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KL2020・OD・037
雇用保険は失業時や育休時に関わる保険で、社会保険は厚生年金や健康保険など生活や医療費に関わる保険です。雇用保険は一定の就労時間以上の社員に被保険者資格があり、会社は資格者を加入させる義務があります。また、社会保険については平成28年10月以降の法改正により、これまで被保険者資格を有しなかった短時間労働者も一定規模以上の企業では加入対象となりました。
今回の記事では、雇用保険と社会保険の違いや加入条件などを徹底解説します。
目次
雇用保険は、失業手当や産前産後・育児休業給付のために加入する保険で、すべての労働者が強制加入となっています。また、社会保険は医療保険や年金保険のことで、一定時間(企業規模によっては週20時間)以上勤務している労働者が強制加入となる保険です。
正社員の方はどちらも必ず加入しなくてはならない保険ですので、未加入の場合は早い段階で「未加入の場合の相談先」でご紹介する相談窓口などを利用してください。
雇用保険と社会保険はどちらも一定時間(企業規模によっては週20時間)以上勤めている労働者は強制加入です。
そのため、正社員の場合は必ず加入していなくてはなりません。雇用保険や社会保険の加入有無は給与明細に記載してある以下の項目で確認することができます。
給与明細の「控除」の欄に記載されている4つの保険項目
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雇用保険と社会保険が未加入だった場合は、まずは会社の人事課や厚生課などの社内窓口に報告しましょう。これらの保険の加入は強制であり、会社の義務でもあります。
万が一、会社側が対応しないようであれば、以下の相談窓口を利用するようにしてください。
ハローワークなどの公共職業安定所の相談窓口を利用することができます。なお、労働災害保険の相談は、会社が所在する都道府県の労働局が管轄となります。
健康保険が未加入の場合は、各都道保険の全国健康保険協会(協会けんぽ)に相談することができます。
協会けんぽに相談する場合は、全国健康保険協会(協会けんぽ)のホームページより都道府県支部のページを検索したり、申請書のダウンロードをしたりすることができ便利です。
厚生年金の相談は日本年金機構の電話相談(ねんきんダイヤル)を利用することができます。
【ねんきんダイヤル】
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雇用保険と社会保険は、同じ保険という名前が付いていますが、異なる制度です。雇用保険は失業給付などの労働保険で、社会保険は健康保険や厚生年金などの医療費や生活費に関わる保険です。
この項目では、雇用保険と社会保険の違いと考え方についてご紹介します。
雇用保険は労働保険の一部で、失業等給付を受けることのできる保険です。雇用保険は、パートタイムや正社員などの労働形態を問わず、週20時間以上勤務する労働者が強制加入となります。
保険料は、法定の負担割合に応じて労働者と会社で負担します。
社会保険とは、健康保険と厚生年金保険のことです。どちらも一定規模以上の会社に週30時間(企業規模によっては20時間)以上勤めている労働者は強制加入となっている保険制度です。なお、ここでは社会保険の大まかな考え方をご紹介します。
社会保険の加入条件や保険料については、後の項目「社会保険の特徴|健康保険・厚生年金保険の強制加入の条件」で詳しくお伝えします。
健康保険は、医療・介護、出産時などにかかる費用の一部負担や給付を行なっています。健康保険に加入すると保険証を受け取ることができます。
厚生年金保険は、一定以上の年齢となった場合に年金として受給することができる保険です。
雇用保険は労働保険の一部で、失業時(求職者給付)や育児・産前産後休業(雇用継続給付)の際に手当を受けることのできる保険です。雇用保険は1人でも労働者を雇用していれば原則として適用事業所となります。そして、適用事業所において被保険者資格を有する労働者を雇用する場合、会社は必ず加入手続き(保険関係成立届)を行わなければなりません。
雇用保険は正社員、派遣社員、パートタイムなどの労働形態を問わず、すべての労働者が加入しなくてはなりません。なお、雇用保険の給付を受ける際は、ハローワークなどの公共職業安定所が管轄となります。
雇用保険は、失業時の基本手当や育児休業給付を受け取ることができます。
雇用保険の補償や給付内容は以下の通りです。
労災は雇用保険と異なり、全ての労働者について被保険者資格が認められます。
そのため、パートタイマーでも契約社員でも労働災害に遭った場合には労働者災害補償保険から給付を受けることができます。労災の保険料は全額が事業主負担となるため、労働者が負担することはありません。また、労働者災害補償保険は労働基準監督署が管轄となります。
平成28年10月から、社会保険の加入条件が変わりました。これによって、パートタイムなどの短時間労働者であっても社会保険に加入することができるようになりました。
また、平成29年4月1日から、500人以下の企業であっても労使の合意よって週20時間以上の労働者も対象となります。この項目では、労働時間によって変わる社会保険の加入条件と保険料についてご紹介します。
医療費や医療サービスの一部負担や給付を受けることができる保険には、健康保険、船員保険、共済組入あ、国民健康保険等種々ありますが、会社に勤めている人は健康保険に加入するのが通常です。
医療保険の種類 | 対象者(加入条件) | 保険料 |
健康保険 | 一定の事業所に勤務し、所定労働時間が週20時間(事業所によっては30時間)以上の労働者、またはその扶養者。 | 保険料は所属事業主と折半となり、収入から天引きすることができる。金額は被保険者の月収・賞与によって変動する。 |
国民健康保険 | 健康保険その他保険の適用を受けない全ての国民。扶養者制度はない。 | 所属している都道府県・健康組合によって異なり、保険料は自己負担。 |
なお、健康保険は失業後、条件によって任意継続を行うことも可能です。
老後や障害が残った際の生活に関わる年金保険は、以下のような種類があります。会社に勤めている人は、通常、厚生年金保険に加入します。
年金保険の種類 | 対象者 | 保険料 |
厚生年金保険 | 一定の事業所に勤務し、所定労働時間が週20時間(事業所によっては30時間)以上の労働者。扶養制度はない。 | 保険料は所属事業主と折半となり、収入から天引きすることができる。金額は被保険者の月収・賞与によって変動する。なお、育児・産前産後休業の期間中は免除。 |
国民年金保険 | 20歳以上、60歳未満の厚生年金保険に加入していない国民。 | 所属している都道府県・健康組合によって異なる。 |
条件を満たした労働者の健康保険と厚生年金の加入は強制です。正社員なのに社会保険に未加入という場合は、会社側が老僧者の健康障害防止措置を行なっていないとして責任を問われることがあります。
例えば、健康保険が未加入の場合は、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることがあります。
第二百八条 事業主が、正当な理由がなくて次の各号のいずれかに該当するときは、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第四十八条(第百六十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
二 第四十九条第二項(第五十条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、通知をしないとき。
三 第百六十一条第二項又は第百六十九条第七項の規定に違反して、督促状に指定する期限までに保険料を納付しないとき。
四 第百六十九条第二項の規定に違反して、保険料を納付せず、又は第百七十一条第一項の規定に違反して、帳簿を備え付けず、若しくは同項若しくは同条第二項の規定に違反して、報告せず、若しくは虚偽の報告をしたとき。五 第百九十八条第一項の規定による文書その他の物件の提出若しくは提示をせず、又は同項の規定による当該職員(第二百四条の五第二項において読み替えて適用される第百九十八条第一項に規定する機構の職員及び第二百四条の八第二項において読み替えて適用される第百九十八条第一項に規定する協会の職員を含む。次条において同じ。)の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは第百九十八条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
引用元:健康保険法
転職・退職などによって健康保険の被保険者資格を喪失すると、健康保険から国民健康保険に切り替える必要があり、保険料も全額自己負担となってしまいます。しかし、要件を満たした上で退職後20日以内に健康保険の任意継続申請を行うことで、退職後2年間は勤めていた時と同じように従前の保険を継続することが可能です。
任意継続被保険者となる要件
(1)資格喪失日の前日までに「継続して2ヶ月以上の被保険者期間」があること。
(2)資格喪失日から「20日以内」に申請すること。(20日目が営業日でない場合は翌営業日まで)
※ 申請については、自宅住所地を管轄する全国健康保険協会の都道府県支部で行います。
引用元:全国保険協会|任意継続被保険者となるための要件
健康保険は、月収・賞与によって保険料が異なるため、任意継続にした方が保険料の負担が少なく済む場合もあります。定年などの以外の理由で転職・退職を行う方は、任意継続にした場合の保険料も必ず確認するようにしましょう。
なお、任意継続を希望する際は退職前に人事課などの社内窓口に伝えるようにしてください。
雇用保険と社会保険は正社員であれば、会社が当たり前のように加入手続きを行うものです。しかし、万が一未加入であったり、転職や退職によって被保険者資格を喪失したりする場合は、速やかに加入手続きや切り替え手続きを行うようにしてください。
この記事で、雇用保険と社会保険の疑問が解消されれば幸いです。
他にも雇用保険に関することで知らないことがある場合は、以下より不足している知識についてご確認ください。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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