一方的なリストラは違法|整理解雇の正しい知識と回避方法

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
一方的なリストラは違法|整理解雇の正しい知識と回避方法

リストラで悩んでいる人の多くは、『他の仕事の方が合っているかもしれないから』と退職を勧められることが多いと思います。実際リストラにあった際、どのように対処すればいいのでしょう。

リストラの解雇要件、退職勧奨を拒否する方法、失業保険の申請などについてご紹介します。

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リストラと解雇の違い

リストラと解雇の違い

まずはリストラと解雇の違いについて理解しましょう。リストラ=クビと捉えている方も多いと思いますが、両者はまったくの別物。それぞれの定義について説明していきます。

解雇とは

解雇とは想像の通り、会社をクビになることです。解雇には以下の4種類があります。

  1. 懲戒解雇(一方的に雇用契約を打ち切る懲戒処分)
  2. 諭旨解雇(自主退職しない場合は懲戒解雇とする懲戒処分)
  3. 普通解雇(懲戒処分としてではなく雇用契約を一方的に打ち切る意思表示)
  4. 整理解雇(経営上の理由による普通解雇)

名称は違いますが、会社をクビになるという点では同じです。一般的には、④の整理解雇がリストラに対するイメージなのではないでしょうか。

リストラとは

リストラの正式名称は『リストラクチャリング』で、『職場・事業の再構築』といったような意味があります。

A部署

B部署

C部署

100人

30人

20人

↓リストラ後↓

50人

50人

50人

上記の表を例に出すと、A部署には従業員が100人いましたが、作業を機械化することで、作業に必要な人数を50人まで減らすことができました。その分、A部署の人々を、人手が足りていないB部署とC部署に異動させ、人数を増員。

このような配置変更もリストラの一種です。解雇とリストラの違いがなんとなくわかってきましたでしょうか。

リストラ(整理解雇)を行うために必要な要件は4つ

解雇をともなうリストラ(整理解雇)は経営者の思いつきでできるものではありません。整理解雇の有効性が認められるためには高いハードルがあります。このハードルについて説明します。

①人員整理の必要性

整理解雇を行うためには経営上解雇が必要であることが求められます。

この経営上の必要性はある程度企業側の判断が尊重されますが、一方で整理解雇をしつつ、他方で人員を採用しているような場合は整理解雇の必要性が否定される可能性があります。

②整理解雇を回避するための努力を行ったかどうか

整理解雇を回避するために、できる限りの努力を行う必要があります。

  • 該当者を他部署に異動させることはできないか
  • 残業を削減することでコストを削減できないか
  • 希望退職者はいないかどうか
  • アルバイトや派遣社員を削減することはできないか

上記のような解雇を回避するための努力を怠っている場合は整理解雇をすることは認められない可能性があります。

③整理解雇する従業員の選定が合理的かどうか

『誰を整理解雇するのか・なぜ該当人物を整理解雇するのか』の理由が合理的である必要があります。経営者の好みや主観ではなく、客観的にみても納得できる理由でないと、不当解雇にあたる可能性があります。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 勤務地
  • 所属している部署
  • 担当している業務
  • 会社への貢献度
  • 年齢
  • 勤続年数

④従業員に整理解雇の理由をしっかりと説明すること

整理解雇を行う前に、労働者側に対して整理解雇の必要性や手続きについて十分な説明を行う必要があります。経営者の独断でいきなり実行することは認められないのです。

上記4つ全てを満たさなければいけないわけではない

上記4つを完璧に満たしていないと整理解雇できないわけではなく、すべての事情を総合的に判断し、『整理解雇が妥当かどうか』を判断することになります。

自身が整理解雇されそうになった時、交渉してもどうにもならなそうな時は弁護士に相談するのがおすすめです。

【関連記事】労働問題を無料相談できる弁護士の探し方|電話&メールにも対応

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リストラを拒否するには

リストラを拒否するには

上記で説明しましたが、解雇によるリストラを行う場合『合理的な理由』が必要になります。労働契約法16条では解雇について次のように述べています。リストラなどで社員を解雇するには正当な理由が必要なのです。

第十六条  解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
引用元:労働契約法

リストラ交渉は必ず記録に残す

「ちょっといいか?」と突然呼び出されるリストラ。リストラの話を持ちかけられて応じたくない場合は「考えさせてください。」と言って結論を先伸ばしにするとよいでしょう。

リストラを拒否したい場合は、早い段階からリストラ交渉の記録を残すようにしてください。会話の録音やメールの保存など、リストラの交渉は記録に残すことで不当解雇であることの証拠にすることもできます。

度を越えた『退職勧奨』は違法となる

退職を勧められて拒否したのにも関わらず、執拗に退職を勧めたり退職させるために嫌がらせを行ったりするのは、退職勧奨ではなく、退職強要と評価され違法となる場合があります。

第二百二十三条  生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

2  親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。

3  前二項の罪の未遂は、罰する。
引用元:刑法

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リストラを受け入れる際の対処法

リストラは悪いことばかりではありません。会社によってはリストラの際に、退職金の割増などの条件を提示して『希望退職』を募ることもあります。

この項目では、リストラを受け入れることによって得られるお金の話をご紹介します。

リストラの退職金は割増されることがある

希望退職などに応募して自己都合による退職をした場合、退職金が加算されることがあります。会社が退職金を算出する際の一般的な判断基準は以下の通りです。

  • 転職できるスキルがあるかどうか
  • 勤続年数
  • 年齢
  • 扶養家族の数

上記の項目から、係数を決めて退職金に加算させます。

例えば年齢による係数で退職金を加算した場合、以下の表になります。年齢が上がると基本給自体が高くなるので、加算される期間は短くなります。

年齢

退職金の加算

30歳未満

基本給 × 3ヶ月分

30歳〜40歳

基本給 × 2ヶ月分

40歳〜55歳

基本給 × 1ヶ月分

【参考】労務行政|退職・解雇・雇い止め 適切な対応と実務

失業保険の給付額は年齢に応じて上限がある

失業保険の給付額は離職前の収入によって決まるのですが、上限があります。給付額の上限は以下の表の通りです。

離職時の年齢

基本手当日額の上限

29歳以下

6,370円

30歳〜44歳

7,075円

45歳〜59歳以下

7,775円

60歳〜64歳以下

6,687円

【参考リンク】厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ

リストラをされてしまった人が考えるべきこと

もうすでにリストラをされてしまったという方も、残業代や慰謝料などは退職後でも請求することができます。また、退職理由もパワハラなどがあった場合、退職後に『自己都合』から『会社都合』に変えることができる可能性があります。

『残業代請求』と『慰謝料請求』について知っておく

抵抗の余地なくリストラされてしまったという方に知っておいて欲しいのは『残業代請求』と『慰謝料請求』です。残業代が支払われていなかった、サービス残業をして会社に尽くしていたという方はリストラを機に残業代請求を行うことも検討してみましょう。

残業代請求の大まかな流れ

残業代請求は個人で行うことも可能です。残業代請求は以下の図のような手順で行うことができます。

残業代は労働契約や労働時間によって計算方法が変わりますので、変形労働時間制など特殊な労働契約を結んでいる場合は弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

また、残業代には2年分という時効消滅があるので注意しましょう。以下に残業代請求の関連記事をまとめておきました。

『残業代請求』と『慰謝料請求』について知っておく

【関連記事】

残業代の計算方法と知っておくべき未払い残業代請求のイロハ
残業代が出ない理由と違法性|未払いの残業代を請求する手順
残業手当の種類と概要まとめ|支給条件や計算方法を徹底的に解説
深夜残業の計算例と定義|管理職にも出る22時以降の割増賃金

慰謝料請求

リストラの際に退職を強要されたような場合や退職しないことを理由に嫌がらせを受けたような場合は、これに伴う精神的苦痛について損害賠償請求が、できる可能性があります。


【関連記事】パワハラの訴え方とパワハラを訴える前に知っておくべきこと

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自己都合でなく会社都合で退職をする

退職勧奨によるリストラは『自己都合』による退職になります。『自己都合』、『会社都合』による退職は失業保険を受け取る際に大きく関わっていきます。自己都合と会社都合、それぞれの場合の失業保険の受給日数は以下の通りです。

 

自己都合退社

会社都合退社

給付日数

90~150日

90~330日

給付制限

あり

なし

最短の支給開始日数

3ヶ月後と7日後

7日後

国民健康保険料

通常納付

最大2年間軽減

最大支給額

約118万円

約260万円

リストラにあたりパワハラなどによって、うつ病などの精神疾患にかかってしまった場合は退職後に退職理由を変更することもできます。その場合は、医師の診断書をもらいハローワークで申請しましょう。

【関連記事:パワハラで退職・転職したい人が知っておくべき7つのコト

失業保険の申請をする

リストラで退職をして離職票などをもらったら最寄りのハローワークで求職の申請と失業保険の申請をしましょう。

 

厚生労働省|Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)

【引用元:厚生労働省|Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)

まとめ

会社は労働者との雇用契約を一方的に打ち切ることは原則としてできません。そのため、解雇された場合労働者側で何らかの対抗措置が取れないか、十分検討してみましょう。

なお、リストラは今のキャリアを見つめ直すきっかけでもあります。リストラにあった際は、慌てず冷静に『今後自分がどうしたいか』を考えることも大切です。 

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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