自己都合退職と会社都合退職の違い|知っておきたい失業手当の知識

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
自己都合退職と会社都合退職の違い|知っておきたい失業手当の知識

自己都合退職よりも会社都合退職の方が有利だと何となく知ってはいても、具体的になにがどう違うのかを詳細まで把握できている人は少ないかと思います。

しかし、どちらの退職方法になるかによって、「給付日数」「給付までの3ヵ月待機の有無」「国民健康保険の処理の仕方」など、その後の保障内容が大きく変わってくるので、選択を間違えて損をしないため両者の特長をしっかり認識しておかないといけません。

この記事では、会社都合退職と自己都合退職の違いやその判断基準についてご紹介します。

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会社都合と自己都合の違いは失業手当

会社都合退職と自己都合退職の大きな違いは、ハローワークで受け取ることができる失業手当の保障が内容です。

  自己都合退職 会社都合退職
給付日数 90~150日 90~330日
給付まで3ヵ月待機 あり なし
最短給付開始日 3ヵ月7日後 7日後
国民健康保険 通常納付 最長2年間軽減

保障内容は会社都合の方がお得

上表の比較を見ると分かりますが、給付日数が長く給付開始も早いなど、会社都合退職での失業手当の方が自己都合退職の失業手当よりも充実した保障内容となっています。

自己都合退職だと失業手当が支給開始される3カ月間は無収入になってしまいますが、会社都合退職なら最短7日で支給の受け取りが可能ですので、失業者にとって特に大きな利点であると言えるでしょう。

また自己都合退職だと失業手当を受けるには最低1年以上の雇用保険を収める必要がありますが、会社都合退職だと被保険者期間が半年以上あれば失業手当の支給を受けることが可能です。(1年以下の場合は90日が最大給付日数)

会社都合退社の唯一のデメリット|就職活動の負担が増えてしまう

保障面だけで見たら間違いなく会社都合退職を選択すべきですが、会社都合退職をするとその経歴が就職活動に悪影響を与えてしまう可能性があります。

基本的には会社が優秀な人材を解雇対象に選択するのはあり得ないことなので、採用担当者によっては会社都合退職の経歴を見て「この人には何か問題があるのではないか…」と警戒されてしまう可能性も否定できません。

会社都合退職者は面接の際に退職理由を聞かれることが多くなるので、そこで採用担当者に不信感を与えない納得できる返答が必要になり、就職活動の負担が増えてしまうのは会社都合退職の唯一のデメリットです。

会社都合と自己都合退社の判断基準

会社都合と自己都合退社の判断基準

会社都合退職の場合

会社都合退職は労働者の意志ではなく会社の都合により労働契約の解除を余儀なくされることで、例としては以下の状況が挙げられます。

  • 会社の倒産
  • 経営不振による人員削減(リストラ)
  • 退職を勧められた(早期退職優遇制度を除く)

上記のように退職の原因が会社側にある状況だと会社都合退職として扱われます。なお、労働者の不正・過失が原因での懲戒解雇の場合、解雇であっても自己都合となる場合がありますので注意しましょう。

自己都合退職の場合

自己都合退職は労働者が自らの意志で労働契約の解除を求めることです。基本的には自分で退職届を出して仕事を辞めた場合は自己都合退職として扱われます。

「家族の介護で実家に帰らないといけない」「病気で仕事の継続が難しくなった」「結婚により生活スタイルが変わってしまった」など、このような個人の事情による退職は会社都合退職であると判断できるでしょう。

しかし、自己都合退職でも状況によっては後から会社都合退職に変更できるケースがありますので、下記でその例をいくつか紹介させて頂きます。

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自己都合でも後から会社都合に変更できるケース

自己都合でも後から会社都合に変更できるケース

求人と実際の労働条件が異なる

技術職を募集する求人を見て申し込んだのに営業に配属されてしまうなど、入社前に知らされていた労働条件と実際の業務が明らかに異なる状況は、会社都合と評価される可能性があります。

また、10年以上も同じ業務に取り組んでいたにも関わらず、突然全く違う業務をするように命じれられフォローもろくにない状況に嫌気がさし、退職した場合も会社都合と評価される可能性があります。

勤務地の変更が命じられた

勤務地の変更で自宅と会社の往復時間が長時間となった場合(例えば往復4時間など)に退職をしたというケースは、会社都合退職となる可能性があります。

そして、もし入社時に転勤無しという取り決めがあったのならば、その証拠を用意できれば、会社都合退職に変更できる可能性はかなり高くなるでしょう。

給料が85%未満に低下した

普段支払われていた給与が85%未満に減額され、結果、これを理由に退職した状況であれば会社都合退職であると認められます。

ただし、労働者において当該低下が1年より前の時点で予見可能な場合、業績連動給与制度に基づく減額である場合等はこれに該当しません。

相当期間について長時間の残業が続いている

退職から直前6ヶ月の残業時間について、3ヵ月連続して45時間を超え、また1ヶ月について100時間を超えている又は2~6ヶ月平均で80時間を超えているという場合に退職した場合は会社都合退職と評価されます。

パワハラ・セクハラ等の嫌がらせ

上司や同僚からの嫌がらせが理由の退職であれば、会社都合退職と評価される可能性があります。

ただ、嫌がらせがあった事実を客観的に証明する必要があるため、退職前にハローワークに相談をして証拠集めをするなどの事前準備が、会社都合に変更できるかどうかに大きく影響することになるでしょう。

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会社都合退職の失業手当を受けるためには

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退職届は提出しない

会社都合退職の場合は労働者が退出届を提出する必要はありません。退職届を提出してしまうと自分から退職を希望した意思表示として利用され、自己都合退職として処理されてしまう恐れもあるので、提出を求められても応じないようにしましょう。

会社によっては会社都合退職でも手続き上でどうしても提出をせざるを得ない状況になるかもしれませんが、その場合は「貴社、退職勧奨に伴い」と記載をして必ず一身都合上の理由での退職でないことを証明できるようにして下さい。

途中変更が可能とはいえ、自己都合退職で処理をされると無駄に手続きを踏まないといけなくなるので、退職時の手続きは慎重に進めていくことをおすすめします。

会社都合への変更はハローワークへ

失業手当の支給を受けるにはハローワークに申請を行いますが、会社都合退職への変更もハローワークで手続きをすることになります。以下のもの用意して相談へ向かいましょう。

  • 離職票2種類(前職で貰えます)
  • 雇用保険被保険者証(退職時に貰います)
  • 印鑑
  • 写真(縦3cm×横2.4cm)
  • 普通預金通帳(本人名義)
  • 本人確認証(写真付き)

また、変更可能かの状況確認に必要な証拠もハローワークで相談をすれば、何が必要でどう用意するかもアドバイスしてもらえるので、失業手当で分からないことがあったら1人で悩まずに直ぐに相談することをおすすめします。

まとめ

会社都合退職は就職の際に退職理由を説明しにくいというデメリットはありますが、自己都合退職よりも手厚い失業手当を受けられます。

退職届を提出していても状況によっては後から会社都合退職に変更も可能なので、自分の場合はどちらが合っているかをじっくり検討して、後で後悔しない選択をするよう慎重に判断しましょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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