交通事故の慰謝料は過失割合で決まる|過失割合と過失相殺の基礎知識

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
交通事故の慰謝料は過失割合で決まる|過失割合と過失相殺の基礎知識

交通事故の被害者になった場合、加害者に対して慰謝料等含め、損害賠償を請求することができます。

この時に問題になるのが過失割合です。交通事故においては、加害者と被害者双方が交通事故の発生に関して何らかの原因を作っています。

これを過失割合と言い、過失割合に応じて被害者が実際に手にすることが出来る損害賠償額が変わってきます。

実際に示談交渉を行う段階になって

  • 「過失割合って何?」
  • 「過失割合ってどうやってきまるの?」

などの疑問がある場合には、妥当な損害賠償額を手にすることが出来なくなる可能性もあります。この記事では、過失割合の基礎的な知識と過失割合に納得ができない場合の対応策について記載していきたいと思います。

【関連記事】交通事故の示談金相場|示談金の一部である慰謝料額を決める基準

過失割合の基礎知識

過失割合(かしつわりあい)とは、加害者と被害者双方が不注意や過失などにより、発生した事故に対してどの程度の責任があるかを数字で表したものです。一般的には、100:0や70:30のように表します。

ここでは、過失割合の基礎知識を確認しておきましょう。

過失割合は示談交渉で話し合って決める

示談交渉になった際に、加害者が加入する保険会社が過失割合を提示します。過失割合の算定の基準となるものは、警察が作成した実況見分調書や加害者からの聞き取り、判例、さらに自社の算定基準などです。

ただし、示談交渉においては保険会社が提示する過失割合をそのまま承諾する必要はありません。納得できない場合には、保険会社と過失割合に関して争うことが出来ます。

過失割合によって、実際に手にする損害賠償額は左右される

交通事故の被害者は受けた損害に応じて加害者に損害賠償請求を行ますが、実際に手にすることが出来る賠償額は過失割合に応じて減額されます。これを過失相殺(かしつそうさい)と言います。

過失相殺とは、事故により被害者が損害を被ったことに対して、被害者にも過失があった場合には、損害賠償額を決定する際に、被害者の過失も考慮する行為と言えます。

(損害賠償の方法及び過失相殺)

第七百二十二条 第四百十七条の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。

2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

引用元:民法722

また過失相殺は、全損害賠償額に対して、過失割合に応じて減額するという方法が一般的です。

過失割合の算定には基準がある

保険会社が算定を行う過失割合ですが、これには基準があります。それは判例タイムズです。

判例タイムズには、自動車対自動車、自動車対バイク、自動車対人など、事故状況別に過失割合が記載されており、保険会社や弁護士が過失割合を算定する際など、実務でよく使われています。

過失割合には修正要素もある

判例タイムズを基に過失割合の基準が決定しますが、事故の様態は様々であり、判例タイムズを用いて算定された過失割合の基準を基に、事故時の加害者と被害者の状況に応じて修正を加えます。これを修正要素と言います。

どの程度過失割合が修正されるかは、加害者と被害者の事故時の状態により変わります。以下では修正要素の代表的な例を記載しておきます。

人対車

修正事由

内容

修正割合

夜間

日没から日の出までの間の時間。

人の方に、5~20%程度過失割合が加算される

幹線道路

幅が14m以上の車の通行が比較的多い国道などの幹線道路

車両の直前直後横断

通行する車両の直前もしくは直後を横断

横断禁止

道路交通法で横断が禁止されている場所の横断

ふらつきなど

ふらつきながら歩いている場合

幼児・児童・老人

幼児とは6歳未満

児童とは6歳以上13歳未満

老人とは65歳以上

車の方に、5%~20%程度過失割合が加算される

集団横断

集団での登下校時など、人が大勢で横断している場合

著しい過失

わき見運転

酒気帯び運転

時速15㎞以上30㎞未満の速度違反

ハンドルもしくはブレーキの操作ミスなど

重過失

居眠り運転

無免許運転

酒気帯び運転

時速30㎞以上の速度違反など

道路の区別なし

車両用道路と歩行者用道路の区別がない場合

車対車

著しい過失

脇見運転

酒気帯び運転

時速15㎞以上30㎞未満の速度違反

ハンドルもしくはブレーキの操作ミスなど

左の行為を行った車に対して5%~20%程度過失割合が加算される

重過失

居眠り運転

無免許運転

酒気帯び運転

時速30㎞以上の速度違反など

直近右折

直進者の直近で右折した場合

早回り右折

交差点の中心の内側を右折した場合

大回り右折

中心を大きく外れて外側を右折した場合

参照元:交通事故の法律知識

保険会社の提示する過失割合が妥当でない可能性もある

事故の様態は一つとして同じものはありません。保険会社も判例タイムズを基準に過失割合を算定しますが、場合により妥当でない可能性があります。

特に、被害者の過失割合が高くなれば、その分過失相殺によって保険会社が支払う損害賠償額が減額されるため、意図的に被害者にとって不利な過失割合を提出している場合も考えられます。

過失割合に納得できない場合、前述の通り保険会社と話し合うことは可能ですが、保険会社は示談交渉のプロであり、ご自身で話し合っても保険会社が納得してくれる可能性は低いです。

そのため、過失割合で保険会社と争う場合には、弁護士に依頼をすることをおすすめします。

過失相殺の例

過失相殺の例

ここでは、車と人、車と車の2通りの場合に分けて、過失相殺の計算例を記載したいと思います。

車対人の事故

まずは車対人の事故で、車が加害者、人が被害者の過失相殺の具体例を紹介します。

被害者に発生した損害賠償額の合計が1,000万円で、過失割合が、加害者:被害者=80:20だった場合、全損害賠償額に対して過失割合に応じて減額を行いますので、被害者が実際に手にすることが出来る損害賠償額は、

1,000万円×(1-0.2)=800万円

から800万円となります。

車対車の事故

今度は車対車の事故を考えてみましょう。車対車の場合には車対人の場合と違い、どちらにも修理費が発生しているケースが一般的です。このときは、加害者・被害者、双方が相手の損害額を自身の過失割合に応じて賠償します。

例えば、加害者の車と被害者の車の過失割合が80:20であり、加害者の損害が50万円、被害者の損害が100万円だった場合、

加害者は、100万円(被害者の損害額)×0.8(自身の過失割合)=80万円から、被害者に対して80万円を支払います。

被害者は、50万円(加害者の損害額)×0.2(自身の過失割合)=10万円から、加害者に対して10万円を支払います。

実際の示談の際には、加害者が80万円、被害者が10万円を支払うことはなく、差し引きの80万円-10万円=70万円が加害者から被害者に対して支払われます。

車対車の事故の場合、被害者が損害賠償金を支払う可能性がある

ここでは、加害者と被害者の過失割合が80:20であり、加害者の損害額が3,000万円、被害者の損害額が100万円だった場合を考えてみましょう。

加害者は、100万円(被害者の損害額)×0.8(自身の過失割合)=80万円から、被害者に対して80万円を支払います。

被害者は3,000万円(加害者の損害額)×0.2(自身の過失割合)=600万円から、加害者に対して600万円を支払います。

そして実際に示談の際には、被害者から加害者に対して差し引きの520万円が支払われます。

過失相殺においては、事故の相手が被った損害に対して自身の過失割合を乗じて算定を行いますので、上記のように加害者の車が高級車だった場合、被害者から加害者に対して賠償金を支払わなければなりません。

被害者から加害者に対して損害賠償を支払うのは一見理不尽に感じますが、救済措置はありません。

交通事故の加害者が運転する車が高級車だったなど、場合によっては自身が被害者であっても賠償金を支払わなければなりません。

過失割合が0の時の問題点

車対車の事故などで、被害者の過失割合が0であった場合、自身が加入する保険会社は示談交渉などを行ってくれません。

一般的に自動車保険に加入している場合、被害者と加害者の保険会社が示談交渉を行います。しかし被害者の過失が0である場合には、被害者から加害者に対して損害賠償を支払うことはありません。そのため、自身が加入する保険会社が示談交渉を行うことはありません。

過失割合が0の場合には、示談交渉を自身で行わなければなりません。示談交渉の際にポイントとなるのは損害賠償額ですが、ご自身で算定を行うのは困難です。

示談交渉の際には、加害者の保険会社が賠償額を提示してきますが、それが妥当でない場合もあります。

そのような時にはご自身で交渉するのではなく、弁護士に相談することを強くすすめます。

過失割合の算定に必要な書類

示談交渉時に保険会社が提示した過失割合に納得できない場合には、過失割合について争うことはできますが、根拠もなく自身の過失割合の減算を主張しても保険会社が納得してくれることはありません。

過失割合で争う場合には公的な資料を集め保険会社に対して提示する必要があります。ここでは過失割合を算定する際に証拠となる書類について記載を行います。

交通事故証明書

交通事故証明書(こうつうじこしょうめいしょ)とは、交通事故が発生したことを公に証明する書類です。

交通事故発生時には警察が現場で調査を行いますが、その際に作成した書類を基に、自動車安全運転センターにて交通事故証明書が作成されます。

交通事故証明書には、事故発生日や事故の当事者の氏名、事故の様態や人身事故か物損事故かの区別などの他、事故照会番号が記載されています。

事故照会番号を確認したらするべきこと

事故照会番号を確認したら、記載のある警察署に連絡を取り、送致先の検察庁と送致番号を確認して下さい。

送致先の検察庁に送致番号を伝え、刑事記録のコピーの公開を依頼してください。

実況見分調書

検察庁で公開してもらえる、過失割合に最も重要な書類が実況見分調書です。実況見分調書には、事故時に警察が調査した事故の内容が詳しく記載があります。

物件事故報告書

物件事故報告書は、物損事故の場合に作成される書類です。物損事故の場合、実況見分調書は作成されず、物件事故報告書が作成されます。

物件事故報告書には、事故の状況について簡単な図が記載されています。ただし物件事故報告書は、裁判にならない限り弁護士会照会が無ければ開示することが出来ませんので、ご自身での入手は不可能です。

そのため、物損事故で過失割合に関して争う場合には、弁護士に依頼をすることをおすすめします。

過失割合に納得できない場合は弁護士に相談を

上記記載の書類等を集めてご自身で過失割合に関して争うこともできますが、やはり保険会社の担当員は示談交渉のプロであり、法律的な知識も豊富に持っている為、妥当な過失割合を獲得することは困難かと思います。

その為一度弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に依頼するメリット

弁護士は法律の専門家であるため、保険会社が提示した過失割合が妥当でない場合、法的な根拠を出して適正な過失割合を算定してくれます。これにより、実際に手にできる損害賠償額が増額する可能性が高まります。

また、元々の損害賠償額も妥当でない場合があります。示談交渉の際には過失割合だけでなく、損害賠償額も保険会社から提示されますが、その額も自社の利益確保のために妥当な額よりも低い金額が提示される可能性があります。

特に慰謝料に関しては、「任意保険基準」という、保険会社独自の基準を用いて算定を行います。

【関連記事】交通事故慰謝料を正しく計算し適正な慰謝料を獲得する全手順

これに対して弁護士が慰謝料を算定する際には「弁護士基準」を用います。弁護士基準は過去の判例を基に作成された慰謝料算定のための基準で、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」で確認することができます。

一般的に任意保険基準の慰謝料は弁護士基準の慰謝料より低いため、保険会社が提示する慰謝料額にそのまま納得してしまうと妥当な賠償を受けることが出来ませんが、弁護士に示談交渉を依頼することで、慰謝料額が増額する可能性が大きく高まります。

弁護士を選ぶ際の基準

弁護士が関わる法律の分野は多岐に渡るため、一人の弁護士があらゆる分野で深く実務に関わることは困難です。そのため示談交渉等を依頼する際には、交通事故問題解決の経験が豊富な弁護士に依頼するべきです。

あなたの弁護士」では、お住いの近くの交通事故問題の解決に注力している弁護士を検索していただくことが出来ますので、過失割合などに納得していない方は一度相談することをおすすめします。

まとめ

過失割合によって実際に手にすることが出来る損害賠償金額は変わってくるため、示談の際には慎重に交渉を行う必要があります。

過失割合の算定は専門家である弁護士に行ってもらうことが一番です。弁護士によっては初回相談料無料としていますので、一度相談することをおすすめします。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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