兄弟姉妹で適切な遺産相続を進める3つの方法|相続割合の基準まとめ

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
兄弟姉妹で適切な遺産相続を進める3つの方法|相続割合の基準まとめ

親が遺した相続財産では遺言書の内容にもよりますが、基本的にはその子供に相続されることが多く、法律上で規定されている相続順位でも第一順位に該当します。その場合、兄弟姉妹間で相続財産を分け合うことになります。

ほかにも兄弟姉妹が亡くなった時にも場合によっては、相続人になる可能性があります。遺産相続を開始する時には該当する相続人全員をしっかりと確認する必要があるでしょう。

しかし、兄弟姉妹間における相続ではトラブルになるケースも多いので、相続割合や遺産分割の形式など、適切な方法を取らないと遺産分割協議にて兄弟姉妹同士でもめてしまい話合いが進まなくなってしまうおそれがあります。

そこで今回は、兄弟姉妹間に状況を絞って遺産相続を適切に進める3つの方法を解説いたします。高額な財産が関わることなのでトラブルになりやすいですが、感情的にならず法律で定められている規定に従って正しく判断するのが望ましいでしょう。

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兄弟姉妹間での遺産相続でトラブルになる理由

遺産相続の具体的な方法について説明する前に、兄弟姉妹間での遺産相続でありがちなトラブルについて最初に見ていきます。

親(被相続人)の介護をしていたことを口実にする

法律上で定められている分配の基準(法定相続分)では、兄弟姉妹には平等に相続財産が分け与えられることが法定されていますが、親(被相続人)の介護を一番やっていた相続人が『介護に見合う遺産が欲しい』と他の兄弟姉妹へ要求するケースがあります。

結論から言うと、介護によって遺産分割の割合が変わることはほとんどありません。一応、被相続人の財産を守ったり増加に貢献した場合において、貢献の程度に応じて相続分が増える『寄与分』という仕組みはありますが、一般的な介護で寄与分が認められる可能性はかなり低いとされています。

こうしたケースに対しては、遺言書で『介護をしてくれた○○には他の者よりも多めに○○○万円の相続とする』と被相続者の親より具体的に書いてもらうのが最も確実なやり方ですが、遺言書が無い場合は介護を理由にもめることがあるようです。

疎遠になっている兄弟姉妹がいる

遺産分割協議』でも説明しますが、遺産分割をする際には相続人に該当する者全員の同意が必要になります。

例えば、疎遠になっている兄を無視して、父親の相続財産を母と自分の二人で遺産分割した場合、後々になって兄より遺産分割の要求が入った場合は遺産分割協議をやり直すことが義務付けられます。

なので、兄弟姉妹間の仲が悪かったり長年連絡を取っていない場合でも、遺産分割をする前に伝えるべきだとされています。上手くいっていない兄妹姉妹でも全員の同意を求められるため、話合いが難しい状況を強いられてしまうこともあるでしょう。

相続人でない者が口を挟む

遺産相続が始まった時にはまず相続人(法定相続人)を確定させることが重要です。そうしなければ、相続人に該当しない者が割り込んできて相続財産を強引に要求してきた際に正しい対応を取れない可能性があります。

例えば、相続順位に該当しない兄弟姉妹の嫁や夫が相続権を主張してくるケースには注意しましょう。遺言書で相続分を指定されない限りは兄弟姉妹の婚約者は相続人として認められませんが、多額の相続財産をめぐって相続人の関係者が要求してくることも考えられます。

遺産相続の方法1|相続人・相続割合の確定

兄弟姉妹間の遺産相続に関するトラブルを回避するために、まずは相続人と相続割合をハッキリとさせておくべきでしょう。以下では遺産分割を確定させる基準について説明します。

死亡した親(被相続人)の遺言書が最優先

相続財産の所有者である親が生前に遺言書を遺していた場合、相続人は遺言書の内容に従うべきだとされています。遺言書がある場合でも、『遺留分』により各相続人が最低限もらえる相続財産の割合が決められていますが、被相続人の兄弟姉妹の場合は遺留分がない(相続の最低保証がない)ため、遺言書で相続人として指定されなかった場合には遺産をもらえないことになります。

ただし、被相続人の子であった場合は遺留分が認められ、最低限もらえる相続財産の割合は以下表の通りです。子の割合を兄弟姉妹間で等分することになります。

該当する相続人 相続人の遺留分 割合
配偶者+子 配偶者:1/4  子:1/4
子のみ 子:1/2

参考:「遺留分として獲得できる割合

遺言書がない場合は相続順位を確認する

被相続人が遺言書を遺していない場合、民法で規定されている『相続順位』によって相続人を決めます。詳しくは『相続順位の基準』でも解説していますが、兄弟姉妹に関係するのは第一順位と第三順位になります。また、基本的には被相続人の配偶者がいる場合は必ず相続人になります。

相続順位 詳細内容・具体的な相続人候補
※被相続人に配偶者がいる場合は、配偶者は必ず相続人になります。
第一順位
(直系卑属)
被相続人の子供が第一に相続人となります。仮に子供が死亡している場合は孫が相続人になります。
※養子や認知している子供も相続人に該当します。
第二順位
(直系尊属)
第一順位に該当する相続人が不在の場合、被相続人の父母(父母が死亡している場合は祖父母)が第二順位の相続人になります。
※実の父母でなくても相続人に該当します。
第三順位
(兄弟または姉妹)
第二順位に該当する相続人が不在の場合、被相続人の兄弟または姉妹が第三順位の相続人になります。
※兄弟姉妹が死亡している場合は甥や姪が代わりの相続人です。

《第一順位の場合》

最優先される順位であり、被相続人の配偶者(父または母)が生きている場合は、配偶者と合わせて子(兄弟姉妹)が相続人になります。

《第三順位の場合》

被相続人の子や父母が不在の場合、被相続人の兄弟姉妹が相続人になれます。第一順位と同様に被相続人の配偶者がいれば配偶者も相続人になりますが、第一順位と分配割合が異なります。

相続順位に合わせた相続財産の分配割合(法定相続分)

上記の相続順位に適用される相続財産の分配割合は以下表の通りです。法律上で定められているため『法定相続分』と呼ばれますが、順位が低くなるほど配偶者の分配割合が増えることが分かります。

《法定相続分》 配偶者の分配割合 各相続順位に該当する
 分配割合
第一順位(子) 1/2 1/2
第二順位(父母) 2/3 1/3
第三順位(兄弟姉妹) 3/4 1/4
備考 ・配偶者がいない場合は各相続順位に該当する
法定相続人に全て相続される
同じ相続順位に複数の法定相続人がいる場合は均等に分割される

参考:「相続人の優先順位と遺産相続の割合

また、同じ相続順位に複数の法定相続人がいる場合は均等に分割されることが重要なポイントになるでしょう。例えば第一順位が適用されて母と3人の兄弟姉妹で遺産相続をする場合、兄弟姉妹には1/6ずつ相続されることになります。

ただし、その分割方法でトラブルになる可能性もあるでしょう。現物の財産そのままの分割では不平等になってしまうなど均等の配分が難しいケースが考えられますので、相続財産を様々な方法で分配できることを知っておくべきです。

遺産相続の方法2|遺産を分割する3つの手段

遺産相続の方法2|遺産を分割する3つの手段

相続財産を分割する方法は以下の通り3種類あります。複数の遺産分割方法を組み合わせることで、なるべく均等に配分できるようになるでしょう。

現物分割|特定の財産をそのままの形で分配する

現物分割は一番わかりやすい方法であり、遺言書による指定でもよく使われています。特定の財産をそのままの形で相続させるやり方なので、例えば不動産(土地)は長男が相続して、預金(現金)については長女が相続をするといった分配方法になります。

または、遺産の金額が異なり不平等である場合には、不動産を共有名義にするという方法もあります。

代償分割|取得した現物の価値を金銭で精算する

相続財産の現物をもらった相続人が、別の相続人へその相続人の相続分を金銭で精算することになります。

例えば、資産価値が8,000万円の不動産を長男が相続した場合、相続財産をもらっていない長女に対して4,000万円の金銭を与えるケースが考えられますが、不動産などの資産価値を算出する手間がかかるでしょう。その代わり、換価分割のように財産を売却しなくてもよいメリットがあります。

換価分割|土地などの財産を売却して得た金銭を分配する

換価分割は財産を売却して得た金銭による分配方法になります。売却する財産は主に土地などの不動産になりますが、売却の手間がかかるものの、現金に換えることで均等な配分が可能になるでしょう。

金銭での精算において一括払いや分割払いなど、遺産分割では細かい指定をするべきなので、いずれの遺産分割方法でも相続人である兄弟姉妹全員で細かく話し合う必要があります。その話し合いである『遺産分割協議』の注意点については次項で見ていきましょう。

遺産相続の方法3|遺産分割協議による相続人全員の同意

遺産分割の条件に関しては、相続人が集まる遺産分割協議で全員が納得する分割の方法を決めることになり、決定された遺産分割の条件を記録する『遺産分割協議書』の作成が求められます。

遺言書がない場合は必ず遺産分割協議をする必要がある

被相続人の遺言書がない場合は相続人間の合意がある場合には自由に分配することができ、調査して確定した被相続人の相続財産の具体的な分配方法などを決めるために遺産分割協議を開く必要があります。

遺産分割協議書を作成して取り決める

遺産分割協議で確定した内容について、第三者へ客観的に証明するための書類である遺産分割協議書を作成してまとめることになります。相続人や取得する相続財産、遺産相続開始日に協議成立日など必要な項目を記載するべきですが、詳細は『遺産分割協議書の例と作成の注意点』で解説しているので、合わせてご確認いただければと思います。

遺産分割協議書の作成では相続人全員の同意と署名がないと不成立になる

遺産分割協議書の作成においては、相続人全員の同意と署名がないと遺産分割協議が不成立になってしまいます。

理由としては、被相続人の相続財産は各相続人へ分割されるまでは相続人の共有財産であることが法律上で定められているため、一人でも相続人の同意なしで遺産分割を進めてしまうと協議内容が無効になるため、相続人の該当者をあらかじめ戸籍で調査する必要があります。

養子や認知されている子供にも相続権がありますので、最初に相続人調査をすべきでしょう。
参考:「相続人調査で戸籍を取得する方法

兄弟姉妹間の遺産相続トラブルは弁護士への相談も検討する

兄弟姉妹間における適切な遺産相続の方法についてこれまで解説してきましたが、当事者である相続人だけの解決が難しい問題が発生した場合、専門家である弁護士に相談するのも有効な手段だと思われます。

弁護士に依頼するメリット

遺産相続のトラブルに関して弁護士に依頼することで、以下のようなメリットが期待できるでしょう。多額の金銭が絡む問題なので相続人は感情的になりがちですが、弁護士が間に入ることで落ち着いて状況を整理できるようになります。

  • 客観的(法的)な判断による正しい解決策が得られる
  • 弁護士を通して間接的に話し合うことで感情をおさえられる
  • 話合いがスムーズに進む

相続関連の案件に通じた弁護士を探すポイント

相続関連の案件に携わっている弁護士を探すポイントとして、弁護内容を詳しく説明してくれるだけでなく、相談者(相続人)にとってデメリットになるリスクや弁護士費用についても分かりやすく明確に教えてくれる弁護士の方が信頼できるでしょう。

弁護士の見極めだけでなく、相続財産額に対する弁護士費用の見積りについて知っておくために、初回相談という形で一度は弁護士と話した方が早期的な解決ができると思われますが、『相続問題が得意な弁護士の選び方』でも詳しく取り上げているのでご参考ください。

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まとめ

兄弟姉妹で遺産相続を適切に進めるためのポイントについて、お分かりいただけましたでしょうか。

相続財産の分割が原因で兄弟姉妹の間に亀裂が生じ、今後の生活において悪い影響を及ぼす恐れもあります。家族内の仲を悪くさせないためにも客観的な判断を基に話し合うべきでしょう。問題が大きくなりそうであれば早めに弁護士への依頼をおすすめします。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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