横領で逮捕された場合の手続きや横領罪で逮捕されるケースを解説

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
横領で逮捕された場合の手続きや横領罪で逮捕されるケースを解説

会社のお金や備品を横領したり、誰かの落とし物をネコババしたりすれば横領罪が成立する可能性があります。

このような横領行為が刑事事件として立件されれば、当然、逮捕・勾留されるなど刑事上の不利益を被る可能性もありますし、起訴されて有罪となれば刑罰を受けることになります。

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横領罪が成立し得る事例

横領行為には様々なパターンがあります。例として、以下のような場合には横領罪が成立する可能性があります。

  • ローンの終わっていない自動車を借金の担保に提供したケース
  • 使途の決まっている金銭または有価証券について寄託を受けた際に、返還の意思や能力がないにも関わらず所定の使途以外に使用したケース
  • 他人から借りた物を勝手に売り払ったケース(※具体的な事案によっては詐欺罪など、別の罪に該当する場合もあります。)
  • 不動産を売却した後買主に移転登記をする前に買主以外の人に売却・登記を行った二重譲渡のケース
  • 不動産を売却し買主に移転登記をする前に、その不動産へ第三者のための抵当権設定登記を行ったケース

刑事手続きの流れ(起訴まで)

下記は、逮捕がされる場合の刑事手続の一般的な流れです。

刑事手続きの流れ(起訴まで)

  • 逮捕~送致:最長48時間
  • 送致~勾留請求:最長24時間
  • 勾留:原則10日、延長の場合最大20日
  • 起訴・不起訴の判断

なお、逮捕後に釈放された場合、上記のような期間制限は特段ありません。

横領事件で立件された場合にとるべき行動

横領事件のような被害者のいる犯罪の場合、まずは被害者との間で被害弁償について協議を進めることが最優先です。

もし被害者との間で被害弁償について具体的な協議が調い、示談が成立することがあれば、「当事者間ではトラブルが解決しているもの」として、刑事手続でも被疑者・被告人に有利な事情として斟酌されます。また被害者としても、横領被害について民事手続を経ることなく一定の弁償を受けられれば、それはメリットとなるはずです。

仮に逮捕・勾留されれば、必ず弁護人が付きますので、弁護人と被害弁償、示談交渉について話し合いましょう。

横領罪の構成要件と法定刑

横領行為には単純横領、業務上横領、占有離脱物横領などの種類があります。以下では、単純横領罪について簡単に解説します。

横領罪の構成要件

単純横領罪の構成要件は、次のとおりです。

  1. 自己の占有する他人の物を
  2. 横領したこと

①自己の占有する他人の物について

このとき、「物」の範囲には動産だけでなく不動産も含まれます。また、占有とは「物に対して事実上または法律上支配力を有する状態」のことをいい、簡単に言えば濫用のおそれのある支配力のことを指しています。

横領罪の保護法益は所有権と委託信任関係とされており、契約以外の事務管理・後見など、法律上の規定による委託信任関係であっても横領罪の対象となります。

※委託信任関係とは、ものすごく簡単に言えば「あなたを信じて(物や仕事を)任せますよ」という関係のことです。

②横領したことについて

「横領したこと」とは、不法領得の意思(所有者でなければできないような処分をする意思)を実現するすべての行為を指しますが、不法領得の意思の内容については争いがあるので、事案ごとに判断が分かれることがあり、注意が必要と言えます。

  • 不法領得の意思の内容や判断に関する判例等

・不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託任務に背き、その物について権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思である(参考判例:最高裁昭和24年3月8日判決、刑集3巻3号276頁、裁判集刑8号167頁)
・不法領得の意思は、行為者と特殊の関係を有する第三者に両得させる意思であっても良い(参考判例:大審院大正12年12月1日判決、大刑集2巻895頁)
・処分したものを後日弁済・補填する意思があっても、不法領得の意思が認められる(参考判例:最高裁昭和24年3月8日判決、刑集3巻3号276頁、裁判集刑8号167頁)

横領罪の法定刑

単純横領罪の法定刑は、5年以下の懲役(刑法第252条)であり、罰金刑はありません。そのため、横領行為で起訴される場合、必ず正式裁判を受けることになります。

窃盗罪か占有離脱物横領罪か

誰かの落とし物をネコババする行為は、占有離脱物横領罪の典型例ですが、場合によってはより重い窃盗罪で立件されることもあります。以下は参考としてください。

事案の概要

窃盗罪

遺失物等横領罪

(占有離脱物横領罪)

旅館内のトイレで他の宿泊客が忘れた財布を横領したケース

 

被害者がバス停付近に置き忘れたカメラについて、約20m歩いたところで忘れ物に気づいて5分以内に引き返したところ、置き引きされていたケース

 

被害者がポシェットを置き忘れたまま立ち去ったのを確認した後で置き引きしたところ、被害者が約2分後に置き忘れに気づき、すぐに走って戻ってきたケース

 

人を殺した後に初めてその財物が欲しくなり、奪ったようなケース

 

泥酔者から財布や携帯を奪うケース

 

パチンコ屋で拾ったパチンコ玉を持ち帰ったケース

 

たまたま死んでいる人を発見し、その財布を持ち帰ったケース

 

何日も公園に置きっぱなしでその間に使われた痕跡のないボールを持って帰ったケース

 

空き地に放置されていた錆びた自転車を拾ったケース

 

遺失物等横領罪の法定刑は1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料(刑法第254条)と比較的軽微ですが、窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役刑又は50万円以下の罰金刑(刑法第235条)と相対的に重いです。

「ネコババくらい大丈夫だろう」と軽い気持ちで罪を犯しても、窃盗罪として重く処分されることがあります。絶対にやめましょう。

まとめ

横領行為が犯罪であることは常識です。犯罪を犯せば、それなりのペナルティは当然ですし、周囲の信用も失います。横領行為が軽微であって被害者が被害届を出さなければ、刑事処分を受けない可能性は否定しませんが、刑事処分がなければ犯罪を犯してよいというものでもありません。

また、被害者が積極的に被害申告をしなくても、事案が悪質であれば捜査機関は犯罪として立件することもあり得ます。横領の時効は、単純横領で5年、逸失物横領でも3年、業務上横領の場合は7年になります。こんな長い時間悩んでいたくないですよね。そのような犯罪行為は最初からしないのが鉄則です。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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