遺産分割協議書の必要書類とその他相続で必要な書類まとめ

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
遺産分割協議書の必要書類とその他相続で必要な書類まとめ

相続が始まってまず頭に浮かぶのが遺産分割ですが、相続人間で遺産分割協議を行った後には遺産分割協議書を作成するのが一般的な流れになります。

遺産分割協議書は決まった書式はなく、比較的自由に作成することができる書類になりますが、作成の際に必要になってくる書類がいくつかあります。

また、遺産分割協議書作成以外の場面でも、往々にして様々な書類が必要になってきますので、今回は相続に必要な書類も併せてご紹介したいと思います。

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遺産相続・遺産分割協議書作成が始まったら集めるべき必要書類

遺産相続でネックになるのが、被相続人の財産に関連する各方面への手続きと、その際に必要になる書類の収集作業です。遺産相続や遺産分割協議書作成が始まると、相続人の確定はもちろんですが、これらの書類を集める作業がなかなか手間がかかり面倒という声をよく聞きます。

ここでは、相続の際に集めるべき必要書類について、優先順位ごとにご紹介したいと思います。

絶対に必要なもの|被相続人と相続人の戸籍

被相続人が死亡したら(相続が開始したら)、まずは「被相続人と相続人の戸籍謄本類」を集める必要があります。なぜこれらを最初に集めて欲しいかというと、戸籍謄本類の収集が一番面倒だからです。

相続をするしないに関わらず、各種相続手続きにおいて、

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本類
  • 相続人全員の戸籍謄本

この2つは必須書類になります。

戸籍謄本の取得には時間がかかる

このうち、相続人の戸籍謄本類に関しては、よほど険悪な仲でなければ分担して各人が自分のものを集めれば良いのですが、相続人が多数いたり、相続人の本籍地と現住所とが遠く離れている場合には取り寄せるのに時間がかかります。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本類は、死亡時点のものであればすぐに取り寄せることができるでしょうが、出生の記載のある戸籍謄本を入手するのにいくつも市区町村役場を辿らなければならないケースもありますので、時間的余裕を考えて、最初に戸籍収集を始めるのがおすすめです。

なお、被相続人の住民票除票や戸籍附票なども併せて取得しておくのが良いでしょう。

早めに集めておいた方が楽な書類

被相続人の葬儀が終わらないうちに相続手続きの話をするのは気が引けるかもしれませんが、各種相続手続きにおいて、相続人に関係する様々な書類が必要になりますので、通夜や葬儀等で顔を合わせる際に書類を集める旨をきちんと伝えましょう。

具体的には、各相続人の「住民票」「印鑑証明書」を早めに集めるということと、

  • 被相続人の納税証明書
  • 固定資産税評価証明書
  • 登記事項証明書 など

所在を尋ねるというのが次のステップになります。ただし、相続放棄を検討している場合にはこれらの書類は使わないことになりますので、そのようなケースでは被相続人と相続人の戸籍類をとにかく早く集めるのが鍵になります。

その他あったら便利な書類

必ず必要なわけではないものの、あると便利な書類が「相続関係図」「被相続人の財産目録」です。

相続関係図(相続関係説明図)とは

その名の通り被相続人の相続人が誰であるかを整理した図で、平成29年5月末からはこれを登記することで各種相続手続きに利用できる新制度の運用が予定されています(法定相続情報証明制度)。

また、遺言書の有無にかかわらず、被相続人の財産目録を早めに作成するのがおすすめです。というのも、遺言書ですべての財産についての指定がなされている場合は良いのですが、そうでなく一部の財産だけ相続の指定がなされていたり、また遺言書がない場合には遺産分割協議が必要になりますから、その際に利用できるよう被相続人の相続財産を把握できる一覧表を作りましょう。

もちろん、相続するしないを決定する資料にもなりますので、プラスの財産だけでなくマイナスの財産についても併せて調査して整理しておくのが良いでしょう。

参照元:相続関係説明図の例

その他あったら便利な書類

戸籍等の集め方

相続人の戸籍謄本類を収集する場合には、各自で手分けして自分の分の書類一式を集めてもらうのが手っ取り早いですが、被相続人の戸籍謄本類を収集する場合には、ちょっとしたコツがあります。

  1. 最後の住所地の市区町村役場に行って死亡したときの戸籍謄本(除籍謄本)を取得
  2. その中から「本籍地」の記載を探す
  3. 本籍地が最後の住所地の市区町村役場と同じであればその時点で作業終了 

ですが、そうでなければ1つ前の本籍地にある被相続人の戸籍謄本を取得し、順々に辿って行って出生の記載のある戸籍謄本を入手するという手順がスムーズです。

遺産分割協議書が必要になる手続きとは

遺産分割協議書が必要になる手続きとは

さて、遺産相続・遺産分割協議書作成の際に必要になる書類については前述のとおりですが、実際に遺産分割協議書の提出が必要になる相続手続きとは何なのでしょうか。

遺産分割協議書が必要になるのは、「遺言がない相続の場合」と、「遺言通りの相続をしなかった場合(遺言に記載されていない相続財産について分割協議・相続を行った場合を含む)」の2通りが考えられます。

このとき、相続人が一人きりで協議の必要がないケースなどでは分割協議書自体を作りませんのでそもそも問題になりませんが、大抵の場合では遺産分割協議書が登場すると思っていただければ良いでしょう。

それでは、どのような手続きで遺産分割協議書が必要になるのか、具体例とともにご紹介いたします。

遺産分割協議を行ったら協議書が必要になると考えておくのが良い

全相続財産について、遺言書通りの相続を行う場合は、ほとんどの手続きで遺言書を添付すれば問題ありません。

しかし、

  • 遺言書で触れられていない相続財産
  • そもそも遺言書がなく相続人の遺産分割協議によって相続を進める場合
  • 相続人全員の合意のもと遺言書と異なる相続分で相続を行う場合

こういったケースでは、後日の紛争防止の意味でも遺産分割協議書の作成が必要不可欠です。そして、遺産分割協議によって相続を行う場合には、公的機関や金融機関等各種相続手続きにおいて、遺産分割協議書の提出が必要になると考えておくのが良いでしょう。

具体的には、以下の場面で遺産分割協議書の提出が必要です。

  • 相続登記(不動産の名義変更)
  • 金融機関での預金払戻など各種預金相続手続き
  • 証券会社の名義変更手続き
  • 自動車等の相続(名義変更)
  • 相続税の申告

銀行の手続きで起こる注意点

基本的には銀行での手続きに関しても、遺産分割協議書は相続人が自由に作成した書式で提出して問題ありません。ただし、ごく稀に銀行が指定するフォーマットで作成した遺産分割協議書の提出を求められるケースがありますので、そのような場合は言われたとおりに分割協議書を作成しましょう。

そのため、被相続人の相続財産に預貯金が含まれる場合には、口座のある金融機関のホームページ等をあらかじめ確認しておき、遺産分割協議書の書き方などをチェックするのがおすすめです。

遺産分割協議書の例と作成の注意点

遺産分割協議書の例と作成の注意点

冒頭でお伝えしたように、遺産分割協議書には決まったフォーマットはありませんので、以下の点を守って作成していただければ比較的自由に記載することができます。そのため、手書きでもワープロ等での作成でも問題ありませんが、相続人全員が署名捺印するというルールだけは守ってください。

遺産分割協議書に記載すること

①表題

遺産分割協議書というタイトルを冒頭に記載します。

②被相続人は誰で、いつ相続が開始したのか

こちらも冒頭に記載することが多いのですが、被相続人の氏名、死亡日時、最後の住所を記載します。遺産分割協議書の作成期限はありませんので、必ず誰の相続でいつの相続かを明確にしなければなりません。

③相続人は誰か

被相続人が特定できたら、次は相続人を特定します。相続人全員の氏名と住所を列挙しておいても、氏名だけを列挙して最後の署名の際に住所を入れるだけでも大丈夫です。

④各相続人が取得する相続財産の内容

こちらの記載方法は、相続人ごとにまとめて列挙しても、物件ごとに誰が取得するのかを明記しても問題ありません。相続財産が多い場合には、相続人ごとに取得する財産を列挙していった方が漏れがなく確認しやすいかと思いますが、好みに合わせて記載していっていただければ良いでしょう。

⑤各相続人が相続する債務の内容

被相続人に債務が一切なければこの部分は省略して構いませんが、大抵の場合は公租公課などの一定の債務が残るかと思いますので、どの相続人が相続するのか、その内容を明確にします。

⑥相続人全員が協議内容に同意していること

協議書のどこかに必ず、「このような内容で遺産分割協議が成立した(相続人全員が同意した)」旨の記載をします。大抵は冒頭か文書の最後に記載することになりますので、記載漏れには充分注意しましょう。

⑦協議成立の日付

遺産分割協議が成立した日または遺産分割協議書を作成した日は必ず記載します。遺産分割協議の場に相続人全員が揃っており、すぐに協議書を作れる場合はその日付で良いかと思いますが、そうでなくタイムラグがある場合には、最初に協議書を作成した日を入れておくのが無難でしょう。

⑧相続人全員の署名捺印

遺産分割協議書には、相続人全員の署名捺印が必要です。住所等を併せて文末に記載する場合、氏名以外はワープロ等で作成して問題ありませんが、氏名の記載は必ず自署で行いましょう。

なお、押印は必ず実印を使用します。

参照元:遺産分割協議書の書式例

遺産分割協議書

 
平成29年4月2日に死亡した被相続人アシロ太郎(東京都新宿区西新宿○○番地)の遺産について,同人の共同相続人アシロ花子・アシロ一郎・アシロ二郎の全員によって分割協議を行った結果,以下の通り各相続人で遺産を分割し,相続することに決定した。
 
1.相続人アシロ花子が取得する財産
(1) 東京都新宿区西新宿○○番地
居宅                         1棟
面積                         165.02平方メートル
(2) 有価証券
被相続人が,△△証券○○支店内特定口座に所有していた有価証券のうち,公募債投資信託(以下、MMFとする)450万口を除いたすべての債権
(3) 預貯金
普通預金   361,655円(△△銀行○○支店)
定期預金   3,145,796円(○○郵便局)
2.相続人アシロ一郎が取得する財産
(1) 土地
被相続人が所有していたすべての土地
(2) 有価証券
MMF     1,000,000口(△△証券○○支店)
(3) 預貯金
普通預金   1,340,336円(△△銀行○○支店)
定期預金   5,000,000円(○○郵便局)
(4) その他の財産
特約還付金 証書番号 1234567        614,592円
同               証書番号 2345678   409,120円
入院特約 合算       378,356円
(以上2口すべて○○郵便局)
(5) 保険契約に関する権利
建物共済   証書番号 5678(○○共済○○支店)
養老生命共済            証書番号 6789(同上)
(6) その他の権利
電話加入権               1基         0000-00-0000番
普通乗用車               1台         新宿○○ あ1234 日産○○
3.相続人アシロ二郎が取得する財産
(1) 有価証券
MMF                            1,000,000口(△△証券○○支店)
(2) 預貯金
普通預金   4,605,465円(△△銀行○○支店)
定期預金   10,110,634円(○○銀行○○支店)
同                         10,139,043円(△△銀行○○支店)
4.相続人アシロ花子が負担する債務
医療費の未払金                           220,455円
5.相続人アシロ一郎が負担する債務
(1) 公租公課                  132,152円
(2) 葬式費用                  2,780,120円
上記の通り,相続人全員による遺産分割協議が成立したので,これを証するため,本書3通を作成し,署名押印の上,各1通宛所持する。
平成29年4月30日
東京都新宿区西新宿○○番地
相続人  アシロ花子 印
東京都三鷹市下連雀○○番地
相続人  アシロ一郎 印
茨城県東茨城郡茨城町○○番地
相続人  アシロ次郎 印

遺産分割協議書作成時の注意点

遺産分割協議書は、相続人全員の署名捺印が必要なので、場合によっては郵送等で相続人に協議書を回して署名捺印してもらう必要が出てきます。このとき、相続人が複数いる場合には、その数だけ原本を用意することと、協議書が複数枚にわたる場合には全員が割り印をしておいた方が無難です。

紛失の可能性

ただ、郵送等で協議書を回していると、途中で誰かが紛失してしまったり、郵送事故の可能性がゼロとは言えませんので、相続人が大人数であったり各地に点在している場合には、遺産分割協議書と同様の効果を持つ「遺産分割協議証明書」を利用するという手もあります。

遺産分割協議証明書を用意しておく

内容的には遺産分割協議書とほぼ同じですが、最後に署名捺印するのがそれを受け取った相続人だけで良いというメリットがあります。ちょっとイメージしづらいかもしれませんが、要は遺産分割協議書の原本を相続人の数だけ作って、「以上の内容を私は証明します」という旨を記載し、相続人がそれぞれ署名捺印するという方式が遺産分割協議証明書です。

士業実務ではよく利用される手段ですが、一般の方はあまり目にする機会がないかもしれません。法的効果は遺産分割協議書と同様なので、協議書の相続人全員の署名捺印を集めるのが大変であれば、こちらの利用も検討してみてください。

なお、遺産分割協議書にしろ遺産分割協議証明書にしろ、作成上で不安な点や良く分からない点がある場合には、弁護士の無料相談等を利用してアドバイスを求めると、より確実な書類を作ることができると思いますので、併せて検討していただければ幸いです。

遺産分割に期限はないが相続税申告・相続放棄には期限がある

遺産分割に期限はないが相続税申告・相続放棄には期限がある

遺産分割協議書を作成する際には、相続人全員の同意があることと、必要書類を揃えておくのが大切です。このうち、戸籍謄本類の収集には結構な時間を割くことになりますので、早め早めで動き始めるのがおすすめです。

また、遺産分割に期限はありませんが、相続税の申告は相続開始から10ヶ月と一切待ってはくれませんし、相続放棄や限定承認にも3ヶ月の期間制限がありますので、そういう意味では相続というのは時間との戦いになります。

故人との別れで辛い思いをされ、なかなか手続きに踏み切れないのは当然のことでしょうが、残された人にとっても重要な手続きが相続や遺産分割になりますから、相続人同士で支え合って手続きを進めていただくのが良いかと思います。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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