有給がとれない会社は違法企業|有給を拒否された場合の対処法4つ

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
有給がとれない会社は違法企業|有給を拒否された場合の対処法4つ

厚生労働省が提供する労働時間制度の調査結果によると、平成28年度の有給消化率は48.7%となっています。

お休みしても給与が発生するという便利な制度なのに、日本人は与えられた有給を半分も使えていないのです。

休みよりも仕事が楽しい人であれば有給は必要ないのかもしれませんが、ほとんどの人は有給がとれない状況に頭を抱えていることかと思います。

しかし、有給は労働者の権利なので、基本的には有給がとれない状況なんて滅多にありません。この記事では法に基づいた有給取得の正しい知識を紹介しますので、有給がとれなくて悩んでいる場合はぜひ参考にしてみて下さい。

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有給が拒否された時の対処法

有給が拒否された時の対処法

他の日なら取得できるかを確認する

有給制度に理解がある会社でも、時季変更権に該当する状況だと有給が断られることがあるので、代わりにいつなら有給が取れるかを確認しましょう。

「有給は認められない」と会社に言われても、「その時期は認められない」のか「有給を申請すること自体が認められない」のかどちらを意図した答えなのかにより、取るべき対処法が変わってきます。

前者であれば有給の希望日を変更すれば解決しますが、後者であれば会社が違法行為をしていると判断できるので、以下で紹介する対処法をお試しください。

労働基準監督署へ相談をする

労働基準監督署に有給を拒否された旨を相談すれば、会社に行政から指導が入るので有給取得ができる可能性が高くなります。音声データや書類などの証拠を持参して有給拒否の事実を証明できれば心強い味方となってくれるはずです。

相談先:労働基準監督

内容証明等書面やメールで有給申請をする

これは主に退職時で利用する対処法になりますが、退職日までの出勤日数に合わせて内容証明等の書面やメールといった形の残る方法で有給申請をしてください。

内容証明は、文面を郵便局が証明してくれるサービスで、これを利用すれば会社から話を聞いていないと誤魔化されるリスクを回避することができます。また、メールも通知内容が直ちに形に残りますので、非常に有用です。

有給休暇は労働者がいつでも自由に取得できる制度なので、通常の会社であれば素直に支払いに応じることになるでしょう。

思い切って会社を辞める

有給が取れないのが当たり前の会社は労働基準法を軽視していることが多く、現状では労働環境に問題がなくても後々サービス残業や休日出勤の要請が生じ、いわゆるブラック化が進む可能性が高いです。

そのような会社は労働者が我慢して文句を言わないことに気が付けば、間違いなくどんどん搾取の幅を広げていくでしょう。それが原因でうつ病などの職業病に陥ってしまっては目も当てられません。

そのような自分を押し殺して過ごす環境で過ごしていても明るい未来を掴むのは難しいですし、会社によほどの愛着がないのであれば見限って転職をするという選択も、十分に考慮する価値があるのではないでしょうか。

 

会社に有給を拒否する権限はあるのか

会社に有給を拒否する権限はあるのか

有給消化に会社の承認は必要ない

有給休暇は労働基準法で定められた労働者の権利であるため、会社側の都合で有給を与えないのは違法行為です。

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

引用:労働基準法第39

このように、有給休暇は労働者の権利であるため、そもそも権利行使自体に会社の承認は必要ありません。要するに、有給申請は許可を得るものではなく、いつ取得するかを報告するものに過ぎないと認識しておくと良いでしょう。

就業規則よりも法律が優先

「うちには有給なんてないよ」なんて主張し、雇用契約書上で有給はないと定めている会社もあるかもしれません(そもそもそのような会社は雇用契約書自体作成していないことがほとんどですが。)。しかし、そのような主張や定めは違法であって全て無効なので、法的には無意味です。

もし、会社がそのような主張をする場合、それを適法とする根拠を確認してみても良いでしょう(なお、就業規則の定めも雇用契約書と同様、労働基準法に違反するものは全て無効です。)。

取得時期をずらしてもらう権利はある

会社は労働基準法上、有給の取得時期を変更できる時季変更権という権利が一応認められています。

しかし、時季変更権の行使要件は非常に厳しく、当該労働者が有給休暇を取得することで業務運営に著しい支障が生じる場合に限り、これを回避するために必要な範囲内で行使可能とされています。

会社には人員の配置や業務配置に相当の権限がありますので、通常、1名の労働者が有給休暇を取得したことのみで、業務運営に著しい支障が生じることは考えにくいといえます。

したがって、この要件が充足されるのは相当特別なケースであり、単に「他職員が忙しくなる」「他の人に迷惑がかかる」という理由では要件は充足されていないといえます。

 

有給取得には理由は必要なのか

有給取得には理由は必要なのか

有給取得の目的は労働者の自由

有給休暇制度は、週休日とは別に賃金が発生する休日を与え労働者にリフレッシュの機会を与える目的で誕生した制度です。

  • 「丸1日ずっと家でマンガを読んでいたい」
  • 「恋人とデートに出かけたい」
  • 「好きな歌手のライブに参加したい」

たとえどんな私的な用事であっても労働者に有給取得は認められます。理由がなく突発的に休みが欲しくなった場合でも所定の手続さえ履践すれば何も問題はありません。

会社は時季変更権の行使に必要な範囲で目的を確認することはできる

上記のとおり有給取得に理由は不要であるため、会社には有休使途を確認する権利は当然にはありません。しかし、会社が適正な時季変更権行使のために必要と認められる場合には、有給使途を確認することは必ずしも違法ではありません。

例えば、お正月など労働者の有給申請が重なりやすい時期で、誰に時季変更権をお願いするかの判断材料として目的を確認するのであれば、それ自体は適法ですし、労働者にも誠実に対応する義務があるでしょう。

目的を理由に有給を拒否するのは違法

「有給消化は冠婚祭儀しか認めない」なんて会社の話はよく耳にしますが、上記で述べた通り有休権行使に目的は不要です。そのため、会社は有給使途のみを理由として申請を拒否することはできません。

 なお、労働者において時季変更権行使の判断材料として必要な場合という限定的な場合以外は、有休使途を申告する義務はありません。したがって、適当に「私用のため」と伝えれば十分です。

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有給の買い取りは可能なのか

有給の買い取りは可能なのか

基本的には買い取りは認められていない

有給制度は労働者にリフレッシュの機会を与えるため定められたもので、買い取りを認めてしまうとその目的が達成できないという理由で、行政通達上、有休の買取りは原則として認められないとされています。

年次有給休暇の買い上げの予約をし、これに基づいて法第39条の規定により請求し得る年次有給休暇の日数を減じ乃至請求された日数を与えないことは、法第39条違反である

 引用:昭30.11.30 基収第4718

買い取りができる可能性があるケース

基本的には有給の買い取りは禁止行為ですが、以下のような労働者に不利益のない有給の場合は買い取りが認められています。

  • 法定以上に会社が余分に与えた有給
  • 時効で消滅してしまった有給
  • 退職時に消化しきれなかった有給

ただし、有給の買い取りするかの決定は会社の自由で労働者に権利があるわけではないので、就業規則に有給買い取りについて記載がなければ、買い取りに応じてもらえない可能性もあるのでご注意下さい。

 

前提知識|有給取得の権利はいつ得られるのか

有給が発生するのは就業6カ月目から

労働者は就業先で全労働日8割以上の勤務を6ヵ月続ければ有給取得できる権利が得られます。(全労働日とは、会社より出勤を命じられた日数)

正社員・パート・アルバイトなど、どんな勤務形態であっても全ての労働者に有給が与えられます。そもそも労働基準法上ではアルバイト等の役職を区別する規定はなく、会社で働く全ての人は『労働者』と一括りに扱われ同じ法律が適用されるのです。

ちなみに、有給取得の期限は権利が発生してから2年間で時効消滅すると考えられています。そのため1年以内に使いきれなくても繰り越しで利用できるのでご安心下さい。

取得できる有給日数は勤務日数により異なる

どれだけの有給日数が与えられるかは労働者の勤務日数により異なります。下表は勤務日数ごとの有給日数の基準値です。

週間労働日数 年間労働日数 6ヵ月 1年6ヵ月 2年6ヵ月 3年6ヵ月 4年6ヵ月 5年6ヵ月 6年6ヵ月
フルタイム 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日
1日 48~72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日
2日 73~120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
3日 121~168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
4日 169~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日

 

まとめ

有給は労働者に認められた権利なので、会社の都合で申請拒否をされるのは本来あってはいけない違法行為です。どんな理由であっても有給を使うのは全く後ろめたい行為ではないのでご安心下さい。

日本では有給に罪悪感を抱く人が多いですが、この記事をきっかけに少しでも有給申請を気軽に利用できる人が増えれば幸いです。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。第二東京弁護士会所属。

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