無職でも逸失利益が認められる基準|計算方法と被害者の状況例まとめ

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
無職でも逸失利益が認められる基準|計算方法と被害者の状況例まとめ

逸失利益(いっしつりえき)とは、将来に得られるはずだった収入が後遺症や死亡によって減少した際にその補償として請求できる損害賠償です。逸失利益を計算する際には現在の収入を基に損害賠償の金額が求められます。

しかし、無職だと収入がないため逸失利益を単純に計算することはできません。そのため、無職者が逸失利益を請求する際には通常とは異なる計算を行うのが通常です。

この記事では無職者の逸失利益請求についてご紹介しますので、交通事故被害で後遺障害の損害賠償請求を検討されている場合はぜひ参考にしてみてください。

無職での逸失利益が認められる条件

無職でも逸失利益の請求が認められるのは、以下の2つの条件を満たしていると判断される時です。

労働意欲と労働能力がある

事故で後遺症を負う前は労働能力があり、無収入の状態でも就職活動を続けていたなど労働意欲があると判断される状況であれば、無職でも逸失利益の請求が認められる可能性があります。

逆に事故前から何かしらの障害で労働ができない状況であったり、高年齢でずっと就業未経験で就職活動をずっとしていなかったりすると、労働能力と労働意欲がないと判断され逸失利益を請求するのは難しいかもしれません。

ちなみに、うつ病により働けない状態の場合は症状に回復の兆候があったのであれば、事故当時に労働能力がなくても逸失利益の一部を請求できるケースもあるようです。

就労の蓋然性(可能性)がある

事故当時は働いていなくても、被害者が将来的に就労して収入を得る可能性があると判断される場合は無職でも逸失利益の請求が認められる可能性があります。

上記の労働意欲と労働能力の両方を満たしている場合なら、職種を選ばなければ就労できると判断されるので、基本的には逸失利益が認められやすい状況と言えるでしょう。また、若い人も将来的に就業の可能性が高いと判断されるので逸失利益が認められやすいです。

無職でも逸失利益が認められるかの状況例

無職でも逸失利益が認められるかの状況例

幼児・学生の場合

幼児・学生などの若い人は就業経験がなくても将来的に就業する可能性が高いと判断されるため、障害を抱えているなど労働能力がないといった状況を除けば、基本的には逸失利益の請求が認められるでしょう。

専業主婦の場合

専業主婦には収入はありませんが、家事労働をしていると判断されるので逸失利益の請求は認められます。ちなみに、無職の20~30代の若い女性も将来的に結婚する可能性は高いと判断されるので、逸失利益請求では専業主婦と同様に扱われるケースが多いです。

高齢者の場合

50代以降の高齢者は働き口が少ないため、労働能力・労働意欲があっても次の職場が決まっていなければ、就労の可能性は低いと判断されやすく逸失絵利益の請求は難しいです。

ニートの場合

ニートは上記で紹介した条件の『労働意欲がある』を満たしていないので、逸失利益の請求が認められない可能性は相当程度あります。ただし、20代の若者だと将来的に結婚して家庭を作る可能性も考慮されるため、ニートでも逸失利益の一部が認められる可能性もあります。

無職者の逸失利益の求め方

無職者の逸失利益の求め方

逸失利益の計算式

<後遺障害逸失利益の算出方法>
『後遺障害逸失利益』=『1年あたりの基礎収入』×『労働能力喪失率』×『ライプニッツ係数』

<死亡逸失利益の算出方法>
『死亡逸失利益』=『1年あたりの基礎収入』×『生活控除率』×『ライプニッツ係数』

上記は逸失利益の計算式です。無収入の場合に問題になるのは『1年あたりの基礎収入』ですが、無収入の場合はどのような数値を適用するのか?それを以下でご紹介させて頂きます。(他の科目については以下リンクに詳細あり)

詳細記事:逸失利益の計算方法|正当な損害賠償を請求するための基礎知識

無職者の1年あたりの基礎収入の決め方

無職者の1年あたりの基礎収入は、失業前の収入もしくは厚生労働省が発表したその年の男女別の平均年収(賃金センサス)を用いるのが一般的です。そのため、就業経験がある者以外の逸失利益は基本的に賃金センサスの収入を基に計算することになるでしょう。ただし、場合によっては平均年収から一定分の割引がされることもあります。

専業主婦は過去に就業経験があっても家事労働に従事しているため基本的に賃金センサスの数値が適用されます(※兼業主婦の場合は、兼業業務の収入と平均年収との比較で高い方を取るのが一般的です。)

ちなみに、フリーターで会社員と比べて収入が少ない場合は、将来的に収入が増加する可能性があると判断される状況であれば、現在の収入ではなく賃金センサスの収入が適用されるケースもあります。

無職者の逸失利益の計算例

無職者の逸失利益の計算例

失業中に交通事故で後遺症を負った例

基本データ

情報

性別

男性

年齢

32歳

失業前の年収

500万円

後遺障害

7等級

『500万円(基礎収入額)』×『56%(労働能力喪失率)』×『16.3742(35年のライプニッツ係数)』=『約4,584万円(逸失利益)』

専業主婦が交通事故で後遺症を負った例

基本データ

情報

性別

女性

年齢

35歳

賃金センサスの平均年収(H28)

約376万円

後遺障害

9等級

『376万円(基礎収入額)』×『35%(労働能力喪失率)』×『15.8027(32年のライプニッツ係数)』=『約2,070万円(逸失利益)』

幼児が交通事故で亡くなった例

基本データ

情報

性別

男性

年齢

5歳

賃金センサスの平均年収(H28)

約549万円

『549万円(基礎収入額)』×『1-50%(生活費控除率)』×『17.7741(45年のライプニッツ係数)』=『約4879万円(逸失利益)』 (大卒後に就労する前提)

無職での逸失利益請求は弁護士依頼を推奨

無職での逸失利益請求は弁護士依頼を推奨

個人では支払いに応じてもらない恐れがある

保険会社は、補償額をできるかぎり抑えるべき立場にあるため、無職者について「事故当時の収入はないから」と支払いを拒まれてしまう可能性は否定できません。

このような場合に弁護士に依頼をすれば法律や過去の裁判結果を基に逸失利益請求の権利を保険会社に主張できるので、保険会社は要求に応じてくれる可能性を高められます。

専門知識がないと正当な逸失利益の算出は困難 

無職者の逸失利益の求め方』で逸失利益の計算方法をご紹介しましたが、保険会社は自社の基準で金額を決定する場合もあるので、必ずしも上記の計算式で算出した逸失利益を請求できるわけではありません。

また、状況によっては逸失利益が一部しか認められない場合もあるので、保険会社から提示された金額が正当であるかは交通事故分野に精通していないと判断は困難です。

そのため、保険会社が逸失利益の支払いに応じてもその額が少ないと感じるなら、弁護士の確認を受けることをおすすめします。もし保険会社が提示した金額が正当なものでなければ、逸失利益は増額できる可能性が高いでしょう。

示談金が増額する可能性が高い

弁護士に依頼すると逸失利益を請求しやすくなるだけでなく慰謝料も増額するので、損害賠償が高額になりやすい逸失利益が関わる事故では、弁護士費用を差し引いてもお得になる可能性が高いです。

詳細記事:弁護士基準とは|増額する慰謝料一覧と弁護士に依頼する判断基準

保険会社に示談金(逸失利益も含む)を請求する際は事前に弁護士へ法律相談をして、自分は依頼をした方が得になるのかを確認しておくと良いでしょう。

また、自分の加入している保険に『弁護士費用特約』が付属している場合は弁護士費用は保険会社に負担してもらえるので、その場合は積極的に弁護士依頼を検討することをおすすめします。

まとめ

労働意欲と労働能力があり将来的に就労の可能性が見込めるのであれば、無職でも逸失利益の請求をできる可能性があります。「事故当時にちょうど失業中だった…」と諦めなくても大丈夫なのでご安心ください。

ただし、保険会社によってはなかなか思うように請求に応じてくれないケースもあるので、その場合は直ぐに弁護士に相談して冷静に的確な対処をしていきましょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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