残業時間の平均|残業代が少ないときにできること

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
残業時間の平均|残業代が少ないときにできること

近年、長時間労働が問題となっています。働いていると「残業が長くて辛い」「周りはこんなに働いているのだろうか」と考えることが一度はあると思います。そこで今回は、平均残業時間と残業を減らす方法などをご紹介していきます。

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サラリーマンの平均残業時間

日々働く中で、残業はどうしても発生してしまうものです。

長い時間残業をしていると自分の残業は多いのか、少ないのかということが気になってしまいますよね。この項目ではサラリーマンの平均残業時間と年齢ごとの残業時間などをご紹介します。

残業時間の月平均は47時間

サラリーマンの平均残業時間は47時間と言われています。以下は「Vorkers」が約6万8千人から調査した、月間の平均残業時間のデータです。


引用元:Vorkers|平均残業時間(月間)

このデータから、サラリーマンの残業時間は月平均47時間という結果となりました。月平均47時間ということは、1ヶ月に22日勤務したとして1日平均2.1時間の残業になります。9:00〜18:00を企業が定めた所定労働時間とすると20時頃まで仕事をしていることになります。

年齢別にみる残業時間

平均残業時間を年齢別に見ると以下のようになっています。


引用元:Vorkers|平均残業時間(月間)年齢別推移

年齢別の平均残業時間を見ていると残業時間が多いのは20〜30代になっています。30代後半なると残業時間は減少していく傾向にあります。

日本の残業時間は決して長くない?

日本は一見、残業時間が多いように思われます。日本人は勤勉・勤労であるというイメージは海外にも浸透していますし、「過労死」などは日本にしかない言葉です。しかし、日本の残業時間というのは多いわけではありません。

OECD(経済協力開発機構)によると労働時間の国別ランキングで日本は22位となっています。他国では低賃金・長時間労働のために労働時間が伸びているなどの事情もありますが、先進国も含めたこのランキングで日本が22位という事実から日本の残業は他国と比較して多いとは言えません。

平均残業時間の多い業種

残業時間の平均は業種によっても変わっていきます。残業を減らしたいと考えている方は残業の少ない業界に転職ということも選択肢として考えていると思います。
平均残業時間の多い業種の上位30は以下の通りになっています。


引用元:Vorkers|業界別残業時間(月間)ランキングTOP30

上の表から上位3つの業種の月平均残業時間と1日平均残業時間を取り上げると、1位はコンサルティング業で月平均残業時間は83.5時間で1日平均3.8時間(月22日勤務)。

コンサルティングなどの業種では、課題解決などの時間を要する仕事に加え、関係会社間の調整や納期の管理等があり残業が増えてしまうようです。2位は広告代理店系のマスコミ業で月平均残業時間は78.6時間、1日平均3.6時間(月22日勤務)。3位は建築・土木などの不動産・建築業で月平均残業時間は70.8時間、1日平均3.21時間(月22日勤務)。

上位3つの業種に共通していることは、「期限がある仕事が多い」ということに加え「関係会社などの調整が必要」な仕事であるということです。また、このような業界では「やりがい」を感じて志望する方が多いので、入社時からある程度の残業時間を覚悟していると考えられます。

残業時間が80時間を超えると過労死ライン

残業時間(時間外労働)が80時間を超えると「過労死ライン」と言われます。これは厚生労働省が過労死認定を行う際の指標にもなっています。そもそも残業時間とはどのようなものなのでしょう。次の項目では残業時間の考え方についてご紹介します。

そもそも残業とは

いわゆる残業とは、「1日8時間、週40時間」の法定労働時間を超えた法外残業のことを言います。この「1日8時間、週40時間」というのは労働基準法32条に定められたものです。

第三十二条  使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
 ○2  使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
 引用元:労働基準法第32条

この時間を超えた労働は法外残業という扱いになり、基本給与に対して割増の金額で残業代が支払われるようになっています。

サブロク協定(36協定)による残業時間の制限

残業時間でよく耳にする「サブロク協定(36協定)」とは労働基準法36条に基づく協定のことです。サブロク協定では、使用者(会社)対して労働者の時間外労働(残業時間)を以下のように制限しています。

期間   ※変形労働制の場合
1週間 15時間 14時間
1ヶ月 45時間 42時間
1年 360時間 320時間

企業は労働者に残業をさせる時、このサブロク協定を労働基準監督署に届け出なければなりません。上の表はサブロク協定で設けられている残業時間の制限ですが、1ヶ月の残業時間の上限は多くても45時間であることが分かります。月45時間の残業とは数字だけ見ると十分長い時間だと思われますが、1日平均2時間の残業とみると「それくらいならしているかもしれない」と思う方もいるではないのでしょうか。

先の項目でもありましたが、サラリーマンの1ヶ月の平均残業時間は47時間といわれています。サブロク協定では45時間までという上限があるのに、47時間とはどういうことなのでしょう。これは、特殊な労働形態をとったり、サービス残業を発生させたりしているという場合が多いのです。

年俸制、フレックスタイム制、裁量労働制などはこれにあてはまります。また、運送業、土木・建築・解体事業、研究開発などの業種ではサブロク協定が適用されない場合があります。

毎日3時間以上の残業には要注意

毎日3時間以上の残業をしなければならない企業(会社)は、そもそもサブロク協定などを逸脱しているのでブラック企業である可能性が非常に高いです。また一般的に、月80時間を超える残業は過労死ラインといわれており、健康被害のリスクが非常に高まります。

月80時間の残業というと、1日平均3.6時間の残業をしていることになります。1日平均3時間以上の残業はすでに過労死ラインに達していると考えていいでしょう。過労死ラインを超えている、あるいはギリギリである長時間労働は恐ろしい健康被害をもたらします。

厚生労働省によると、残業時間が月100時間以上または2〜6ヶ月平均で月80時間になると健康障害のリスクが高まるとされています。残業による長時間労働は様々な健康被害が考えらえます。以下は厚生労働省が公開している「脳・心臓疾患に係る労災請求・決定件数の推移」です。これは、脳・心臓疾患と長時間労働の因果関係が認められた件数です。

厚生労働省|平成27年度「過労死等の労災補償状況」
引用元:厚生労働省|平成27年度「過労死等の労災補償状況」

ここでいう脳・心臓疾患とは、くも膜下出血や心臓麻痺などがあげられます。これらは命の危険がある重篤な疾患です。健康のためにも、残業などの長時間労働は甘くみてはいけないのです。

残業時間を減らす為にできる事は?

残業時間は少ないに越したことはないですが、毎日残業をしている方にとっては残業をいきなりなくすことは難しいことだと思います。この項目では残業時間を減らす方法についてお伝えしていきます。

働き方を変えてみる

先の項目では月の平均残業時間は47時間とお伝えしました。月47時間というと、1日平均2.1時間の残業をしていることになります。企業で定められている定時が18時だとするとだいたい20時ごろまで会社に残って仕事をしていることになります。仕事の予定を組む際に、つい19時ごろまでタスクを入れてしまっていることはありませんか?残業時間を減らすためにはまず働き方から変えていきましょう。

夜、人と会う約束をする

夜、人と会う約束をすると、その時間までに予定を切り上げて帰らなければなりません。毎日そんな予定を入れるということは難しいかもしれませんが週1回、月2回など意識的に予定を作っていきましょう。

習い事をする

最近、退社後に料理やダンスなどの習い事をする人が増えています。習いごとは月謝も払うことになるので、払っているお金のためにも遅刻するわけにはいきませんよね。また、習い事は週1回など確実に定期的な予定を作ることができます。「その日だけは絶対に定時で上がるぞ」という習慣を作るのにも習いごとは有効です。当然、仕事では学べないスキルを身につけることもできます。

残業時間を減らすためには、自分の中でノー残業デーを設定することが重要です。人と会う予定も習い事も、自分の中のノー残業デーを作るきっかけに過ぎません。ノー残業デーをどんどん増やしていって残業をしないで済む働き方を考えていきましょう。

残業が少ない職場に転職する

残業代の平均時間に一喜一憂する前に、自分が働く上で「残業」が重要であるのかを考え直してみてください。「平均残業時間を比べると少ないから、まだ頑張れる…」と思っている方はなおさら、その残業があなた自身にとって必要であるかを考え直してください。

仕事よりもプライベートの時間をもっと大切にしたい、今残業している時間でもっと身になることができるのではないかと考えたら転職も視野に入れるべきです。

残業代が少ないと思ったときにできること

「残業時間が給与に見合わない」、「こんなに働いているはずなのに給料が少ない」と思った方は残業代が未払いになっている可能性があります。未払いの残業代は請求することができるので、正当な金額の残業が支払われているか確認してみてください。

月々の残業代を見直してみる

月々に支払われている残業代は正しい金額になっているでしょうか。残業代の一番簡単な計算方法は以下の通りです。

【月給(円)】÷【月の所定労働時間(時間)】× 1.25 × 【時間外労働時間】

なお、この時の【月給(円)】は扶養手当、住宅手当、家族手当などの各種手当は除いた金額で計算してください。上の計算式の「1.25」というのは残業代の割増率です。「1日8時間以上、週40時間」以上の時間外労働(残業)には割増賃金が発生します。

この割増賃金の割増率は、働いた時間帯、月の合計労働時間などによって変動しますが、一番多いのは「05:00〜22:00の時間帯に月合計60時間以内の残業をした」という条件だと思います。「05:00〜22:00の時間帯に月合計60時間以内の残業をした」場合の割増率は1.25なので、今回は割増率1.25倍という計算式を記載しました。

「1日8時間以上、週40時間」の法外残業をした場合は、上の式で算出した以上の金額が残業手当として支払われていると思います。なお、固定残業などの雇用契約を行なっている場合は条件が変わっていきますので、上の式はあくまで目安として考えてください。

未払いの残業代を請求する

未払いの残業があった場合は、残業代請求を行うことができます。労働基準法37条によると使用者(企業)は、労働者の労働時間を延長させた場合、割増賃金を支払わなければならないとされています。

第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
 引用元:労働基準法第37条

残業代を支払うことが法で定められたものです。また、その一方で、残業代請求には過去2年分までという期限があります。これは労働基準法105条に定められたもので、内容は以下の通りです。

第百十五条 この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。
 引用元:労働基準法第37条

残業代請求権もこれにあたるので、残業代請求は過去2年間までということになります。残業代請求をする際は2年間という期限に注意してください。
【関連記事】:残業代請求の時効と過去の未払い残業代を請求する方法

残業代請求の手順

残業代請求の大まかな流れは次のとおりです。

  • 労働時間(残業時間)が証明できる資料の作成
  • 残業代の計算
  • 残業代支払依頼書の作成
  • 労働基準監督署への申告
  • 労働審判申立の手続き

残業代請求は訴訟になる場合もある

残業代請求で内容証明郵便を送っても企業(会社)から応答がなかった場合、労働基準監督署への申告、労働審判に申立、そして訴訟へと移行していきます。残業代請求での訴訟は少額訴訟となるので、弁護士に依頼する必要が出てきます。

まとめ

平均残業時間を知ることは、今働いている環境での残業時間が他の人と比べて多いのか比較する指標のひとつだと思います。ただ、一番重要なのは他者や社会の中での比較ではなく、あなた自身が残業時間をどう考えるのかということです。

今の労働時間で得られるものに納得しているのなら、残業時間の多い・少ないは気にしなくて良い問題だと思います。残業時間が多いことに不満を持っているのなら、働き方や働く場所を変えるということも必要になってくると思います。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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