詐欺まがいの情報商材で逮捕されてしまった時にあなたがとれる対応策

詐欺まがいの情報商材で逮捕されてしまった時にあなたがとれる対応策

近年、ネットでお金を稼ぐ方法の1つとして情報商材というものがあります。

情報商材とは、お金の稼ぎ方や上達法など、いわゆるノウハウのような一定の情報を商品として、インターネットで販売する行為全般を意味します。価値のある情報商材もあれば、中には詐欺まがいの情報商材もあるようです。

そうした詐欺まがいの情報商材についての相談が国民生活センターに寄せられています。特に悪質で被害の大きいものにいたっては逮捕される事例もあり、情報商材の扱いにはいっそうの注意が必要です。

この記事では、情報商材を扱う上での注意点や詐欺罪に当たる可能性、実際に詐欺罪で逮捕された場合にはどのように対処すればよいのかをご紹介します。

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この記事を監修した弁護士
梅澤 康二
梅澤 康二弁護士(弁護士法人プラム綜合法律事務所)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

情報商材が詐欺にあたり逮捕される要件とは

情報商材が詐欺にあたる可能性は十分にあり得ます。もちろん、購入した人のためになる情報が入った商品であれば問題ありません。

ですが、人をだましてお金を得る目的で情報商材を作って販売したり、詐欺目的の商品と知りつつ販売したりすれば、詐欺罪などの法律違反になる可能性があります。

詐欺罪を構成する4つの要件

下記の要件を4つすべて満たすと、詐欺罪に該当します。

  1. 人を欺く・だます行為(欺罔行為)(※)をしたこと
  2. 欺罔行為で相手が錯誤(誤解、認識の不一致)に陥ったこと
  3. 錯誤によって金銭などの財物を移転・処分したこと
  4. 錯誤の結果、実際に財物が移転・処分されること

わかりやすくいうと、相手をだましたことと、だまされた相手が誤解して金銭を払ったことの間に因果関係が必要ということです。

情報商材を扱うときに詐欺罪に問われる可能性がある例として以下のものがあります。

  • 成果が出なければ全額返金とうたっているのに返金しない
  • 100%成果が出ます」というような内容を誇大に宣伝している
  • 商品が宣伝されていた内容とまったく異なっている
※欺罔(ぎもう)行為


人をあざむく行為、人をだます行為のこと

詐欺罪は立件が難しい

詐欺まがいの情報商材でも、詐欺罪として立件するのは簡単ではありません。

人を欺く・だます行為の立証には、その行為が「意図的にだますためのものであった」という証明が必要です。多少内容を誇大に表現しても、ただちに欺罔行為といえるか微妙ですし、行為者が最初から金銭をだまし取るつもりであったかどうかはさらに微妙でしょう。

また、被害額が少なければ、被害者が被害届を出さないこともありますので、警察が事件として立件していない事案も多いと思われます。

なお、刑事事件として立件されなくても、民事での解決を模索したり、行政的な処分を求めるという形での解決も考えられます。

例えば、民事での解決方法として、被害額が一人当たりでは少なくても全体で見た場合に金額が大きくなれば、被害にあった方が集団訴訟を起こすことも考えられます。実際に大学生らにFXソフトなどを合計100万円購入させ、集団訴訟に発展した事例もあります。

被害者が被害届を提出したり、告訴したりすれば、警察が刑事事件として立件して捜査するということはありえます。捜査の結果、犯罪の疑いがある程度固まれば、行為者を逮捕することもありえるでしょう。

詐欺罪に問われると10年以下の懲役となる可能性がある

詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役と、とても重いものとなっています。

(詐欺)

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

引用元:刑法246条

下の表は平成28年度の詐欺罪で有罪判決を受けた総数と量刑ごとの人数です。表を見てわかる通り、有罪になった人の約半数が実刑判決になっており、そのほとんどが1年以上の懲役刑となっています。

有罪総数
4343人
15年以下3人
10年以下32人
7年以下101人
5年以下503人
3年236人
2年以上734人
1年以上462人
6ヶ月以上94人
執行猶予2178人

【参考記事】通常第一審事件のうち裁判員裁判による有罪(懲役・禁錮)人員―罪名別刑期区分別―全地方裁判所

なお、法定刑の10年より重い15年以下で実刑を受けている人がいる理由は、詐欺の併合罪(※)を問われたためで、併合罪になると法定刑は最大で1.5倍加重されます。

※併合罪


確定裁判を経ていない複数の罪のこと。本来であれば、別々に処罰される罪について、まとめて取り扱うほうが合理的なため併合罪で処理されます。

もし情報商材詐欺で逮捕されたら

実際に情報商材詐欺で逮捕されてしまったらどうなるのか、また、どうしたほうがよいのか説明します。

逮捕から起訴までの流れ

逮捕から起訴までの流れ

刑事事件では逮捕されてから起訴されるまでの流れは基本的には同じで、上の図のように進んでいきます。

ここで皆さんに覚えていてほしいことは3点。

  • 逮捕から起訴までは最大で23日間しかない

→最大で23日間身体拘束される

  • 不起訴処分であれば前科がつかない
  • 起訴後の有罪率は統計上は99.9%→起訴されればまず有罪で前科がつくことになる

この3点の対策をしたいのなら、弁護士を雇うことを検討しましょう。

起訴後の流れ

起訴後の流れもそこまで事件ごとに違いはなく、起訴から約1ヶ月後に第一回公判期日を迎えます。被疑者は起訴されると被告人となりますが、被告人となっても被疑者勾留が被告人勾留に切り替わるだけで、身体拘束は続きます。

一定の条件を満たしていれば裁判所に保釈請求も可能です。保釈が認められた場合は保釈金を納めると釈放されます(刑事手続は在宅で進みます)。

平成28年度に詐欺罪で勾留された人数は4,204人で、そのうち保釈されたのは1,249人です。

また、詐欺罪で起訴された場合に被告人が弁護士を選任していなければ、裁判所によって国選弁護人が必ず選任されます。

裁判が開かれて罪状についての審理がされ、判決が下され、控訴がなれば判決が確定します。

情報商材で問題となりうる法令

情報商材を販売する上で、刑事事件以外にも問題となりうる場面があります。

消費者契約法違反

消費者契約法では契約の勧誘の際に、以下の3点について消費者に誤認させたうえで結んだ契約は取り消せるとしています。

  • 不実告知(契約するか判断する上で重要な事項について、事実と異なる内容を告げること)
  • 断定的判断の提供(絶対に儲かる、100%成功するなどの表現)
  • 不利益事実の不告知(あるノウハウを知るには高額なマニュアルを買う必要があるのに言わないこと)

こうした内容を含んでいた契約は取り消しに応じなくてはなりません。

特定商取引法違反

特定商取引に関する法律では取引類型ごとにルールを定めていて、情報商材の販売で問題となりうるのは次の2つの取引類型です。

  • 業務提供誘引販売取引
  • 通信販売

特定商取引法で規制されている内容に違反すると行政処分や罰則があります。

著作権法違反

情報商材を無断でアップロードしたり、コピーして譲渡・販売したりすれば著作権法違反となります。罰則は10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金またはその併科となっています。

第百十九条 著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第三項の規定により著作権若しくは著作隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第百十三条第五項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第三号若しくは第四号に掲げる者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

引用元:著作権法119条

情報商材の販売で著作権法違反を問われた事例としては、英会話教材を無断でアップロードして販売した疑いで会社員の男性が逮捕されています。

刑事事件に強い弁護士の探し方

弁護士には刑事事件に精通している方もいれば、民事事件に精通している方もいます。また、刑事事件の中でも詐欺事件に精通している、痴漢事件に精通しているというように、特定の分野をよく取り扱っている方もいます。

特別に依頼する弁護士がいないという方は、まず、普段から刑事事件を扱っている弁護士を探すようにしましょう。

探し方としては、「インターネットで探す」「無料相談を利用する」「法テラスや各地域の弁護士会に相談してみる」といったことが考えられます。

当サイトでしたら、地域や得意分野などから弁護士を探すことが可能ですので、ぜひ利用してみてください。

民事訴訟で損害賠償請求をされないためには?

情報商材について刑事責任を問われなくても、被害者が民事訴訟を起こし、加害者に対して損害賠償を請求するということはありえます。

“被害者から訴えられたという事実が広がれば、あなたが情報商材やその他の商品を今後扱う上で大きなデメリットですよね。また、実際に訴訟で賠償義務が認められてしまうと経済的な損失にもなります。情報商材を販売する者としては民事訴訟はもちろん相手とのトラブルは極力避けるべきでしょう。

潔く返金に応じる

もし、怪しい情報商材を扱っているという自覚があって、購入者から返金を求められているならすぐに応じましょう。返金を渋っていれば相手が諦めるだろうなんて甘い考えでいたら、集団訴訟を起こされて事態が大事になる可能性があります。

民事訴訟を起こされる前に示談する

返金を求めても応じないことに被害者がしびれを切らして、民事訴訟を起こすと通達してくることもあるでしょう。裁判になってしまう前に被害者と協議して示談することをおすすめします。

今後情報商材を扱わないという選択肢もある

これから先、情報商材という分野がどうなっていくかはわかりません。情報商材に関する被害や問題が増えて規制されることも考えられるので、一足先に情報商材の扱いをやめることを検討するのもよいのではないでしょうか。

まとめ

いかがでしょうか。情報商材はうまくいけば大きな儲けを出すことも可能ですが、やり方や扱う商品を間違えれば詐欺罪で逮捕されるかもしれません。

逮捕・起訴になった場合には重い処罰を受ける可能性があります。もし、あなたやあなたの周りで情報商材の販売で詐欺罪に問われた・問われそうになっているという場合には、まず、弁護士に相談してみることをおすすめします。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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