追突事故によるむち打ち症で適切な額の慰謝料を受け取る対応方法まとめ

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追突事故によるむち打ち症で適切な額の慰謝料を受け取る対応方法まとめ
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不運にも追突事故に遭った被害者にとって、車の損害も気になるところですが、それ以上に大切なのは自分の身体でしょう。軽い追突事故でもむち打ち症を負う可能性があり、被害者にとって困るのはむち打ち症が加害者の任意保険会社に認められず、治療費を受取れないことだと思われます。

また、むち打ち症の治療を続けても症状が改善しない場合は後遺症になり、後遺障害に関する慰謝料を請求する必要があります。後遺障害の等級認定でも申請手続きの方法や治療状況によって等級非該当になることも考えられるので、被害者は適切な額の慰謝料を受け取るための方法を知っておくべきです。

そこで今回は、追突事故によるむち打ち症が慰謝料請求の対象にならない理由や、加害者側の任意保険会社との示談交渉における注意点を解説していきます。

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むち打ち症は追突事故で起こりやすい症状

むち打ち症は追突事故にありがちな傷害になりますが、追突事故自体も全体的な交通事故の中で大きな割合を占めます。比較的起こり得る可能性の高いむち打ち症について、最初に説明していきます。

車両同士の傷害事故における類型では追突が最も多い

下記図を見ていただくと、車両同士の事故で負傷者が最も多いのは追突事故であることが分かります。わき見運転や不注意など原因は様々ですが、前方を走る車両にぶつかる事故は比較的起きやすいでしょう。

交通事故総合分析センター イタルダ インフォメーション No.111交通事故総合分析センター イタルダ インフォメーション No.111

引用元:「交通事故総合分析センター イタルダ インフォメーション No.111

追突された衝撃と重い頭の揺れによってむち打ちが生じる

むち打ち症は通称であり、正式には『頸椎捻挫』や『神経根症』などと呼ばれますが、むち打ち症を負う原因としては名称の通り、後方から追突された衝撃で身体が前に押し出されて頭がムチのように前後へ振ることにあります。

首(頸椎)に大きな負荷がかかることで脊髄や靭帯を損傷してしまいますが、むち打ち症の中で一番多いタイプは『頸椎捻挫』だとされています。頸椎捻挫(けいついねんざ)とは、脊椎の上にある首の部分の骨(頸椎)を繋げている筋肉や靭帯が損傷することです。

むち打ち症(頸椎捻挫)の主な症状

頸椎捻挫の症状として単純な痛みだけではなく、手足の痺れや全体的なだるさも考えられます。また、首の損傷が原因で自律神経が刺激され、以下のような症状を引き起こす可能性があります。

  • 耳に関する症状|めまいや耳鳴り
  • 心臓に関する症状|心臓部の痛み、脈の乱れなど
  • 目に関する症状|眼精疲労、視力の低下
  • その他、全体的なだるさや注意力の低下など

上記の症状は一般的に『バレリュー症候群』と呼ばれ、頸椎捻挫と併せて発症することがあります。

改善しない場合は後遺障害等級認定を受ける必要がある

むち打ち症は目安として、発症から3ヵ月以内で完治するとされていますが、3ヵ月以上経過しても症状が残る場合には後遺症を和らげるためのリハビリを続ける必要があるでしょう。症状が良くも悪くもならない状態になったときは、後遺障害等級の認定申請をする流れになります。
参考:「後遺障害等級の認定基準

後遺障害等級の認定が受けられるむち打ち症の後遺症では、一つの基準として半年以上の通院期間が必要になってきます。厳密に言うと半年の期間は後遺障害等級の認定基準になる『症状固定』の目安に該当しますが、詳細については「症状固定の時期を決める基準」で取り上げているのでご参考ください。

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追突事故によるむち打ち症が認められない3つの理由

追突事故に遭ってむち打ち症を負った被害者は、加害者側との交渉で入通院慰謝料や治療費などを請求すべきでしょう。示談交渉では当事者同士が話し合うことはまずなく、通常は加害者側の任意保険会社との交渉になります。

ただし、被害者は慰謝料や損害賠償金などの保険金を任意保険会社へ要求しても、支払いを拒否されるケースがあり得るでしょう。追突事故によるむち打ち症が認められない3つの理由について下記で取り上げますので、確認していきましょう。

むち打ち症を負っていることを示す医学的な証拠が不足している

例えば手足の欠損や骨折などは外見やレントゲンなどの画像所見で明らかになりますが、むち打ち症についてはレントゲン写真やMRI画像での証明が難しい場合が多いです。

被害者(患者)自身が申告する自覚症状でむち打ち症の後遺障害を認められる可能性はありますが、やはり客観的に証明できる医学的な証拠がないとむち打ち症の証明は難しいでしょう。
参考:「むち打ち症における後遺障害等級の認定基準

症状が一貫しておらず追突事故との因果関係が疑わしい

単にむち打ちの症状が出ていることを証明するだけでなく、加害者の車両に追突されたのが原因であることを示す必要があります。

例えば、追突事故が発生してから病院に行くまでの間が数日空いていたりすると、追突事故が原因で発症したのかどうか疑わしくなってしまいます。また、医師による診察記録で痛みが生じている部位が日によって変わっている場合も、後遺障害等級認定の審査や任意保険会社との示談交渉で厳しく追及されるでしょう。

治療期間が短い

上記でも説明しましたが、むち打ち症における一般的な治療期間は3カ月程度であり、後遺障害として残る場合は半年以上が目安になります。

治療期間が短い場合や半年未満によるむち打ち症の症状固定は要注意です。むち打ちの症状が軽く、治療費を補償する程度ではないと判断されてしまう可能性もあるので、大したことのないケガだと被害者本人が思っても治療の継続について担当の医師と相談するべきです。

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追突事故でむち打ち症を負った場合の示談交渉で気をつけるべきこと

むち打ち症の証明に関する上記の注意点以外にも、加害者側の任意保険会社との示談交渉でも気をつけるべきポイントがあります。被害者だからといって決して優遇される訳ではなく、むしろ任意保険会社は保険金の支払いを極力抑えようと考えていることもあるため、弁護士への相談も想定しなければなりません。

治療中に任意保険会社との示談交渉に応じない

示談交渉の目的は入通院慰謝料や治療費などの損害賠償金を全て含む示談金額を決めることです。治療を続けている状況では治療費は確定していないため、示談交渉は完治してから応じるようにしましょう。
参考:「交通事故の示談交渉

治療費の打ち切りを言われたら弁護士に相談する

また、任意保険会社より強制的に治療費の支払いを止められるケースもあり得ます。原則として、任意保険会社より治療費の請求ができなくなるのは完治した場合か、治療による改善が見られない症状固定の状態になった場合のいずれかです。

基本的には治療費の継続や症状固定は医師が判断するものですが、治療費の打ち切りを目的に任意保険会社が勝手に決めることがあります。仮に治療費の打ち切りを任意保険会社より宣告されたら、治療の必要性があることを診断書など医学的な所見で証明する手段を取るべきですが、それでも任意保険会社が応じない場合は弁護士への依頼をオススメします。
参考:「交通事故の示談交渉で弁護士に依頼するメリット

後遺障害等級認定の申請方法によって示談金(保険金)をもらえる時期が変わる

むち打ち症が治らず後遺症として残った場合は、後遺障害等級の認定申請を行うべきでしょう。ただし、認定申請の方法によって保険金をもらえるタイミングが変わることに注意するべきです。

事前認定で申請手続きを進めた場合は被害者側の手間は少ないですが、示談が成立するまで一切の保険金を受け取ることができません。対して被害者請求の場合は、後遺障害等級の認定を受けた時点で自賠責部分の保険金をもらえるメリットがあります。

なお、被害者請求と事前認定については下記リンクをご参考ください。

【関連記事】

▶「被害者請求のメリットと申請方法

▶「事前認定を勧めないワケ

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むち打ち症で適切な額の慰謝料を獲得するためのポイント

むち打ち症が認められない理由や示談交渉時の注意点についてこれまで解説しましたが、最後にむち打ち症で適切な額の慰謝料を請求するためのポイントについてまとめました。被害者自身の対応に加え、担当の医師や弁護士による協力も必要になってくるでしょう。

追突事故に遭ったらすぐに通院する

追突事故に遭ったら時間を置かず、早急に病院へ行くようにしましょう。首や頭が痛くなくても、むち打ち症の場合は数日経過してから発症することもあるため、一度は受診した方が良いと思われます。

また、整形外科の医師に診てもらうことも重要であり、整骨院ではない病院を選ぶべきです。仮に症状が残って後遺障害等級の認定申請をする場合、『後遺障害診断書』は整骨院の柔道整復師ではなく医師に書いてもらう書類になるため、整骨院から整形外科へ移る手間が生じます。
参考:「後遺障害診断書の書き方

医師と相談してむち打ち症を証明する検査やテストを受ける

むち打ち症を証明するためにはどのような検査を受けるべきか、担当の医師と相談することも大事です。後遺障害等級の認定申請でも後遺障害診断書以外に必要な医学的な資料を揃えたり、あるいは画像所見では証明が難しい場合は神経学的検査で首や頭に痛みがあることを示す対応が考えられます。

弁護士による介入で高額な弁護士基準の請求が可能になる

弁護士による示談交渉で獲得できる慰謝料が上がるほか、任意保険会社に対して有利に交渉を進められることが期待できます。専門的な知識を持っていない被害者自身での交渉が難しいと感じたら、早めに弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
参考:「交通事故の示談金相場

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まとめ

医学的な証明が難しいむち打ち症ですが、正しい対応手段を取れば治療費や入通院慰謝料を受け取れる可能性はあります。追突事故に遭った被害者は慌てるかもしれませんが、まずは早めに病院へ行き、必要に応じて弁護士に依頼してみるのが良いでしょう。

【関連するQ&A】追突事故の慰謝料、弁護士相談について-子供2人を連れての通院

この記事を監修した法律事務所
弁護士法人ネクスパート法律事務所
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。

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