残業代請求の時効と過去の未払い残業代を請求する方法

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残業代請求の時効と過去の未払い残業代を請求する方法

残業代請求には過去2年間までという時間制限があります。2年以前のものは時効により消滅し、請求ができなくなります。しかし、残業代請求の時効の進行は止めることができます。

また、企業側に不法行為が認められた場合は、時効を延長できる場合があります。今回は残業代請求の時効ついてご紹介します。

 

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残業代請求は2年で時効を迎える

未払いの残業代は2年以内であれば請求することができますが、未払い残業代の請求は2年を過ぎれば時効によって消滅してしまうので、残業代請求を行う際はできるだけ早く確認しておくことが重要です。

残業代請求で遡れるのは2年まで

労働基準法115条によると、

第百十五条  この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によって消滅する。

引用元:労働基準法第115条

残業代も上記の賃金に含まれるので、残業代の請求権も2年間を過ぎてしまうと時効となってしまうということです。ただし、残業代は請求をした時点で時効を中断させることができますので、未払いの残業代を請求すると決めた時点で、請求できる期間を確認しておく事が大事です。

時効の例外

残業代の請求権は2年で時効消滅すると説明しましたが、時効期間が3年になる場合もあります。それは、「企業側が意図的に残業代を支払っていない」、「企業側が(残業時間を含めた)就業時間の管理を怠っている」などの不法行為があった場合になります。

残業代請求の時効を中断させる方法

未払い残業代の請求権は過去2年分となるのはお伝えした通りであり、それより前のものは基本的には請求することができません。残業代請求を行なっているか迷っている間に、過去の残業代は日に日に時効消滅しているのです。

それを少しでも食い止める為に、この項目では、残業代請求の時効の中断についてご紹介します。

内容証明郵便を送る

残業代請求にあたって企業と交渉を行っている間も時効が進んでしまうと労働者にはあまりにも不利になってしまいます。そこで、残業代請求では残業代支払依頼書などを内容証明郵便で送付すると6ヶ月間、時効の進行を止めることができます。

つまり、内容証明郵便を送った時点の過去2年分の請求権が保証され、さらにその後交渉期間中に行った残業代も請求することができるということです。

残業代請求を少しでも考えている方は、まず内容証明郵便での書面送付を行なってください。

企業側に不法行為があれば時効期間は3年になる

企業側に明らかな不法行為が認められる場合は、過去3年間の残業代も請求できることがあります。不法行為とは、「企業側が残業代を認識していながら支払っていない」、「そもそも勤務時間を企業側が管理できていない」といった場合です。

この場合は、企業側に明らかな不法行為が認められるので、残業代請求だけでなく損害賠償請求を行うことができます。

消滅時効の援用

「消滅時効の援用」とは、時効が成立するということを相手に伝えなければ時効が成立しないというものです。企業側は残業代請求をされたとき、消滅時効の援用を行わなければなりません。これを企業が怠った場合は、2年以前の残業代を請求することが可能な場合もあります。

時効の中断が認められた事例

先の項目では、企業側に不法行為があった場合、2年以前の残業代も請求できることがあるとお伝えしました。ここでは、その事例についてご紹介します。

残業代請求の時効期間が3年とされた事例としては、「杉本商事事件」がよく取り上げられます。杉本事件は企業側が残業代を認識しながら支払わなかったこと、また過去に労働基準局の指摘を受けながらも改善がされなかったことが悪質であると認められたものです。

この事件では、損害賠償請求として3年分の残業代が支払われました。このように企業側に「企業側が残業代を認識していながら支払っていない」、「そもそも勤務時間を企業側が管理できていない」などの不法行為が認められたとき、2年以前の残業代も支払われることがあります。
参考:裁判所|杉本商事事件【広島高判 2007/09/04】

残業代の計算方法と支払われるべき基準とは?

残業代の計算方法と支払われるべき基準とは?

これまでの項目では、未払い残業代の時効と中断、時効期間が3年とされる事例についてお伝えしてきました。では、そもそも残業代とはどのような基準で企業から支払われるのでしょうか。次の項目では残業代の一般的な定義、企業から支払われるべき残業代について述べて行きます。

尚、ここで書かれているものは法的に見た場合の残業代です。残業代請求を行う場合は必ず、各企業の就業規則や給与規定と照らし合わせて確認をしてください。

法定労働時間と所定労働時間の確認

残業代請求の時に注意すべき点として「法定労働時間」と「所定労働時間」があります。所定労働時間が法定労働時間よりも短い場合は、就業規則・給与規定に「所定労働時間を超えて就業した場合は割増賃金を支払う」との規定があれば、たとえ法定労働時間内であっても残業代を請求することができます。

ちなみに、法定労働時間とは労働基準法第32条で定められた「1日8時間、週40時間」の労働時間のことです。

第三十二条  使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。

○2  使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

引用元:労働基準法第32条

この時間数を超えた労働が法律上の「割増賃金(残業代)」の対象になります。また、「所定労働時間」とは、企業が就業規則や給与規定などで定めた労働時間のことを指します。

残業代の計算の仕方

月の残業代の計算は、以下の式で算出することができます。

【月給(円)】÷【月の所定労働時間(時間)】× 1.25 × 【時間外労働時間】

尚、計算をする際は、以下の点を考慮してください。

【月給(円)】 家族手当・通勤手当・住宅手当等の諸手当を除く。
【月の所定労働時間(時間)】 残業時間を含めない月の平均労働時間。労働時間や日数が変則的な場合は「月ごとの法定労働時間」を参考にしてください。

計算した残業代から実際に支払われた金額を差し引いた金額が未払いの残業代になります。

ここで計算した金額はあくまで大まかなものです。厳密な金額は、労働条件や就業規則、給与規定により異なりますので弁護士に相談するのも一つの手段です。

関連記事:残業代の計算方法と知っておくべき未払い残業代請求のイロハ

残業代を支払わないのは違法性が高い

残業代の支払いは、労働基準法で定められている義務です。法定労働時間を超えた労働の賃金を支払わないことは、労働基準法違反にあたります。未払いの残業代は請求することが可能です。

だたし、未払い残業代の請求は過去2年分までなので未払い残業代で悩まれている方はまずは未払いの残業代を計算し、企業に内容証明郵便の送付をしましょう。

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残業代請求の方法と手順

残業代請求の大まかな流れは次のとおりです。

  • 労働時間(残業時間)が証明できる資料の作成
  • 残業代の計算
  • 残業代支払依頼書の作成
  • 労働基準監督署への申告
  • 労働審判申立の手続き

詳細は、『残業代請求の方法とは|手順や流れを解説』をご覧ください。

1人では対応できない場合は弁護士に相談しよう

1人では対応できない場合は弁護士に相談しよう

残業代請求は個人で行うことも可能です。しかし、残業代請求を行うにあたっては多くの手間と準備を必要とします。弁護士に相談することで、書面の作成などの手間を省くことが可能です。

また、何よりも法的知識を持った弁護士による代理交渉ができるということが大きなメリットです。企業の人事や総務と直接交渉を行わないで済むので、精神的負担の軽減につながります。手間と負担の軽減として弁護士への相談も選択肢として入れておきましょう。

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もし残業代請求の時効が過ぎてしまった場合の対策

残業代請求の時効(2年間)が過ぎてしまった場合も、まずは残業代支払依頼書を作成して内容証明郵便で企業に送付してみましょう。それに対し、企業が時効の援用を行うための通知書(承認)を行わなかった場合は2年以前の残業代も請求できる可能性があります。

まとめ

未払いの残業代は請求することができますが、基本的には過去2年間までです。しかし、企業側に不法行為があった場合は時効期間が3年になることがありますので、残業代請求を行う前には必ず確認してみてください。

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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