後遺障害等級第10級の慰謝料の相場まとめ

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
後遺障害等級第10級の慰謝料の相場まとめ

この記事では、後遺障害等級第10級に認定された場合の慰謝料について紹介します。慰謝料の相場をきちんと理解する上で必要な“自賠責基準”、“任意保険基準”、“弁護士基準”の3つについての説明や、過去の裁判の結果等も交えて紹介していくので、実際の示談交渉の際に参考にしてみてください。

後遺障害等級第10級に該当する症状一覧(表)

後遺障害等級第10級に該当する症状一覧(表)

後遺障害等級第10級に該当する症状は以下の通りです。

後遺障害等級

後遺障害 概要

第10級

1号

1眼の視力が0.1以下になったもの

2号

正面を見た場合に複視の症状を残すもの

3号

咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの

4号

14歯以上に対し歯科補綴(しかほてつ)を加えたもの

5号

両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの

6号

1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの

7号

1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの

8号

1下肢を3センチメートル以上短縮したもの

9号

1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの

10号

1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

11号

1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

参照元:国土交通省 後遺障害等級表

後遺障害等級第10級が認定された場合の慰謝料相場

後遺障害等級第10級が認定された場合の慰謝料相場

慰謝料額を決める基準は3種類あります。

  • 自賠責保険側で定めている“自賠責基準”
  • 加害者が加入している保険会社が定めている“任意保険基準”
  • 裁判事例を基にした“弁護士基準”

各基準の慰謝料相場は、次の通りです。

自賠責基準

187万円

任意保険基準

200万円

弁護士基準

530万円

上記の表をみてわかるように、自賠責保険基準と任意保険基準ではさほど金額に差がありません。これは国が定めた最低額である自賠責基準を参考に任意保険基準が設定されているからです。弁護士基準になると一気に金額が上がります。弁護士に依頼せず、自身で相手保険会社との交渉をしても、なかなかこの基準での慰謝料を認められないこともありますので、もらうべき正当なな慰謝料を狙いたい場合には弁護士への依頼を検討しましょう

後遺障害等級第10級が認められた判例

後遺障害等級第10級が認められた判例

過去の裁判で後遺障害等級第10級が認められた例をご紹介します。

判例1:後遺障害慰謝料 530万円

片側3車線の道路において、一番右側の車線を直進していた被害者の車に対し、右折するために左側の路外駐車場から飛び出してきた加害者の車が激突した。

・加害者は駐車場から道路に進入する際、左右をしっかりと確認する義務があるにもかかわらず、それを怠った

・被害者は前方不注意により加害者の車の確認が遅くなり、事故を発生させた

加害者、被害者それぞれの過失を考慮したうえで、過失割合は加害者が75%、被害者が25%となった。

被害者には、

“一手のおや指の用を廃したもの(機能の喪失)”として第10級7号が認定された。

裁判年月日 平成29年 3月23日 

裁判所名 大阪地裁 裁判区分 判決

事件番号 平27(ワ)11916号 ・ 平28(ワ)2618号

事件名 損害賠償等請求事件、損害賠償請求事件

参照元:文献番号 2017WLJPCA03238005

判例2:後遺障害慰謝料 530万円

南北道路の南行き車線側でUターンをしていた加害者の車が、後方から南進してきた被害者の車と衝突した。

加害者には事故現場付近でUターンを開始するに際し、右後方および安全を確認すべき注意義務があるのに、これを怠ってUターンを開始した過失があるとした。

被害者は

・外傷性頸部腰部症候群

・左母指中手骨骨折

・急性化膿性歯肉炎

などの傷害を負い、10級7号「片手の指の機能的喪失」が認められた。

裁判年月日 平成28年 4月22日 

裁判所名 大阪地裁 裁判区分 判決

事件番号 平26(ワ)10483号

事件名 損害賠償請求事件

参照元:文献番号 2016WLJPCA04228011

判例を2つ紹介しましたが、すでに第10級に認定されている状態であればおおよそ弁護士基準での請求が認められるようです。第10級に認定されるかどうかを争うところから裁判が始まる場合はこの限りではありません。

後遺障害慰謝料以外に請求できる金額

後遺障害慰謝料以外に請求できる金額

示談交渉の際に請求できるのは後遺障害慰謝料だけではありませんので、確認しておきましょう。

入通院慰謝料

入通院をしなければならない精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。入院をしていた日数や、その後の通院期間など、具体的な事実を基に金額が算出されます。

【関連記事】入通院慰謝料の相場・計算式|治療時の注意点と請求を高額にする方法

休業損害

事故がきっかけで仕事を休んでしまい、収入が減ってしまった場合はこちらの休業損害で補償されます。

逸失利益

後遺障害がきっかけで今まで通り働くことができなくなってしまうと、一生不利益を被ることになります。事故がきっかけの収入減などはこちらで補償されます。

【関連記事】

積極損害の基礎知識|加害者に請求できる項目と示談交渉時の注意点

交通事故で休業損害が請求できる条件|損害賠償を計算する基礎知識

逸失利益の計算方法|正当な損害賠償を請求するための基礎知識

示談交渉をする上で心がけておきたい2つのコト

相場どおりの慰謝料をもらえるかどうかは交渉次第。示談交渉での失敗を防ぐために心掛けておきたいポイントをご紹介します。

  • 示談は一度してしまうと二度とやり直せない
  • 十分な慰謝料を得るためには弁護士への相談がオススメ

弁護士に相談するメリットに関しては「交通事故で弁護士に相談すべき理由と相談にベストなタイミング」をご覧ください。

まとめ

後遺障害等級第10級に認定された場合の慰謝料相場は、自賠責基準だと187万円、任意保険基準だと200万円、弁護士基準だと530万円です。弁護士に依頼をするかしないだけで230万円ほどの金額差が生まれます。

示談交渉がうまく進まないと感じている方や、判断に困るようなことがあった場合には一人で判断せず、周囲の人や弁護士に相談するようにしましょう。間違いを犯すリスクを下げることができます。

【出典元】

限度額と補償内容 – 国土交通省

後遺障害等級表 – 国土交通省

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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