残業手当の種類と概要まとめ|支給条件や計算方法を徹底的に解説

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
残業手当の種類と概要まとめ|支給条件や計算方法を徹底的に解説

残業手当は法律で定める労働時間を超えて働いたときに支給されるものです。

そんな残業手当にもいろいろな種類があります。なお、企業の就業規則で法律以上の残業の定めを置いている場合もあり、その場合は同規則に従って請求することができます。

今回はそんな残業手当について、種類や計算式などをご紹介します。

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残業手当の概要

残業手当の概要

残業手当とは、一定の労働時間以上働いたときに支給されます。

正社員の方はもちろん、アルバイトの方でも受け取ることができます。きちんと支給されていなければ、未払金を計算して請求しても問題はありません(むしろ請求する権利があります)。

ではどのくらい働いたら残業手当は支給されるのでしょうか。

残業手当が支給される条件

残業手当が支給されるのは、1日の労働時間が8時間、1週間に40時間を超えたときです。当該時間以内の労働を法定労働時間といい、これを超過した労働時間のことを時間外労働といいます。

時間外労働をしたときには1.25以上の割増率で計算する割増賃金を支払うことが義務付けられています。時間外労働をさせる場合、企業は当該割増賃金を支払わなくてはなりません。

残業には法定外残業と法定内残業の2種類がある

世間一般でいう残業には、法定外残業と法定内残業があります。法定外残業とは、1日の労働時間が8時間を超えたときに適用され、一般的な時間外労働に対して賃金に上乗せされます。

対して法定内残業は、企業が就業規則で定める労働時間(所定労働時間)を超えるものの、法定労働時間を超えていない部分を指します。

このような法定内残業は、就業規則で別途定めない限り、割増賃金を支給する必要はありませんが、同労働に対応する通常賃金の支払は必要です(月額基本給は所定労働時間働くことを前提とする賃金だからです。)。

ただ、就業規則で所定労働時間を超える部分を残業代支給対象としている企業も多いので、まずは会社就業規則や賃金規程をよく確認しましょう。

休日出勤をした場合の休日手当

労働者には少なくとも、週1日もしくは4週間に4日の休日を与えなくてはならないと定められています。

もしこのような休日に就労が必要であった場合、1.35の割増率で計算する休日残業手当を支払わなくてはいけません。

残業手当の計算方法について

残業手当を受け取るとき、どのような手順で計算されているのかご存知ですか?残業代を計算するには、事前に調べておかなくてはならないことがたくさんあります。

では実際に残業手当を調べるとしたらどうすればいいのか、その工程をご紹介していきましょう。

残業手当の計算方法について

基礎賃金を確認する

残業手当の計算をするとき、まずは基礎賃金となる所定賃金の金額を確認しなくてはいけません。

基礎賃金には、賞与など不定期に支払われる賃金は基本的に含まれませんが、役職手当、業務手当といった各種手当が含まれます(通勤手当、家族手当、住宅手当等労働者の個々人の生活状況で異なる賃金は通常除外されています。)。

月額賃金から割増賃金計算上除外すべき賃金(賞与、通勤手当、家族手当、住宅手当、子女教育手当)を除外したものが、月の基準賃金です。原則は給与明細から調べられるので、確認しておきましょう。

所定労働時間の確認をする

次に、所定労働時間を調べます。これは要するに定時であり、9時-18時(休憩1時間)を定時とする会社であれば、所定労働時間は8時間です。就業規則や労働契約書から確認して、1日の所定労働時間がどのくらいか調べましょう。

1時間あたりの基礎賃金を算出する

所定労働時間を計算したら、続いて1時間あたりの基礎賃金を調べます。

この場合、1か月あたりの平均所定労働時間を算定する必要がありますが、これは以下の計算式で算定できます(なお、所定休日は通常就業規則で確認できます。就業規則がない場合は勤務実態から推計するしかありません。)。

※所定労働時間×(365日(うるう年は366日)-所定休日)÷12

上記計算で月平均所定労働時間が算定できれば、あとは以下の計算で賃金単価が計算できます。

基準賃金÷1か月あたりの平均所定労働時間

実労働時間を確認する

そして最後に確認をしておきたいのが、時間外労働や休日労働をしたとき、実際に働いた実労働時間の算出です。こちらはタイムカードなどから算定していきますが、1分単位で算出していくのが基本です。

時間外労働手当の計算式を求める

1時間あたりの基礎賃金を算出、実労働時間を確認したらいよいよ残業手当の計算に入ります。算出した基礎賃金をもとに、時間外労働数と割増率で残業手当を計算していきます。

使用する計算式は以下のものです。

1時間あたりの賃金単価×1.25(割増率)×時間外労働時間数

ここでようやく、残業手当がいくらなのかを出すことができます。

休日手当の計算式を求める

では、休日労働をしたときに休日手当を算出するときにはどうしたらいいかについてです。休日手当の割増率は一律35%となるので、若干計算式が異なります。

1時間あたりの賃金単価×1.35(割増率)×休日労働時間数

深夜手当の計算式を求める

法定外残業をする際、時間が22時以降となる深夜まで仕事をされる人もいます。そんな方は深夜手当の支給対象となります。深夜手当は通常の賃金(割増賃金)に加え、更に0.25の割増率で計算する賃金を支払う必要があります。

計算式は以下のとおりです。

1時間あたりの賃金単価×0.25×深夜労働時間数 

残業手当がすでに基本給に含まれていることもある

残業手当がすでに基本給に含まれていることもある

残業手当についてご紹介してきましたが、事前に残業手当が給与に含まれた上で支払われるケースもあります。これを固定残業手当といいます。

例えば、月間で20時間分の時間外手当を含むなどと記載されていることがあり、この場合、企業は一定額の割増賃金を既に支払っていることになります。これらが適法で運用されているのなら問題ありません。

しかし、この固定残業手当をめぐって以下のようなトラブルが起こっています。

  • 基本給と残業手当の区別が不明確である
  • 固定割増賃金について求人票に説明がない
  • 固定残業を超える残業を行っても残業代が支給されない

実際にあった残業手当に関する実例

固定残業手当で特に多いとされる実際のトラブルが、求人活動をしている人によく見られます。紹介されていた求人条件と、実際の採用条件で賃金面が違っていたなどが、多く見られます。中には裁判まで発展したケースもあり、以下のような裁判例があります。

固定残業手当が認められなかったケース

基本給を月額41万円と定めており、そのうち月の総労働時間が180時間を下回った場合、月額41万円の基本給は変わらないという契約がされていました。しかし、180時間以内の労働時間についても、割増賃金が支払われたとすることはできないと判断されました。

販売手当が割増賃金分として認められなかったケース

深夜労働をしたとき、販売手当を支給することで時間外労働による割増賃金を支払っているとされていました。しかし、販売手当が時間外労働の割増賃金変わりと説明をした証拠もないので、販売手当の支払いをもって深夜手当などの支払いにはならないと判断されました。

時間外労働が出ているか確認できなかったケース

労働者がどれだけ時間外労働をして、どれくらいの割増賃金が支給されているのか、把握できるようにしなければなりません。労働者側で適正に割増賃金が支払われているのか確認できないような固定残業の取り決めは、有効な合意が成立しているとは言えないと判断されました。

残業手当が支払われない場合の請求手順

残業代請求の大まかな流れは次のとおりです。

  • 労働時間(残業時間)が証明できる資料の作成
  • 残業代の計算
  • 残業代支払依頼書の作成
  • 労働基準監督署への申告
  • 労働審判申立の手続き

まとめ

残業手当といっても、様々な種類があります。時間外労働と法定内残業、休日労働によって賃金の割増率は大きく変動します。残業をして、その分の手当が支給されていない人も多いでしょう。諦めてしまう前に未払いの残業手当を請求することもできます。

残業手当は労働者がもらえる正当な報酬です。受け取れるはずの残業手当を受け取っていない方は一度弁護士に相談してみましょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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