整理解雇の4要件と整理解雇を言い渡されたらすぐにやるべき6つのこと

( 0件 )
分かりやすさ
役に立った
この記事を評価する
この記事を評価しませんか?
分かりやすさ
役に立った
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
整理解雇の4要件と整理解雇を言い渡されたらすぐにやるべき6つのこと

整理解雇(せいりかいこ)とは、事業を継続させるために従業員を解雇することをいいます。

前提として、解雇には客観的に合理的な理由、社会通念上相当であることが必要であると労働契約法第十六条に規定されており、整理解雇には満たさなければならない要件が4つあるとされています。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

引用元:労働契約法第十六条

今回は、整理解雇が他の解雇とどう違うのかをお伝えしたうえで、整理解雇の4要件と整理解雇を言い渡されたときにすぐにやるべきことをお伝えします。

労働問題について相談できる弁護士を探す

整理解雇とは|他の解雇との違い

解雇の種類のうち、整理解雇は何に該当し、どんな目的があるのかを確認していきましょう。解雇は主に懲戒解雇と普通解雇の2種類にわかれます。

懲戒解雇

懲戒解雇とは、長期間の無断欠勤や横領など、業務妨害や犯罪行為をした労働者に対しての解雇のことで、普通解雇と比べると罰則的な意味合いがあります。

普通解雇

懲戒解雇以外は全て普通解雇にあたります。普通解雇をする際は、客観的に合理的な理由や30日までの解雇予告、解雇予告手当てなどが必要です。

整理解雇

今回のメインとなる整理解雇は、普通解雇に該当します。整理解雇とは、事業の存続が困難なためにやむなく余剰な従業員を解雇することを言います。整理解雇に対して無効を主張する場合は、客観的に合理的な理由の有無や、整理解雇の4要件が満たされているかどうかが争点になりそうです。

論旨解雇

論旨解雇には、情状酌量で懲戒解雇を普通解雇とするものと、被雇用者が自己都合で退職するように説得する退職勧奨の2つがあります。パワハラやセクハラなどで退職を強要する行為は退職強要にあたり、違法行為です。

整理解雇の4要件

整理解雇の4要件

元々法律の用語だったわけではありませんが、判例の積み重ねによって整理解雇の4要件が定義されました。

企業が従業員を解雇する際は、原則として次の4要件を満たさねばなりません。具体的に確認していきましょう。

人員整理の必要性

整理解雇は事業を継続するために必要な解雇という位置づけですから、企業はその必要性を客観的な経営指標や資料に基づき、具体的にどの程度人員削減をしなければいけないのか説明せねばなりません。

解雇回避努力義務の履行

雇われる側からすれば、解雇されると収入の目処が立たなくなることもありハイリスクです。企業は解雇をする前に、被雇用者にとってリスクが少ない手段から選んでいかねばなりません。解雇回避の手段には次のようなものがあります。

  • 新規採用を抑える
  • 役員報酬のカット
  • 配置転換
  • 希望退職者の募集

被解雇者選定の合理性

解雇の対象となる人は客観的に合理性がある方法で選ばねばなりません。気に入らないからとか、妊娠したからといった会社の本音がある場合でも、少なくともそれを解雇理由として伝えることはないでしょう。

私情で解雇されたと感じている人は、この被解雇者選定の合理性の観点から、合理性がないと思われる方向に働く証拠を集めていくことになりそうです。

手続きの妥当性

整理解雇される責任は必ずしも労働者側にあるわけではないため、解雇をする際に企業は労働者に対して整理解雇の必要性を説明するなど、納得を得られるために説得や協議をするなどの手順を踏まねばなりません。

他の基準を満たしていても、手続きに不備があれば解雇が無効になるケースもあります。

補足:整理解雇4要件が必ずしも適用されるわけではない

基本的に整理解雇の4要件が適用されるのは大企業のみです。中小企業は大企業ほど余裕がありませんし、配置転換が難しいこともあります。

また、終身雇用が崩壊したので、労働者が1つの企業で生涯働く機会も少なくなってきました。アルバイトや契約社員など、非正規雇用も増えており、整理解雇の4要件が満たされてないからといって誰でも解雇無効が認められるわけではなくなってきました。

整理解雇で訴訟を起こした事例

整理解雇で訴訟を起こした事例

整理解雇無効の判決が出た後に最高裁で整理解雇は有効との判決が出た事例です。経営破綻した日本航空で客室乗務員をしていた女性(50)は、病欠日数などを理由に解雇を言い渡されたようです。

一審の大阪地裁では、病欠日数に基づく判断を不合理として解雇を無効としましたが、最高裁では「会社の裁量が認められる範囲内」として女性が逆転敗訴しました。

参考:朝日新聞DIGITAL|日航の整理解雇、元客室乗務員の逆転敗訴が確定

労働問題について相談できる弁護士を探す

整理解雇されたらまずは次の4点を確認しましょう。

整理解雇を言い渡された場合、まずは次の点を確認してみてください。

  • 新規募集を行っている
  • 役員報酬が変わっていない
  • 配置転換はあったか
  • パワハラやセクハラはなかったか

あなたを解雇したにも関わらず、上記行為をしていると解雇回避努力義務を履行したとは言えませんし、パワハラやセクハラがあった場合は退職強要にあたる可能性があります。

整理解雇を言い渡されたらすぐにやるべき6つのこと

整理解雇を言い渡されたらすぐにやるべき6つのこと

整理解雇を受け入れるのか受け入れないのかによって、とるべき行動が変わります。それぞれ確認していきましょう。

整理解雇を受け入れる場合

退職金の額を確認する

退職金を受け取れるかどうかに関しては、会社の規定によって異なります。あなたの会社の場合は退職金を受け取れるのかどうか確認しましょう。具体的な金額の計算方法には例えば次のようなものがあります。

 

一ヶ月あたりの基本給×勤続年数×給付率

給付率は各会社の規定を調べてみてください。

失業保険を受け取る

解雇は会社都合退職ですから、自己都合退職よりも好条件で給付を受けられます。受給するには、

  • 働く意志がある
  • 雇用保険に6か月以上加入している

上記の条件2つを満たしている必要があります。

生活費を確保しつつ新たな職場を探すためにも、失業保険は受け取っておきましょう。

 

整理解雇を受け入れない場合

整理解雇を受け入れない場合は、主に解雇無効か慰謝料請求のどちらかを主張することになります。

 

整理解雇の説明をされたか確かめる

30日前に解雇通知を受け取っていたとしても、会社から整理解雇に関する十分な説明を受けていない場合は、4要件の1つ「手続きの妥当性」をみたしていないので解雇無効を主張できます。

十分な説明をされたのか、まず思い出してみてください。

 

解雇無効を主張する

整理解雇の4要件を満たしていないこと主張し、解雇を撤回してもらいましょう。4要件だけにこだわらず、解雇が客観的に合理的な理由を欠いているため無効と主張することもできます。

解雇理由やあなたの状況に応じて、どこから攻めていくのかが変わります。

 

慰謝料を請求する

パワハラなど違法な解雇によって精神的苦痛を受けたとして、慰謝料を請求する方法です。ただ、基本的には解雇無効を主張することになるでしょう。退職強要など、問題のある退職方法で辞めさせられた方は検討してみてください。

 

弁護士に依頼する

解雇されて時間が経つほど証拠を隠滅する機会を企業に与えることになりますので、できるだけ早めに対応しましょう。

特に証拠が集まらないときは弁護士に依頼し、証拠となる資料のコピーや写真を撮ってもらう証拠保全をしましょう。

また、あなたの解雇理由が不当かどうか、どのような争点で解雇無効を主張するのかなどについても相談できますので、無料相談も検討されることをおすすめします。

労働問題について相談できる弁護士を探す

まとめ

整理解雇は事業を存続させるために、最終手段として従業員を解雇することをいいます。判例の積み重ねから整理解雇の4要件が定義されましたが、大企業にしか適用されないことも多いので、他の争点から解雇無効を主張した方が良いケースもあります。

Q弁護士に無料で簡単に質問できるって本当?

CTA QAテスト A 「ズバリ、本当です!」
あなたの弁護士では質問を投稿することで弁護士にどんなことでも簡単に質問できます。

この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

この記事を見た人におすすめの記事

この記事を見た人におすすめの法律相談

  • 解雇予告手当について
    私はアルバイト契約ですが、雇用期間の契約更新等の無い仕事をしております。 ...
  • 解雇予告手当に関する紛争
    解雇後支払われない解雇予告手当を請求するにあたって、懸念事項をご相談させて...
  • 事業縮小と言うだけで整理解雇出来るのでしょうか?
    どうぞお力をお貸しください。 この度、突然、事業縮小と言う形で、部署...
  • 整理解雇理由
    今月、突然解雇通知書のみ渡されました。 2ヶ月後に解雇とのことです。 ...

関連記事

あなたの弁護士

本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。

※あなたの弁護士に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
 詳しくはあなたの弁護士の理念と信頼できる情報提供に向けた執筆体制をご覧ください。

※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

労働問題が得意な弁護士を探す