雇い止め法理とは|雇い止めを防ぐ方法

( 1件 )
分かりやすさ
役に立った
この記事を評価する
この記事を評価しませんか?
分かりやすさ
役に立った
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
雇い止め法理とは|雇い止めを防ぐ方法

雇い止め法理(やといどめほうり)とは、過去の裁判の結果から確立された、『合理的な理由のない、一方的な雇い止めは無効とすべきだ』という考え方です。

この法理は従前は法定されていませんでしたが、現在は労働契約法19条に明記されています。

この記事では、雇い止めを阻止するカギとなる『雇い止め法理』と、『雇い止めを言い渡されてしまった時に労働者にできること』を紹介します。

雇い止め法理とは

雇い止め法理とは

まずは雇い止めの法理とは何なのか説明します。

まず雇い止めとは

雇い止めとは、『有期雇用契約を結んでいる従業員に対し、契約更新をせずそのまま契約を終了してしまうこと』をいいます。

  • 正社員より賃金が安い
  • 業績に合わせて人数が調整できる

などの理由で会社から有期雇用されていた場合、会社都合で突然雇い止めにあうリスクは十分にあります。

法理という言葉の意味

次に法理という言葉の意味を説明します。法理とは、正しくは判例法理といい、『過去の裁判の結果の積み重なりによって確立した考え方』のことをいいます。

法理は法律と違い解釈上の考え方ですが、裁判所の判断指針となるという意味では法律と同様の効力があります(ただ、雇止め法理は現在は法律に明記されていますので、法律として裁判所の判断を拘束します)。

合理的な理由のない雇い止めは認めないという考え方

雇い止めの法理とは『合理的・客観的な理由がない場合の雇い止めは違法だろう。』という考え方のことです。具体的には、

  • 何年も問題なく働いている
  • 過去に何度も契約更新している
  • 会社内ではそれなりに重要なポジションにいる
  • 次回の更新をほのめかすような発言やメールがあった

などの事実があった場合、正社員を解雇する場合と同様に、正当な理由が必要になります

雇い止めの理由が正当な場合とは

雇い止め法理はどんな場合にも適用できるわけではありません。雇い止めの法理が適用されるのは以下のような有期労働者のみです。

  1. 契約期間に実態がなく、正社員と同視してもよいような場合
  2. 正社員と同視できないものの、契約が更新されるだろうと期待することに合理的な理由が認められる場合

また、雇止め法理が適用されても、労働者を雇止めにすることについて正当な理由(勤務態度が著しく悪いような場合)が認められる場合には契約終了は認められます。

雇い止めを阻止するための下準備

雇い止めを阻止するためには、

  • 雇い止め法理の適用に必要な証拠
  • 雇い止めが不当であることの証拠

この2つを用意して交渉する必要があります。証拠として有効となるものはたくさんありますので順番に紹介します。

雇い止め法理の適用に必要な証拠

まずは雇い止め法理の適用に必要な証拠を集めていきましょう。極端にいえば、『勤務実績や勤務実態や更新状況がわかるもの』であればなんでも証拠となり得ますが、ここでは代表的なものを紹介します。

・勤務開始がいつからであるかがわかるもの

・更新を繰り返していることがわかるもの

・職場で自分が活躍していることを証明できるもの(仕事ぶりに関して褒められたメールなど)

・更新をほのめかす発言やメールがあったことを証明できるもの

・周囲の人も身に覚えのない雇い止めを受けていることを証明できるもの

・自身の職務内容がわかるもの

あとでどう役に立つかわかりませんので、役に立ちそうだと思うものはなんでも残しておきましょう。雇い止め法理が適用できることが、雇い止め阻止の第一歩です。

雇い止めが不当であることの証拠

次に、雇い止めが不当であることを証明できる証拠を集めます。そのためにまず、会社が正当な理由を持って雇い止めを行ったかどうかを確認する必要があります。

会社に対し、『雇い止めは受け入れられない』という旨を伝えた上で、今回の雇い止めの理由をたずねてみましょう。その回答内容を踏まえて雇止めの有効・無効を判断することになります。

(解雇)

第十六条  解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

引用元:労働契約法第16条

証拠として残すために、回答はメールでもらうか、解雇理由証明書(雇い止めの理由証明書)を発行してもらいましょう。労働者は雇止めの予告を受けた場合、使用者に対して雇止め理由の証明書を発行するよう求めることができますので、活用することができます。

準備ができたら行動開始

準備ができたら行動開始

証拠をあつめることができたら、雇い止めを阻止すべく行動を起こしましょう。取り組むべき順番に紹介していきます。

会社と直接交渉する

まずは法的手段に出るのではなく、会社に交渉をしてみましょう。『雇い止め法理の適用に必要な証拠』で紹介した証拠を添えて、

  • 雇い止めの法理が適用される理由
  • 雇い止めが正当でない理由
  • 雇い止めは受け入れられない旨

この3点を記したものを、内容証明郵便、もしくはメールで送信しましょう。

証拠となるものを紙で送りたいか、データで送りたいかなど、自分の都合に合わせて好きな方を選んで構いません。また、書式に決まりなどはありませんので、自分の言葉で自由に書いてOKです。

会社とうまく和解できれば、雇い止めを取り消してくれるかもしれません。

労働基準監督署に相談

会社と交渉しても雇い止めを取り消すことができなかった場合には、労働基準監督署に相談してみましょう。

過去の契約更新や、雇い止めに関する手続きに違反があった場合には、会社に対し注意や、改善を求めてくれます。この時点で会社が事態を重く捉え、雇い止めを撤回してくれるかもしれません。

ですが、労働基準監督署ができるのは基本的に、『違反に対する注意や改善を要望すること』のみです。労働者の代わりに争ってくれるわけではないことを覚えておきましょう。

労働審判を行う

労働基準監督署に相談しても雇い止めを阻止できなかった場合には、労働審判を申し立てましょう。

労働審判とは、地方裁判所で行われる、労働問題専門の簡易裁判のようなものです。通常の裁判に比べて申し立てから実施までのスピードが早く、一ヶ月程度の期間で『呼び出し』がかかることになります。

裁判所|労働審判手続

引用元:裁判所|労働審判手続

労働審判を実際に検討している人は、下記リンクを参考にしてみてください。

参考リンク:労働審判手続 – 裁判所

 まとめ

雇い止め法理と、雇い止めを実際に阻止するために労働者にできることを紹介しました。2013年の労働契約法改正、2015年の労働者派遣法の改正により、2018年は多くの雇い止めが起こると言われています。

なかには勤続10年以上にもなるのに雇い止めを受けてしまった人もいるようです。雇い止めに対して納得がいかない人もいるはずですよね。その場合は雇い止めを阻止すべく行動していきましょう。

労働基準監督署に相談してもうまくいかなかった場合、労働審判を利用することになりますが、労働審判で下った結果には法的強制力があります。

雇い止めの撤回を強制させることができますので、どうしてもあきらめきれない人は申し立てを検討しましょう。

出典元:

解雇 – 厚生労働省

労働契約の終了に関するルール – 厚生労働省

Q弁護士に無料で簡単に質問できるって本当?

CTA QAテスト A 「ズバリ、本当です!」
あなたの弁護士では質問を投稿することで弁護士にどんなことでも簡単に質問できます。

数十万~数百万の弁護士費用、用意できますか?

決して安くない弁護士費用。いざという時に備えて弁護士費用保険メルシーへの加入がおすすめです。

Cta_merci

離婚、相続、労働問題、刑事事件被害、ネット誹謗中傷など、幅広い事件で弁護士費用の補償が受けられます。

【弁護士費用保険メルシーが選ばれる3のポイント】

  • 保険料は1日あたり82円
  • 通算支払限度額1,000万円
  • 追加保険料0円で家族も補償

保険内容について詳しく知りたい方は、WEBから資料請求してみましょう。

弁護士費用保険メルシーに無料で資料請求する

KL2020・OD・037

この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

この記事を見た人におすすめの記事

この記事を見た人におすすめの法律相談

  • 不当な雇い止めにあたるのでしょうか
    はじめまして 本日、来年度の契約非更新の通告を受けました。 現契約...
  • 雇い止めと規約違反について
    一応労働組合の名前がついている組合に退職後、高年齢者雇用安定法により、1年...
  • 契約期間満了による雇い止め
    ①一時的ではなく継続性ある業務内容 ②契約書に「雇用限度3年」の記載あり...
  • 契約社員の雇い止めについて
    病院の検査部門で、契約社員(1年毎の更新)として昨年4月より勤務しておりま...

new不当解雇の新着コラム

もっと見る

不当解雇の人気コラム

もっと見る

不当解雇の関連コラム

編集部

本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。

※あなたの弁護士に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
 詳しくはあなたの弁護士の理念と信頼できる情報提供に向けた執筆体制をご覧ください。

※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。