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KL2020・OD・037
中国・武漢で発生し世界に広がった新型コロナウイルスは、日本でも多くの感染者を出しています。
このような状況に危機感を募らせた政府は、4月7日に緊急事態宣言を発令。7都道府県の住民に対し、不要不急の外出自粛を呼びかけました。自治体などの呼びかけもあり、企業は在宅勤務(テレワーク)を取り入れています。
そんなテレワークですが、強制力がないこともあり、なかなか進んでいないことも事実。感染の不安を抱えながら仕事をしている人も多いようです。
都内に勤務する長谷川さん(仮名)もその1人。普段オフィスワークが中心で外回りはほとんどなく、テレワークでも問題がないはずですが、会社が認めてくれないそう。
妻と小さい子供を抱える長谷川さんは新型コロナウイルスに感染するわけにはいかないため、会社にテレワークを認めるよう掛け合ったのですが、「来るように」「うちはテレワークを認めない」の一点張りだといいます。
不満と不安を抱えながら出勤する長谷川さん。命の危険があるだけに、会社の対応は酷いようにも思えます。問題はないのでしょうか? 詳細を琥珀法律事務所の川浪芳聖弁護士に伺いました。
「会社が従業員に対して、「来るように」と命じることは、会社の有する業務命令権に基づく職場への出勤命令に該当します。
業務命令とは、使用者(会社)が業務遂行のために労働者(従業員)に対して行う指示又は命令をいい、労働契約に基づいて発せられるものです。このように労働契約に基づいて発せられる以上、原則として労働者は会社の業務命令に従わなければなりません」
「もっとも、業務命令権も無限定に許容されるわけではありません。業務命令権の行使が権利の濫用に該当する場合には、同業務命令は違法・無効なものとされますので、従業員はそのような業務命令に従わなくてもよいということになります。
本記事作成時(令和2年4月13日)では、7都府県に緊急事態宣言が出されており、同緊急事態宣言に伴い、外出自粛要請がなされています。もっとも、職場への出勤は外出自粛の要請から除かれていますので、7都府県にある職場への出勤命令であっても、権利の濫用に該当する違法・無効な業務命令とまではいえないと考えます。
したがって、法的には会社の対応に問題はないといえるでしょう。ただし、後述のとおり、会社は、労働契約に基づいて従業員の安全に配慮する義務を負っていますので(労働契約法5条)、テレワークによる代替が容易であるならば、極力、テレワークを導入することが望ましいと思います。
従業員に対して会社が「来るように」と言うこと(出勤を命じること)自体は適法な業務命令であり、何らかの罪に該当するものではありません。
しかしながら、会社が出勤を命じるにあたって、従業員やその親族の生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加える旨を告知する等の脅迫的言動を用いた場合には、脅迫罪(刑法222条)に該当する可能性があります」
現在の法律では「テレワークを認めない」ことに法的な問題はないことがわかりました。仮にテレワークを望みながら出勤を命じられた長谷川さんが新型コロナウイルスに感染してしまった場合、会社に責任を問うことはできるのでしょうか? 琥珀法律事務所の川浪芳聖弁護士に伺いました。
「従業員は、会社に対して、債務不履行(労働契約に基づく安全配慮義務違反)による損害賠償請求(民法415条)をすることが考えられます。
しかし、会社は、従業員の生命・身体の安全に配慮する義務を負っているものの(労働契約法5条)、テレワークを認めず、出勤を命じたからといって直ちに同安全配慮義務に違反したとはいえないと考えます。
ただし、国や都道府県によって外出が明確に禁止されるほどに新型コロナ感染の可能性が高いにもかかわらず、会社が出勤を命じたような場合には同安全配慮義務違反に問われる可能性があるでしょう(「会社が安全配慮義務を負うのは指揮監督が及ぶ範囲に限られ、通勤途中にまで同義務を負うものではない」と一般的に考えられていますが、例外的に通勤途中の事故や感染について安全配慮義務違反に問われる可能性を否定できません)」
なお、会社に安全配慮義務違反が認められたとしても、その結果、会社に対する治療費や慰謝料請求が全て認められるというものではありません。従業員が会社に対して賠償を求めるには、会社の安全配慮義務違反行為と従業員が被った損害との間に因果関係があることを証明しなければなりませんが、通勤途中でコロナに感染したことを証明することは容易ではないでしょう。
また、仮にこの点の証明に成功したとしても、マスクを着用する・うがいや手洗いを実施する等してコロナ感染を防げた可能性があるとして、会社から過失相殺(民法418条)を主張される可能性があります」
以上のとおり、新型コロナに感染して欠勤せざるを得なくなったとしても、会社に対する損害賠償請求は容易には認められませんので、まずは、幅広く活用されている健康保険制度上の「傷病手当金」の申請を検討することをお勧めします(傷病手当金は、病気や怪我が原因で連続して3日間欠勤せざるを得なかった場合に4日目以降の欠勤に対して平均賃金の3分の2相当の金員が支給されるという制度です)。
なお、傷病手当金のほかに、労災の申請も考えられるところですが、労災は、「業務又は通勤に起因して新型コロナを発症した」と認められる場合でなければ給付されません。この場合に該当するかどうかの判断は容易ではありませんし、その判断には一定の時間を要すると思いますので、労災よりも傷病手当金の方が利用しやすいと思います」
誰もが不安を抱える新型コロナウイルス下での通勤と感染リスク。「現行法のなかで何ができるか」を考えていきましょう。
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KL2020・OD・037
本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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