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KL2020・OD・037
交通事故が原因でむち打ち症を負った場合には病院へ行き、担当の医師に診断書を書いてもらうべきでしょう。なぜなら、診断書は人身事故の証明や保険金を請求するために必要な書類なので、診断書の提出がないと損害賠償金を支払ってもらえなくなる可能性があるからです。
交通事故の被害者は通院や休業など様々な面で不安になるかもしれませんが、治療費や入通院慰謝料を請求するための事務的な対応手順を確認しておいた方が良いでしょう。また、むち打ち症が治らず後遺症として残った場合は、後遺障害等級の認定申請もするべきです。
そこで今回は、むち打ち症に関する診断書と後遺障害等級の認定申請で作成する後遺障害診断書について、作成上の注意点や提出目的について解説したいと思います。
目次
むち打ち症は追突事故で生じることの多いケガになりますが、少しでも首や頭に痛みがある場合は早めに病院へ行くようにしましょう。事故直後では平気だと思っていても、むち打ちの症状は数日経過してから発症することもあります。
一つ注意すべき点として、交通事故当時で被害者のケガが無いと見なされると『物損事故』扱いになってしまうことがあります。物損事故のままだと、後々になってむち打ちの症状を負っても人身損害が認められていないので、治療費などの損害賠償金を請求できなくなってしまいます。
※ただし、後遺障害慰謝料などの請求については、後遺障害等級の認定を受けた場合はできるようになります。
なので、交通事故後で改めて病院に行った際にむち打ち症であることを診断されたら、診断書を警察に届けて『物損事故』から『人身事故』へ切り替える必要があります。
診断書については整形外科(病院)の医師に作成してもらいます。被害者は受診時に自覚症状を正確に伝えるようにしましょう。『むち打ち症の治療における3つの注意点』でも取り上げますが、むち打ち症はレントゲン写真やMRI画像などの医学的な証拠では証明できない(他覚所見のない)場合が多いので、被害者が申告する自覚症状の内容が重要な証拠になります。
また、整骨院の柔道整復師に診断書を書いてもらうこともできますが、後遺障害診断の認定申請で提出する『後遺障害診断書』の作成はできないため、仮に後遺症として残った場合のことを考えると、極力整形外科へ通院した方が良いでしょう。
患者である被害者から担当の医師に依頼することで診断書を作成してもらえますが、基本的には別途作成費用が発生します。目安として3,000円から5,000円程度はかかるとされていますが、治療費と同様に加害者側の任意保険会社へ損害賠償金として請求できます。
診断書には症状名のほかに治療期間も記載されますが、むち打ち症の場合は比較的軽症であるため、全治2週間未満と記載されることが大半です。
ただし、診断書の治療期間は加害者に対する刑事責任の程度を表すことを目的としているため、むち打ち症で必要だとされる実際の治療期間とは全く異なります。個人差や事故態様にもよりますが、むち打ちの後遺症が残らず完治する場合の治療期間は3カ月程度だとされています。
なので、診断書には全治2週間未満だと書かれていても被害者は症状の続く限りは治療を怠らず、長期間の通院を続けた方が良いでしょう。
病院で作成してもらった診断書を警察に提出することについては上記で説明しましたが、それ以外にも保険会社や勤務先にも診断書を送る必要があるため、診断書を利用する目的を下記にてまとめました。
繰り返しになりますが、人身事故であることを証明するために警察へ診断書を提出します。具体的な提出期限は定められていませんが、遅くなるとむち打ち症の発症時期と交通事故日が合わないと疑われてしまう可能性もあるので、余計な疑念を抱かれないように警察への提出は早めの方が良いでしょう。
全ての自動車で加入が義務付けられている自賠責保険より被害者は補償を受けられるため、加害者側の自賠責保険より保険金を受け取ることができます。その保険金を請求する際に診断書の提出が必須になりますが、請求方法が2種類あることを覚えておくべきです。
事前認定は加害者請求とも呼ばれるやり方ですが、加害者側の任意保険会社に診断書を提出して、自賠責分の保険金を任意保険会社よりもらう方法になります。つまり、任意保険会社は被害者へ支払って立て替えた分の保険金を自賠責保険に請求することになるといえます。
また、被害者は任意保険会社を通さず自賠責保険へ直接請求することも可能性です。被害者請求と呼ばれる方法になりますが、その場合は自賠責保険へ診断書を提出することになります。
請求先(診断書の提出先)は異なりますが、任意保険会社が一括払いの対応を認めてくれれば、どちらの方法を利用しても受け取れる治療費や入通院慰謝料はさほど変わらないでしょう。
ただし、後遺障害等級の認定申請では被害者請求と事前認定で審査結果が変わる可能性が高いため要注意です。特に後遺障害の要件を満たすための医学的な資料を万全に集めるためには、任意保険会社に手続きを任せる事前認定ではなく、被害者自身で手続きを行える被害者請求の方が適していると思われます。
《参考リンク》
▶「被害者請求のメリット」
▶「事前認定を勧めないワケ」
また、業種によってはむち打ち症を負ったことで仕事が困難になる可能性もあります。病気やケガで休職する際は、会社に対して診断書を提出するのが通常だとされています。就業規則で診断書の提出が義務付けられている場合もありますが、基本的には会社の上司に病状を説明するために診断書が必要になるでしょう。
担当の医師に診断書を書いてもらった後は完治するまで治療を続けるべきですが、むち打ち症での通院では気を付けるべきポイントがありますので以下でまとめました。
軽いむち打ち症の場合は、レントゲン写真などの画像所見で症状を証明できない場合が多く、むち打ち症を負っていることを保険会社より認められず保険金が支払われない可能性が考えられます。
医学的な資料で証明できない場合は、患者である被害者自身が申告する自覚症状が重視されます。次項でも説明しますが、後遺障害等級の申請でも第14級9号の認定基準では、医学的所見が無くても自覚症状により医学的な推定が可能であれば認められるとされています。
参照元:「むち打ち症における後遺障害等級認定の基準」
むち打ち症の証明に関連する話で、加害者側の任意保険会社より治療を続ける必要がないと見なされて治療費の支払いを打ち切られる恐れがあります。
治療費の打ち切りについて任意保険会社より宣告を受けた場合はまず、担当の医師に相談して治療を継続するべき状態であることを診断書に改めて書いてもらうようにしましょう。そして、診断書を任意保険会社に提出して治療の妥当性を主張するべきです。
それでも任意保険会社に要求が通らない場合、弁護士の介入で交渉するのが有効だと思われます。弁護士は保険会社との交渉に慣れていますので、弱い立場である被害者に代わって弁護士に対応してもらうようにしましょう。
参照元:「症状固定で損をしない方法」
一般的なむち打ち症の治療期間である3ヵ月を超えても治らない場合は、後遺症として残っている可能性が高いです。後遺症では今後の人生において首や頭に痛みがずっと残るため、日々の生活や仕事で支障が出ることもあるでしょう。
比較的症状の軽いむち打ち症でも、『後遺障害』の認定は可能だとされています。後遺障害の等級認定に関しては次項にて詳しく取り上げます。
後遺障害等級の認定申請をする一番の目的は、後遺症に見合った損害賠償金や慰謝料を獲得することですが、認定申請では『後遺障害診断書』が必要になります。後遺障害診断書は警察などに提出する通常の診断書とは違うものになり、後遺症を負った場合に提出する書類です。
参照元:「後遺障害等級の認定基準」
後遺障害等級に該当する後遺症を負った場合、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益などがもらえます。その後遺障害等級の認定基準を満たしていることを証明するために後遺障害診断書を提出します。
なお、後遺障害診断書は原則として担当の医師に書いてもらいますが、通常の診断書と同様に費用が発生します。各病院によって異なりますが、目安として5,000円~10,000円程度の作成費用を被害者自身で負担することになるでしょう。
後遺障害診断書の記載内容によって等級認定を受けられるかどうかが決まるため、後遺障害診断書の作成が不十分であると等級非該当になることも考えられます。
後遺障害診断書を作成してもらうタイミングは『症状固定』の時期になります。治療を続けてもむち打ち症が良くも悪くもならない状態に至った場合のことを症状固定といいます。
ただし、症状固定日が一般的な基準である半年より短いと、後遺障害として適切な症状の重さではないと見なされてしまう可能性もあるため、医師と相談して正しい症状固定の判断をしましょう。
参照元:「症状固定の時期と決める基準」
後遺障害診断書には自覚症状のほか、医師による診断結果や検査結果などの他覚所見を細かく記載します。また、交通事故とむち打ち症の因果関係をハッキリさせておくために、既存障害の有無についても明記するべきでしょう。
参照元:「後遺障害診断書の書き方」
また、後遺障害等級の認定申請では被害者自身で手続きを進める被害者請求を利用する場合、後遺障害診断書以外の書類も用意します。診断書の内容を補足する医学的な資料や、交通事故があったことを証明する交通事故証明書や事故発生状況報告書なども併せて提出します。
必要な書類の詳細については『自賠責保険会社に提出するべき申請書類は?』の記事で解説しているので、併せてご確認いただければと思います。
診断書と併せて後遺障害診断書の提出理由についてこれまで解説してきましたが、まれに後遺障害診断書を担当の医師が書いてくれない場合もあります。大半の医師は後遺障害診断書の作成をしてくれますが、交通事故に関する紛争に巻き込まれたくないと考える医師が作成を拒否するケースもあるとされています。
なので、もしも担当の医師が後遺障害診断書の作成を拒否した場合の対応策について最後に説明したいと思います。
後遺障害診断書を書いてくれないからといって、後遺障害等級の認定申請を諦めるのはまだ早いです。担当の医師を説得する方法もありますが、別の病院へ移るのが最も確実でしょう。転院時の初診で後遺障害診断書の作成経験がある医師に診てもらうために、病院選びや医師選びを慎重に行った方が良いでしょう。
適切な病院や医師を選ぶ方法が分からない場合でも、交通事故案件に携わっている弁護士であれば詳しく教えてくれます。また、後遺障害等級の認定申請でも被害者の代わりに手続きを進めてくれるため、被害者の負担が少なくなるメリットもあります。
ある程度の弁護士費用はかかりますが、自動車保険のオプションにある『弁護士費用特約』に加入していれば出費面での不安はなくなります。示談交渉の対応も含め、一度は弁護士に相談してみることをオススメします。
参照元:「交通事故の示談交渉|弁護士費用の相場」
むち打ち症に関する診断書と後遺障害診断書について解説しましたが、お分かりいただけましたでしょうか。
軽いケガであることを理由に事務的な処理を軽視する被害者もいるかもしれませんが、診断書などの書類を正しく提出して通院を続ければ、治療費などの実費に関する損害賠償金だけでなく慰謝料による補償も受けられます。後々になって後悔をしないように、病院でしっかりと治療を受けて適切な診断書を作成してもらうようにしましょう。
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