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KL2020・OD・037
脱税とは一般的に偽りその他不正の行為によって本来納付するべき納税を免れる行為を意味します。このような行為については、所得税法や法人税法等の各税法により刑事罰が定められているため、脱税をした場合には刑事責任を問われることとなります。
ここでは、脱税により逮捕や処罰されるケースや罰則などについて紹介します。
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目次
脱税は上記の通り犯罪行為であり、逮捕・勾留・起訴されて刑事罰を受けることもあります。
脱税事件は税務署による税務調査から国税局の査察調査に進み、国税局が検察庁に「告発」をして事件化するという流れが一般的と思われます。
「告発」とは被害者以外の第三者が捜査機関に犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める手続きです。刑事告発を受けた捜査機関は刑事事件として立件して捜査を開始することになります。基本的には国税局の査察調査結果がすべて引き継がれ、これに基づいて事件処理がされることとなります。
なお、刑事事件として捜査を進める上で捜査機関側が必要と判断すれば、裁判所の令状に基づいて逮捕・勾留手続が取られます。
平成30年版の検察統計によると、租税関係の事件の総数は66件で、うち41件が起訴されています。
起訴率は62.1%となっており、高い確率で起訴されると考えておくべきでしょう。
わが国の司法制度では、統計上検察官に起訴されると99%を超える割合で有罪となります。
特に脱税事件については税務署・国税局が徹底的に脱税の証拠を調べ上げて検察庁に告発しますので、起訴された場合に無罪となるケースはほぼないと考えるべきでしょう。
脱税行為に対しては刑事罰だけでなく、税金に関する法律である国税通則法(こくぜいつうそくほう)に基づく行政処分として“付帯税”(ふたいぜい)が科されることになります。
そのため、脱税分の本税だけでなく、加算税、延滞税など重い税負担が課されることになります。具体的には以下のような追徴課税がされることになります。
脱税で科される行政処分が付帯税です。付帯税は本税以外に科される税金で6種類あります。
付帯税 |
加算税 |
過少申告加算税 |
無申告加算税 |
||
不納付加算税 |
||
重加算税 |
||
延滞税 |
||
利子税 |
これらに対し、自己申告・期限後の申告・金額・税務署から告知を受けてからの納付なのかなどのタイミングにより税率が変動します。
申告の時期 |
ペナルティの大きさ |
税務調査の事前通知前の自己申告 |
小さい ↓ ↓ 大きい |
税務調査の事前通知後~税務調査によって納税額が決まる前 |
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納税額が決定後 |
早めに納税をすれば、負担額が減るということですね。
前述した通り加算税は、申告時期や金額などによって異なる税率で課せられます。
などの加算税が挙げられます。
過少申告加算税は10%~15%、無申告加算税は15%~20%で、納税すべき金額の50万円までと50万円を超える部分で割合が異なります。
また過少申告加算税に対し税務署から通知前、自主的に修正申告、あるいは無申告に対し通知前に自主申告することで、課税額がない、または軽減されます。
不納付加算税は、納付すべき税額に対して10%、通知前に自主的に納付すれば5%、納付期限から1ヶ月以内に納付し、過去1年以内で期間内に納付していれば課されることはありません。
脱税でもっとも重い加算税がこの重加算税でしょう。刑事責任を問われるような悪質な脱税行為にはこの重加算税が課されると考えるべきです。
過少申告と不納付加算税の場合は追徴税の35%相当額、無申告に対しては追徴税に対してなんと40%が課税されることになります。
延滞税は期限までに納付されない税金にかかる延滞金のような税金で、納付期限の翌日から発生し、納付された日数に応じて加算税とは別に課税されます。
延滞税に似て非なるものと言えるのが、利子税。納税するさいに一括で納税できない場合、一部だけ納め、残りを定められた期日までに納める“延納”に対して課税されるものです。
脱税行為の刑事罰は各規定の罰則に定めがありますが、基本的には10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科(両方)が科せられるとお考えください。
なお、上記延滞税や加算税といった行政上のペナルティは刑事罰とは別途科せられるものですので、脱税行為が発覚・立件された場合の不利益は極めて大きいといえますね。
大企業や著名人などの納税のトラブルについて「脱税」ではなく「申告漏れ」として報道されることも多いです。「脱税」と「申告漏れ」は似ているようで全く異なります。
端的にいうと、故意による納税逃れが脱税であり、不注意による納税漏れが申告漏れです。納付するべき税金を納付していないという点では同じですが、これが故意的なものなのか、不注意によるものなのかで処分が全く異なります。申告漏れはきちんと修正申告して納付するべきものを納付すればそれ以上責任を問われることは有りませんし、刑事責任を問われることも有りません。
不注意による申告漏れは珍しいことでは有りませんので、そのような行為まで厳しく処罰する必要がないという考え方が根底にあると思われます。
脱税の時効については、税金を支払う義務があるかどうかの消滅時効と刑事事件として立件されるかどうかの公訴時効を考える必要があります。
時効 |
税金を申告した場合納付までの時効 |
3年 |
ただし税務署によって故意に脱税したと判断されれば7年に引き延ばされる。 また督促状が届けば時効中断、督促状の送付日から新たな時効開始 |
無申告の場合の時効 |
5年・贈与税は6年 |
税金の消滅時効は、税金の申告の有無や故意によって3年・5年(贈与税は6年)・7年と長さが異なります。
故意の脱税行為を理由として追加納付を要する税金は7年経過しなければ消滅しません。
さらに、税務署から督促状が送られた場合時効はリセットされ(時効の中断)、督促状の送付日から新しい時効が開始されます。
税務署は時効消滅までの間に基本的に中断の処理を行いますので、税金が消滅時効にかかるということは、あまり考えられないことです。
脱税について簡単にまとめました。不注意で納付するべきものを納付していなかった程度であれば大したことにはなりませんが、故意に売上をごまかしすなどして納税を免れた場合には重い責任を負うことになります。
ここまでの脱税についての記事を読んで
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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