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KL2020・OD・037
ネットワークビジネス自体は違法ではありません。ネットワークビジネス(マルチ商法)は、連鎖販売取引として特定商取引法33条で、次のように定義されています。
参照元:特定商取引に関する法律33条
少しイメージしにくいかもしれないので、簡単に説明します。
上記のような勧誘をし、なおかつ取引をするために費用(特定負担)が発生する場合が連鎖販売取引です。
また、違法であるネズミ講と異なる点は次の通りです。
ネットワークビジネスは合法ですが、いくつか問題点があるのもまた事実です。特に、勧誘の仕方に関して特定商取引法で厳しく制限されているため、ルールを知らないまま勧誘すると法を犯すことになります。
今回は、ネットワークビジネスの問題点と、勧誘員が守らなければいけない法律、ネットワークビジネスで困った際の対処法をお伝えします。
まず、ネットワークビジネスの問題点を確認していきましょう。
ネットワークビジネスはマルチ商法と呼ばれ、日本での印象が良くない場合があります。
印象が良くない理由はいくつかあります。法を犯さず活動している方にとっては、言いがかりに感じるかもしれません。
ただ、ネットワークビジネスに興味を持っていない人や、印象が良くない人がいるのは仕方のないことです。悪評を立てられるリスクを犯さないためにも、見込み客がネットワークビジネスに対してどのような印象を抱いているのかは確認しておきたいところです。
誰でも参加できるのは利点でもありますが、楽に儲けられると思っている人や、強引な勧誘をするような人も参加できるため、モラルが無い勧誘や、特定商取引法に触れる勧誘をしてしまう人も中には現れてきます。
企業に雇われているサラリーマンの場合、問題のある勧誘方法をすると企業が困るため、問題の有りそうな人を面接でふるい落としたり、採用後に研修をしたりします。
しかし、ネットワークビジネスの場合は、初心者であろうと自分でマナーや法律を勉強し、全て自己責任でやらなければいけません。問題を起こした場合も責任を取るのはあなたです。
周りにネットワークビジネスへの印象が悪い人が多かったり、問題のある勧誘方法をしてしまったりした場合は人間関係が崩壊する恐れもあります。
誰でも成功できるわけではありませんし、頑張ってもいつか成功できる保証があるわけでもありません。仮に成功の定義を年収1,000万円として、ネットワークビジネスで成功できる確率を計算してみましょう。
ここでは、アムウェイを参考に、次の条件で年収1,000万円に到達する可能性を計算します。
とすると、
296.697億円(販売員への報酬総額)=988.99億円×30%
42,385円(販売員一人当たりの年間報酬額)=296.697億円÷70万
となり、
であることがわかります。一人が年収1,000万円を達成するためには、何人分の年収を独占する必要があるのでしょうか?
235人分=1,000万円÷42,385円
235人分の年収を独占してはじめて年収1,000万円になれるとすると、会員の中で年収1,000万円になれるのは
2979人=70万人÷235人
となり、割合にすると
年収1,000万円を達成する割合:0.425%=2979人÷70万人×100 |
となり、誰でも成功できるわけではないことがわかります。
参照元:Amway|営業概況
上記のように、ネットワークビジネスだけで年収1,000万円を達成できる人は0.425%しかいないわけです。にも関わらず、一部の成功例を一般化し、自分にもできるとか誰にでもできると考えるのは客観性を欠いています。
たしかに、やってみる前から諦めていては成功などできません。成功できないと考える必要はありませんが、成功できなかった残りの99.575%については見ないようにするのではなく、フェアに検討した方が良いように思います。
精神論が振りかざされるのはネットワークビジネスに限ったことではありませんが、勧誘時やセミナーのときに「誰でも成功できる」といった体の言葉を繰り返し聞かされ、それが事実だと信じ込んでしまうのは問題です。
本人が成功できると信じている以上、例え年間報酬額が42,385円だったとしても、“先行投資”と言い商品購入やセミナーにお金を払い続けてしまいます。これで本当に成功できなければ、時間とお金が無駄になってしまいます。
とはいえ、上記の問題点は一部のグループにしか当てはまらない場合もあり、当てはまっていないネットワークビジネス関係者からすれば風評被害のように感じるかもしれません。
ここでは、ネットワークビジネスに携わる勧誘員である限り、必ず守らなければいけない法律についてお伝えします。
ネットワークビジネスの勧誘者が勧誘をしようとする際は、あらかじめ次の点を相手に伝えなければいけません。
ネットワークビジネスの勧誘では、勧誘の目的を告げずに見込み客にアプローチをしますが、上記の点を伝えない勧誘は違法行為です。
統括者、勧誘者(統括者がその統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について勧誘を行わせる者をいう。以下同じ。)又は一般連鎖販売業者(統括者又は勧誘者以外の者であつて、連鎖販売業を行う者をいう。以下同じ。)は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引をしようとするときは、その勧誘に先立つて、その相手方に対し、統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者の氏名又は名称(勧誘者又は一般連鎖販売業者にあつては、その連鎖販売業に係る統括者の氏名又は名称を含む。)、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をする目的である旨及び当該勧誘に係る商品又は役務の種類を明らかにしなければならない。
引用元:特定商取引に関する法律33条の2
など、実際よりも良いもののように表現することを誇大広告といい、特定商取引法第36条で禁止されています。客観的に見てオーバーな表現を使ってはいけません。
統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について広告をするときは、その連鎖販売業に係る商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。)の性能若しくは品質又は施設を利用し若しくは役務の提供を受ける権利若しくは役務の内容、当該連鎖販売取引に伴う特定負担、当該連鎖販売業に係る特定利益その他の主務省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
引用元:特定商取引に関する法律第36条
上記はオーバーな表現を禁止しているのに対し、事実と異なる点を伝える行為は不実告知といい、こちらは特定商取引法34条に記載があります。
は嘘とされる可能性が高く、勧誘時にこのような言葉を言ってしまうと不実告知に当てはまる恐れがあります。
統括者又は勧誘者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約(その連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあつせん又は役務の提供若しくはそのあつせんを店舗その他これに類似する設備(以下「店舗等」という。)によらないで行う個人との契約に限る。以下この条において同じ。)の締結について勧誘をするに際し、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、次の事項につき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない。
引用元:特定商取引に関する法律第34条
不都合な事実を伝えないまま契約を結ぶ行為を事実不告知といい、上記と同じく特定商取引法34条で禁止されています。
本当は誰でも儲けられるわけではないことや、実は簡単に稼げないことなども伝えなければなりません。
勧誘相手が帰りたいといっているのに家に帰さないことを退去妨害と言います。断られたら素直に引き下がりましょう。
当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと。
引用元:消費者契約法第4条3項2号
退去妨害があった場合、勧誘された人は申込みと承諾の取り消しができるため、無理に契約を結んだところで契約を取消される可能性があります。
勧誘を一度断った人を再び勧誘してはいけません。
販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その相手方に対し、勧誘を受ける意思があることを確認するよう努めなければならない。
2 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。
引用元:特定商取引に関する法律第3条の2
勧誘が上手くいった場合は、新規で会員になる人に対して、次の5点が記載された契約書面を交付しなければいけません。
一 商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。)の種類及びその性能若しくは品質又は施設を利用し若しくは役務の提供を受ける権利若しくは役務の種類及びこれらの内容に関する事項
二 商品の再販売、受託販売若しくは販売のあつせん又は同種役務の提供若しくは役務の提供のあつせんについての条件に関する事項
三 当該連鎖販売取引に伴う特定負担に関する事項
四 当該連鎖販売契約の解除に関する事項(第四十条第一項から第三項まで及び第四十条の二第一項から第五項までの規定に関する事項を含む。)
五 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項
引用元:特定商取引に関する法律37条2項
通常連鎖販売取引のクーリングオフ期間は20日ですが、書面を交付していない場合は、新規会員が書面の発行を申請して書面を受け取ってから20日間がクーリングオフ期間になるので、トラブルを避けるためにも書類の交付を受けることをおすすめします。
もしネットワークビジネスが上手く行かずに困っている場合は、次の対処法を試してみましょう。
確かに、先行投資は大切です。ただ、投資をする以上は、投資した額に対してどのくらいの利益が出ているのかも考えたほうが良いでしょう。あまりに利益が出ていないのであれば、他の投資先を探すのも1つの手です。
過剰な在庫を抱えてしまっており、なおかつ退会を考えている場合は、中途解約制度を利用し商品を返品しましょう。次の条件を満たしている場合であれば、クーリングオフ期間を過ぎていても返品が可能です。
なお、上記の条件に当てはまっていなかったとしても、当てはまっている一部の商品だけ返品することもできます。
自分だけでなんとかできない場合は、次の専門家に相談しましょう。
消費者被害に関して相談に乗ってくれる独立行政法人です。退会させてもらえなかったり、返品を受け付けてもらえなかったりして困っている場合は、国民生活センターに相談することでどうすればいいのか対策を教えてもらえます。
在庫があまりにも過剰だが返品に応じてもらえない場合や、高額な金銭を支払ってしまった場合、その他契約が不履行になった場合など、高額なお金が動く場合は弁護士に依頼しましょう。
今回は、ネットワークビジネスの問題点と、違法になりがちな勧誘方法について確認してきました。上記のようなリスクについて把握しており、特定商取引法に反しない勧誘をしているのであれば問題はありませんが、特定商取引法を遵守して勧誘をするのは難しいかと思います。
困ったことがあった場合は、最後にお伝えした方法を覚えておき対処するようにしてみてください。
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離婚、相続、労働問題、刑事事件被害、ネット誹謗中傷など、幅広い事件で弁護士費用の補償が受けられます。
【ベンナビ弁護士保険が選ばれる3のポイント】
保険内容について詳しく知りたい方は、WEBから資料請求してみましょう。
KL2020・OD・037
本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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