火災保険に関する詐欺・代理請求に注意|手口と対処法まとめ

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
火災保険に関する詐欺・代理請求に注意|手口と対処法まとめ

自然災害などで壊れた屋根を修理する際に活躍するのが火災保険です。自宅を守るために加入している人も多く、いざという時に自己負担を減らせる仕組みなのですが、「火災保険金を利用すれば無料で屋根を修理できますよ」と工事の契約をさせ、代理で申請した保険金をそのまま騙し取る詐欺が近年増えています。

国民生活センターに寄せられた相談件数は、2007年では28件でしたが、2013年には707件と25倍にもなっています。特に、台風や地震などの災害に遭った地域での被害が多くなっていますから、急いでいても訪問販売は相手にしないようにしましょう。

国民生活センター|「保険金が使える」という住宅修理サービスのトラブルに関する相談件数

引用元:国民生活センター|「保険金が使える」という住宅修理サービスのトラブルに関する相談件数

今回は、火災保険金を利用した詐欺の手口と事例、詐欺への対策と、屋根が壊れたときはどうすべきなのかについてお話します。

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そもそも火災保険で何が補償されるのか

火災保険を使って屋根を修理できるのは事実です。火災のときにしか使えなさそうな名前をしている反面、台風やひょう、雪、落雷に対しての補償もついています。地震保険にも加入していれば、地震も補償されます。

火災保険を使い屋根を修理できるのは事実ですが、保険金の代理請求に関しては詐欺である可能性がある(そうじゃない場合もある)ので、他人に任せないようにしましょう。

火災保険金を利用した詐欺の手口

被災地などの住居に押しかけ、「無料で屋根を直せる」と嘘をつき契約を迫る詐欺で、途中で断ろうとするとキャンセル料を請求するなどして、断るのを妨げてきます。ここでは、具体的な手口を見ていきましょう。

無料で屋根を直せると嘘をつき工事の契約をさせる

彼らは被害者宅に訪問し、まずはじめに

  • 見積もり無料
  • 点検無料
  • 自己負担0

など被害者が「得だ」と感じるような事をいい、点検をしたり契約にこぎつけるきっかけをつかもうとしたりします。ただ、修理すべきといわれた箇所が保険の適用外なこともあるので要注意です。

被災地が狙われやすい

屋根が壊れていてすぐに修理が必要な世帯が多いせいか、台風や地震の被害にあった地域で火災保険詐欺の被害が起きやすい傾向があるようです。

「すぐに工事しないと家がダメになる」などと恐怖心を煽ることをいわれたとしても即決してはいけません。

契約を断られないようにする

契約は本来双方の合意に基づいて成立するのですが、悪徳な業者は工事を断らせないようにしてきます。「これまでの確認や工程が無駄になる、どうするつもりだ」などと文句を言ったり、キャンセル料と称して不法に金銭を請求したりします。

契約書を書かない

トラブルになった際には契約書が効力を発揮するのですが、悪徳な業者は自分に不利な証拠を残さないようにするために、契約書を交付しません。

すぐに着工してすぐに終える

冷静な判断をさせないために、すぐに工事に着手し、すぐに工事を終えます。

保険金の代理請求に注意!

保険金の請求は普通本人がするものです。代理で請求するというのは、本人に成りすまして保険金を騙し取る詐欺である可能性が高いと思ったほうがいいでしょう。

火災保険金を利用した詐欺の事例

国民生活センターに記載されている事例を見ていくことで、詐欺の手口への理解を深めていきましょう。

事例1

「保険金を使えば自己負担は一切かからない」と勧誘されて契約したが、よく考えるとおかしい

 訪問してきた業者に雨どいが壊れていることを指摘され、「火災保険の保険金で屋根の修繕ができる」と勧められた。「保険金を使えば自己負担は一切かからない」という説明だった。屋根を点検され、50万円の見積書を渡された。また、保険会社に保険金を請求して下りた金額で工事をするという契約をした。保険金を請求してみたところ、8万円ほど下りることになったが、よく考えると50万円の見積もりを出しておきながら8万円で工事ができるのはおかしいと思う。解約したい。

(2013年12月受付 70歳代 男性)

引用元:国民生活センター|「保険金が使える」という住宅修理サービスのトラブルにご注意ください!

典型的な火災保険金を利用した詐欺の手口です。屋根が壊れた際は、「修理にいくらかかるんだろうな」と心配になってしまうもの。そんなときに自己負担0と言われればつい飛びついてしまいますが、根拠のないうまい話にのると痛い目に遭うかもしれません。

事例2

強引に工事を始めようとするなど業者の対応がおかしい

 数日前、リフォーム業者が訪問し、屋根の工事を勧めてきた。「火災保険、地震保険に加入していれば保険で直せる」と言う。屋根が浮いてしまっている部分があり、以前から修理したいと思っていた。保険会社が来訪し、リフォーム業者立ち合いで査定を受けた結果、屋根と外壁等で110万円程度の保険金が下り、1週間くらいで口座に振り込まれるとのことだった。リフォーム業者は、翌日に見積もりを出して早々に工事を始める予定だと言う。あまりに急なので不審に思い、「見積もりの日程を少し後にしてほしい」と言ったところ、業者は「今まで足を運んで頑張ってきた私の努力と時間はどうなるんだ。早く進めさせてくれないと困る」などとしつこく言ってきた。保険会社の質問事項に対する答え方のマニュアルのようなものを受け取っていることや、契約を急がせる業者の対応は何となくおかしい気がする。まだ契約はしていないので断りたい。

引用元:国民生活センター|「保険金が使える」という住宅修理サービスのトラブルにご注意ください!

  • 契約を急かす
  • すぐに工事に着工しようとして引かない
  • 工程の変更をしつこく拒む

まっとうな業者であれば、このようなことはしません。変だと思えば勇気を持って断りましょう。自分で言えなければ、警察に相談するのもいいかと思います。

火災保険金を利用した詐欺への対策

火災保険金を利用した詐欺への対策

火災保険を利用した詐欺を防止するための対策をまとめました。

契約書は必ずもらう

日本では約束をする際に書面を交わす意識が欧米と比べて低いですが、トラブルに巻き込まれたときは契約書が証拠になります。揉めたときに不利にならないよう、屋根を直すときに限らず必ずもらいましょう。

契約している保険会社に保険金が下りるか確認する

悪徳な業者に「保険金を使えば自己負担0」と言われたときに気づいてもらいたいのですが、保障の範囲やおりる金額は保険によって違います。業者はあなたがどの保険に加入しているかわからないため、自己負担0と断言できるはずがありません。この辺の矛盾に気づけるようにしたいところです。

見積もりの根拠を聞く

見積もりが思ったよりも高ければ、「ここはなぜ工事がいるのか」「ここはなぜこの値段なのか」と詳しく聞きましょう。歯切れの悪い返事や曖昧な返事が返ってきたら、その業者に依頼するのはやめたいところです。

複数の業者に見積もってもらう

屋根を直したければ、一社だけで決めず複数の業者に見積もりを出してもらいましょう。そうすれば相場が分かり、騙されにくくなるはずです。

訪問販売は相手にしない

火災保険金を利用した詐欺は大抵訪問販売ですから、訪問販売以外の業者に依頼するようにすれば、不意打ちで騙されるリスクを減らし、焦らず業者選びができるようになるはずです。

壊れた屋根を直したいときはどうすればいいのか

屋根が壊れたときは、保険会社に保険が効くか確認し、まともな修理業者に頼むようにしましょう。

保険会社に連絡し、保険がおりるか聞く

保険会社によって保障の範囲が違いますから、あなたの場合はいくらぐらいもらえるのかを確認しましょう。

  • 保険金請求書
  • 事故状況説明書

の2点を保険会社から手に入れて下さい。また、

  • 見積書
  • 被害箇所の写真

は修理業者に用意してもらえます。これはあくまで大まかな流れですから、あくまで参考程度にお考えください。屋根を直そうと思ったときは、まず加入先の保険会社に確認をしてみると覚えておきましょう。必要書類ややるべきことは加入している保険会社が教えてくれます。

どの業者に依頼するか決める

インターネットで申し込んだり、お近くの業者に依頼したりしましょう。その際に、必ず複数業者に依頼し、怪しくない業者を選びます。まともな業者には次のような特徴があります。

  • 所在地が実在する
  • 運営年数が長い
  • HPがしっかりしている
  • 代表者の個人情報を確認できる

訪問販売ではなく、インターネットから選ぶことで、冷静に時間をかけて判断をできます。

火災保険金を利用した詐欺に遭った際の相談先

最後に、詐欺に遭ってしまった際の相談先について確認しておきましょう。

警察

詐欺かと思ったらまずは警察に通報しましょう。業者名や、具体的な手口を話せるようにしておくことで、警察も対処しやすくなります。

消費生活センター

このページでも何度か出てきた消費生活センターです。詐欺にあってどうすればいいかわからないときなどに相談に乗ってくれます。

まとめ

自然災害で屋根が壊れた際に、火災保険を使えば自己負担を軽減できるので、ぜひ利用したいところです。ただ、中には詐欺をはたらく業者もいるので気を付けましょう。この記事の要点は次の6点です。

  • 災害にあったときは火災保険を利用した詐欺に注意
  • 自己負担0といった甘い言葉に釣られない
  • 複数業者に見積もりを依頼する
  • 保険金は自分で請求する(難しくありません)
  • 契約書は必ずもらう
  • 即決しない

家の不具合を早く解決したい気持ちはわかりますが、くれぐれも焦って決断することだけはやめましょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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