明記しなければなりません。例えば、みなし残業や歩合制などで残業代を固定給に含ませることを明記していない場合などは違法になります。雇用条件の明記は労働基準法15条で定められている義務なのです。

第十五条  使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
引用元:労働基準法

また、採用募集で求人票などに記載した条件と雇用契約を結ぶ際に記載する条件が異なっている場合も違法になります。労働契約書や雇用条件通知書にサインする前に必ず確認しましょう。

ブラック企業チェックリスト

勤めている会社がブラック企業かどうかを判断する、簡易的なチェックリストを作りました。下記の事項に思いあたる方は、会社がブラック企業である可能性が高いです。

ブラック企業チェックリスト

関連記事:ブラック企業の完全対策|就職前と後の状況別の対策3選

 

まとめ

さまざまな仕事の中にはブラック業界と呼ばれてしまうものもいくつかあります。

しかし、ブラック業界であっても、個々の企業の努力によって働きやすい環境を作っている会社も少なくありません。就職先などを選ぶ際は業界だけでなく、それぞれの会社を見て判断するようにしましょう。

法律上の違反をしていなくても、ブラック企業(業界)といわれている会社もあります。長時間労働や残業代など以外にも、ハラスメントなど労働者にとって不都合な労働環境だった場合はブラック企業(業界)といわれる可能性があります。

ブラック業界やブラック企業かどうかを判断するには、あなたが納得して働ける環境であるかどうかということが重要です。

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2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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