マルチまがい商法の問題点とマルチまがい商法被害の解決方法

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
マルチまがい商法の問題点とマルチまがい商法被害の解決方法

マルチまがい商法とは、文字通りマルチ商法に似て非なるものという意味で使われていました。例えば、法外な商品を売りつける、末端の会員に大量の在庫を抱えさせ、消費者金融で借金をさせるなどの問題点があります。

このページでは、マルチまがい商法の概要と問題点、被害に巻き込まれたときの対象法をご説明します。

マルチまがい商法の概要

ここではマルチまがい商法の概要についてお話します。

マルチまがい商法とは

マルチまがい商法は俗称なので、いろいろな用法があります。冒頭で述べたように、違法行為をしているマルチ商法を指す言葉として使われたこともありますが、最近ではマルチ商法の販売員たちが、マルチ商法と言うと印象が悪いので「我々はマルチまがい商法だ」と自称するケースもあります。

マルチまがい商法という言葉は使われなくなった

実はマルチまがい商法という言葉は今ではあまり使われていません。マルチ商法は特定商取引法の中で連鎖販売取引と定義されており、かつて特定商取引法で規制しきれなかった悪質なものがマルチまがい商法と呼ばれていました。

しかし、現在では法規制が拡大されマルチ商法とマルチまがい商法は実質同じものになりました。

マルチまがい商法の問題点

ここでは、マルチまがい商法をマルチ商法の中でも悪質なものと仮に定義し、具体的な問題点についてお話していきます。

やっていることが実質『ねずみ講』と同じ

ねずみ講は特定の商品を販売せず、高額な入会費を分配することで儲けるビジネスを言います。マルチ商法と違い、商品の売買で儲けを生み出しているわけではないので、会員を勧誘し続けないことには利益が生まれません。

マルチまがい商法で扱う商品は高額なことも多く、販売員が本社から購入してもなかなか転売できません。販売数のノルマがあることもあり、末端の売れない販売員が大量の在庫を抱えることがあります。

彼らがいくら損をしようが借金をしようが、上層の販売員や本社だけが得をします。販売する商品があるかないかが違うだけで、末端から巻き上げたお金で儲けている点では、実質的にマルチまがい商法とねずみ講は同じことをしているとの見方もあります。

勧誘方法が違法

「久しぶりに食事をしよう」「〇〇に合わせたいすごい人がいる」マルチまがい商法だけでなくマルチ商法でもよくある勧誘の仕方ですが、実はこれは特定商取引法第33条には氏名などの明示という規定違反しています。勧誘をするときは、次の3つのルールを守らねばなりません。

1.統括者、勧誘者または一般連鎖販売業者の氏名(名称)(勧誘者、一般連鎖販売業者にあっては統括者の氏名(名称)を含む)

2.特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をする目的である旨

3.その勧誘にかかわる商品または役務の種類

引用元:消費者庁|(1) 氏名などの明示(法第33条の2)

本当であれば「マルチ商法の勧誘をするから食事に行きましょう」と言わねばなりませんが、それでは誰も来ないためこの規定を違反している人は多いでしょう。他にも、絶対儲かると言ってはいけない(不実告知)、一度断った人を再び勧誘してはいけない(再勧誘の禁止)など細かい規定が色々ありますが、末端の販売員に細かい法律知識はありません。

販売員にしわ寄せが来る

ここまでで見てきたように、商品が売れず金銭的負担を被るのは末端の会員です。重い支払いや借金を取り戻すため、特定商取引法に違反するような勧誘を必死にするようになります。その時の勧誘方法が問題になり、仮に訴えられたとしても販売員と本社は業務委託の関係で、雇用契約はしていません。

本社側は、「彼が勝手にやったことだから」と言えますし、「問題のある勧誘をされたら通報してください。会員登録を抹消するんで」と販売員1人に責任をすべて押し付けることもできます。

クーリングオフをさせない

大量に在庫を抱えた場合は、クーリングオフや中途解約制度を利用しお金を取り戻すことができます。しかし、悪質な場合は難癖や言いがかりをつけて返品を妨げてきます。商品が返品されてしまうと、上の販売員や本社が儲からないからです。

販売員が洗脳される場合もある

これだけリスクがあり条件が悪いのに、なぜ彼らは販売を続けるのでしょうか。雇用関係にないから給料は発生しませんし、雇用保険や社会保険をかけてもらえません。流通を作っていなければ、体を壊せば収入が途絶えます。

彼らは、「起業して権利収入を得よう」「会社に依存せず自由を手に入れよう」などと繰り返し言われることで、自ら進んでタダ働きをするようになります。

マルチまがい商法の被害を未然に防ぐには

マルチまがい商法の被害を未然に防ぐには

マルチまがい商法に引っかからないためには、まずマルチまがい商法というビジネスがあると知ることです。以下では、被害を未然に防止するためにできることをご説明します。

虫のいい話に食いつかない

給料が上がらない、先が見えない、今の生活がつまらないなど、現状や将来に関して不安や不満を抱えていると、「簡単に儲かる」「今からでもやり直せる」「権利収入を得られる」と言った甘い話に引っかかります。

しかし、冷静に考えてみれば久々に会った人があなたに儲かる話をいきなり教えてくれるのは不自然です。他人に現状を変えてもらおうと期待すれば利用されることもありますから、登録する前によくよく調べて判断したいものです。

きっぱり断る

はっきりやらないと言わないことには何度でも勧誘されます。一貫してNOと言い続けましょう。

一度勧誘の場から離れる

勧誘がしつこく断りにくい場合は、間違ってもその場で契約してはいけません。「これから仕事だから」「前向きに考えるので、一度帰って考えを整理したい」などと言って、1度その場を離れます。

後日お断りのメールを入れて、不用意に近づかないようにしましょう。

マルチまがい商法をしている人の特徴を覚えておく

勧誘してきた相手が知り合いだったら断りにくい場合もあるでしょう。そんなときは、マルチまがい商法勧誘員にはどんな特徴があるのかを理解しておくことで勧誘される前に話を逸らすなど対策ができます。

マルチまがい商法に引っかかってしまった場合の対処法

マルチまがい商法の退会はいつでもできます。商品を購入してしまった場合が問題で、クーリングオフ制度や中途解約制度を利用し商品を返品する必要があります。

また、お金を返してもらえないときなどは国民生活センターに相談しましょう。消費者被害に詳しい相談員があなたの抱えている問題を無料で聞いてくれます。

まとめ

マルチまがい商法は連鎖販売取引の規制が拡大したことで、あまり使われない言葉になりました。しかし、マルチ商法は規制を受けているものの、特定商取引法に違反した勧誘をしている販売員は跡を絶たないのが現状です。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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