雇い止めとは|派遣社員と契約社員が知っておくべき3つのこと

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
雇い止めとは|派遣社員と契約社員が知っておくべき3つのこと

雇い止め(やといどめ)とは、契約社員やパートタイマーなど、期間を定めて働いている従業員の契約更新をせず、雇用を終了することです。

2018年は多くの雇い止めが起こるという事で、『自分は大丈夫なのだろうか』と不安に感じている人もいるはずです。ですが、もしかしたらこの記事を読むことであなたの雇い止めを阻止できるかもしれません。

この記事では、主に次の3点を紹介していきます。

  • 雇い止めとは何なのか
  • 雇い止めが起こるきっかけになった法改正の内容
  • 雇い止めを阻止するためにできること

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2018年問題と雇い止め・派遣切り

2018年問題と雇い止め・派遣切り

雇い止め・派遣切りが増加するおそれがあるといわれている2018年問題は、下記の法改正がきっかけとなっています。

  • 2013年の 労働契約法改正により有期雇用の通算期間が5年を超える場合、労働者は無期雇用への転換を求めることができるようになった。
  • 2015年の労働者派遣法改正により、企業が同一の有期派遣社員(派遣元との間で有期雇用契約を結んでいる派遣社員)を受け入れることができる上限期間が3年になった。

契約社員の雇い止め

まずは契約社員の雇い止めについて説明します。

勤続5年を超える契約社員は無期契約に転換を求めることが できる。

2013年4月1日に労働契約法が改正になりました。改正 の内容はこちらです。

改正前

改正後

契約社員は、契約が更新され続ければずっと契約社員のまま働くことができた

勤続5年を超えた場合、労働者の申し出によって無期契約に切り替えることができる

勤続5年を超えた場合は、労働者は無期契約に切り替えるよう要求することができます。これは企業側には拒否権はなく、労働者の一存で切り替え可能です。

契約社員の『使い捨て防止』や、雇用の安定化のために行われた法改正ですが、結果として5年を超える前に雇い止めをする企業が増えてしまうのではないか、という懸念の声があがっています。

無期契約社員という新しい身分が生まれる

契約社員が無期契約に切り替わったとしても、必ずしも正社員と同待遇になるわけではありません。あくまで契約が有期から無期になっただけで、待遇は契約社員のままの可能性もあります。その場合、『契約期間に定めのない社員』という形で働くことになります。

この場合は雇用形態に変更があったとしても、賃金や待遇には変更がない可能性もあるでしょう。

派遣切りに関する3つの知識

派遣切りに関する3つの知識次に、派遣切りについて説明します。

労働者派遣法により、同じ職場での勤務は3年が上限に

2015年9月30日に施行された改正労働法派遣法の内容は以下のとおりです。

改正前

改正後

・特定の業務(通称26業務)に関しては派遣社員の受け入れ期間に上限なし

・その他の業務に関しては同一の職場での派遣社員の受け入れ期間は3年が上限

・業務内容に関係なく、同一の職場での派遣社員の受け入れ期間は3年が上限に

こちらも労働契約法と同じく、派遣社員の『使い捨て防止』や『雇用の安定化』を目指して法改正されたものですが、結果として『派遣切り』を増加させることになるという指摘を受けています。

3年以上働くには派遣先からの直接雇用が必要

2015年10月1日以降に結んだ派遣契約(更新も含む)は、同じ職場での勤続が3年を超える場合、派遣先企業からの直接雇用に切り替えなければならなくなりました。元々、『人件費が安くすむから』、『業績に合わせて人数を調節できるから』の理由で雇われていた派遣社員は、3年を超える前に雇い止めを受けやすくなります。

もしくは派遣元からの無期雇用が必要になる

派遣先からの直接雇用に切り替える以外には、『派遣元から無期雇用を受ける』ことで、3年を超えても同じ職場で派遣社員を続けることができます。派遣元から無期雇用を受けた場合どうなるかというと、

・現在の案件が終了したあとも他の現場で就労できるように、新しい派遣先を探したり、紹介したりするなどの努力をしなければいけない

・派遣先が見つからず、働くことができない状態が続いたとしても、給料や休業補償を支払わなければいけない

などの義務が派遣元企業に発生します。

雇い止めを受けないためにできること

雇い止めを受けないためにできること

原則として、雇い止めは違法ではありません。しかし、雇い止めに納得できず、今の職場で働き続けたい人もいるでしょう。そんな人のために、『雇い止めをさせないためにできること』を紹介します。

【関連するQ&A】不当な雇い止めにあたるのでしょうか

雇い止めの法理を理解する

雇い止めを阻止するにはまず、『雇い止めの法理』を理解しましょう。

  1. 契約期間に実態がなく、正社員と同視してもよいような場合
  2. 正社員と同視できないものの、契約が更新されるだろうと期待することに合理的な理由が認められる場合

上記2点のどちらかに該当する場合は、『雇い止めの法理』が適用されます。

適用された場合、正社員を解雇するのと同様に、企業は正当な理由がないと雇い止めできなくなります。雇い止めを阻止したい人は、まずは『雇い止めの法理』が適用されるかどうかを検討しましょう。

まずは証拠集め

雇い止めの法理の適用につながる証拠はたくさんあります。

・勤務開始がいつからであるかがわかるもの

・更新を繰り返していることがわかるもの

・職場で自分が活躍していることを証明できるもの(仕事ぶりに関して褒められたメールなど)

・更新をほのめかす発言やメールがあったことを証明できるもの

・周囲の人も身に覚えのない雇い止めを受けていることを証明できるもの

・自身の職務内容がわかるもの

これらが該当しますが、自分で有効だと思うものはできるだけ集めましょう。

雇い止めの法理が適用された場合、企業は正当な理由がないと雇い止めをできなくなります。なので、『雇い止めが不当であること』の証拠も集めていきましょう。

・今回の雇い止めの理由を会社から回答してもらったもの

・契約に記載されている、契約解除や雇い止めに関する内容

など、証拠になりそうなものなんでも集めましょう。

雇い止めの理由が、

・会社の気風にあわないから

・過去に一回遅刻をしたから

など、いい加減な場合は雇い止めを阻止できる可能性があります。

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会社に対して働き続けたいという意思表示をする

証拠を集めたら、まずは会社に対して『雇い止めは不当だ』という内容の意思表示をしましょう。

・雇い止めの法理により、今回の雇い止めには正当な理由が必要なこと

・雇い止めの理由が不当であること

・今回の雇い止めを受け入れたくないこと

といった内容を盛り込んだ書類かメールを作成し、会社に送付しましょう。事態を重く見た会社が、雇い止めを中止する可能性があります。

労働基準監督署に相談する

会社とのやりとりがうまくいかず、雇い止めを阻止できなかった場合には労働基準監督署に相談してみましょう。

会社の手続きなどに違反がある場合は注意をしたり、改善を求めたりしてくれます。ですが、労働基準監督署は裁判をするわけではないので、双方の意見の食い違いなどに関してはどうすることもできません。

これでも改善ができなかった場合には、労働審判を申し立てましょう。

労働審判を申し立てる

労働審判とは、会社と労働者の間で起こったトラブルを速やかに解決するためにある、簡易裁判のようなものです。

労働審判でくだされた判断には法的強制力がありますので、労働審判での決定に会社が応じなかった場合、会社が処分や罰則を受けることになります。

必要な手順を完結に説明すると、

・証拠を用意する

・申立書を作成する

・証拠と申立書を裁判所に提出する

裁判所が申し立てを受理した場合、『呼び出し状』のようなものが届きます。会社側にも呼び出し状が届くので、双方の言い分を聞きながら判断していくことになります。呼び出しは、申し立てから1ヶ月後くらいになります。

労働審判に関する詳しい内容はこちらをご覧ください。

参考リンク:労働審判手続 – 裁判所

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まとめ

いかがでしたか。大量の雇い止めが起こる理由や、2018年問題の内容について理解できましたでしょうか。

雇い止めが起こるきっかけとなったのは、『契約社員の使い捨てを防止することや、雇用の安定化をはかるために行われた法改正』です。

ですが、個別の事例の中では必ずしも雇用の安定につながらない場合もあります。この記事に書いてある内容を参考にしながら、新しい職場を探すか、雇い止めを阻止するべく行動するか、どちらにしろ、自身に後悔の残らない選択をするようにしましょう。

 

出典元:

労働者派遣法が改正されました – 厚生労働省

労働契約法の改正について~有期労働契約の新しいルールができました~ - 厚生労働省

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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